uCosminexus 電子フォームワークフロー 解説

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2.1.1 BLC帳票

この項では,BLC帳票の基本構造,BLC帳票の機能,および特殊なBLC帳票について説明します。

<この項の構成>
(1) BLC帳票の基本構造
(2) BLC帳票の機能
(3) 特殊なBLC帳票

(1) BLC帳票の基本構造

BLC帳票の基本的な構造を次に示します。

図2-1 BLC帳票の構造

[図データ]

帳票を構成する各部について説明します。

タイトル行
帳票のタイトルが表示されます。タイトル行は,ユーザ追加処理でカスタマイズできます。カスタマイズ方法の詳細は,「5.1 帳票ボタン処理などのカスタマイズ(BLC帳票の場合)」を参照してください。
承認履歴
案件の履歴が表示されます。
案件の履歴は,BLCプロパティファイル(BLC.BLCproperties)のDispHistoryキーにtrueを指定した場合に表示されます。
帳票モジュール
帳票モジュールが表示されます。帳票モジュールとは,帳票の内容を構成する要素です。複数の帳票モジュールを組み合わせて一つの帳票を表現します。
帳票の内容のうち共通的な部分を帳票モジュールとして部品化して,ほかの帳票にも使用できます。
また,帳票モジュールは,ユーザ追加処理でカスタマイズできます。カスタマイズ方法の詳細は,「5.1 帳票ボタン処理などのカスタマイズ(BLC帳票の場合)」,または「付録A.14(3) [動作]タブ」を参照してください。
帳票モジュールを構成するテキスト領域やボタンなどは,帳票モジュール項目といいます。
帳票モジュールおよび帳票モジュール項目は,ビジネスプロセスのノードごとに表示/非表示を切り替えられます。
なお,帳票モジュールのHTMLソースは,FrontPageなどのHTMLエディタで開発します。
コメント記述テキスト領域
コメントを記述するテキスト領域が表示されます。コメント記述テキスト領域は,ユーザ追加処理でカスタマイズできます。カスタマイズ方法の詳細は,「5.1 帳票ボタン処理などのカスタマイズ(BLC帳票の場合)」,または「付録A.14(3) [動作]タブ」を参照してください。
宛先選択ドロップダウンリスト
帳票の次の遷移先を選択するためのドロップダウンリストが表示されます。宛先選択ドロップダウンリストは,ユーザ追加処理でカスタマイズできます。カスタマイズ方法の詳細は,「5.1 帳票ボタン処理などのカスタマイズ(BLC帳票の場合)」を参照してください。
処理ボタン
帳票を処理するためのボタンが表示されます。処理ボタンは,ユーザ追加処理でカスタマイズできます。カスタマイズ方法の詳細は,「5.1 帳票ボタン処理などのカスタマイズ(BLC帳票の場合)」を参照してください。

(2) BLC帳票の機能

ここでは,BLC帳票の機能について説明します。

(a) 帳票モジュールの表示制御機能

帳票モジュールは,次のような表示制御ができます。

帳票モジュールの表示制御の例

ある帳票に三つの帳票モジュール(「モジュール1」,「モジュール2」,および「モジュール3」)があるとします。これらの帳票モジュールの表示/非表示および入力/参照を,次の表のとおりノードごとに切り分けます。

表2-1 帳票モジュールの表示制御の設定例(BLC帳票)

ノード名 帳票モジュール名 設定内容
@Source モジュール1 入力
モジュール2 入力
モジュール3 非表示
作業1 モジュール1 参照
モジュール2 参照
モジュール3 非表示
作業2 モジュール1 参照
モジュール2 参照
モジュール3 参照

表2-1のように設定した場合,帳票モジュールはノードごとで次の図のような状態で表示されます。

図2-2 帳票モジュールのノードごとの状態

[図データ]

図の説明
  1. 申請ノード「@Source」
    モジュール1とモジュール2が入力できる状態で表示されます。モジュール3は表示されません。
  2. 承認ノード「作業1」
    モジュール1とモジュール2が参照状態で表示されます。モジュール3は表示されません。
  3. 承認ノード「作業2」
    モジュール1,モジュール2,およびモジュール3が参照状態で表示されます。
(b) 帳票モジュール項目の表示制御機能

