JP1/Integrated Management - Service Support システム構築・運用ガイド

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2.2.1 プロセスワークボードによる案件の管理

JP1/IM - Service Supportでは,プロセスワークボードによって,案件を対象システムやプロセスごとに一元管理できます。

プロセスワークボードで案件を分類するためには,次の項目を定義する必要があります。

対象システム
案件を,JP1/IM - Service Supportの管理対象となるシステムごとに分類するためのカテゴリーです。ユーザーが任意の対象システムを定義できます。
プロセス
対象システム内の案件を,管理対象となるプロセスごとに分類するためのカテゴリーです。JP1/IM - Service Supportで提供しているプロセスは次の4種類です。なお,ユーザーによる定義はできません。
  • インシデント管理
  • 問題管理
  • 変更管理
  • リリース管理

対象システムおよびプロセスを定義した上で,プロセス下にプロセスワークボードを作成します。プロセス下に作成したプロセスワークボードに案件を登録することで,案件を対象システムおよびプロセスごとに管理できます。

案件がプロセスワークボードによって分類および管理される概念を,次の図に示します。

図2-2 プロセスワークボードによる案件の管理

[図データ]

作成されたプロセスワークボードは,メイン画面(案件一覧)のプロセスワークボード一覧に表示されます。プロセスワークボード一覧では,プロセスワークボードに設定された対象システムおよびプロセスがツリーで表示されます。

対象システムおよびプロセスワークボードで設定する各項目について説明します。

<この項の構成>
(1) 対象システムの設定
(2) プロセスワークボードの設定

(1) 対象システムの設定

対象システムは[対象システム管理]画面で定義します。[対象システム管理]画面を次の図に示します。

図2-3 [対象システム管理]画面

[図データ]

対象システムの設定項目および定義機能を説明します。

(a) 対象システムの設定項目

対象システムには次の項目を設定します。

表2-2 対象システムの設定項目

設定項目 説明
システムID 対象システムを識別するID。JP1/IM - Service Support内で一意の対象システムIDを設定する。
システム名 対象システムを識別する名称。JP1/IM - Service Support内で一意の対象システム名を設定する。
コメント 対象システムに対するコメント。
(b) 対象システムの定義機能

対象システムを定義するためにJP1/IM - Service Supportが提供している機能を次に示します。次に示す機能を使えるのは,プロセスワークボード管理ロールに所属するユーザーだけです。プロセスワークボード管理ロールについては,「2.14.2 ロール管理」を参照してください。

対象システムの作成
対象システムを[対象システム作成]画面で作成します。
対象システムの編集
対象システムの設定項目を[対象システム編集]画面で編集します。なお,削除待ちの対象システムは編集できません。編集したい場合は,削除待ちの対象システムの削除取り消しをする必要があります。
対象システムの削除
不要な対象システムを削除します。対象システムを削除する場合,その配下のプロセスワークボードの状態を運用中以外にしておく必要があります。
対象システムを[対象システム管理]画面で削除すると,[対象システム管理]画面およびメイン画面(案件一覧)のプロセスワークボード一覧で「(削除待ち)対象システム名」と表示され,編集できなくなります。また,対象システムを削除すると,プロセスワークボード管理ロールに所属しないユーザーは,削除した対象システム下のプロセスワークボードおよび案件もすべて参照できなくなります。
なお,[対象システム管理]画面で削除した対象システムは,案件管理DBには残っているため,復元できます。復元については,次の「対象システムの削除取り消し」を参照してください。
案件管理DBからも対象システムを削除する場合,jssdelrecコマンドを実行します。jssdelrecコマンドの詳細については,「13. コマンド」の「jssdelrec(案件管理DBデータ削除)」を参照してください。
対象システムの削除取り消し
[対象システム管理]画面で,削除待ち状態の対象システムを,削除待ちとなる前の状態に復元します。なお,登録されていたプロセスワークボードも,削除待ちとなる前の状態に戻ります。

(2) プロセスワークボードの設定

プロセスワークボードは,メイン画面(案件一覧)のメニューで定義します。プロセスワークボードの作成は[新規作成],プロセスワークボードの参照,編集,削除および削除の取り消しは[アクション]から行います。

