9.4 管理用ジョブの登録

インシデントチケットへのSLAの割り当ては、顧客名、顧客の重要度などさまざまな条件を考慮して行います。顧客数や条件数によっては、担当者の判断でSLAを割り当てることが難しくなります。
OTOBOの[管理用ジョブ]機能でSLAの割り当てを自動化し、効率的にSLAを運用できます。


(1)管理用ジョブの作成

管理用ジョブの作成手順を以下に示します。

1. メインメニューの[管理]を選択します。
2. 表示された画面の[プロセス&自動化]-[管理用ジョブ]をクリックし、[管理用ジョブの管理]画面を開きます。
3. [管理用ジョブの追加]ボタンをクリックします。
4. [管理用ジョブの追加]画面に、以下の情報を登録します。

(表)[ジョブ設定]の設定項目

設定項目 説明
ジョブ名 管理用ジョブの名前
有効/無効 ジョブを有効にする場合は、「はい」(デフォルト値)を指定します。

(表)[イベント実行(単一チケット)]の設定項目

設定項目 説明
タイプ 「チケット」を指定します。
イベント ジョブを実行するトリガーになるイベント
以下の設定を推奨します。
  • TicketCreate:チケットの新規作成
  • TicketXXXUpdate:チケットのフィールドの変更
  • TicketDynamicFieldUpdate_XXX:チケットのダイナミック・フィールドの変更

割り当てたいチケットの条件として1つ以上の項目を設定します。推奨する項目を以下に示します。ただし、タイプは必ず設定しください。

(表)[チケットを選択]の設定項目

設定項目 説明
タイトル チケットのタイトル
顧客ID 顧客ID
メインメニューの[顧客]-[顧客管理]で表示される顧客一覧から、該当の顧客IDを指定します。
顧客ユーザーID 顧客ユーザーID
顧客ユーザー名を指定します。
タイプ 「Incident」を選択し、[確認]ボタンをクリックします。
優先度 チケットの優先度
チケットの優先度」を参照し、リストから優先度を選択します。
キュー 担当窓口
リストから担当窓口を選択します。
ステータス チケットのステータス
チケットのステータス」を参照し、リストからステータスを選択します。
担当者/所有者 チケットの担当者または所有者
リストから担当者/所有者を選択します。
ダイナミック・フィールドの追加 カスタマイズしたフィールドの追加
追加項目を選択すると、値の設定フィールドが表示されます。フィールドのタイプにより指定する方法が異なります。
  • チェックボックス:チェックあり、またはチェックなしを選択します。
  • 日付:カレンダーよりUTCの日付を指定します。
  • 日時:カレンダーよりUTCの日時を指定します。
  • ドロップダウン:プルダウンで選択します。
  • 本文:検索する値を指定します。
  • テキストエリア:検索する値を指定します。
フィールドのカスタマイズについて、「JP1 Cloud Service 運用統合 利用ガイド」の「お客様での運用設計・構築>その他運用設計Tips>チケット画面のカスタム>チケットのフィールド」を参照してください。

割り当てに使用するSLAを設定します。

(表)[チケット属性の更新/追加]の設定項目

設定項目 説明
新しいサービスレベル契約(SLA)を設定 割り当てに使用するSLA
SLAは事前に作成しておく必要があります。

設定項目の詳細についてはOTOBOのマニュアルを参照してください。
https://doc.otobo.org/manual/admin/11.0/en/content/administration-area/processes-automation/generic-agent.html


5. 入力が終わったら、[保存]ボタンをクリックし、[管理用ジョブの管理]画面に遷移します。登録したジョブはリストに表示されます。
指定した条件を満たすチケットは、指定したイベントが発生時にSLAが自動適用されます。

注意事項注意事項

  • インシデントチケットのタイプ名をカスタマイズして変更した場合でも、変更前のタイプ名を指定してください。
  • ジョブは[管理用ジョブの管理]画面のリスト順(ジョブ名の文字列順)に評価され、条件を満たすたびにチケットの更新を行います。
    条件を満たしたジョブが複数あればジョブごとにチケットの更新が行われます。そのため、同一の[チケット属性の更新/追加]の設定項目は最後に条件を満たしたジョブの設定で上書きされます。
  • 指定されたSLAを無効に設定すると、管理用ジョブから該当SLAが削除されます。SLAの有効/無効を切り替えた場合は、管理用ジョブでSLAを再指定する必要があります。
  • 「チケットを選択」の設定に、次の項目は非サポートです。
    差出人、宛先、Cc、表題、チケットロック、保留時間、対応期限、対応期限-初回応答期限、対応期限-更新期限、対応期限-解決期限


(2)管理用ジョブの設定例

インシデントの重大度や優先度によって、対応の時間や順番などが異なるため、複数のSLAを用意し、それぞれの状況に合わせ個別に設定できます。
管理用ジョブの設定例を以下に示します。

1. [イベント実行(単一チケット)]のイベントを設定します。

(表)監視するイベント

OTOBOのイベントトリガー Ops Iチケットのフィールド 説明
TicketCreate - チケットの作成時にSLAを設定
TicketCustomerUpdate 顧客 顧客の変更時にSLAを再割り当て
TicketDynamicFieldUpdate_ITSMCriticality 重大度 重大度の変更時にSLAを再割り当て
TicketDynamicFieldUpdate_ITSMImpact 影響度 影響度の変更時にSLAを再割り当て
TicketPriorityUpdate 優先度 優先度の変更時にSLAを再割り当て

2. [チケットを選択]にチケットの条件を設定します。

(表)チケットの設定項目

設定項目 説明
タイプ 「Incident」を指定
優先度 SLAの優先度を指定
影響度 SLAの影響度を指定
重要度 SLAの重大度を指定
※[ダイナミック・フィールドの追加]より選択します。

3. [チケット属性の更新/追加]で条件ごとに指定したいSLAを設定します。
ここでは重大度によってそれぞれのSLAを設定する例を示します。重大度が「very_low」のインシデントはSLAを設定しないこととします。

(表)チケット属性の更新/追加

Ops Iでの設定 OTOBOでの設定
重大度 重要度 設定するSLA 作成する管理用ジョブ
very_high 5最高 SLA1 管理用ジョブA
high 4高 SLA2 管理用ジョブB
medium 2低、3中 SLA3 管理用ジョブC
low
very_low 設定しない 設定しない 作成不要