JP1/Automatic Job Management System 2 解説

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3.1.1 ジョブネットワーク要素

JP1/AJS2で自動化する業務を構成する一つ一つの要素をジョブネットワーク要素といいます。それぞれのジョブネットワーク要素について説明していきます。

<この項の構成>
(1) ジョブ
(2) ジョブネット
(3) ジョブネットコネクタ
(4) ジョブグループ
(5) プランニンググループ

(1) ジョブ

業務を構成するジョブネットワーク要素の最小単位をジョブといいます。JP1/AJS2では,幾つかの処理に実行順序を付けて一つの業務を定義しますが,その一つ一つの処理がジョブに当たります。

一つ一つのジョブは,次の図のように実行順に並べて順序づけをします。

図3-3 先行ジョブ後続ジョブ

[図データ]

このとき,ジョブAをジョブBの先行ジョブといいます。また,ジョブCをジョブBの後続ジョブといいます。ジョブの順序づけについては,「3.1.3 ジョブフローの作成方法」で説明します。

ジョブには,保留,種別,実行先サービス,打ち切り時間,終了遅延監視,所有者,JP1資源グループ,実行ユーザー種別などの属性情報を定義できます。ここでは,保留,種別,実行先サービス,打ち切り時間,および終了遅延監視について説明します。所有者,JP1資源グループ,および実行ユーザー種別については,「8.2 ユニットへのアクセスを制限するための設定」を参照してください。

 

ジョブにはさまざまな種類があり,処理の形態に合わせて定義するジョブを選べます。ジョブの種類には,次のものがあります。

それぞれのジョブの特性について,次に説明します。

(a) 標準ジョブ

標準ジョブとは,実行ファイルと実行先のホスト名などを指定して処理を実行させるジョブです。標準ジョブには次の3種類があります。

それぞれのジョブの内容と,定義できる処理(指定できる実行ファイル)を次の表に示します。

表3-1 標準ジョブの内容と定義できる処理

ジョブの種類 ジョブの内容 定義できる処理
UNIXジョブ UNIXホストで処理を実行させる。
  • 実行ファイル
  • シェルスクリプト
PCジョブ Windowsホストで処理を実行させる。
  • .exeファイル
  • .comファイル
  • .cmdファイル
  • .batファイル
  • .sptファイル(JP1/Scriptで作成したスクリプトファイル)
  • アプリケーションに関連づけられているファイルタイプ(拡張子)を持つデータファイル
QUEUEジョブ 特定のキューにジョブを送って処理を実行させる。
次の場合に使用する。
  • 用途別にキューを使い分けたい場合
  • ほかのシステム(JP1/NQSEXECやJP1/OJEなど)と連携する場合

  • 実行ファイル
  • シェルスクリプト
  • .exeファイル
  • .comファイル
  • .cmdファイル
  • .batファイル
  • .sptファイル(JP1/Scriptで作成したスクリプトファイル)
  • アプリケーションに関連づけられているファイルタイプ(拡張子)を持つデータファイル

注※
.sptファイルを指定した場合,実行先ホスト側にもJP1/Scriptがインストールされていないと実行されません。

なお,標準ジョブを使用したジョブネット定義については,「3.2.1 ファイルを指定して処理を実行する(標準ジョブを使ったジョブネットの定義例)」を参照してください。

(b) ORジョブ

ORジョブとは,事象の発生を監視するジョブ(イベントジョブ)を先行ジョブとして複数定義しておき,それらが監視する事象が一つでも発生した場合に後続ジョブを実行させるジョブです。ORジョブの先行ジョブとして定義できるジョブは,イベントジョブに限ります。

図3-4 ORジョブを使用したジョブネット例

[図データ]

複数定義したイベントジョブのうち,最初に事象が発生したジョブが終了すると,それ以外のイベントジョブは「計画未実行」状態となって事象発生の監視を打ち切ります。

なお,ORジョブを使用したジョブネット定義については,「3.2.2 複数の条件のうち一つが成立したら処理を実行する(ORジョブを使ったジョブネットの定義例)」を参照してください。