帳票モジュール項目は,次のような表示制御ができます。

表示および状態の切り替え
帳票モジュールと同様に,申請ノードまたは承認ノードでの表示/非表示および入力/参照を切り替えられます。
プロパティ情報の設定
帳票モジュール項目に対して,初期値となるプロパティ情報を設定できます。設定できる主な情報を次に示します。
  • 項目変数名
  • 項目長
  • 項目初期値
  • データ種別
  • 入力規則
  • 入力チェック条件
帳票モジュール項目のグループ化
複数の帳票モジュール項目をグループ化して,項目グループとして定義できます。項目グループを定義すると,項目グループ単位で入力チェックを実行します。また,データベースへの書き出し処理などを項目グループ単位で実行することもできます。
例えば,帳票上の「年」,「月」,および「日」の三つの帳票モジュール項目を一つの項目グループとして「年月日」と定義します。この「年月日」に対して日付チェックをしたり,データベースとの入出力処理をしたりできます。
 

表示制御の規則について>

表示制御には,[帳票定義]画面の[帳票モジュール]タブから[帳票モジュールの編集]ダイアログを起動して行う設定,および[帳票モジュール定義]画面の[項目入力・表示制御]タブで設定した内容の組み合わせに応じて,次の規則があります。

[帳票モジュールの編集]ダイアログの詳細は「付録A.8 [帳票モジュールの編集]ダイアログ」,[項目入力・表示制御]タブの詳細は「付録A.12(2) [項目入力・表示制御]タブ」をそれぞれ参照してください。

 

表示制御の規則を次に示します。

表2-2 表示制御の規則

帳票
モジュール
帳票モジュール項目
項目入力・表示制御
申請帳票 承認帳票
選択なし 非入力 非表示 選択なし 入力 非表示
入力 ×※1 ×※1
参照 ×※1 ×※1
非表示 ×※2 ×※2 ×※2 ×※2 ×※2 ×※2
(凡例)
○:入力
△:表示(参照)
×:非表示
注※1
帳票モジュール項目だけ非表示になります。
注※2
帳票モジュール全体が非表示になります。

(c) 承認履歴表示機能

作業の発生および完了を示す承認履歴の情報を,帳票の上部に表示します。

承認履歴は,BLCプロパティファイル(BLC.BLCproperties)のDispHistoryキーにtrueを指定した場合に表示されます。承認履歴の表示形式および表示内容を次に示します。

承認履歴は,左から順に表示されます。

図2-3 承認履歴の表示形式および表示内容

[図データ]

(d) 宛先選択機能

ノードごとに宛先(次ノードの作業者)を選択させるかどうかを,帳票作成時に設定できます。宛先を選択させる設定にした場合,宛先を選択するためのドロップダウンリストが帳票の下部に表示されます。宛先選択ドロップダウンリストの例を次に示します。

図2-4 宛先選択ドロップダウンリスト

[図データ]

(e) 処理ボタン表示機能

帳票の下部に,標準で次のボタンを表示できます。

申請帳票の場合
[申請]ボタン:入力チェック後,案件を開始します。
[閉じる]ボタン:画面を閉じます。
承認帳票の場合
[承認]ボタン:入力チェック後,作業を完了させます。
[閉じる]ボタン:画面を閉じます。
(f) DBアクセス実行機能

帳票上でDBアクセスを実行できます。DBアクセスは,基本的に帳票ジェネレータ(BLSG)機能で定義するDBアクセス定義を使用して実行します。DBアクセス定義は,帳票定義での標準的なDBアクセスおよびユーザ追加処理でのDBアクセスで使用できます。

DBアクセス定義では,次の項目を定義します。

DBアクセス定義の詳細は,「3.5 DBアクセス定義の定義方法」を参照してください。

(g) 帳票モジュールの部品化機能

帳票モジュールは,部品としてほかの帳票にも使用できます。部品として共用できるのは,同一の開発マシン,つまり同一のデータフォルダを使用している場合だけです。

複数の開発マシン間で,帳票モジュールを部品として共用したい場合は,帳票モジュール定義ファイルを各開発マシンのデータフォルダ間でコピーして使用する必要があります。

帳票モジュール定義ファイルの詳細は,「付録E.3(2) 保存および再利用するファイル」を参照してください。

複数の開発マシン間で帳票モジュールを共用する方法を,次に示します。

図2-5 帳票モジュールの共用方法

[図データ]

