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JP1 Version 11 JP1/Performance Management - Agent Option for Service Response


13.8.2 PFM - Agent for Service Responseで計測ができない場合

[図データ]

計測結果は,PIレコードの共通フィールドであるリザルトコードの値で確認することができます。リザルトコードの値が0(SUCCESS)でない場合は計測に失敗していることを示しますが,リザルトコードの値で原因の切り分けをすることができます。

また,計測に失敗している場合は,統合トレースログやPL_IESMレコードにもエラーメッセージが出力されることがありますので,リザルトコードとあわせて確認してください。Webトランザクションの計測に限り,Webトランザクションの計測テストコマンド(jpcvtest)を用いて,エラーの内容を確認することもできます。コマンドの詳細については,「11. コマンド」の「jpcvtest(計測テストを実行する)」および「13.2.1 Webトランザクションの計測について」を参照してください。

ここでは,事例が多い計測失敗のケースを,リザルトコードの値ごとに説明します。

ヒント

ここで説明している事例は,IE Recorderで再生できない場合にも該当することがありますので,確認してください。

〈この項の構成〉

(1) リザルトコードの値が1(NETWORK ERROR)の場合[図データ]

監視対象サーバとPFM - Agent for Service Response のホスト間のネットワークまたは監視対象サーバ側の障害などで通信障害が発生し,計測に失敗しています。次の表に示す原因に該当する可能性があります。

表13‒7 リザルトコードの値が1(NETWORK ERROR)の場合の原因

原因

確認内容

対策

監視対象サーバまたはサービスが停止している。

監視対象サーバまたはサービスが稼働しているかを確認します。

監視対象サーバまたはサービスを稼働します。

DNSで名前解決に失敗している。

監視対象のホスト名またはプロキシサーバのホスト名の名前解決ができるか確認します(nslookupでの確認やhostsの確認)。

DNSやhostsで監視対象のホスト名またはプロキシサーバのホスト名の名前解決ができるように設定します。

TCPのコネクションに失敗している。

計測条件登録ファイル(esptask.xml)に設定した次の内容が正しいか確認します。

  • ホスト名

  • ポート番号

  • プロキシサーバのホスト名

計測条件登録ファイル(esptask.xml)の設定を正しい内容に変更します。

監視対象サーバとPFM - Agent for Service Response のホスト間のファイアウォールで通信が遮断されていないか確認します。

ファイアウォールを通信が通過できるように設定します。

監視対象サーバ(中継機器含む)とPFM - Agent for Service Responseのホスト間の通信状態を確認します。

  • 通信の疎通確認(pingなど)

  • 通信の経路確認(tracertなど)

  • 監視対象サービスへの接続確認(telnetなど)

確認内容に従い,監視対象のサーバとPFM - Agent for Service Responseのホスト間の通信状態を確認し,対応します。

TCP接続に時間がかかり,TCP接続に失敗している。

監視対象サーバ(中継機器含む)やPFM - Agent for Service Response のホストの負荷状況を確認します。

監視対象サーバ(中継機器含む)やPFM - Agent for Service Response のホストに負荷がかからないよう,運用を見直します。

ネットワークによる障害については,PFM - Agent for Service Responseで監視対象の追加時や監視中の環境で通信経路の変更時(例えば,プロキシ設定変更,ロードバランサ—の追加など)を契機として発生することが多いため,PFM - Agent for Service Responseと監視対象サーバ間の通信に問題がないか,事前に確認することをお勧めします。

(2) リザルトコードの値が2(TIME OUT)の場合[図データ] [図データ]

PFM - Agent for Service Responseで,計測条件登録ファイル(esptask.xml)に設定したタイムアウト時間以内に処理が完了できなかったため,計測に失敗しています。

