2.2.1 構成アイテムのクラスと管理項目の定義

管理項目を最適化するための、構成アイテムのクラスと管理項目の定義のユースケースについて説明します。

社内で開発中のソフトウェアのテスト環境を、部署ごとに作成・提供する社内サービスを運用しているとします。
提供しているテスト環境を構成アイテムとしてCMDB機能で管理する場合、デフォルトで存在する構成アイテムクラスを利用し、テスト環境を構成するコンピューターやソフトウェアなどの要素をそれぞれ管理することは可能です。ただしこの場合、各クラスに不要なフィールドが存在したり、異なるクラスの構成アイテムを複数作成して関連付ける必要があるなど、管理手順が冗長になるおそれがあります。
ここでは、提供する「テスト環境」を1つの構成アイテムとして表すクラスを作成し、必要な情報だけをまとめる場合の手順を説明します。

運用管理の検討の結果、以下のフィールドが必要だと仮定します。
[名前]、[デプロイ・ステータス]、[インシデントの状態]、および[添付ファイル]のフィールドは自動で作成されます。

  • 説明
  • 顧客(提供先の部署)、所有者(提供先の部署のメンバー)
  • FQDN
  • IPアドレス
  • テスト対象のソフトウェアのバージョン
  • テスト対象のソフトウェアのエディション(Basic、Premium)
  • テスト環境の提供を開始した日
  • テスト環境の提供を終了した日
  • テスト環境のコンピューターの性能を表すサイズ(Large、Medium、Small)

上記のフィールドの内、FQDNとIPアドレスは定義済みのフィールドを、その他のフィールドは新しく定義を作成します。

【クラスの作成】

1. メインメニューから[管理]を選択し、[管理]-[ジェネラル・カタログ]をクリックします。[ジェネラル・カタログ管理]画面が表示されるので、[リスト]-[ITSM::ConfigItem::Class]を開きます。
2. [カタログ項目を追加]ボタンをクリックし、[カタログ項目を追加]に以下の内容を入力し、[保存]ボタンをクリックして、構成アイテムのクラスを作成します。記載のないフィールドはデフォルトのままにします。

(表)カタログ項目の入力内容(クラスの作成)

フィールド
名前 TestEnvironment
権限グループ 「itsm-configitem」を指定します。
カテゴリー 「Default」を指定します。
有効/無効 「有効」を指定します。
コメント 提供しているテスト環境

【テキストフィールドの作成】

3. メインメニューから[管理]を選択し、[プロセス&自動化]-[ダイナミック・フィールド]をクリックします。[ダイナミック・フィールドの管理]画面で、左の[操作]-[ITSM ConfigItem]のフィールドをクリックし、[本文]を選択します。
4. [ITSM ConfigItem: 本文 を追加します]画面が開くので、以下の内容を入力し、[保存]ボタンをクリックして、フィールドを追加します。記載のないフィールドについてはデフォルトのままにします。

(表)ダイナミックフィールドの入力内容(本文)

フィールド
名前 「TestEnvironmentVersion」を指定します。
有効/無効 「有効」を指定します。
ラベル 「Version」を指定します。

【複数行テキストフィールドの作成】

5. [ダイナミック・フィールドの管理]画面で、左の[操作]-[ITSM ConfigItem]のフィールドをクリックし、[テキストエリア]を選択します。
6. [ITSM ConfigItem: テキストエリア を追加します]画面が開くので、以下の内容を入力し、[保存]ボタンをクリックして、フィールドを追加します。記載のないフィールドについてはデフォルトのままにします。

(表)ダイナミックフィールドの入力内容(テキストエリア)

フィールド
名前 「TestEnvironmentDescription」を指定します。
有効/無効 「有効」を指定します。
ラベル 「Description」を指定します。
行数 「8」を指定します。

【選択肢フィールドの作成】

7. メインメニューから[管理]を選択し、[プロセス&自動化]-[ダイナミック・フィールド]をクリックします。[ダイナミック・フィールドの管理]画面が表示されるので、左の[操作]-[ITSM ConfigItem]のフィールドをクリックし、[ドロップダウン]を選択します。
8. [ITSM ConfigItem: ドロップダウン を追加します]画面が開くので、以下の内容を入力し、[保存]ボタンをクリックして、フィールドを追加します。記載のないフィールドについてはデフォルトのままにします。

(表)ダイナミックフィールドの入力内容(ドロップダウン)

フィールド
名前 「TestEnvironmentEdition」を指定します。
有効/無効 「有効」を指定します。
ラベル 「エディション」を指定します。
選択肢 [値を追加]のボタンをクリックし以下を追加します。
  • 鍵: Basic 値: Basic
  • 鍵: Premium 値: Premium
デフォルト値 「Basic」を指定します。

9. 同様に以下の内容でドロップダウン型のフィールドを追加します。
  • 名前: TestEnvironmentSize
  • ラベル: Size
  • 選択肢
    • 鍵: Large 値: Large
    • 鍵: Medium 値: Medium
    • 鍵: Small 値: Small
  • デフォルト値: Medium

【顧客フィールドの作成】

10. [ダイナミック・フィールドの管理]画面で、左の[操作]-[ITSM ConfigItem]のフィールドをクリックし、[用例]-[CustomerCompany]を選択します。
11. [ITSM ConfigItem: CustomerCompany を追加します]画面が開くので、以下の内容を入力し、[保存]ボタンをクリックして、フィールドを追加します。記載のないフィールドについてはデフォルトのままにします。

