2.7.1 N対1クラスタ構成時の環境構築
N対1クラスタ構成では,クラスタを構成するすべてのHCSCサーバについて,HCSCサーバ構成定義ファイルで設定するクラスタ種別に「HA」を設定してください。クラスタ種別が「LB」の場合,N対1クラスタ構成を構築できません。
なお,標準の非同期受付(MDB(WS-R)/MDB(DBキュー))を使用する場合は,HAクラスタ相当のHCSCサーバの組にリクエストを送信するように,リクエスタを設定する必要があります。
- 注意事項
-
HCSCクラスタのGUI表示名は,システム内で一意にしてください。
- サーバ障害時の別HCSCサーバからのビジネスプロセスの再実行について
-
別HCSCサーバからビジネスプロセスを再実行する場合,次に示す情報については共有ディスク装置に格納する必要があります。
-
作業フォルダ
-
共通フォルダ
-
ファイルアダプタで利用する入出力許可ファイル
次に示す情報についてはローカルディスク装置に格納します。ただし,各HCSCサーバで同じ値を設定する必要があります。
-
メールアダプタで利用するメール本文のテキストファイル,および添付ファイル
-
HCSCサーバの運用で利用する定義ファイル
-
HCSCコンポーネントで利用する定義ファイル
-
- 作業フォルダを使用するビジネスプロセスの再実行について
-
作業フォルダを使用するビジネスプロセスであり,かつ09-51より前のバージョンで実行したビジネスプロセスについては,別HCSCサーバからビジネスプロセスを再実行することはできません。
作業フォルダの代わりに共通フォルダを使用している場合,または09-51以降で実行している場合は,ビジネスプロセスを再実行することができます。しかし,次に示すコンポーネントを使用するビジネスプロセスについては,共通フォルダを使用することができないため,09-51より前のバージョンで実行したビジネスプロセスを再実行することはできません。
-
FTP受付
-
HTTP受付
-
N対1クラスタ構成でHCSCサーバを運用するための環境構築手順を次に示します。
- 〈この項の構成〉
(1) 実行環境(実行系・待機系)の構築
実行環境を構築するには,実行系および待機系で次の作業を実施します。
(a) Service Platformのインストール
それぞれのマシンにService Platformをインストールします。
Service Platformのインストール方法については,「2.1.2 Service Platformのインストール」を参照してください。
(b) Management Serverの設定
運用環境でHCSC-Managerを使用するためのManagement Serverの設定を,HCSC-Managerの接続先となる実行環境で実施します。
Management Serverの設定については,「2.1.6 HCSC-Managerを使用するためのManagement Serverの設定」を参照してください。
(c) SOAPモードの設定
HCSCサーバをN対1クラスタ構成にする場合,構成する実行環境および運用環境で利用するSOAPモードを合わせる必要があります。異なるSOAPモードの環境は共存できません。
SOAPモードを設定するには,J2EEサーバのコンテナ拡張ライブラリの設定が必要になります。J2EEサーバのコンテナ拡張ライブラリの設定については,「3.1.2(4)(e) コンテナ拡張ライブラリの設定」を参照してください。
(d) HCSCサーバの構成などの設定
構築するHCSCサーバの種類(実行系・待機系)に応じて,HCSCサーバの構成などの実行環境に関する設定を各マシンで実施します。設定内容および設定方法はロードバランスクラスタ構成やHAクラスタ構成の構築時と同じです。設定内容と設定方法については,「2.3 実行環境に関する設定」を参照してください。
実行系または待機系のHCSCサーバを構築する場合の構成例とHCSCサーバの構成などの設定手順について,次に示します。
- ●実行系のHCSCサーバを構築する場合
-
HAクラスタ構成(HCSCサーバ1・HCSCサーバ4)に,ロードバランスクラスタ相当のHCSCサーバ(HCSCサーバ2)を追加する場合の構築例を次の図に示します。
図2‒9 実行系のHCSCサーバの構築例(HCSCサーバ2を追加した例) 実行系のHCSCサーバを構築する場合の設定手順はロードバランスクラスタ構成の設定手順と基本的に同じですが,次の点に注意してください。