表13‒8 リザルトコードの値が2(TIME OUT)の場合の原因

原因

確認内容

対策

監視対象サーバからの応答が指定したタイムアウト時間を超過している。

  • 監視対象サーバまたはネットワークの負荷状況を確認します。

  • 監視対象サービスのログ(Webサーバのログなど)で通信状態を確認します。

  • 計測条件登録ファイル(esptask.xml)に設定したタイムアウト時間が適切な値か確認します。

確認内容に従い,監視対象のサービスや通信状態を確認し,対応します。

計測できないWebページを監視している(IEシナリオ)。

  • 監視できないダイアログを表示するWebページを監視していないか確認します※1

  • 要求したWebページの完了通知がなく,JavaScriptによって自動的に別のWebページに遷移するページとなっていないか確認します※2

IEシナリオの計測で回避する方法はありませんので,Webトランザクションでの計測を検討してください。

なお,Webトランザクションで計測できるかについては,以下に示す注意事項に該当しないか事前に確認してください。

注※1

次に例示するダイアログ(セキュリティダイアログなど)が出力されるページは,IEシナリオで監視することはできません。

IEプローブで計測した場合は,操作できずに待ち状態となり,タイムアウトとして検知されます。

IE Recorderで再生した場合は,タイムアウトがないためダイアログへの操作待ちの状態となり,再生できません。

図13‒1 IEシナリオで監視できないダイアログ

[図データ]

[図データ]

[図データ]

注※2

PFM - Agent for Service Responseは,Webページの表示要求を行い,WebサーバからWebページの完了通知を受け取ることで次の操作を再生します。しかし,要求したWebページの完了通知がなく,JavaScriptによって自動的に別のWebページに遷移するページとなっている場合には,次の操作を行うことができず待ち状態となります。

IEプローブで計測した場合は,タイムアウトとして検知されます。

IE Recorderで再生した場合は,タイムアウトがないためダイアログへの操作待ちの状態となり,再生できません。

なお,画面の表示に時間がかかる場合だけ「Waiting…」のような待ち画面を表示させるようなWebページは,表示時間によってはIE Recorderで再生は成功しますが,IEプローブでの計測時にタイムアウトになることがあります。

次に例示するようなスクリプトの場合が該当します。

<html>
 <body>
  <form name="form1" action="next.html"> 
  <script> document.form1.submit(); </script>
  </form>
 </body>
</html>

(3) リザルトコードの値が3(SERVICE ERROR)の場合 [図データ]

監視対象サーバは正常に動作していますが,監視対象サーバ側に要求した応答が取得できないことで,計測に失敗しています。例えば,監視対象がWebサーバであれば,要求したページやファイルが取得できない場合(HTTP404エラーなど)があります。次の表に示す原因に該当する可能性があります。

表13‒9 リザルトコードの値が3(SERVICE ERROR)の場合の原因

原因

確認内容

対策

認証に関する指定(ユーザ名またはパスワード)に誤りがある。

インターネットサービス監視の場合

計測条件登録ファイル(esptask.xml),パスワードユーティリティ(esppasswdコマンド)で設定した監視対象サービスやプロキシサーバのユーザ名およびパスワードが正しいか確認します。

Webトランザクション監視の場合
  • Webトランザクションファイル,パスワードユーティリティ(esppasswdコマンド)で設定したWeb認証やプロキシサーバのユーザ名およびパスワードが正しいか確認します。

  • Web認証が必要なWebサーバに対してアクセスするステップが複数ある場合には,すべてのステップにWeb認証の設定をしているか確認します。

確認内容に従い,監視対象サービスについて,正しいユーザ名とパスワードを設定します。

監視対象サービスからエラー応答となる。

監視対象サービスのログ(Webサーバのログなど)でエラー内容を確認します。

確認内容に従い,監視対象サービスでエラー内容を対処します。

HTTPS(Webトランザクション含む)の計測でSSL認証が失敗している。

SSL/TLS通信のエラーの確認

PFM - Agent for Service Responseでサポートしている暗号アルゴリズム,SSL/TLS通信プロトコルが監視対象サーバでサポートしているかを確認します。

