4.3.9 スケジュール管理

スケジュールの設計では、定常業務(非定期/定期)、随時業務ごとにスケジュールの作成、担当者の割り当て、および確認、更新を行います。

(表)スケジュール管理の設計項目と概要

項目 定義手段 設計ポイント
業務の設定内容 洗い出した業務に対して、担当グループや担当者、繰り返しのパターン、およびワークフローのひもづけの有無など設定内容を検討します。
スケジュールの追加方法 業務が定常業務か随時業務か、またはIT運用以外の業務かなど業務の種類にあわせて、業務起点またはユーザー起点のどちらでスケジュールを追加するか検討します。
スケジュールの追加 ・GUI
・YAMLファイル
業務起点でスケジュールを追加する場合は、スケジュールをGUIのみで追加するか、GUIと予定表テンプレート(YAML)を使用して追加するか検討します。
予定表テンプレート ・YAMLファイル 業務に必要な一連の作業内容を予定表テンプレートとしてYAML定義しておきます。頻発する業務に活用できます。
担当者情報などはGUIで設定します。

(1)概要

Ops Iでは、IT運用で発生する多くの業務のスケジュールを運用統合して管理できます。
スケジュールは、定常業務(非定期/定期)または随時業務で分類分けして登録が可能で、スケジュールの種類、進捗度、および状態などあらゆる情報が可視化されます。これにより、人を介す作業、人を介さない作業が混在していても、効率よく業務を管理することができます。
作業は繰り返し自動実行することができます。この繰り返し作業のうち、イレギュラーに対応するため特定の回の作業のみ内容を変更することも可能です。
また、スケジュール通知機能により、スケジュールに設定した作業の実行日時になると、自動的に担当者へ通知するなどの設定ができ、作業漏れを防止します。スケジュール通知の詳細については「通知の設計」、「Notification, Notifier 」を参照してください。

(図)スケジュール管理の概要

(図)スケジュール管理の概要 (図)スケジュール管理の概要

Ops Iでのスケジュール管理では主に以下の機能を提供します。

(表)スケジュール管理の機能一覧

項目 説明
予定表管理機能 IT運用の業務のスケジュールをグループ化して管理できます。
作業項目管理機能 予定表の中の個々の業務のスケジュールの追加、編集、および確認ができます。
リソース別スケジュール機能 ユーザーごとに、IT運用およびIT運用以外の業務のスケジュールの追加、編集、および確認ができます。


(2)スケジュール管理の基本知識

スケジュールを管理する上での基本知識について説明します。


【スケジュール管理の主な要素】

スケジュール管理では、主に「予定表」、「作業項目」、および「スケジュール」によってスケジュールの作成、確認、および更新などを行います。以下に3つの要素の構成関係を示します。

(図)予定表、作業項目、およびスケジュールの構成関係

(図)予定表、作業項目、およびスケジュールの構成関係 (図)予定表、作業項目、およびスケジュールの構成関係

(図)予定表、作業項目、およびスケジュールの構成関係 (図)予定表、作業項目、およびスケジュールの構成関係


(表)予定表、作業項目、およびスケジュールの詳細

項目 説明
予定表 IT運用における 作業項目とそれらにひもづくスケジュールの集まりで構成されます。
IT運用は、バックアップ、保守、監査、およびメールチェックなど多くの作業があります。予定表は、これらの作業を分類分けしてグループ化することができるので、管理が容易になります。また、作業の実行担当や、作業を参照するのみのマネージャーや監査者など、複数のユーザーグループをひもづけることができます。
予定表は、GUIおよびYAMLファイルで定義可能な予定表テンプレートを使用して作成することができます。
作業項目 予定表を構成する要素で、スケジュールを定義するための箱です。
作業項目はGUIで追加できます。予定表テンプレートによって、作業項目を一括で登録することも可能です。
また、フォルダによってフォルダや作業をグループ化して管理することや、ワークフローを関連付けることが可能です。
スケジュール 作業項目の中の1つ(1回)の作業の実体であり、作業の進捗や実績を表します。
プログレスバーとしての機能をもち、進捗やステータスを色で確認できます。また、状態を表すアイコンにより、作業の情報を容易に確認することができます。