(c) 判定ジョブ

判定ジョブとは,実行する条件に合致しているか,していないかを判定するジョブです。判定ジョブの判定によって実行されるジョブを従属ジョブといいます。判定ジョブには,従属ジョブを実行させるための判定条件を設定します。条件が成立した場合は従属ジョブが実行され,そのあとに後続ジョブが実行されます。条件に合致しない場合は,従属ジョブを実行しないでそのまま後続ジョブを実行します。ただし,従属ジョブが異常終了した場合,後続ジョブは実行されません。

図3-5 判定ジョブを使用したジョブネット例

[図データ]

判定ジョブによる判定方法には,次の三つがあります。

先行ジョブの終了コードで判定する場合は,一つの判定ジョブに対して一つの先行ジョブを定義します。また,一つの判定ジョブに対して一つの従属ユニットを定義します。

先行ユニットにジョブネットを定義すると,そのジョブネットの戻り値は常に「0」として扱われるため,判定結果が常に同じになります。そのため,終了コードによる判定条件を設定している場合は,先行ユニットはジョブである必要があります。

一方,ファイルの有無や変数比較で判定する場合は,先行ユニットがジョブである必要はありません。判定ジョブをジョブネットの先頭に定義したり,ネストジョブネットを先行ユニットに定義したりできます。ただし,変数比較による判定ジョブをジョブネットの先頭に定義した場合は,次に示すときには判定の対象となる値がないため,判定結果は偽となります。

判定ジョブを使用したジョブネット定義については,「3.2.3 先行ジョブの結果でそのあとの処理を動的に変える(判定ジョブを使ったジョブネットの定義例)」を参照してください。

(d) イベントジョブ

イベントジョブとは,事象(イベント)の発生を監視するジョブです。ジョブフローやジョブネットの起動条件などにイベントジョブを定義することによって,事象の発生を契機にジョブやジョブネットを実行させることができます。ジョブネットの起動条件については,「3.5 起動条件の定義」を参照してください。

図3-6 イベントジョブを使用したジョブネット例

[図データ]

イベントジョブには,次の8種類があります。

それぞれのジョブの内容を次に示します。

表3-2 イベントジョブの種類

イベントジョブ名 ジョブの内容
JP1イベント受信監視ジョブ JP1/Baseから特定のイベントを受け取ったときにイベントジョブが終了する。
ファイル監視ジョブ 特定のファイルが作成,削除,または更新されたときにイベントジョブが終了する。
メール受信監視ジョブ 特定のメールを受信したときにイベントジョブが終了する。
メッセージキュー受信監視ジョブ TP1/Message QueueまたはMQSeriesから特定のメッセージを受信したときにイベントジョブが終了する。
MSMQ受信監視ジョブ MSMQから特定のメッセージを受信したときにイベントジョブが終了する。
ログファイル監視ジョブ JP1/Baseのログファイルトラップ機能と連携し,指定したログファイルに,特定の情報が書き込まれたときにイベントジョブが終了する。
Windowsイベントログ監視ジョブ JP1/Baseのイベントログトラップ機能と連携し,Windowsイベントログファイルに特定の情報が書き込まれたときにイベントジョブが終了する。
実行間隔制御ジョブ 指定した時間が経過したらイベントジョブが終了する。

メール受信監視ジョブ,メッセージキュー受信監視ジョブ,MSMQ受信監視ジョブは,JP1/AJS2とそれぞれのプログラムとの連携が必要です。プログラムとの連携については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 連携ガイド」を参照してください。

注※
Linuxは対象外です。

イベントジョブの動作は,JP1ユーザーの権限およびジョブに定義されている権限(所有者,JP1資源グループ,実行ユーザー種別)には依存しません。Windowsの場合は,JP1/AJS2サービスのアカウント権限に依存するため,JP1/AJS2サービスにあらかじめ権限を設定しておく必要があります。

イベントジョブを使用したジョブネット定義については,「3.2.4 事象の発生を契機に処理を実行する(イベントジョブを使ったジョブネットの定義例)」を参照してください。

