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Cosminexus V11 BPM/ESB基盤 サービスプラットフォーム システム構築・運用ガイド


2.6.1 HAクラスタ構成時の環境構築

HCSCサーバをHAクラスタ構成にした場合のシステムの構成を次の図に示します。

図2‒7 HCSCサーバをHAクラスタ構成にした場合のシステムの構成

[図データ]

クラスタIPアドレスの設定方法については,利用するクラスタソフトウェアによって異なります。クラスタソフトウェアのマニュアルを参照ください。

バージョン08-70以降で新規にセットアップした場合は,HCSC-Managerの環境をそれぞれの実行環境に格納できます。これによって,運用環境のサーバ台数を省略できます。

注意事項

HCSCクラスタのGUI表示名は,システム内で一意にしてください。

共有ディスク装置の使用について

HCSCサーバをHAクラスタ構成にする場合,共有ディスク装置の使用については,ローカルトランザクションの場合とグローバルトランザクションの場合とで異なります。

  • ローカルトランザクションの場合

    共有ディスク装置は不要です。HCSCサーバが引き継ぐ情報はデータベースで管理しているため,ローカルトランザクションでは,共有ディスク装置を使用しません。

  • グローバルトランザクションの場合

    共有ディスク装置が必要になります。共有ディスク装置は,系切り替え時に,OTSのステータスなどのトランザクション情報を引き継ぐために使用します。

サーバ障害時の系切り替え処理後のビジネスプロセスの再実行について

待機系への系切り替え処理後にビジネスプロセスを再実行する場合,次に示す情報については共有ディスク装置に格納する必要があります。

  • 作業フォルダ

  • 共通フォルダ

  • ファイルアダプタが入出力するファイル

次に示す情報についてはローカルディスク装置に格納します。ただし,実行系と待機系で同じ値を設定する必要があります。

  • メールアダプタで利用するメール本文のテキストファイル,および添付ファイル

  • HCSCサーバの運用で利用する定義ファイル

  • HCSCコンポーネントで利用する定義ファイル

作業フォルダを使用するビジネスプロセスの再実行について

作業フォルダを使用するビジネスプロセスであり,かつ09-51より前のバージョンで実行したビジネスプロセスについては,待機系への系切り替え処理後にビジネスプロセスを再実行することはできません。

作業フォルダの代わりに共通フォルダを使用している場合,または09-51以降で実行している場合は,ビジネスプロセスを再実行することができます。しかし,次に示すコンポーネントを使用するビジネスプロセスについては,共通フォルダを使用することができないため,09-51より前のバージョンで実行したビジネスプロセスを再実行することはできません。

  • FTP受付

  • HTTP受付

実行環境(実行系・待機系),運用環境,DBサーバの構築方法を次に示します。

〈この項の構成〉

(1) 実行環境(実行系・待機系)の構築

実行環境を構築するには,実行系および待機系で次の作業を実施します。

(a) Service Platformのインストール

Service Platformのインストール方法については,「2.1.2 Service Platformのインストール」を参照してください。

(b) Management Serverの設定

運用環境でHCSC-Managerを使用するためのManagement Serverの設定を,HCSC-Managerの接続先となる実行環境で実施します。

Management Serverの設定については,「2.1.6 HCSC-Managerを使用するためのManagement Serverの設定」を参照してください。

(c) SOAPモードの設定

HCSCサーバをHAクラスタ構成にする場合,構成する実行環境および運用環境で利用するSOAPモードを合わせる必要があります。異なるSOAPモードの環境は共存できません。

SOAPモードを設定するには,J2EEサーバのコンテナ拡張ライブラリの設定が必要になります。J2EEサーバのコンテナ拡張ライブラリの設定については,「3.1.2(4)(e) コンテナ拡張ライブラリの設定」を参照してください。

(d) HCSCサーバの構成などの設定

HCSCサーバの構成などの実行環境に関する設定を行います。設定する内容と設定方法については,「2.3 実行環境に関する設定」を参照してください。

なお,実行環境に関する設定でHCSCサーバ構成定義ファイル,HCSCサーバセットアップ定義ファイル,およびHCSCサーバランタイム定義ファイルを設定する場合には,次に示す内容に留意してください。これ以外のすべての機能は,実行系と待機系で同じ値を設定してください。

HCSCサーバ構成定義ファイルの設定時の注意事項

HCSCサーバ構成定義ファイルで設定するクラスタ種別には,「HA」を設定してください。

データベースを使用する場合は,HCSCサーバ名をユニークな名称にしてください。

また,非同期サービス(MDB(WS-R))呼び出しをする場合のWebサーバのIPアドレスは,jms-receptionに設定してください。

なお,HCSCサーバ構成定義ファイルに設定する値のうち,次に示す値は実行系と待機系で異なる値を設定する必要があります。

  • Manager名

  • ManagerのIPアドレス

    ManagerのIPアドレスには,実行系・待機系それぞれの物理IPアドレスを指定します。また,運用環境と実行環境を同じマシンに構築する場合は,localhostを指定できます。

上記以外の要素には,実行系と待機系で同じ値を設定します。

次の定義には論理IPアドレスを設定します。

  • soap-receptionの定義のip-address

  • jms-receptionの定義のip-address

  • ejb-receptionの定義のip-address

HCSCサーバ構成定義ファイルの設定方法については,「2.3.1 HCSCサーバ構成定義ファイルを設定する」を参照してください。

HCSCサーバ構成定義ファイルに設定する内容の詳細については,マニュアル「サービスプラットフォーム リファレンス」の「6.4.2 HCSCサーバ構成定義ファイル」を参照してください。