【作業項目のフォルダと作業】

作業項目はフォルダよって、フォルダや作業をグループ化して管理することができます。これにより、作業項目は階層構造をもつことができ、フォルダの配下にフォルダを作成することが可能です。作業の配下にフォルダや作業を作成することはできません。

(図)作業項目のフォルダと作業

(図)作業項目のフォルダと作業 (図)作業項目のフォルダと作業


【ロールによる表示と操作権限】

表示できる予定表、作業項目、スケジュールに対してロールによる操作制限は基本的にありません。ただし予定表を作成する場合は、Primitiveロール「calendar_user」が割り当てられている必要があります。

スケジュールタブを表示するために必要なロールについては「Ops I上のロールとサポート機能の対応関係」を参照してください。 ロール以外の表示や操作に関する条件については「(表)予定表管理機能画面の構成要素」、「(表)作業項目管理機能画面の構成要素」、「リソース別スケジュール機能」を参照してください。



(3)スケジュールとワークフローの関連付け

スケジュール管理では、以下の2つの方法でスケジュールとワークフローを関連付けることができます。


【作業項目管理機能で設定】

作業項目管理機能」の作業項目の追加画面または編集画面で、実行するワークフローを指定することができます。
作業項目にワークフローを関連付けることによって、設定した実行日時や繰り返しパターンにあわせてワークフローを自動実行することができます。また、ワークフローのパラメータやステップごとの担当者を設定することもできます。
関連付けたワークフローは手動で実行することもできます。ワークフローが失敗などした場合に再実行することも可能です。詳細については「(表)実績タブの項目」を参照してください。


【ワークフロータブで設定】

ワークフロータブから、ワーフクローの各ステップに対して予定開始/終了日時や担当者を設定することができます。設定したスケジュールは「リソース別スケジュール」に自動的に反映され、リソースごとに担当するスケジュールを管理、更新することができます。詳細については「ワークフローの操作画面(Stepper使用時)」を参照してください。



(4)予定表テンプレート

予定表はGUIで作成できますが、ユーザー自身で用意した予定表テンプレートを使用して作成することも可能です。
予定表テンプレートはYAMLファイルに作業項目を定義したものです。リポジトリに登録された予定表テンプレートは「予定表管理機能」の[予定表を作成]画面で設定することができ、作業項目を一括で登録することができます。頻発する作業などを予定表テンプレートとして用意しておくことで、短時間で予定表と作業項目を作成することが可能です。
予定表テンプレートは「Calendar」のYAMLファイルで定義します。

calendarのYAMLファイルは、YAMLファイルの管理を行う任意のリポジトリに登録してください。


【予定表テンプレートの定義内容】

予定表テンプレートでは以下の項目は定義しないので、GUIで設定する必要があります。設定は、「予定表管理機能」の[予定表を作成]画面で予定表テンプレートを設定後に、「作業項目管理機能」の作業項目の編集画面で行います。

  • 開始日
  • 終了日
  • 終了時刻
  • 担当グループ
  • 担当者
  • ワークフロー実行者

また、patternのtypeで"oneTime"を指定した場合、作業項目の種類は[単一の作業]になります。"oneTime"以外を指定した場合は、作業項目の種類は[定期的な作業]になり、定期的な予定の設定タブの[終了日未定]項目がチェックされます。


【予定表テンプレートのバージョン管理】

予定表テンプレートを使用して作成した予定表は、適用時の予定表テンプレート名とバージョンを予定表に記録することができます。それにより、予定表テンプレートが更新されても、予定表に適用した時点の予定表テンプレートの情報を保持します。予定表のバージョンに上限はありません。
予定表テンプレート名は、「予定表管理機能」の[予定表一覧]で、バージョンは[予定表一覧]の[テンプレート]項目から確認できます。



(5)スケジュールの繰り返し実行

定常業務で定期的な対応が必要な作業の場合、さまざまなパターンの繰り返し実行をスケジュールに設定することができます。
繰り返しのパターンは、繰り返す期間や日、週、月、および年を組み合わせて設定します。設定は「作業項目管理機能」の追加画面および編集画面で行えます。「予定表テンプレート」を使用して設定することも可能です。