-
HCSCサーバ構成定義ファイルに設定するクラスタ種別は「HA」と指定してください。
-
HCSCサーバセットアップ定義ファイルに設定するRMシステム名は,クラスタ内の実行系HCSCサーバ間でユニークな名称を指定してください。重複するRMシステム名を設定すると,セットアップではエラーにはなりませんが,Reliable Messagingの起動時にデッドロックが発生します。
なお,ロードバランスクラスタ構成の設定手順については「2.5.1 ロードバランスクラスタ構成時の環境構築」のHCSCサーバ構成などの設定を参照してください。
-
- ●待機系のHCSCサーバを構築する場合
-
「実行系のHCSCサーバを構築する場合」の図に示す構成で,HCSCサーバ2の待機系であるHCSCサーバ5をマシン4で構築する場合の例を次の図に示します。
図2‒10 実行系のHCSCサーバの構築例(HCSCサーバをマシン4で構築した例) 待機系のHCSCサーバを構築する場合の設定手順はHAクラスタ構成の設定手順と基本的に同じですが,次の点に注意してください。
-
待機系のHCSCサーバを1台のマシンに構築するため,HCSCサーバ構成定義ファイルで設定するJ2EEサーバ名はマシン内でユニークな名称を指定してください。
-
HCSCサーバセットアップ定義ファイルで設定するRMシステム名は,ロードバランスクラスタ構成内の実行系HCSCサーバと同じ名称を指定してください。実行系と異なるRMシステム名を設定すると,セットアップではエラーにはなりませんが,Reliable Messagingを使用した処理が引き継げなくなります。
なお,HAクラスタ構成の構築手順については「2.6.1 HAクラスタ構成時の環境構築」のHCSCサーバ構成などの設定を参照してください。
実行環境に関する設定でHCSCサーバ構成定義ファイル,HCSCサーバセットアップ定義ファイル,およびHCSCサーバランタイム定義ファイルを設定する場合には,次に示す内容に留意してください。
-
- HCSCサーバ構成定義ファイルの設定時の注意事項
-
セットアップ時に,HCSCサーバ構成定義ファイルに次に示す値を設定してください。
HCSCサーバ構成定義ファイルの設定方法については,「2.3.1 HCSCサーバ構成定義ファイルを設定する」を参照してください。
HCSCサーバ構成定義ファイルに設定する内容の詳細については,マニュアル「サービスプラットフォーム リファレンス」の「6.4.2 HCSCサーバ構成定義ファイル」を参照してください。
設定項目
設定する値
クラスタ表示名
クラスタ内で同一の値
クラスタ種別
クラスタ内で同一の値
manager名
システムで一意になる値
managerのIPアドレス
管理用物理IPアドレス
WebサーバのIPアドレス(同期サービス(Webサービス)呼び出しをする場合)
クラスタ内で同一の値
WebサーバのIPアドレス(非同期サービス(MDB(WS-R))呼び出しをする場合)
それぞれのHCSCサーバの受付IPアドレス
(実行系と待機系とで同一のIPアドレス(仮想IPアドレス)を指定)
NameServerのIPアドレス
クラスタ内で同一の値
- HCSCサーバセットアップ定義ファイルの設定時の注意事項
-
HCSCサーバセットアップ定義ファイルを設定する場合には,次に示す内容に留意してください。HCSCサーバセットアップ定義ファイルの設定方法については,「2.3.2 HCSCサーバセットアップ定義ファイルを設定する」を参照してください。HCSCサーバセットアップ定義ファイルに設定する内容の詳細については,マニュアル「サービスプラットフォーム リファレンス」の「6.4.3 HCSCサーバセットアップ定義ファイル」を参照してください。
- すべてのHCSCサーバで同じ値を設定するプロパティ
-
HCSCサーバセットアップ定義ファイルに設定するプロパティのうち,次の表に示すプロパティはN対1クラスタ内のすべてのHCSCサーバで同じ値を設定する必要があります。
表2‒24 N対1クラスタ内のHCSCサーバで同じ値を設定するプロパティ 同じ値を指定するプロパティ
プロパティに設定する値
request-ejb
標準の同期受付(SessionBean)の使用有無
request-soap