メイン画面(案件一覧)でのプロセスワークボードを定義する機能について,次の図に示します。

図2-4 メイン画面(案件一覧)のプロセスワークボードの定義機能

[図データ]

プロセスワークボードの設定項目,定義機能およびプロセスワークボードの状態と実行できる操作を説明します。

(a) プロセスワークボードの設定項目

プロセスワークボードについては,[プロセスワークボード作成]画面,および[プロセスワークボード編集]画面で設定します。これら二つの画面は,設定する項目によって次の三つのタブに分けられています。例として,[プロセスワークボード作成]画面のそれぞれのタブを次の図に示します。

図2-5 [プロセスワークボード作成]画面

[図データ]

設定する項目について,それぞれのタブごとに次の表に示します。

表2-3 プロセスワークボードの設定項目([基本設定]タブ)

設定項目 説明
プロセスワークボードID プロセスワークボードを識別するID。JP1/IM - Service Support内で一意のプロセスワークボードIDを設定する。
システム プロセスワークボードを登録する対象システム。作成済みの対象システムから選択する。
プロセス プロセスワークボードを登録するプロセス。次の四つから選択する。
  • インシデント管理
  • 問題管理
  • 変更管理
  • リリース管理
案件フォーム プロセスワークボードで使用する案件フォーム。プロセスの標準案件フォームを使用する場合は,[プロセスの標準案件フォームを使用する]チェックボックスにチェックする。使用する案件フォームを選択する場合は,コンボボックスから使用する案件フォームを選択する。案件フォームの詳細については,「2.11 案件フォームの管理」を参照のこと。
状態 プロセスワークボードの運用状態。次の四つから選択する。
  • 準備中
    プロセスワークボードを運用するための準備をしている状態。準備中からは,運用中または削除待ちにしか状態を変更できない。
  • 運用中
    プロセスワークボードが運用できる状態。運用中からは停止中にしか状態を変更できない。
  • 停止中
    プロセスワークボードがメンテナンス中か,停止している状態。停止中からは,削除待ちまたは運用中にしか状態を変更できない。
  • 削除待ち
    プロセスワークボードがメイン画面(案件一覧)で削除された状態。削除待ちからは停止中にしか状態を変更できない。
プロセスワークボード管理者 プロセスワークボードを管理するユーザーまたはロール。プロセスワークボード管理者には,次の権限が設定される。
  • プロセスワークボードの編集権限
  • プロセスワークボードに所属する案件に対するすべてのアクセス権
期限前メール通知設定 案件の作業期限が近づいていることを,担当者やプロセスワークボード管理者にメールで通知するかどうかを設定する項目。メール通知の詳細については,「2.9 メールによる通知」を参照のこと。
JP1イベント発行設定 案件のクローズ時やステータス変更時に,JP1/IM - Service SupportからJP1イベントを発行させるかどうかを設定するチェックボックス。JP1イベント発行の詳細については,「3.1 JP1/IM - Managerとの連携」を参照のこと。
メールから登録された案件の担当者 メールから登録された案件の担当者となるユーザーまたはロール。メールによる案件の登録については,「2.5.2 メールによる案件の作成」を参照のこと。
コメント プロセスワークボードに対するコメント。

表2-4 プロセスワークボードの設定項目([案件自動入力設定]タブ)

設定項目 説明
案件自動入力プロパティファイルの設定値を使用する 案件自動入力プロパティファイルの設定値を使用するかどうかを設定するチェックボックス。チェックすると,案件自動入力プロパティファイルの設定値を使用して,案件の自動入力を設定する。
案件の発生日時 案件の発生日時を自動入力させるかどうかを設定するラジオボタン。[設定する]を選択すると,[案件作成]画面を表示させた日時が自動的に入力される。また,案件登録コマンドまたはメールによる案件登録コマンドで案件を作成した場合は,コマンドの実行日時が自動的に入力される。
案件の開始日時 案件の開始日時を自動入力させるかどうかを設定するラジオボタン。[設定する]を選択すると,[案件作成]画面を表示させた日時が自動的に入力される。また,案件登録コマンドまたはメールによる案件登録コマンドで案件を作成した場合は,コマンドの実行日時が自動的に入力される。
案件の優先度 案件の優先度を自動入力させるかどうかを設定するラジオボタン,および優先度の自動入力の基となる影響度および重大度の組み合わせを設定するコンボボックス。
ラジオボタンで[設定する]を選択すると,案件作成時に入力された影響度および重大度によって,優先度が自動入力される。案件登録コマンドまたはメールによる案件登録コマンドで案件を作成した場合も同様に,優先度が自動入力される。
優先度の自動入力の基となる影響度および重大度の組み合わせについては,ユーザーの運用に合わせてコンボボックスで設定することもできる。
案件の作業期限 案件の作業期限を自動入力させるかどうかを設定するラジオボタン。
ラジオボタンで[設定する]を選択すると,テキストボックスに入力された時間数が,[案件作成]画面を表示させた時刻に加算されて自動入力される。案件登録コマンドまたはメールによる案件登録コマンドで案件を作成した場合も同様に,作業期限が自動入力される。なお,テキストボックスが空欄の場合は,作業期限が自動入力されない。