【作業項目の繰り返しパターンと考え方】

作業項目の追加や編集では、繰り返しの実行タイミングと間隔の設定を行います。実行タイミングと間隔は主に以下の項目で設定することができます。

  • 実行タイミング:日付け、曜日
  • 間隔:日、週、月、年

以下に、繰り返しパターンの詳細を示します。

(表)作業項目の繰り返しパターン

パターン 説明
日次
  • X日ごと
日ごとで設定します。
週次
  • X週間ごとのX曜日
週数ごとの曜日指定で設定します。
月次
  • 「月末から」チェックなし:Xカ月ごとのその月のX日
  • 「月末から」チェックあり:Xカ月ごとのその月の最終日からX日前
  • Xカ月ごとの第X週のX曜日
月ごとの日付、月末から数えた日、または月ごとの週数および曜日指定で設定します。
年次
  • X年ごとのX月X日
  • X年ごとのX月の第X週のX曜日
年ごとの月日指定、または年ごとの月、週数、および曜日指定で設定します。

「X週間ごと」や「第X週」などの場合の週数の数え方について次に説明します。


【週数の数え方】

実行タイミングのパターンが月次や年次の場合、曜日の出現回数をもとに週数を数えます。
下図のカレンダーの場合、色分けしている通り、第1週は1/1~1/7、第2週は1/8~1/14というように数えます。例えば、「第2週の火曜日」は1/14を指します。
第5週は1/29から最終日までを指し、最終週とも表現できます。うるう年ではない2月のみ第5週はなく、最終週は2/22から2/28のいずれかになります。

(図)週数の数え方の例

(図)週数の数え方の例 (図)週数の数え方の例


【予定表テンプレートによる繰り返し実行のパターン】

予定表テンプレートのYAMLファイル(Calendar)で、繰り返し実行のパターンを定義した場合の例を以下に示します。

(図)予定表テンプレートによる繰り返し実行のパターン

(図)予定表テンプレートによる繰り返し実行のパターン (図)予定表テンプレートによる繰り返し実行のパターン

上図カレンダーの色と、下表の色は対応しています。
AbsoluteとRelativeは予定を設定する際に、日付を基準とするかどうか指定するもので、「(表)Calendar定義」の"useDayOfMonth"で指定します。詳細については「(表)作業項目の繰り返しのパターン」も参照してください。

(表)繰り返しパターンの例

type
(日/週/月/年)
pattern
(パターン)
期間 実行該当日
daily interval: 4 開始日 2023-01-17
終了日 2023-02-17
1/17、21、25、29
2/2、6、10、14
weekly interval: 3
plannedDayOfWeek: ["Monday", "Wednesday", "Friday"]
開始日 2023-04-10
終了日 2023-5-31
4/10、12、14
5/1、3、5、22、24、26
monthly
(Absolute month)
interval: 2
plannedDayOfMonth:
    plannedDay: 2
    isFromEnd: false
開始日 2023-01-01
終了日 2023-5-31
1/2、3/2、5/2
monthly
(Absolute month)
interval: 2
plannedDayOfMonth:
    plannedDay: 4
    isFromEnd: true
開始日 2023-01-01
終了日 2023-5-31
1/28、3/28、5/28
monthly
(Relative month)
interval: 2
plannedDayOfWeek: ["Thursday"]
plannedWeekOfMonth: 2
開始日 2023-01-01
終了日 2023-5-31
1/12、3/9、5/11
monthly
(Relative month)
interval: 3
plannedDayOfWeek: ["Thursday"]
plannedWeekOfMonth: 5
開始日 2023-01-01
終了日 2023-12-31
この期間では対応する月に第5木曜日なし
yearly
(Absolute year)
interval: 1
plannedDayOfMonth:
    plannedDay: 6
plannedMonthOfYear: 4
開始日 2023-01-01
終了日 2025-12-31
2023/4/6
2024/4/6
2025/4/6
yearly
(Relative year)
interval: 1
plannedDayOfWeek: Tuesday
plannedWeekOfMonth: 3
plannedMonthOfYear: 4
開始日 2023-01-01
終了日 2025-12-31
2023/4/18
2024/4/16
2025/4/15
※期間はYAMLファイルではなく、GUIで設定する項目です。