(表)ダイナミックフィールドの入力内容(顧客)

フィールド
名前 「TestEnvironmentCustomer」を指定します。
有効/無効 「有効」を指定します。
ラベル 「使用部署」を指定します。

【顧客ユーザーフィールドの作成】

12. [ダイナミック・フィールドの管理]画面で、左の[操作]-[ITSM ConfigItem]のフィールドをクリックし、[用例]-[CustomerUser(顧客ユーザ)]を選択します。
13. [ITSM ConfigItem: CustomerUser(顧客ユーザ)を追加します]画面が開くので、以下の内容を入力し、[保存]ボタンをクリックして、フィールドを追加します。記載のないフィールドについてはデフォルトのままにします。

(表)ダイナミックフィールドの入力内容(顧客ユーザー)

フィールド
名前 「TestEnvironmentCustomerUser」を指定します。
有効/無効 「有効」を指定します。
ラベル 「使用ユーザー」を指定します。

【日付フィールドの作成】

14. [ダイナミック・フィールドの管理]画面で、左の[操作]-[ITSM ConfigItem]のフィールドをクリックし、[日付]を選択します。
15. [ITSM ConfigItem: 日付 を追加します]画面が開くので、以下の内容を入力し、[保存]ボタンをクリックして、フィールドを追加します。記載のないフィールドについてはデフォルトのままにします。

(表)ダイナミックフィールドの入力内容(日付)

フィールド
名前 「TestEnvironmentProvisionStartDate」を指定します。
有効/無効 「有効」を指定します。
ラベル 「提供開始日」を指定します。

16. 同様に以下の日付フィールドを作成します
  • 名前: TestEnvironmentProvisionEndDate
  • ラベル: 提供終了日

【クラスのフィールドの設定】

17. メインメニューから[管理]を選択し、[CMDBの設定]-[構成アイテム]をクリックします。
18. [構成アイテム管理]画面が開くので、[リスト]から「クラスの作成」で作成した「TestEnvironment」をクリックします。
19. [操作]に「TestEnvironment」が追加されるので、[クラス定義を変更]ボタンをクリックすると[Edit definition]画面が開きます。
20. [変更]-[記述]に以下を入力し、[保存して終了]をクリックすることで、テスト環境を表す構成アイテムのクラスが作成されます。

---
Pages:
  - Name: Summary
    Layout:
      Columns: 3
      ColumnWidth: 1fr 1fr 1fr
    Content:
      - Section: Contact
        RowStart: 1
        ColumnStart: 1
      - Section: Environment
        RowStart: 1
        ColumnStart: 2
      - Section: Period
        RowStart: 1
        ColumnStart: 3
      - Section: Description
        RowStart: 2
        RowSpan: 2
        ColumnStart: 2
        ColumnSpan: 2

Sections:
  Description:
    Type: Description
    Header: Description
  Contact:
    Content:
      - Header: 提供先
      - DF: TestEnvironmentCustomer
      - DF: TestEnvironmentCustomerUser
  Environment:
    Content:
      - Header: 環境情報
      - DF: ITSMNetworkInfo-FQDN
      - DF: ITSMNetworkInfo-IPAddress
      - DF: TestEnvironmentVersion
      - DF: TestEnvironmentEdition
      - DF: TestEnvironmentSize
  Period:
    Content:
      - Header: 提供期間
      - DF: TestEnvironmentProvisionStartDate
      - DF: TestEnvironmentProvisionEndDate

デフォルトに存在するクラスのラベルには値の翻訳が提供されているものもあるので、「Description」といった英語のフィールド名も、表示言語を日本語にすると翻訳されて表示されます。表示言語の切り替えは、Ops Iの言語を切り替えるアイコンで行ってください。詳細は「JP1 Cloud Service 運用統合 利用ガイド」の「機能>基本的な画面構成」を参照してください。
翻訳が提供されていないラベルについては、主な表示言語が日本語であることから日本語で作成しています。

【クラスのバージョンを更新するフィールドの設定】

構成アイテムのフィールドの内、更新すると構成アイテムのバージョンをインクリメントするものを設定します。ここでは、作成したクラスの以下のフィールドを変更した際に、構成アイテムのバージョンをインクリメントするように設定します。

  • FQDN
  • IPアドレス
  • バージョン
  • エディション
  • サイズ
21. メインメニューから[管理]を選択し、[管理]-[ジェネラル・カタログ]をクリックします。[ジェネラル・カタログ管理]画面が表示されるので、[リスト]-[ITSM::ConfigItem::Class]を開きます。
22. 「クラスの作成」で作成した[TestEnvironment]ボタンをクリックし、[カタログ・アイテムを修正]に以下の内容を入力し、[保存]ボタンをクリックします。記載のないフィールドはデフォルトのままにします。

(表)カタログ項目の入力内容(クラスの修正)

フィールド
Version Trigger 以下を選択します。
  • DynamicField_ITSMNetworkInfo-FQDN
  • DynamicField_ITSMNetworkInfo-IPAddress
  • DynamicField_TestEnvironmentEdition
  • DynamicField_TestEnvironmentSize
  • DynamicField_TestEnvironmentVersion