標準の同期受付(Webサービス)の使用有無
request-jms
標準の非同期受付(MDB(WS-R))の使用有無
request-jms.maxmessage
標準の非同期受付(MDB(WS-R))のキューの最大メッセージ数
request-dbq
標準の非同期受付(MDB(DBキュー))の使用有無
request-dbq.maxmessage
標準の非同期受付(MDB(DBキュー))のキューの最大メッセージ数
request-jms-rdarea
標準の非同期受付(MDB(WS-R))のRDエリア名
request-dbq-rdarea
標準の非同期受付(MDB(DBキュー))のRDエリア名
request-dbq-maxlen
標準の非同期受付(MDB(DBキュー))の最大メッセージ長
rm-displayname
Reliable Messagingの表示名
dbcon-xadisplayname※1
XATransactionまたはLocalTransaction用DB Connectorの表示名
dbcon-nodisplayname※1
NoTransaction用DB Connectorの表示名
dbtype
使用するデータベース種別
jdbc-type
JDBCドライバ種別
jdbc-url※2
JDBC用データベースURL
jdbc-dbhostname
データベースのホスト名
jdbc-dbconnectinfo
データベースの接続情報
db-character-sets
データベース文字コード種別
db-tbl-split-key
日付データによるテーブルのレンジ分割機能の使用有無
db-tbl-split-corcheck-use
相関セットの重複チェックの強化有無
- HCSCサーバランタイム定義ファイルの設定時の注意事項
-
HCSCサーバランタイム定義ファイルを設定する場合,ロードバランスクラスタ内のすべてのHCSCサーバですべてのプロパティを同じ値に設定する必要があります。
また,CTMを使用する場合,次のプロパティを追加してください。
-
request-ejb.ctm=true
クラスタを構成するHCSCサーバでJ2EEサーバ名が異なる場合,次のプロパティを追加してください。
-
request-ejb.optional.name=<クラスタ内で共通の同期リクエスタサービス(SessionBean)の別名>
HCSCサーバランタイム定義ファイルの設定方法については,「2.3.3 HCSCサーバランタイム定義ファイルを設定する」を参照してください。
HCSCサーバランタイム定義ファイルに設定する内容の詳細については,マニュアル「サービスプラットフォーム リファレンス」の「6.5.6 HCSCサーバランタイム定義ファイル」を参照してください。
-
(e) クラスタソフトウェアのインストール
クラスタソフトウェアをインストールします。インストール方法は,利用するクラスタソフトウェアのドキュメントを参照してください。
(2) 運用環境の構築
運用環境は,クラスタを構成するHCSCサーバのマシンに構築します。
運用環境と実行環境の構成については,マニュアル「サービスプラットフォーム 解説」の「1.5 クラスタ構成における運用環境の構成パターン」を参照してください。
運用環境を構築するには,次の作業を実施します。
- 環境設定
-
運用環境の環境設定としてリポジトリの設定と環境変数の設定を実施します。
環境設定については,「2.1.3 環境設定」を参照してください。
- EclipseへのHCSC-Manager Plug-inの組み込み
-
EclipseにHCSC-Manager Plug-inを組み込みます。
EclipseへのHCSC-Manager Plug-inの組み込みについては,「2.1.5 EclipseへのHCSC-Manager Plug-inの組み込み」を参照してください。
- ユーザ権限などの設定
-
ユーザ権限などの運用環境に関する設定を行います。設定する内容と設定方法については,「2.4 運用環境に関する設定」を参照してください。
(3) DBサーバの構築
DBサーバは,クラスタを構成するHCSCサーバから独立して構築し,クラスタ内のHCSCサーバで共有します。
DBサーバとして利用するマシンに利用するデータベースをインストールしてください。インストール方法は,利用するデータベースのドキュメントを参照してください。