なお,イベントジョブで受信したイベント情報を後続ジョブ中に変数(マクロ変数)として定義しておき,後続ジョブまたは後続ジョブネットに引き継ぐことができます。イベント情報の引き継ぎについては,「3.2.4(6) イベントジョブの受信情報の引き継ぎ」を参照してください。

(e) アクションジョブ

アクションジョブとは,特定の処理を実行するジョブです。イベントジョブと組み合わせることによって,事象の発生を契機にJP1イベントやメールを送信したり,状態を通知したりなどの処理(アクション)を実行させることができます。

図3-7 アクションジョブを使用したジョブネット例

[図データ]

アクションジョブには次の7種類があります。

それぞれのジョブの内容を次の表に示します。

表3-3 アクションジョブの種類

アクションジョブ名 ジョブの内容
JP1イベント送信ジョブ JP1イベントをJP1/Baseのイベントサービスに登録する。
メール送信ジョブ メールを送信する。
メッセージキュー送信ジョブ TP1/Message QueueまたはMQSeriesのメッセージを送信する。
MSMQ送信ジョブ MSMQのメッセージを送信する。
JP1/Cm2状態通知ジョブ JP1/Cm2/NNMまたはhp OpenView NNMに状態を通知する。
ローカル電源制御ジョブ JP1/Power Monitorと連携して,ローカル電源制御ジョブを実行したホストをシャットダウンする。
リモート電源制御ジョブ JP1/Power Monitorと連携して,ネットワーク上のホストの電源を投入したり,システムを終了したりする。

注※
Linuxは対象外です。

なお,メール送信ジョブ,メッセージキュー送信ジョブ,MSMQ送信ジョブ,JP1/Cm2状態通知ジョブ,ローカル電源制御ジョブ,リモート電源制御ジョブは,JP1/AJS2とそれぞれのプログラムとの連携が必要です。プログラムとの連携については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 連携ガイド」を参照してください。

アクションジョブを使用したジョブネット定義については,「3.2.5 先行ジョブの終了や事象の発生を契機にJP1イベントを送信する(JP1イベント送信ジョブを使ったジョブネットの定義例)」を参照してください。

(f) カスタムジョブ

カスタムジョブとは,JP1/AJS2以外のプログラムがJP1/AJS2と連携して処理を実行するジョブです。JP1/AJS2 - Viewの「カスタムジョブ登録」を行うことで,JP1/AJS2のジョブとして扱えるカスタムジョブアイコンが作成され,JP1/AJS2以外のプログラムでの処理をジョブとしてJP1/AJS2上で定義できるようになります。

