JP1/Automatic Job Management System 2 解説
多重起動,スケジューリング方式は,処理サイクルを定義したジョブネットを実行したときに,次の実行予定の開始時刻までに処理が終了しなかった場合の運用方法を設定するものです。多重起動とスケジューリング方式は,ルートジョブネットごとに設定できます。
- <この項の構成>
- (1) 多重起動
- (2) スケジューリング方式
多重起動とは,同じジョブネットを重複して実行させることをいいます。ジョブネットを多重起動させるか,させないかについては,ルートジョブネットごとに設定できます。多重起動させるように設定しておくと,処理サイクルを定義しているジョブネットを実行したとき,前の実行分がまだ終了していなくても,次の予定開始時刻の到達と同時に実行を開始させることができます。ただし,多重起動の設定(多重起動させるように指定)は,次に説明するスケジューリング方式で多重スケジュールを選択した場合にだけ有効になります。
また,ジョブネットに起動条件が設定されている場合は,多重起動させるように設定しておくことによって条件が成立するたびにジョブネットを多重に実行させることができます。起動条件については,「3.5 起動条件の定義」を参照してください。
スケジューリング方式とは,処理サイクルを定義しているジョブネットを実行したときに次の開始予定時刻を過ぎても処理が終了しない場合の,次回実行予定のスケジューリング方法のことです。
スケジューリング方式には,次の二つがあります。
- スケジュールスキップ
- 多重スケジュール
- スケジュールスキップ
スケジュールスキップとは,開始予定時刻が前の実行分の処理と重なっているジョブネットの実行予定をスキップし,開始予定時刻が重ならないジョブネットを次回の実行予定とするスケジューリング方式です。前回の処理と開始予定時刻が重なってスキップされたジョブネットは,「繰り越し未実行」状態になります。
なお,スキップされるのは,前の実行分が実行スケジュールによって,実行されている場合だけです。前の実行分が再実行操作によって実行されている場合は,スキップされず再実行分の処理が終了するまで待ってから実行されます。
- 多重スケジュール
多重スケジュールを指定した場合は,多重起動が設定されている(多重起動可能)場合と,設定されていない(多重起動不可能)場合とで,スケジューリングのされ方が異なります。多重起動が設定されている場合は,前の実行分のジョブネットが次の開始予定時刻と重なっても,前の実行分の終了を待たずに多重に実行するようにスケジューリングされます。一方,多重起動が設定されていない場合は,前の実行分の処理が終了するまで待ってから次のジョブネットを実行するようにスケジューリングされます。
スケジュールスキップを指定した場合と多重スケジュールを指定した場合の,次回ジョブネットの実行方法を次に示します。
図3-60 スケジュールスキップ指定時と多重スケジュール指定時の実行方法
なお,ジョブネットを計画実行登録した場合,ジョブネットの次回実行予定は前回の実行開始時点でスケジュールが確定します。この場合,2回目以降の実行予定は擬似予定として扱われ,スケジュールとして確定していません。(計画実行登録および擬似予定については「4. 業務の実行」を参照)。したがって,多重起動を設定しないで多重スケジュールを指定している場合,ジョブネットを計画実行登録して前回ジョブネットの実行中に2回以上の実行予定が含まれるときは,次のようになります。
図3-61 実行予定が2回分保留された場合
8/1の8:00にジョブネットが実行開始した時点で,8/2のジョブネット実行予定が確定します。多重起動を設定しないで多重スケジュールを指定しているので,8/2分のジョブネットは,8/1の実行分が終了するのを待って実行開始されます。一方,8/3の8:00の実行予定(擬似予定)は,8/2のジョブネット実行開始時点でスケジュールが確定するはずですが,8/1実行分の終了時点で8/3の8:00を超過してしまっているため,結果的にスケジュールがスキップされることになります。
- 補足事項
- 多重起動とスケジューリング方式は,プランニンググループ配下のルートジョブネットにも設定できます。
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