Groupmax Object Server Version 6 システム管理者ガイド
データベースの運用中に注意することについて説明します。
- <この項の構成>
- (1) システム環境を設定及び変更するとき
- (2) データベースファイルを削除するとき
- (3) データベースを再編成するとき
- (4) データベース満杯状態の回避
- ディスク容量の確認
データベースを運用中に発生するファイルの増分を考慮してください。初期設定パラメタのfileパラメタで-mオペランド(ファイルの最大割り当て量)の指定を省略している場合は,ファイルは最大2Gバイトまで増分します。増分に十分なファイルシステムを用意するか又はファイルの最大割り当て量を設定してください。
- ファイルの変更時の注意
オブジェクトサーバの起動中に,次のファイルは変更しないでください。
- 通信設定ファイル(/etc/services)
- システム共通定義
誤ってオブジェクトサーバの起動中にシステム共通定義を変更してしまった場合は,システム共通定義を元に戻して,オブジェクトサーバを停止してください。その後,システム共通定義を変更してオブジェクトサーバを起動してください。
また,オブジェクトサーバの使用する共用メモリを増やすためにシステム共通定義ファイルのstatic_shmpool_size又はdynamic_shmpool_sizeを大きく変更する場合は,カーネルパラメタshmmax値を増やしてからサイズを変更後,xodstartコマンドを実行してください。
オブジェクトサーバのデータベースファイルは,xodarrmコマンド使用して削除してください。
なお,xodarrmコマンドで削除できるエリアの種別については,「8.3 データベース管理コマンド」を参照してください。
- 作業領域の確認
再編成を実行するときは,再編成パラメタファイルの-wオペランドで指定した作業領域を使用します。-wオペランドの指定を省略した場合は,AIXの場合は/tmp,HI-UX/WE2の場合は/usr/tmp,HP-UXの場合は/var/tmpが仮定されます。
- 再編成によってデータベースの不整合が発生した場合の対処
xodbreogコマンドを実行したときに,メッセージKFXO56035-Eが出力されてユティリティが異常終了した場合は,データベースファイルが不整合になっている可能性があります。この場合は,連携プログラムとオブジェクトサーバを停止して,データベースをバックアップから回復してください。
データベース運用中にデータベースが満杯状態になるのを防ぐための方法について説明します。データベースの使用状況は,xodbuseコマンドによって確認できます。コマンドについては,「8.8 データベース診断コマンド」を参照してください。なお,メッセージとしてKFXO41012-I,KFXO41053-I,KFXO41055-Iが出力されている場合についても,データベースの容量が満杯に近付いている可能性がありますので,同様にデータベースの使用状況の表示で使用状況を確認し必要に応じて対処を行ってください。出力した使用状況の見方については,「4.3.2 データベースエリアの使用状況表示」を参照してください。これによって,データベースが満杯状態に近づいていることを確認した場合は,次に示す方法で対処してください。
- データベースのエリアを拡張する
- 不要なオブジェクトを削除する
また,メッセージKFXO40401-E及びKFXOE40402-Eが出力された場合も,オブジェクトサーバのデータベースエリアの容量が不足していますので,対処が必要です。
データベースエリアを拡張する方法について説明します。
Groupmax Address/Mail Server,Groupmax Document Manager及びGroupmax Workflow Serverでのユーザ数の増加や業務の適用範囲の拡張など,環境の変更に伴ってエリアを拡張する必要がある場合も,次の方法で実行してください。
- エリアの拡張方法の検討
エリアを拡張するには,xodflaltコマンドでファイルの属性(最大割り当て量)を変更する方法,xodfladdコマンドでファイルを追加する方法,及びxodbrcnsコマンドを使用してエリアを再作成する方法があります。
- xodflaltコマンドでファイルの属性(最大割り当て量)を変更する方法(データベースのファイルの属性変更)
次のような場合,この方法を利用してください。
- 「最大割り当て量」の指定があるファイルで,データベースが満杯状態になった場合又は満杯状態に近づいている場合に,至急エリアを拡張したいとき
- xodfladdコマンドでファイルを追加する(データベースのファイルの追加)
次のような場合,この方法を利用してください。
- ファイルがあるパーティションに十分な空き領域がなく,別のパーティションにファイルを追加したいとき
- xodbrcnsコマンドでエリアを再作成する(データベースのエリアの再作成)
次のような場合,この方法を利用してください。