なお,カスタムジョブには,Windows版のJP1シリーズ製品と連携するために「標準カスタムジョブ」というものが標準提供されています。

「標準カスタムジョブ」を次に示します。

表3-4 標準カスタムジョブの一覧

カスタムジョブ名 連携するプログラム名 カスタムジョブの機能
JP1FTP JP1/FTP JP1/FTPと連携してファイルを転送する。
JP1AMR3 JP1/AJS2 for Enterprise Applications JP1/AJS2 for Enterprise Applicationsと連携して,R/3(R)システムのバックグラウンドジョブを自動実行する。
JP1AMR3BW JP1/AJS2 for Enterprise Applications JP1/AJS2 for Enterprise Applicationsと連携して,BWシステムのインフォパッケージを実行する。
JP1AMOAP JP1/AJS2 for
Oracle E-Business Suite
JP1/AJS2 for Oracle E-Business Suiteと連携して,Oracle E-Business Suiteシステムのリクエストを自動実行する。
MFJOB1 HITACHI JOB ENTRY - CLIENTMF JP1/OJEと連携して,メインフレームでジョブを実行する。
VOS3JOB1 JP1/OJE for VOS3 JP1/OJEと連携して,メインフレーム(VOS3)でジョブを実行する。
VOS1JOB1 JP1/OJE for VOS1 JP1/OJEと連携して,メインフレーム(VOS1)でジョブを実行する。
VOS1NET1 JP1/OJE for VOS1 JP1/OJEと連携して,メインフレーム(VOS1)でジョブを実行する。
VOSKJOB1 JP1/OJE for VOSK JP1/OJEと連携して,メインフレーム(VOSK)でジョブを実行する。
VOSKNET1 JP1/OJE for VOSK JP1/OJEと連携して,メインフレーム(VOSK)でジョブを実行する。
DMSV2 HITSENSER Data Mart Server HITSENSER Data Mart Serverと連携して,データマートの作成・変更・運用のプロセスをスケジュール実行する。
COSMNGSV2 Cosminexus Manager Cosminexus Managerと連携して,WebサーバやJ2EEサーバなどの論理サーバを起動・停止する。
COSMNGAP2 Cosminexus Manager Cosminexus Managerと連携して,業務アプリケーションを起動・停止する。
WS_PC,WS_UX JP1/AJS2 for Web Service Webアプリケーションサーバと連携し,Webサービスを実行する。
AJSPDFS※2 JP1/AJS2 for 活文PDFstaff 活文PDFstaffと連携してPDF変換を行う。

注※1
WindowsホストのJP1/AJS2 - Managerで実行する標準ジョブ(PCジョブ)として定義できます。UNIXジョブとしては定義できません。

注※2
カスタムジョブのジョブ種別にはPCジョブを指定する必要があります。

このほか,カスタムジョブにはPCジョブとUNIXジョブのアイコンだけをユーザー任意のアイコンに変更した「カスタムPCジョブ」,「カスタムUNIXジョブ」があります。

なお,JP1/AJS2でカスタムジョブを使用するためには,セットアップが必要です。詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 連携ガイド 5. カスタムジョブ」を参照してください。

(2) ジョブネット

幾つかのジョブの集まりに順序づけしたものをジョブネットといいます。ジョブネットのうち,最上位のジョブネットをルートジョブネット,ルートジョブネットの下位に定義されたジョブネットをネストジョブネットといいます。

JP1/AJS2で自動化される業務は,ルートジョブネット単位で実行されます。したがって,ルートジョブネットにはジョブネットをJP1/AJS2に実行予定をスケジュールするために必要な情報を定義します。スケジュール情報の定義については,「3.4 スケジュールの定義」で説明します。

ルートジョブネットにスケジュール情報を定義すると,その下位のユニットもルートジョブネットのスケジュール情報に基づいてスケジューリングされますが,ネストジョブネットについては,個別にスケジュール情報を定義することもできます。したがって,一つのジョブネットの中に定義された各処理のうち,運用スケジュールが異なるものがある場合などには,ネストジョブネットを作成して個別にスケジュール情報を定義できます。ネストジョブネットのスケジュール定義については,「10.1.3 ジョブネットの一部のジョブにほかのジョブと異なるスケジュールを設定する」で説明します。

また,ルートジョブネットでは,スケジュール情報とともにジョブネットをスケジューリングするための情報として,次の項目について設定できます。

注※
ネストジョブネットにも設定できます。

ここでは,保存世代数,優先順位,打ち切り時間,およびジョブネット監視について説明します。なお,多重起動とスケジューリング方式については「3.4.3 多重起動とスケジューリング方式」で,実行順序制御については「10.4 ジョブネットコネクタを使用したルートジョブネットの実行順序制御」で説明します。

 

表3-5 優先順位の設定値とWindows,UNIXでの値の意味

優先順位の設定値 Windowsでの実行優先順位※1 UNIXでの実行優先順位※2
1 対話処理と比較して低い
 
JP1/AJS2サービスのnice値+20
2 JP1/AJS2サービスのnice値+10
3 対話処理と同等 JP1/AJS2サービスのnice値
4 対話処理と比較して高い
 
