Cosminexus V9 アプリケーションサーバ 機能解説 互換編
ここでは,Webコンテナサーバの動作設定のカスタマイズについて説明します。
デフォルトで設定されているWebコンテナサーバの動作設定を変更したい場合には,ユーザ定義ファイルを編集して,Webコンテナサーバの動作をカスタマイズする必要があります。例えば,Webコンテナサーバが使用するコンテナ,ログなどの設定を変更したい場合には,usrconf.propertiesを編集してください。また,WebコンテナサーバのJavaVMの起動オプションなどを変更したい場合には,usrconf.cfgを編集してください。
Webコンテナサーバの動作設定のカスタマイズでは,ユーザ定義ファイルを編集して,サーバ名で識別されるWebコンテナサーバ単位に,Webコンテナサーバの動作をカスタマイズします。
カスタマイズ対象のWebコンテナサーバのセットアップが完了していることが前提になります。また,UNIXの場合,カスタマイズにはroot権限(Component Container管理者を設定していない場合),またはComponent Container管理者の権限(Component Container管理者を設定している場合)が必要です。
次の五つのユーザ定義ファイルをテキストエディタなどで編集して,Webコンテナサーバの動作をカスタマイズします。
これらのユーザ定義ファイルの詳細については,次の個所を参照してください。
Webコンテナサーバのカスタマイズでユーザ定義ファイルを編集して設定できる項目のうち,主な項目とその項目を設定するユーザ定義ファイルおよびキーを次の表に示します。キーの詳細,およびここで説明していないキーについては,次の個所を参照してください。
表3-27 ユーザ定義ファイルのカスタマイズで設定できる主な項目(サーブレットエンジンモードの場合)
分類 | 項目 | 設定ファイル | 設定内容 |
---|---|---|---|
ネーミングサービス | ネーミングのキャッシング | usrconf.properties | 次のキーを指定します。
|
ネーミングサービスの通信タイムアウト | usrconf.properties | ejbserver.jndi.request.timeoutキーに,ネーミングサービスとの通信タイムアウト時間を指定します。 | |
コンテナ | コンテナ拡張ライブラリ | usrconf.cfg | usrconf.cfgで,コンテナ拡張ライブラリ用のJARファイルのパスをWebコンテナサーバのシステムクラスパスに追加します。詳細については,「(2) コンテナ拡張ライブラリの設定」を参照してください。 |
RMI-IIOP通信のタイムアウト | usrconf.properties | ejbserver.rmi.request.timeoutキーに,RMI-IIOP通信のクライアントとサーバ間の通信タイムアウト時間を指定します。 | |
Webコンテナ単位での同時実行スレッド数の制御 | usrconf.properties | webserver.connector.ajp13.max_threadsキーに,Webコンテナ単位での同時実行スレッド数を指定します。 | |
Webコンテナの通信タイムアウト | usrconf.properties | webserver.connector.ajp13.receive_timeoutキーに,Webサーバからのリクエスト待ち時間(秒)を設定します。詳細については,マニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 基本・開発編(Webコンテナ)」の「4.6.5 リクエスト送受信時の通信タイムアウトの設定(Smart Composer機能を使用しない場合)」を参照してください。 | |
JSPファイルのコンパイル結果の保持 | usrconf.properties | 次のキーを指定します。
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静的コンテンツのキャッシュ | − | サーブレットエンジンモードの場合は,WebアプリケーションのDD(web.xml)を直接編集して静的コンテンツのキャッシュの設定をします。DD(web.xml)を直接編集して,Webコンテナ単位で静的コンテンツのキャッシュ機能を使用するかどうか,キャッシュを許可する静的コンテンツのメモリサイズ,およびファイルサイズの上限値を指定します。静的コンテンツのキャッシュ機能を使用する場合のDDの定義については,マニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 基本・開発編(Webコンテナ)」の「2.21 静的コンテンツのキャッシュ」を参照してください。 | |
アプリケーションの更新検知とリロード | usrconf.properties hitachi_web.properties |
Webアプリケーションが更新された場合に検知する機能,およびJSPファイルが更新された場合にリロードする設定を,usrconf.propertiesまたはhitachi_web.propertiesに指定します。設定方法については,「(4) アプリケーションの更新検知とリロードの設定」を参照してください。 | |
リモートインタフェースでの通信障害発生時のEJBクライアントの動作 | usrconf.properties | WebコンテナサーバがEJBクライアントの場合に,ejbserver.container.rebindpolicyキーに障害発生時の動作を指定します。 | |
Webコンテナコネクションプーリング機能 | プール管理情報設定ファイル | Webアプリケーションからデータベースへ接続する場合,Webコンテナコネクションプーリング機能を利用してデータベースへの接続をプールできます。設定方法については,「(5) コネクションプーリングの設定」を参照してください。 | |
Webサーバ | 通信路の暗号化レベルの要請 | usrconf.properties | webserver.connector.redirect_https.portキーに,転送先のhttpsのポート番号を指定します。 また,通信路の暗号化レベルを要請するには,さらに,通信路の暗号化レベルの要請をDD(WEB-INF/web.xml)内に指定する必要があります。 |