表2-5 プロセスワークボードの設定項目([しきい値設定]タブ)

設定項目 説明
案件集計プロパティファイルの設定値を使用する 案件集計プロパティファイルの設定値を使用するかどうかを設定するチェックボックス。チェックすると,案件集計プロパティファイルの設定値を使用して,しきい値を設定する。
長期化とする未解決時間 長期化案件と見なすための時間数のしきい値を設定するテキストボックス。案件の登録日時からこのテキストボックスで設定した時間が超過すると,長期化案件と見なされる。長期化した案件の数はメイン画面(案件状況)の「長期化」に表示される。
未処理案件のしきい値 メイン画面(案件状況)の状況確認で,「未処理」を警告表示する件数のしきい値を設定するテキストボックス。未処理案件の件数がこのテキストボックスで設定した件数を超えると,メイン画面(案件状況)で該当するプロセスワークボードの「未処理」部分が警告表示される。
未完了案件のしきい値 メイン画面(案件状況)の状況確認で,「未完了」を警告表示する件数のしきい値を設定するテキストボックス。未処理案件の件数がこのテキストボックスで設定した件数を超えると,メイン画面(案件状況)で該当するプロセスワークボードの「未完了」部分が警告表示される。
審議中案件のしきい値 メイン画面(案件状況)の状況確認で,「審議中」を警告表示する件数のしきい値を設定するテキストボックス。未処理案件の件数がこのテキストボックスで設定した件数を超えると,メイン画面(案件状況)で該当するプロセスワークボードの「審議中」部分が警告表示される。
長期化案件のしきい値 メイン画面(案件状況)の状況確認で,「長期化」を警告表示する件数のしきい値を設定するテキストボックス。未処理案件の件数がこのテキストボックスで設定した件数を超えると,メイン画面(案件状況)で該当するプロセスワークボードの「長期化」部分が警告表示される。
最優先案件のしきい値 メイン画面(案件状況)の状況確認で,「最優先」を警告表示する件数のしきい値を設定するテキストボックス。未処理案件の件数がこのテキストボックスで設定した件数を超えると,メイン画面(案件状況)で該当するプロセスワークボードの「最優先」部分が警告表示される。
当日期限案件のしきい値 メイン画面(案件状況)の状況確認で,「当日期限」を警告表示する件数のしきい値を設定するテキストボックス。未処理案件の件数がこのテキストボックスで設定した件数を超えると,メイン画面(案件状況)で該当するプロセスワークボードの「当日期限」部分が警告表示される。