図の説明
  1. 開発マシンAで帳票モジュールを作成して,問題がないか確認する。
  2. 問題がないことを確認した帳票モジュールを,帳票モジュール定義ファイルとして部品格納マシンに登録する。
  3. 開発マシンAで作成した帳票モジュールを開発マシンBおよびCで使用したい場合は,部品格納マシンから開発マシンBおよびCのデータフォルダに,帳票モジュール定義ファイルをコピーする。
注意事項
開発マシンAのデータフォルダを,開発マシンBおよびCと共有しないでください。

(3) 特殊なBLC帳票

ここでは,特殊なBLC帳票について説明します。

(a) カスタム申請のソース帳票

カスタム申請とは,申請画面を表示する条件を設定してから,その設定内容に基づいた申請画面を表示する方法です。申請画面を表示する条件を設定する帳票をカスタム申請のソース帳票といいます。また,設定内容に基づいて表示される申請画面の帳票をカスタム申請帳票といいます。カスタム申請のソース帳票とカスタム申請帳票は,それぞれ異なる帳票定義として定義します。

カスタム申請の流れを次に示します。

図2-6 カスタム申請の流れ

[図データ]

図の説明
  1. 申請時は,最初にカスタム申請のソース帳票(帳票定義A)が表示されます。この帳票で申請画面を表示する条件を設定すると,カスタム申請帳票(帳票定義B)が呼び出されます。
    カスタム申請のソース帳票が表示されるのは,申請時だけです。
  2. 承認時は,1.で申請されたカスタム申請帳票(帳票定義B)が表示されます。

 

カスタム申請の概要を次に示します。

図2-7 カスタム申請の概要

[図データ]

図の説明
  1. BLCのポータル画面の帳票一覧画面から,目的の申請帳票「住所変更届」を選択します。
  2. 申請帳票「住所変更届」の,カスタム申請のソース帳票(帳票定義A)が表示されます。この帳票で,変更したい情報のチェックボックス(ここでは,「住所」と「電話番号」)をオンにします。
  3. 2.で設定した条件に応じた,カスタム申請帳票(帳票定義B)が表示されます。

 

カスタム申請のソース帳票には,次の処理ボタンが表示されます。

[申請書表示]ボタン
入力チェック後,カスタム申請帳票を表示します。なお,カスタム申請帳票がDBアクセス専用帳票の場合は,[申請書表示]ボタンではなく,[次へ]ボタンになります。
[閉じる]ボタン
画面を閉じます。

カスタム申請帳票には,一般の申請帳票と同じ処理ボタン([申請]ボタンおよび[閉じる]ボタン)が表示されます。申請帳票の処理ボタンの詳細は,「2.1.2(2)(c) 処理ボタン表示機能」を参照してください。

なお,カスタム申請のソース帳票からカスタム申請のソース帳票を呼び出すことはできません。

(b) DBアクセス専用帳票

DBアクセス専用帳票とは,案件の申請処理および承認処理を実行しないで,帳票からデータベースの更新だけを実行するための帳票です。

DBアクセス専用帳票は,CSCIW上の案件を開始しないで,データベースの更新だけを実行する帳票ベースのデータベースアプリケーションです。このため,CSCIWの機能は使用しません。

DBアクセス専用帳票の概要を次に示します。

図2-8 DBアクセス専用帳票の概要

[図データ]

DBアクセス専用帳票には,次の処理ボタンが表示されます。

[読込]ボタン
入力チェック後,DB入力処理のDBアクセス定義を実行します。DB入力処理とは,データベースから帳票にデータを読み込む処理です。
そのあと,帳票を再表示して最新の状態にします。
[更新]ボタン
入力チェック後,DB出力処理のDBアクセス定義を実行します。DB出力処理とは,帳票のデータをデータベースに反映する処理です。
そのあと,処理の結果を別ウィンドウに表示します。
[閉じる]ボタン
画面を閉じます。

入力チェックの内容は,データベースのテーブルのカラム制約を意識して,正しく定義する必要があります。

DBアクセス定義の詳細は,「3.5 DBアクセス定義の定義方法」を参照してください。

DBアクセス専用帳票は,カスタム申請のソース帳票と組み合わせられます。カスタム申請のソース帳票と組み合わせることで,1回目のDBアクセス専用帳票表示時の,DB参照でのSQL検索条件などに値を与えられます。SQL検索条件に値を引き継ぎたい項目は,カスタム申請のソース帳票で継承項目として定義する必要があります。

カスタム申請のソース帳票の定義方法については,「3.4.1(2) カスタム申請のソース帳票の作成手順」を参照してください。