JP1/AJS2サービスのnice値-10
5 JP1/AJS2サービスのnice値-20

注※1
Windowsの場合,優先順位は3段階になります。次の三つの優先順位クラスを設定してジョブのプロセスを起動します。
  • 優先順位の設定値が[1]または[2]の場合は,システムがアイドル状態のときに実行されます。
    (Windowsで規定されるIDLE_PRIORITY_CLASSを設定します)
  • 優先順位の設定値が[3]と場合は,一般的なプロセスとして実行されます。
    (Windowsで規定されるNORMAL_PRIORITY_CLASSを設定します)
  • 優先順位の設定値が[4]または[5]の場合は,上記の優先順位クラスを割り当てられたプロセスのスレッドより先に実行されます。
    (Windowsで規定されるHIGH_PRIORITY_CLASSを設定します)

注※2
UNIXの場合,nice値のデフォルトとして,jajs_spmdを実行した際のJP1/AJS2サービスのnice値を基準とします。特に設定されていない場合のnice値は20が仮定されます。
優先順位の設定値が[1]でnice値が20の場合,優先順位の値は次のようになります。
 39 ≒ 20(初期値)+ 20(増分値)
nice値の範囲(0〜39)を超える場合,最大値は39,最小値は0です。
なお,実行先サービスを[JP1/AJS2 Queueless Agent]とした場合,nice値は固定の値を設定します。nice値には実行優先順位の低い順から39,30,20,10,または0のどれかを設定します。nice値を変更する場合は,これらのnice値に対応したジョブの実行優先順位を指定してください。
 

なお,JP1/AJS2のジョブネットには次のものがあり,必要に応じて定義できます。

それぞれの特性について次に説明します。

(a) リモートジョブネット

リモートジョブネットとは,自マネージャーホストで定義したジョブネットを転送して別のマネージャーホストで実行させるジョブネットをいいます。リモートジョブネットを使うと,リモートジョブネットの下位にあるジョブネットおよびジョブの実行時のJP1/AJS2 - Managerの負荷を分散できます。

リモートジョブネットは,転送先マネージャーホストで即時実行登録され,リモートジョブネット配下のユニットに設定されているスケジュール情報は無視されます。なお,リモートジョブネットの転送先ホスト側では,定義内容の追加や変更はできません。また,転送元ホストでジョブネットの保存世代数を超えた場合は,自動的に削除されます。

リモートジョブネットを定義する際は,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 設計・運用ガイド 8.1.9 リモートジョブネットの注意事項」もあわせて参照してください。

(b) マネージャージョブネット

マネージャージョブネットとは,別のマネージャーホストに定義されたジョブネットを参照するためのジョブネットです。

マネージャージョブネットには,参照先のマネージャーホスト名と参照するジョブネットを定義します。定義できるジョブネットはルートジョブネットに限ります。これにより,自マネージャーホストに接続したJP1/AJS2 - Viewからマネージャージョブネットとして定義した他マネージャーホストのジョブネットを参照できます。

(c) ホストリンクジョブネット

メインフレームのジョブスケジューラーがJP1/AJS2 for Mainframeと連携している場合,メインフレームのジョブネットからJP1/AJS2との連携に必要な部分を切り取ったものをJP1/AJS2 for Mainframe上で「ネットグループ」として扱うことができます。ネットグループは,運用に応じてメインフレームのジョブネットを選択するスコープの役割を持ちます。「ホストリンクジョブネット」は,さらにこのJP1/AJS2 for Mainframeのネットグループをリンクさせるユニットになります。

メインフレームのジョブネットとJP1/AJS2 for Mainframeのネットグループ,JP1/AJS2のホストリンクジョブネットの関係を次に示します。

図3-8 ホストリンクジョブネットとメインフレームのジョブネットの階層関係

[図データ]

ホストリンクジョブネットを利用すると,JP1/AJS2 for Mainframeのネットグループを介してメインフレーム側のジョブネットを透過的に扱うことができるため,メインフレーム側のジョブネットの一部をホストリンクジョブネットとしてJP1/AJS2上のジョブネットに定義し,JP1/AJS2からメインフレーム側のジョブネットやジョブを監視したり,開始・終了を制御したりできます。