データベースのエリアを再作成することによって,エリアのセグメントサイズ,エリアを構成するファイル,ファイルの初期割り当て量及びファイルの最大割り当て量が変更できます。
- ユーザ追加などによって,エリアを再構成する場合
- サーバの統合などによって,サーバの再構築時にエリアを再構成する場合
- 一時的にデータベースのファイルの属性変更やデータベースへのファイルの追加でエリアの拡張をしてきた後で,エリアを再構成する場合
- データベースのファイルの属性変更及びデータベースへのファイルの追加では対処できない場合
- 事前準備
エリアを拡張するために,まず,「最大割り当て量」の変更が必要かどうかを検証します。
なお,これは「最大割り当て量」を指定しているファイルのエリアを拡張する場合だけ行ってください。また,インデクス用エリア及びOIDインデクス用エリアの場合は,検証する必要はありません。
検証方法について次に示します。
- [エリアのファイルの「最大割り当て量」の変更を検証する式]
- 上記の式が「a>b」の時,fileパラメタの-mオペランド(最大割り当て量)の変更が必要です。
変更後の-mオペランドの値には,次の値を指定してください。
この値は,a式の「再見積もり後のfileパラメタの-mオペランド」に代入してください。
- 上記の式が「a>b」でない場合でも,そのデータベースのファイルが満杯になっている場合は,fileパラメタの-mオペランド(最大割り当て量)の変更が必要です。
この場合,a式の値の見積もり誤りが考えられます。「現在のfileパラメタの-mオペランド」に適当な安全係数(1.2倍など)を掛けた値を,変更後の-mオペランドの値としてください。この値は,a式の「再見積もり後のfileパラメタの-mオペランド」に代入してください。
- なお,次の手順によりa式とb式を簡単に求めることもできます。
- [a式の求め方]
- a式への代入値は,次の方法で求めることができます。
- Groupmaxサーバ環境設定コマンド(gsesetコマンド)で,再見積もり後のシステム構成情報を指定した入力ファイルを指定して,構成変更パラメタファイルを作成します。
Groupmaxサーバ環境設定コマンドについては,「付録D Groupmaxサーバ環境設定コマンドによる環境設定」を参照してください。
出力先ディレクトリに構成変更パラメタファイル(esetcons),カーネルパラメタの見積もり値を格納したファイル(esetknl)及びシステム共通定義ファイル(esetrc)が作成されます。
- 出力されたパラメタを参照して,「セグメントサイズ」及び「最大割り当て量」を,a式に代入してください。
- [b式の求め方]
- b式への代入値は,次の方法で求めることができます。
- Object Server 02-31以降又はHigh-end Object Server 02-31以降のシステムを運用している場合
xodarlsコマンドを実行して,表示結果から確認してください。表示結果の「セグメントサイズ」「最大割り当て量」を,b式に代入してください。
- Object Server 02-30以前又はHigh-end Object Server 02-30以前のシステムを運用している場合
次のコマンドの処理結果として出力されるリストの表示内容から確認してください。
・xodbinitコマンド
・xodaraddコマンド
・xodfladdコマンド
・xodflaltコマンド
現在の「セグメントサイズ」及び「最大割り当て量」※1をb式に代入してください。
- Object Server 02-30以前又はHigh-end Object Server 02-30以前のシステムを運用している場合で,かつ,上記のコマンド(xodbinitコマンド,xodaraddコマンド,xodfladdコマンド又はxodflaltコマンド)の処理結果リストがない場合
次のコマンドを実行したときに使用したパラメタファイルの内容から確認してください。
・xodbinitコマンドを実行した時の初期設定パラメタファイル
・xodaraddコマンドを実行した時の構成変更パラメタファイル
・xodfladdコマンドを実行した時の構成変更パラメタファイル
これらのパラメタファイルに指定した「セグメントサイズ」及び「最大割り当て量」※2をb式に代入してください。
- 注※1 当該エリアを初期化した時に指定したファイルの「最大割り当て量」は,指定した値よりも大きな値に補正されている場合があります。その場合,現在のセグメント数は当該エリアを初期化した時に指定したファイルの「最大割り当て量」よりも大きくなっている場合があります。
- 補正のされ方については,「7.5.2 初期設定パラメタの項目」の「(2) fileパラメタ」の-mオペランドの説明を参照してください。
- 注※2 当該エリアを初期化した時に指定したファイルの「最大割り当て量」は,指定した値よりも大きな値に補正されている場合があります。その場合,現在のセグメント数は当該エリアを初期化した時に指定したファイルの「最大割り当て量」よりも大きくなっている場合があります。
- 「最大割り当て量」が補正されている場合は,補正後の「最大割り当て量」をb式に代入してください。