  • サポートしている暗号アルゴリズム,SSL/TLS通信プロトコルで接続できるように監視対象サーバで対応する。

  • TLSv1.1やTLSv1.2に対応していない監視対象サーバの場合は,PFM - Agent for Service Responseで該当のプロトコルを使用しないように設定する※1

このどちらかで対応できない場合には,PFM - Agent for Service Responseで監視することはできません。

証明書のエラーの確認(サーバ証明書/クライアント証明書共通の確認内容)

インストール先フォルダ\agtv\probe\certに証明書を配置しているかを確認します。

証明書を配置していない場合は配置します※2

PFM - Agent for Service Responseでサポートしているハッシュアルゴリズムを証明書で使用しているかを確認します。

PFM - Agent for Service Responseでサポートしているハッシュアルゴリズムの証明書を使用します※2

  • 自分自身で署名した証明書を使用していないかを確認します。

  • 有効期限切れなど無効な証明書を使用していないかを確認します。

正しい証明書を使用します※2

証明書エラーの確認(クライアント証明書の確認内容)

Base64エンコードのX.509形式のファイルをインストール先フォルダ\agtv\probe\certに配置しているか確認します。

Base64エンコードのX.509形式のファイルを配置していない場合は配置します。

Base64エンコードのX.509形式のファイルに暗号化された秘密鍵が含まれているか確認します。

秘密鍵が含まれていない場合は,秘密鍵を含んでBase64エンコードのX.509形式に変換したファイルを配置します。

クライアント証明書のパスワードとパスワードユーティリティ(esppasswdコマンド)で設定したパスワードが一致しているか確認します。

クライアント証明書のパスワードを確認し,パスワードユーティリティ(esppasswdコマンド)でパスワードを再設定します。

注※1

TLSv1.1やTLSv1.2に対応していないWebサーバについては,PFM - Agent for Service Responseが下位のプロトコルを使用して通信を継続しようとしますが,一部のWebサーバには,下位のプロトコルで再接続できないことがあります。最終的に,WebサーバがPFM - Agent for Service Responseと通信できずに,「SSLハンドシェイクに失敗しました」のエラーになります。

このような場合には,Probe動作条件定義ファイル(esp.conf)の[General]セクションにdisable_ssl_protocolキー値を設定することで回避できる場合があります。詳細は,「表8-3 Generalセクションの定義内容」のdisable_ssl_protocolの説明を参照してください。

注※2

サーバ証明書のエラーが発生した場合に処理を継続しても問題ない場合には,計測条件登録ファイル(esptasl.xml)またはWebトランザクションファイルに<SSL_AUTH_IGNORE>タグを設定することで計測を続行できます。ただし,クライアント証明書でエラーが発生した場合は計測を続行できません。

(4) リザルトコードの値が6(IE SCENARIO REPLAY ERROR)の場合 [図データ]

IEシナリオの監視で,再生を継続できないようなエラーが発生して,計測に失敗しています。原因として考えられる内容については,「5.2.3 IEシナリオに関する注意事項」および「5.2.4 ナビゲーションに関する注意事項」を参照してください。ここでは,よくある事例について,次の表に示します。

表13‒10 リザルトコードの値が6(IE SCENARIO REPLAY ERROR)の場合の原因

原因

確認内容

対策

IEシナリオにないポップアップダイアログが出現する。

Probe 動作条件定義ファイル(esp.conf)の[General]セクションのie_service_flagにYを指定している場合,IE RecorderでIEシナリオを記録した時の計測用アカウントを「Extensible Service IE Probe」サービスのアカウントに設定しているかを確認します。

IE RecorderでIEシナリオを記録した時の計測用アカウントを「Extensible Service IE Probe」サービスのアカウントに設定します。

以下のすべてに該当していないかを確認します。

  • PFM - Agent for Service ResponseのホストでInternet Explorer セキュリティ強化の構成が有効になっている。

  • 監視対象ページがスクリプトやActiveX コントロールを使用している。

  • IE Recorder での再生には成功する(IEプローブでの計測が失敗する)。

5.2.3 (3) 記録・再生に関する注意事項」の34.の記載を参照してください。

Internet Explorerから「このサイトのセキュリティ証明書の取り消し情報は、使用できません。続行しますか?」のセキュリティダイアログが出力される監視対象ページでないかを確認します。