HCSCサーバセットアップ定義ファイルの設定時の注意事項

HCSCサーバセットアップ定義ファイルを設定する場合には,次に示す内容に留意してください。

HCSCサーバセットアップ定義ファイルの設定方法については,「2.3.2 HCSCサーバセットアップ定義ファイルを設定する」を参照してください。

HCSCサーバセットアップ定義ファイルに設定する内容の詳細については,マニュアル「サービスプラットフォーム リファレンス」の「6.4.3 HCSCサーバセットアップ定義ファイル」を参照してください。

実行系と待機系で同じ値を設定するプロパティ

HCSCサーバセットアップ定義ファイルに設定するプロパティのうち,次の表に示すプロパティは実行系と待機系で同じ値を設定する必要があります。なお,naming-service-hostnameは設定する必要はありません。次の表に記載のないIPアドレスには,localhostまたは物理IPアドレスを設定してください。

表2‒23 実行系と待機系で同じ値を設定するプロパティ

同じ値を指定するプロパティ

プロパティに設定する値

db-use

データベースの使用有無

rm-use

Reliable Messagingの使用有無

request-ejb

標準の同期受付(SessionBean)の使用有無

request-soap

標準の同期受付(Webサービス)の使用有無

request-jms

標準の非同期受付(MDB(WS-R))の使用有無

request-jms.maxmessage

標準の非同期受付(MDB(WS-R))のキューの最大メッセージ数

request-dbq

標準の非同期受付(MDB(DBキュー))の使用有無

request-dbq.maxmessage

標準の非同期受付(MDB(DBキュー))のキューの最大メッセージ数

request-jms-rdarea

標準の非同期受付(MDB(WS-R))のRDエリア名

request-dbq-rdarea

標準の非同期受付(MDB(DBキュー))のRDエリア名

request-dbq-maxlen

標準の非同期受付(MDB(DBキュー))の最大メッセージ長

request-userdef-soap

SOAP受付の使用有無

rm-systemname

Reliable Messagingのシステム名

rm-displayname

Reliable Messagingの表示名

dbcon-xadisplayname※1

XATransactionまたはLocalTransaction用DB Connectorの表示名

dbcon-nodisplayname※1

NoTransaction用DB Connectorの表示名

dbtype

使用するデータベース種別

jdbc-type

JDBCドライバ種別

jdbc-url※2

JDBC用データベースURL

jdbc-dbhostname

データベースのホスト名

jdbc-dbconnectinfo

データベースの接続情報

db-character-sets

データベース文字コード種別

db-tbl-split-key

日付データによるテーブルのレンジ分割機能の使用有無

db-tbl-split-corcheck-use

相関セットの重複チェックの強化有無

activitynumber-maximum-compatible

アクティビティインスタンスの識別番号の上限値

注※1

DBコネクタの設定も実行系と待機系で同じにします。

注※2

指定するホスト名には,データベースを格納しているマシンを指定します。

HCSCサーバランタイム定義ファイルの設定時の注意事項

HCSCサーバランタイム定義ファイルを設定する場合,すべてのプロパティで実行系と待機系で同じ値を設定する必要があります。

HCSCサーバランタイム定義ファイルの設定方法については,「2.3.3 HCSCサーバランタイム定義ファイルを設定する」を参照してください。

HCSCサーバランタイム定義ファイルに設定する内容の詳細については,マニュアル「サービスプラットフォーム リファレンス」の「6.5.6 HCSCサーバランタイム定義ファイル」を参照してください。

クラスタを構成するHCSCサーバでJ2EEサーバ名が異なる場合,次のプロパティを追加してください。

  • request-ejb.optional.name=<クラスタ内で共通の同期リクエスタサービス(SessionBean)の別名>

(e) クラスタソフトウェアのインストール

クラスタソフトウェアをインストールします。インストール方法は,利用するクラスタソフトウェアのドキュメントを参照してください。

(2) 運用環境の構築

運用環境は,クラスタを構成するHCSCサーバのマシンに構築します。なお,運用環境と実行環境は1対1で配置することを推奨します。運用環境と実行環境の構成については,「1.2.3 運用環境と実行環境の構成」を参照してください。

運用環境を構築するには,次の作業を実施します。

環境設定

運用環境の環境設定としてリポジトリの設定と環境変数の設定を実施します。

環境設定については,「2.1.3 環境設定」を参照してください。

EclipseへのHCSC-Manager Plug-inの組み込み

EclipseにHCSC-Manager Plug-inを組み込みます。

EclipseへのHCSC-Manager Plug-inの組み込みについては,「2.1.5 EclipseへのHCSC-Manager Plug-inの組み込み」を参照してください。

ユーザ権限などの設定

ユーザ権限などの運用環境に関する設定を行います。設定する内容と設定方法については,「2.4 運用環境に関する設定」を参照してください。

(3) DBサーバの構築

DBサーバは,HAクラスタを構成するHCSCサーバから独立して構築し,実行系および待機系のHCSCサーバで共有します。

DBサーバとして利用するマシンに利用するデータベースをインストールしてください。インストール方法は,利用するデータベースのドキュメントを参照してください。