10.9.1 クラスタ環境で運用中のJP1/Service Supportのアップグレード手順
クラスタ環境で運用中のJP1/Service Support Starter Edition,または11-00より前のJP1/Service Support Advanced Editionを除くJP1/Service Supportを,JP1/Service Support(Standard)にアップグレードする手順を次に示します。
-
実行系のアップグレード前の環境でjssdbbackup.batコマンドを実行して,障害復旧用に案件管理DBをバックアップする。
スタートメニューの[プログラム]−[JP1_Service Support]−[JP1_SSコマンドプロンプト]を起動して,jssdbbackup.batコマンドを実行し,案件管理DBをバックアップします。引数には-maintオプションを指定してください。jssdbbackup.batコマンドの詳細については,「12. コマンド」の「jssdbbackup.bat(データベースバックアップ)」を参照してください。
-
実行系または待機系のアップグレード前の環境で,障害復旧用に定義情報をバックアップする。
バックアップの対象となる定義情報は,「11.1.1 定義情報のバックアップ」の表11-1で示している「環境設定コマンド」,「クラスタ用環境設定コマンド」および「環境設定ファイル」以外のファイルです。定義情報の内容は,実行系および待機系で同じですが,実行系での取得をお勧めします。
-
次に示す順序で,クラスタソフトに登録されているサービスを停止する。
なお,IPアドレスリソース,物理ディスクリソースは停止しないでください。
-
JP1/Service Support - Web Serviceサービス
-
JP1/Service Supportサービス
-
JP1/Service Support - DB Serverサービス
-
JP1/Service Support - DB Cluster Serviceサービス
-
-
予備系から現用系に切り替える。
現在の実行系が予備系の場合は,現用系に切り替えます。
-
現用系で,提供媒体を該当するドライブに入れ,JP1/Service Support(Standard)をインストールする。
自動的に起動するインストーラの指示に従ってインストールしてください。
インストール先フォルダには,JP1/Service Support Starter Editionのインストール時と同じインストール先が指定されます。
ユーザー情報,およびスタートメニューに表示されるプログラム名は,JP1/Service Support Starter Editionのインストール時に設定した内容が引き継がれます。
-
再起動を要求された場合は,OSを再起動する。
-
現用系から予備系に切り替える。
-
予備系で,提供媒体を該当するドライブに入れ,JP1/Service Support(Standard)をインストールする。
現用系のインストール手順(手順5)と同じです。
-
予備系から現用系に切り替える。
-
現用系のサービスコントロールマネージャで,案件管理DBサーバのJP1/Service Support - DB Serverサービスを開始する。
-
現用系で,論理ホストをセットアップする。
スタートメニューの[プログラム]−[JP1_Service Support]−[JP1_SSコマンドプロンプト]を起動し,jsshasetup.batコマンドを実行します。引数には-vupオプションを指定してください。異なるバージョンの場合,jsshasetup.batコマンドを実行するときには,案件管理DBが格納されているドライブに,案件管理DBのサイズによって次の空き容量が必要です。
表10‒11 JP1/Service Support 09-00または09-50からアップグレードする場合 案件管理DBのサイズ
必要な空き容量
S
0.2ギガバイト
M
0.9ギガバイト
L
1.4ギガバイト
LL
2.9ギガバイト
XL
09-00および09-50にXLサイズは存在しないため対象外
表10‒12 JP1/Service Support 10-00または10-10からアップグレードする場合 案件管理DBのサイズ
必要な空き容量
S
0.2ギガバイト
M
0.8ギガバイト
L
1.3ギガバイト
LL
2.3ギガバイト
XL
10-00および10-10にXLサイズは存在しないため対象外
なお,JP1/Service Support Advanced Editionを除くJP1/Service Support 10-50以降からアップグレードする場合,案件管理DBが格納されているドライブに空き容量は不要です。
また,アップグレード時に必要なメモリ所要量については,リリースノートを参照してください。
その他の引数は,運用に合わせて次のように指定してください。jsshasetup.batコマンドの詳細については,「12. コマンド」の「jsshasetup.bat(クラスタ環境用セットアップ)」を参照してください。
- メールで案件を登録したい場合
-
メールで案件を登録したい場合は,-tオプションを指定してマスターシステムおよび一時受付プロセスワークボードを作成してください。なお,マスターシステムおよび一時受付プロセスワークボードは,セットアップ時以外にもjsscreatesysandpwbコマンドで作成できます。jsscreatesysandpwbコマンドの詳細については,「12. コマンド」の「jsscreatesysandpwb(マスターシステム・一時受付プロセスワークボード作成)」を参照してください。
-
認証サーバを設定する。