案件が未処理案件,未完了案件などに分類される基準については,「2.13.2(1) 状況確認」を参照してください。


(b) プロセスワークボードの定義機能

プロセスワークボードを定義するために,JP1/IM - Service Supportが提供している機能を次に示します。

プロセスワークボードの参照
[プロセスワークボード参照]画面で,プロセスワークボードの設定項目を確認できます。
プロセスワークボードの作成
プロセスワークボードを作成します。プロセスワークボードの作成は[プロセスワークボード作成]画面で行います。
プロセスワークボードの編集
プロセスワークボードの設定項目を編集します。プロセスワークボードの編集は[プロセスワークボード編集]画面で行います。なお,削除待ちのプロセスワークボードは編集できません。編集する場合は,削除待ちのプロセスワークボードの削除取り消しをする必要があります。
プロセスワークボードおよび案件のアクセス権設定
プロセスワークボードで行う操作を,ユーザーまたはロール単位で限定するためにアクセス権を設定できます。アクセス権設定の詳細については,「2.8 案件に対するアクセス権の管理」を参照してください。
プロセスワークボードの削除
不要なプロセスワークボードを削除します。プロセスワークボードを削除する場合,状態が準備中または停止中であることが必要です。
プロセスワークボードをメイン画面(案件一覧)で削除すると,プロセスワークボード一覧で「(削除待ち)プロセスワークボード名」と表示されます。削除待ちと表示されたプロセスワークボードは,プロセスワークボードの編集やプロセスワークボードのアクセス権の編集などの操作ができなくなります。また,プロセスワークボード管理ロールに所属しないユーザーは,削除したプロセスワークボード下の案件も参照できなくなります。
なお,メイン画面(案件一覧)で削除したプロセスワークボードは,案件管理DBには残っているため,復元できます。復元については,次の「プロセスワークボードの削除取り消し」を参照してください。
案件管理DBからもプロセスワークボードを削除する場合,jssdelrecコマンドを実行します。jssdelrecコマンドの詳細については,「13. コマンド」の「jssdelrec(案件管理DBデータ削除)」を参照してください。
プロセスワークボードの削除取り消し
削除待ち状態のプロセスワークボードを,削除待ちとなる前の状態に復元します。これにより,同じように削除待ち状態だったプロセスワークボードの案件も参照できるようになります。ただし,プロセスワークボードを削除する前からすでに削除待ち状態だった案件は,削除待ち状態のまま復元されます。そのため,案件は参照できません。プロセスワークボードの削除取り消しはメイン画面(案件一覧)で行います。
(c) プロセスワークボードの状態と実行できる操作

プロセスワークボードの状態および操作するユーザーの権限によって,プロセスワークボードに対して実行できる操作が異なります。権限および状態によって実行できる操作の違いを表2-6〜表2-8に示します。

表2-6 プロセスワークボードの状態と操作の対応(プロセスワークボード管理ロールに所属するユーザーの場合)

操作 状態
準備中 運用中 停止中 削除待ち
プロセスワークボードの参照
プロセスワークボードの編集 ×
プロセスワークボードおよび案件のアクセス権設定 ×
プロセスワークボードの削除 × ×
プロセスワークボードの削除取り消し × × ×
案件の参照
案件の作成 × × ×
案件の編集 × ×
案件のエスカレーション × ×
案件の削除 × ×
(凡例)
○:操作できる
×:操作できない
−:案件がないため操作の対象外

表2-7 プロセスワークボードの状態と操作の対応(プロセスワークボード管理ロールに所属していない,プロセスワークボード管理者のユーザーまたはロールの場合)

操作 状態
準備中 運用中 停止中 削除待ち
プロセスワークボードの参照 プロセスワークボードが表示されないため操作できない
プロセスワークボードの編集
プロセスワークボードおよび案件のアクセス権設定
プロセスワークボードの削除 × × ×
プロセスワークボードの削除取り消し × × ×
案件の参照
案件の作成 × ×
案件の編集 ×
案件のエスカレーション ×
案件の削除 ×
(凡例)
○:操作できる
×:操作できない
−:案件がないため操作の対象外
注※
案件のエスカレーションには,エスカレーション先のプロセスワークボードでエスカレーション権限が必要です。

表2-8 プロセスワークボードの状態と操作の対応(プロセスワークボード管理者以外で,かつプロセスワークボード管理ロールにも所属していない,案件の参照権限を持つユーザーまたはロールの場合)

操作 状態
準備中 運用中 停止中 削除待ち
プロセスワークボードの参照 プロセスワークボードが表示されないため操作できない プロセスワークボードが表示されないため操作できない
プロセスワークボードの編集 × ×
プロセスワークボードおよび案件のアクセス権設定 × ×
プロセスワークボードの削除 × ×
プロセスワークボードの削除取り消し × ×
案件の参照
案件の作成 × ×
案件の編集 × ×
案件のエスカレーション ×
案件の削除 × ×
(凡例)
○:操作できる
×:操作できない
注※
案件のエスカレーションには,エスカレーション先のプロセスワークボードでエスカレーション権限が必要です。