- 補正のされ方については,「7.5.2 初期設定パラメタの項目」の「(2) fileパラメタ」の-mオペランドの説明を参照してください。
- エリア拡張前の確認
エリアを拡張する前に,次のことを確認してください。
- 構成変更パラメタファイルのfileパラメタの-fオプションに指定するファイル名称に,空白を含んでいないこと。
データベースのファイル名称には空白を含まないようにしてください。
- データベースへのファイルの追加(xodfladdコマンド)を実行する場合は,ファイルを追加するための十分な空き領域が確保されていること。
空き領域がない場合は,不要なファイルを削除するか,領域を作成してください。
- データベースのエリアの再作成(xodbrcnsコマンド)を実行する場合は,エリアを再作成するための十分な空き領域が確保されていること。
空き領域がない場合は,不要なファイルを削除するか,領域を作成してください。
- OIDインデクス用エリア及びインデクス用エリアのfileパラメタの-mオペランドは指定してしないこと。
指定している場合,-mオプションは無効にしてください。
- エリアを拡張する手順
エリアは次の手順で拡張します。
- オブジェクトサーバのシステム管理者のユーザIDでログインする
- オブジェクトサーバを正常停止する。既にオブジェクトサーバが停止していて,前回の停止状態が不明な場合は,いったんオブジェクトサーバを起動して,正常停止する
- オブジェクトサーバのデータベースファイルのバックアップを取得する
構成変更が失敗した場合に備えます。なお,以降の手順でxodflaltコマンドだけを実行する場合は,データベースファイルのバックアップの取得は省略してもかまいません。
- オブジェクトサーバをユティリティ実行モードで起動する
「xodstart -u」を実行します。
- ファイルを追加する場合は,xodfladdコマンドを実行する
「xodfladd -f 構成変更パラメタファイル」を実行します。
- ファイルの最大割り当て量を変更してファイルを拡張する場合は,xodflaltコマンドを実行する
「xodflalt -n エリア名 -f ファイル名 -m 変更後の最大割り当て量」を実行します。
- エリアを再作成する場合は,xodbrcnsコマンドを実行する
「xodbrcns -f 再構成パラメタファイル」を実行します。
- インデクス用エリア及びOIDインデクス用エリアのfileパラメタに-mオペランドを指定していた場合は,xodflaltコマンドを実行して,-mの指定値を無効にする
「xodflalt -n エリア名 -f ファイル名 -m 0」を実行します。
- xodbreogコマンドを実行して,データベースを再編成する
なお,この後も定期的にデータベース再編成は実行するようにしてください。
- オブジェクトサーバを正常停止する
- オブジェクトサーバのデータベースのファイルのバックアップを取得する
- エラー発生時の対処
エリアの拡張時にエラーが発生した場合は,次のように対処してください。
- データベースのエリアの再作成(xodbrcnsコマンド)又はデータベースへのファイルの追加(xodfladdコマンド)実行中にエラーが発生した場合
- オブジェクトサーバを停止する
- xodbrcnsコマンド又はxodfladdコマンドで作成中のデータベースのファイルが残っている場合は削除する
- バックアップからリストアする
- エラーの要因を取り除いて,「エリアを拡張する手順」の手順4.から再度実行する
- データベースのファイルの属性変更(xodflaltコマンド)の実行中にエラーが発生した場合
エラーの要因を取り除いて,xodflaltコマンドを再度実行してください。
データベースの満杯状態が近づいてエリアのページ不足が発生した場合に,不要なオブジェクトを削除して空きページを作成する方法について説明します。
- Groupmax Mailの自動削除デーモンの起動
データベースが満杯に近づいているエリアがGroupmax Address/Mail Serverで使用しているエリアの場合は,Groupmax Mail Serverの自動削除デーモンを起動して,不要なオブジェクトを削除できます。ただし,この場合,エリアからユーザのメールを削除することになるので,計画的な運用をしてください。Groupmax Mail Serverの自動削除デーモンについては,「Groupmax Address/Mail Version 6 システム管理者ガイド 基本操作編」を参照してください。
また,自動削除デーモンを使用した運用をする場合は,定期的に[データベースの再編成]コマンドを実行してデータベースを再編成することをお勧めします。不要なオブジェクトを削除して空きページを作った後でデータベースの再編成を実行すると,まとまった空き領域を確保できます。xodbreogコマンドについては,「8.4 データベースの保守コマンド」を参照してください。
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