ただし,メインフレームのジョブネットはメインフレーム上で管理されており,メインフレームのジョブスケジューラーによってスケジューリングされているため,JP1/AJS2上でスケジュールに関する設定はできません。したがって,ホストリンクジョブネットは,すでにメインフレームのジョブスケジューラーで構築されている運用内容を監視したり,部分的な実行順序と連携したりする場合の使用に限ります。また,メインフレームのジョブネットやジョブを操作するには,メインフレーム側でコマンドを実行する必要があります。JP1/AJS2でメインフレーム側のジョブを制御したい場合は,JP1/OJEを利用した,QUEUEジョブでの運用構築を行ってください。

なお,JP1/AJS2 - View 06-00でホストリンクジョブネットを表示させた場合,ホストリンクジョブネットはジョブネットとして表示されますが,操作しないでください。ホストリンクジョブネットを操作する場合は,バージョン06-51以降のJP1/AJS2 - Viewで操作してください。

ホストリンクジョブネットの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 メインフレーム 運用・操作編」,「JP1/Automatic Job Management System 2 メインフレーム リファレンス編」を参照してください。

(3) ジョブネットコネクタ

ジョブネットコネクタは,ルートジョブネットの実行順序を制御するためのユニットです。

ジョブネットコネクタには,次の二つの機能があります。

ジョブネットコネクタは,ジョブネット配下にジョブネットワーク要素の一つとして定義できます。また,ジョブネットコネクタを使って実行順序を制御できるのは,ルートジョブネットまたはプランニンググループ直下のルートジョブネットです。

ジョブネットコネクタの詳細については,「10.4 ジョブネットコネクタを使用したルートジョブネットの実行順序制御」を参照してください。

(4) ジョブグループ

ジョブグループとは,ジョブネットをまとめたり分類したりして体系的に管理するためのユニットです。ジョブグループの下に,さらにジョブグループを作ってネストすることもできます。

図3-10 ジョブグループ

[図データ]

ジョブグループには,JP1/AJS2運用上のカレンダー情報(運用日・休業日の設定,基準日・基準時刻の設定)を定義できます。カレンダー情報の定義については,「3.3 JP1/AJS2運用上のカレンダー定義」を参照してください。

なお,ジョブグループはジョブネットの管理ユニットであり,ジョブグループ自体を実行したりすることはできません。

(a) マネージャージョブグループ

マネージャージョブグループとは,別のマネージャーホストに定義されたジョブグループ,またはプランニンググループを参照するためのジョブグループです。

マネージャージョブグループには,参照先のマネージャーホスト名と参照するジョブグループまたはプランニンググループを定義します。これにより,自マネージャーホストに接続したJP1/AJS2 - Viewからマネージャージョブグループとして定義した他マネージャーホストのジョブグループまたはプランニンググループを参照できます。

(5) プランニンググループ

JP1/AJS2では,複数のジョブネット(ルートジョブネット)を,実行期間を指定することによって計画的に切り替えることができます。プランニンググループは,このような運用をする場合に使用するユニットです。

例えば,8/1から8/5まではジョブネットAを実行し,8/6からジョブネットBに切り替えて8/10まで実行するという場合は,まずプランニンググループを作成し,その直下にジョブネットA,ジョブネットBを作成します。ジョブネットAには8/1〜8/5,ジョブネットBには8/6〜8/10のように期間を指定して実行すると,自動的に二つのジョブネットを切り替えて運用を継続します。

図3-11 プランニンググループの使用例

[図データ]

プランニンググループを使用したジョブネットの計画切り替えについては,「10.3 プランニンググループを使用したルートジョブネットの計画切り替え」を参照してください。

プランニンググループは,スケジューラーサービス(AJSROOT)またはジョブグループの直下に作成できます。また,プランニンググループの直下には,ルートジョブネットまたはリモートジョブネットに限り作成できます。

なお,プランニンググループには,JP1/AJS2運用上のカレンダー情報を定義できます。カレンダー情報の定義については,「3.3 JP1/AJS2運用上のカレンダー定義」を参照してください。

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