LDAPサーバ,またはJP1/Baseの認証サーバを認証サーバとする場合,jsschauthorityserverコマンドを実行し,認証サーバを切り替えてください。LDAPサーバ,またはJP1/Baseの認証サーバを認証サーバとしない場合,この手順は不要です。
jsschauthorityserverコマンドの詳細については,「12. コマンド」の「jsschauthorityserver(認証サーバ切り替え)」を参照してください。
-
現用系から予備系に切り替える。
実行系を予備系に切り替えます。
-
予備系のサービスコントロールマネージャで,案件管理DBサーバのJP1/Service Support - DB Serverサービスを開始する。
-
予備系で,論理ホストをセットアップして環境をアップグレードする。
スタートメニューの[プログラム]−[JP1_Service Support]−[JP1_SSコマンドプロンプト]を起動し,jsshasetup.batコマンドを実行します。引数には-vupオプションを指定してください。
jsshasetup.batコマンドの詳細については,「12. コマンド」の「jsshasetup.bat(クラスタ環境用セットアップ)」を参照してください。
-
認証サーバを設定する。
LDAPサーバ,またはJP1/Baseの認証サーバを認証サーバとする場合,jsschauthorityserverコマンドを実行し,認証サーバを切り替えてください。LDAPサーバ,またはJP1/Baseの認証サーバを認証サーバとしない場合,この手順は不要です。
jsschauthorityserverコマンドの詳細については,「12. コマンド」の「jsschauthorityserver(認証サーバ切り替え)」を参照してください。
-
現用系および予備系のサービスコントロールマネージャで,案件管理DBサーバのJP1/Service Support - DB Serverサービスを停止する。
-
クラスタソフトでサービスを開始する。
まず,予備系でサービスが起動することを確認します。次に,予備系から現用系に切り替えて,現用系でサービスが起動することを確認します。
-
現用系で,jssdbbackup.batコマンドを実行して,障害復旧用に案件管理DBをバックアップする。
スタートメニューの[プログラム]−[JP1_Service Support]−[JP1_SSコマンドプロンプト]を起動して,jssdbbackup.batコマンドを実行し,案件管理DBをバックアップします。引数には-maintオプションを指定してください。jssdbbackup.batコマンドの詳細については,「12. コマンド」の「jssdbbackup.bat(データベースバックアップ)」を参照してください。
-
案件管理DBのサイズをXLに拡張する。
案件管理DBのサイズをXLにしない場合,この手順は不要です。
案件管理DBのサイズの変更については,「10.4 クラスタ環境での案件管理DBのサイズ拡張」を参照してください。
なお,「10.4 クラスタ環境での案件管理DBのサイズ拡張」の手順とは引数が異なるコマンドがあります。次に示す引数を指定してください。
-
リカバリー用の案件管理DBのバックアップ(jssdbbackup.batコマンド)(「10.4 クラスタ環境での案件管理DBのサイズ拡張」の手順4)
-oオプション
-mdbオプション
-expandオプション
-
案件管理DBのサイズの変更(jsshadbinit.batコマンド)(「10.4 クラスタ環境での案件管理DBのサイズ拡張」の手順6)
-s XL
-
案件管理DBのリカバリー(jssdbrecovery.batコマンド)(「10.4 クラスタ環境での案件管理DBのサイズ拡張」の手順11)
-iオプション
-mdbオプション
-expandオプション
-
- 注意事項
-
JP1/Service Supportのバージョンが10-50以前でメールによって案件を登録する運用にしている場合,-vupオプションを指定してjsshasetup.batコマンドを実行すると,自動でjssauthusersetupコマンドが実行されるため,メール定義ファイルに設定している案件登録用メールの送信先となるメールサーバのパスワード(hptl_jp1_imss_mail_pop3_password)が再設定されます。
- アップグレードに失敗した場合
-
アップグレードに失敗した場合は,次に示す手順でアップグレード前の環境に戻してください。
-
インストールされているJP1/Service Supportをアンインストールする。
アンインストールの手順については,「6.7 JP1/Service Supportのアンセットアップとアンインストール」を参照してください。
-
インストール先フォルダ,および共有ディスク上の共有フォルダの配下にあるフォルダおよびファイルをすべて削除する。
-
アップグレード前と同じバージョンのJP1/Service Supportを新規にインストールする。
インストールの手順については,「6.3.1 新規インストール手順」を参照してください。
-
バックアップした定義情報をリカバリーする。
定義情報のリカバリーについては,「11.1.2 定義情報のリカバリー」を参照してください。
-
新規にクラスタ環境をセットアップする。
-
バックアップデータでリカバリーし,アップグレード前の環境に戻す。
アップグレード時の手順1で取得した,アップグレード前のバックアップデータでリカバリーしてください。リカバリーの手順については,「12. コマンド」の「jssdbrecovery.bat(データベースリカバリー)」を参照してください。
-
- HTMLマニュアルを[ヘルプ]ボタンから参照できるよう設定している場合
-
アップグレード後のマニュアルを上書きする必要があります。上書きする手順については,「10.2.11 クラスタ環境でのマニュアルの組み込み手順」を参照してください。