Internet Explorerのインターネットオプションの詳細設定から,「サーバの証明書失効を確認する」のチェックを外します。

IEシナリオにないポップアップダイアログが出現する。

スクリプトエラーが発生している。

監視対象ページがInternet Explorerのバージョンに依存していないかを確認します。

次のどちらかを設定します。

監視対象ページでJavaScriptを使用しているが,Internet Explorerのゾーン設定によりスクリプトの実行が抑止されていないかを確認します。

監視対象ページを信頼済みサイトに登録します。

監視対象ページ側でスクリプトエラーが発生する原因がないかを確認します。

スクリプトエラーが発生しないよう,スクリプトを見直してください。なお,Internet Explorer 設定により,計測できるようになることもあります。詳細は,「5.2.3 (3) 記録・再生に関する注意事項」の4,5の記載を参照してください。

IEシナリオ記録時の操作対象(タグやボタンなど)が見つからない。

監視対象ページがIEシナリオ記録時から変更され,ページ上から操作対象が削除されていないかを確認します(削除されている場合は,記録時の操作を継続することができず,計測に失敗します)。

IEシナリオを変更後の監視対象ページで作成し直します。

5.2.4 (4) ページを変更していないのに「操作対象が見つかりません」エラーになる場合の対処方法」の記載に該当しないかを確認します。

5.2.4 (4) ページを変更していないのに「操作対象が見つかりません」エラーになる場合の対処方法」の記載に従ってください。

その他

5.2.3 IEシナリオに関する注意事項」の記載に該当しないかを確認します。

5.2.3 IEシナリオに関する注意事項」の記載に従ってください。該当の内容によっては,IEシナリオでは計測できないことがあります。この場合は,Webトランザクションでの計測を検討してください。

なお,Webトランザクションで計測できるかどうかについては,以下に示す注意事項に該当しないか事前に確認してください。

(5) リザルトコードの値が7(IE SCENARIO NAVIGATE ERROR)の場合 [図データ]

IEシナリオの再生時に,IE Recorderの操作によって記録されたページ遷移(ナビゲーション)でエラーが発生し,計測に失敗しています。

表13‒11 リザルトコードの値が7(IE SCENARIO NAVIGATE ERROR)の場合の原因

原因

確認内容

対策

Windows(.NET Framework)のブラウザ機能内でエラーが検知された。

PL_IESMレコードに0x800C0005の出力がないか確認します。

0x800C0005 (INET_E_RESOURCE_NOT_FOUND)

「The server or proxy was not found.(サーバもしくはプロキシが見つかりませんでした)」

出力されている場合は,対象のサーバへの通信が到達できていないことが考えられます。監視対象側のサーバや通信経路上のプロキシサーバ等が起動していることを確認してください。

その他

5.2.4 ナビゲーションに関する注意事項」の記載に該当しないか確認します。

5.2.4 ナビゲーションに関する注意事項」の記載に従ってください。該当内容によっては,IEシナリオでは計測できないことがあります。

(6) リザルトコードの値では判断できない場合(計測結果自体がリターンされない場合)

リザルトコードの値では判断できない場合の原因を次の表に示します。

表13‒12 リザルトコードの値では判断できない場合の原因

原因

確認内容

対策

IEシナリオの操作の最後に,ダイアログ出力(自画面を閉じるためのダイアログ表示など)を伴う操作を記録している。

IEシナリオの操作の最後が,ダイアログ出力(自画面を閉じるためのダイアログ表示など)になっていないか確認します。

IEシナリオの最後の操作のあとに,さらに操作(例えば,アドレス入力によるページ遷移など)を追加してください。