簡易Webサーバ機能を使用するかどうかの設定 | usrconf.properties | webserver.connector.http.enabledキーに,簡易Webサーバ機能を使用するかどうかを指定します。デフォルトでは使用しない設定になっています。 | |
簡易Webサーバへのアクセス許可 | usrconf.properties | webserver.connector.http.permitted.hostsキーに,簡易Webサーバへのアクセスを許可するホストのIPアドレスまたはホスト名を指定します。 デフォルトでは次のように設定されています。
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ログ | ログの出力先や出力レベルの変更 | usrconf.cfg, usrconf.properties |
usrconf.cfgのweb.server.log.directoryキーに,ログの出力先を指定します。また,usrconf.propertiesのejbserver.loggerから始まるキーに,ログサイズとログレベルを指定します。詳細については,「3.7.5(2) Webコンテナサーバのログ取得の設定」を参照してください。 |
Webアプリケーションのユーザログ出力 | usrconf.properties, web.policy |
ejbserver.applicationから始まるキーに,ログの出力先,ログレベル,ログ面数,使用するフィルタ,フォーマッタなどを指定します。また,web.policyファイルにセキュリティポリシーを指定します。詳細については,「3.7.5(10) Webアプリケーションのユーザログ出力の設定」を参照してください。 | |
ユーザスレッドの生成 | ユーザスレッド生成のための権限 | web.policy | cjstartwebコマンドに-security オプションを指定し,Webコンテナサーバの実行時保護機能を有効にした場合,ユーザがプログラムの中で明示して生成するスレッド(ユーザスレッド)を生成するためには,対象となるサーブレットやJSPにスレッドの生成権限を与える必要があります。 詳細については,マニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 基本・開発編(Webコンテナ)」の「2.14.2 ユーザスレッド生成のための権限の設定」を参照してください。ただし,サーブレットエンジンモードの場合は,server.policyファイルではなくweb.policyファイルに設定してください。 |
(凡例)−:該当しない
コンテナ拡張ライブラリは,Enterprise Bean,サーブレット,JSPが利用する共通のライブラリです。コンテナ拡張ライブラリを利用することで,Enterprise Bean,サーブレット,JSPから共通のライブラリを呼び出せるようになります。
ここでは,コンテナ拡張ライブラリを使用するための設定について説明します。機能の詳細については,マニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 基本・開発編(コンテナ共通機能)」の「14. コンテナ拡張ライブラリ」を参照してください。なお,コンテナ拡張ライブラリがJNIを利用する場合は,サーバ起動・停止フック機能を使用します。サーバ起動・停止フック機能の実装については,マニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 基本・開発編(コンテナ共通機能)」の「14.4 サーバ起動・停止フック機能」を参照してください。
コンテナ拡張ライブラリを使用するためには,次の設定が必要です。
ファイルの詳細については,「usrconf.cfg(Webコンテナサーバ用オプション定義ファイル)」を参照してください。
ユーザ定義ファイルの設定例を示します。この例では,コンテナ拡張ライブラリのJARファイルは「extended_container.jar」で,そのコンテナ拡張ライブラリがJNIを使用して「extended_container.dll」(UNIXの場合,extended_container)を呼び出します。
Webコンテナサーバ用のusrconf.cfgの設定例を次に示します。
# system classpath web.add.class.path=c:\jar\extended_container.jar # ADM service web.adm.service=false # library path add.library.path=c:\lib |
# system classpath web.add.class.path=/work/classes/extended_container.jar # library path add.library.path=/work/lib |
ここでは,JSPコンパイル結果の保持に関する設定について説明します。
JSPのコンパイル結果は,デフォルトでは保持する設定となっています。この設定は,usrconf.propertiesのwebserver.work.cleanキーでの指定で,変更できます。
デフォルトでは,次のように設定されています。
webserver.work.clean=false
webserver.work.cleanキーにfalseが設定されていると,コンパイル結果を保持します。サーバ終了時にJSPコンパイル結果を削除する場合は,webserver.work.cleanキーにtrueを設定します。
usrconf.propertiesについては,「usrconf.properties(Webコンテナサーバ用ユーザプロパティファイル)」を参照してください。
JSPコンパイル結果は,JSP用テンポラリディレクトリ下に出力されます。JSP用テンポラリディレクトリは,usrconf.propertiesのwebserver.work.directoryキーに設定します。デフォルトの出力先を次に示します。
JSP用テンポラリディレクトリ下にはWebアプリケーション単位でディレクトリが作成され,該当するWebアプリケーション内のJSPコンパイル結果が出力されます。
変換前の文字 | 変換後の文字 |
---|---|
$ | $24 |
% | $25 |
+ | $2b |
サーブレットエンジンモードでは,Webアプリケーション開発時のテストを支援する機能として,Webコンテナ上のアプリケーションの更新を検知し,更新したアプリケーションをリロードする機能を備えています。
