JP1/Automatic Job Management System 2 解説
ジョブを実行する際に,キューを経由せず,ジョブを直接エージェントに送って実行することもできます。キューを使わずに実行するジョブをキューレスジョブといいます。キューレスジョブは,キューでのジョブの管理を省略し処理を簡略化しているため,通常のジョブに比べて処理性能が向上し,一定の時間により多くのジョブを実行できます。また,同時に実行するジョブ数の制御をエージェント(キューレスエージェント)側で行うので,エージェントホストのリソース制御は容易ですが,マネージャー側では制御できません。マネージャー側では,ジョブネットの実行順序やスケジュールの調整によるジョブ実行数の流量調整ができます。
キューレスジョブとして実行できるジョブは,ジョブネットに定義したPCジョブ,UNIXジョブ,およびアクションジョブです。これ以外のジョブは,キューレスジョブとして実行できません。キューレスジョブでは,JP1/NQSEXECやJP1/OJEと連携したジョブ実行はできません。
PCジョブ,UNIXジョブ,またはアクションジョブをキューレスジョブとして定義するには,ジョブの詳細定義をする際に,実行先サービスとしてJP1/AJS2キューレスエージェントサービス(JP1/AJS2 Queueless Agent)を選択します。
キューレスジョブを使用する場合は,マネージャー・エージェントの両ホストで,あらかじめセットアップをしておく必要があります。キューレス環境のセットアップについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 4.4 キューレスジョブ実行環境の設定」(Windowsの場合),またはマニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 14.4 キューレスジョブ実行環境の設定」(UNIXの場合)を参照してください。
また,JP1/AJS2 - Viewでキューレスジョブを定義する場合は,07-00以降のJP1/AJS2 - Viewが必要です。
- <この項の構成>
- (1) キューレスジョブの実行環境
- (2) キューレスジョブの状態
(1) キューレスジョブの実行環境
キューレスジョブの場合,エージェントのJP1/AJS2キューレスエージェントサービスが,同時に実行するジョブ数などを管理します。そのため,キューレスジョブを実行する場合は,エージェントホストでJP1/AJS2キューレスエージェントサービスが起動していることが必要です。
キューレスジョブだけを使用する場合,jpqimportコマンドを使ったジョブ実行環境の設定は不要です。ただし,キューレスジョブ以外のジョブ(QUEUEジョブなど)も実行する場合は,ジョブ実行環境の設定が必要です。
キューレスジョブの実行の様子を次に示します。
図5-3 キューレスジョブの実行処理の流れ
キューレスジョブの場合,ジョブネットのジョブは,キューには入れられず,スケジューラーから直接エージェント(キューレスエージェント)に送られます。このため,スケジューラーサービスを多重化した構成では,ジョブ実行性能の面で特に効果があります。
キューレスジョブを実行する場合,ジョブの実行を依頼するJP1ユーザー名とマネージャーのホスト名を,エージェントホストのOSユーザーにマッピングしておく必要があります。また,ジョブを実行するOSユーザーを指定してジョブを実行する場合は,そのOSユーザーをJP1ユーザーとマッピングしておく必要があります。
キューレスジョブの実行中は,回線の接続と切断の回数を減らすため,マネージャー・エージェント間の通信回線を接続状態のままにしています。キューを使用したジョブの場合は,定期的にポーリングすることでジョブの状態を確認しますが,キューレスジョブの場合は,ポーリングを行いません。キューレスジョブの異常の検知は,ジョブ実行中の回線切断を検知することで行います。
(2) キューレスジョブの状態
キューレスジョブは,キューを使わないため,ジョブ実行の際にジョブをキューに入れる「キューイング」という段階がありません。キューを使うジョブの状態は,「実行待ち」→「キューイング」→「実行中」(または「起動失敗」)と遷移しますが,キューレスジョブは,「実行待ち」→「実行中」(または「起動失敗」)と遷移します。
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