ここでは,アプリケーションの更新を検知し,リロードする機能を使用する場合の設定について説明します。また,JSPファイルが更新された場合に,更新後のJSPを再コンパイルする機能の設定についても説明します。
Webアプリケーションのリロード機能を使用するためには,次に示す設定が必要となります。設定内容と設定ファイルについて説明します。
Webアプリケーションのリロード機能を使用する場合は,usrconf.propertiesまたはhitachi_web.propertiesに次の指定をします。
webserver.context.reloadable=true
Webアプリケーションの更新を検知する間隔を指定できます。更新検知は,デーモンスレッドによって実行されます。デフォルトでは1秒間隔となっています。
デーモンスレッドの実行間隔を変更する場合,usrconf.propertiesのwebserver.context.check_intervalキーに値(単位:秒)を指定します。
リソース更新用インターバルとは,Webアプリケーションの更新を検知してから,処理中のリクエスト数の監視を実施するまでの時間を指します。
リソース更新用インターバルは,usrconf.propertiesまたはhitachi_web.propertiesのwebserver.context.update.intervalキーに値(単位:秒)を指定します。
リロード遅延実行機能を使用する場合は,ファイル(リソース)の更新を検知してから,リロードを開始するまでの時間を設定します。
リロード遅延実行は,usrconf.propertiesまたはhitachi_web.propertiesのwebserver.context.reload_delay_timeoutキーに値(単位:秒)を指定します。
Webアプリケーションのリロード実行前に生成したセッション情報を,リロード後も継続して利用するかどうかを設定します。
セッション情報を引き継ぐかどうかの指定は,usrconf.propertiesまたはhitachi_web.propertiesのwebserver.context.reload_enabledキーに指定します。セッション情報を引き継ぐ場合は「true」,引き継がない場合は「false」を指定します。デフォルトは「false」で,セッション情報は引き継ぎません。
なお,セッション情報を引き継ぐ場合,セッション情報は,シリアライズされて,セッション情報ファイルに出力されます。次に,セッション情報ファイルの出力先と,出力先ディレクトリの変更方法について説明します。
リロードに関する設定は,usrconf.propertiesまたはhitachi_web.propertiesのどちらかで設定します。なお,両方のファイルに設定している場合は,hitachi_web.propertiesの指定が優先されます。設定項目と,設定できるファイルを次の表に示します。
設定項目 | ファイル名 | |
---|---|---|
usrconf.properties | hitachi_web.properties | |
リロード機能を使用するための設定 | ○ | ○ |
更新検知のインターバル | ○ | × |
リソース更新用インターバル | ○ | ○ |
リロード遅延実行 | ○ | ○ |
セッション情報の引き継ぎ | ○ | ○ |
セッション情報ファイルの出力先 | ○ | × |
(凡例)○:設定できる ×:設定できない
usrconf.propertiesについては,「usrconf.properties(Webコンテナサーバ用ユーザプロパティファイル)」を参照してください。hitachi_web.propertiesについては,「hitachi_web.properties(Webコンテナサーバ用Webアプリケーションプロパティファイル)」を参照してください。
JSPファイルの再コンパイル機能を使用するためには,次に示す設定が必要となります。設定内容と設定ファイルについて説明します。
JSPファイルの再コンパイル機能を使用する場合は,usrconf.propertiesまたはhitachi_web.propertiesに次の内容を指定します。
webserver.jsp.recompilable=true
JSPファイルの更新を検知する間隔を変更する場合は,usrconf.propertiesのwebserver.jsp.check_intervalキーに値(秒単位)を指定します。デフォルトでは1秒間隔となっています。
JSPファイル更新用インターバルとは,JSPファイルの更新を検知してから,JSPファイルをコンパイルするまでの間隔を指します。
JSPファイル更新用インターバルは,usrconf.propertiesまたはhitachi_web.propertiesのwebserver.jsp.update.intervalキーに値(単位:秒)を指定します。
JSPファイルの再コンパイルに関する設定は,usrconf.propertiesまたはhitachi_web.propertiesのどちらかで設定します。なお,両方のファイルに設定している場合は,hitachi_web.propertiesの指定が優先されます。設定項目と,設定できるファイルを次の表に示します。
表3-29 JSPファイルの再コンパイルに関する設定項目と設定ファイル
設定項目 | ファイル名 | |
---|---|---|
usrconf.properties | hitachi_web.properties | |
JSPファイル再コンパイル機能を使用するための設定 | ○ | ○ |
更新検知のインターバル | ○ | × |
JSPファイル更新用インターバル | ○ | ○ |
(凡例)○:設定できる ×:設定できない
サーブレットエンジンモード上で動作するWebアプリケーションからデータベースへ接続する場合,Webコンテナコネクションプーリング機能を利用してデータベースへの接続をプールできます。これによって,コネクション生成時のパフォーマンスを向上できます。Webコンテナコネクションプーリング機能を利用するには,管理機能用のWebアプリケーションをデプロイし,プール管理情報を登録してください。
Webコンテナコネクションプーリング機能を利用するための手順を次に示します。
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