6.2.1 C/S構成の環境設定
C/S構成の実行環境を設定するには,ネットワークで各マシンを接続するためのTCP/IP環境の設定が前提となります。
XMAP3をアプリケーションサーバ型C/Sシステム環境で動作させる場合,通信プロトコルとしてTCP/IPを使用するため,あらかじめTCP/IP関連の情報を設定してから,XMAP3の環境を設定します。TCP/IPの設定形式,および設定方法は,各TCP/IPサポートプログラムの方法に従います。なお,クライアントからサーバへの通信でNATなどのIPアドレス変換を伴う環境を使用するには,「6.2.10 NATを利用するC/S構成の設定例」を参照してください。
クライアント数が多数の場合やクライアントの増設時には,これらのTCP/IPの環境設定やXMAP3の環境設定作業を軽減するために「C/Sシステムの通信設定の簡略化機能」が利用できます。詳細については,「11.3.7 C/Sシステムの通信設定の簡略化」を参照してください。
XMAP3サーバをWindowsのサービスとして運用できます。Windowsサービスとして運用すると,サーバのデスクトップ上,またはリモートデスクトップサービスのクライアント上からXMAP3サーバを操作できます。また,1台のサーバマシン上で複数のXMAP3サーバを起動できます。この機能を使用すると,業務ごとにXMAP3サーバを分けて管理できます。このため,1台のサーバまたは台数の少ないサーバ構成で複数の業務を実行する場合に負荷を分散できます。XMAP3サーバをWindowsサービスとして運用する手順については,「11.3.5 Windowsのサービスとして運用する場合のOS設定」を参照してください。
- 〈この項の構成〉
(1) ホスト名とIPアドレスの設定および確認
ネットワークで接続するすべてのサーバおよびWindowsクライアントについて,それぞれのOSに設定されているホスト名,およびIPアドレスを確認し,必要であれば,設定を追加します。
詳細については,「11.2.1 ホスト名とIPアドレスの設定および確認」を参照してください。
(2) TCP/IP関連ファイルの設定および確認
ネットワークで接続するすべてのサーバおよびWindowsクライアントについて,それぞれのマシンに設定されているシステムホスト名ファイル(HOSTSファイル)とシステムサービス名ファイル(SERVICESファイル)を確認し,必要であれば,設定を追加します。
詳細については,「11.2.2 TCP/IP関連ファイルの設定および確認」を参照してください。
(3) 画面表示の環境設定
- Windows版XMAP3の場合
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表示・印刷セットアップを使用して,画面環境を設定します。標準値が設定されているので,変更は不要です。独自の環境にしたい場合に設定を変更してください。
詳細については,「8. 画面に関する環境設定」を参照してください。
- UNIX版XMAP3の場合
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表示・印刷環境ファイルを編集して,表示サービスに関して設定します。
詳細については,「7.2.3 表示・印刷環境ファイル(X3PCONF/XPWconfig)」を参照してください。
(4) 帳票印刷の環境設定
XMAP3の帳票印刷に使用するプリンタが接続されているすべてのマシンで帳票環境を設定します。
帳票環境を設定するには,サービス名とプリンタデバイス名が必要です。
- Windows版XMAP3の場合
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表示・印刷セットアップを使って指定した名称を,C/Sセットアップで再指定する必要があります。サービス名は各Windowsマシンのプリンタ間で重複してはならないため,プリンタ数が多い場合は,先にC/Sセットアップを使ってサーバ上でのC/Sシステム環境の設定を済ませておき,サービス名を確定しておくことをお勧めします。
- UNIX版XMAP3の場合
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環境設定ファイルを直接編集してください。
詳細については,「7. 環境設定ファイルの編集」および「9. 帳票に関する環境設定」を参照してください。
(5) AP実行の環境設定
定義体をAPとは異なるフォルダに格納する場合やグラフィックデータのパスの指定,アプリケーションサーバの設定を有効にするかどうかの指定など,必要に応じてAP環境を設定します。詳細については,「10. AP実行に関する環境設定」を参照してください。
(6) C/Sシステム環境の設定
Windows版XMAP3の場合,C/Sセットアップを使用して,UNIX版XMAP3の場合,直接環境設定ファイルを編集して,C/Sシステム環境を設定します。詳細については,「11. XMAP3サーバ/クライアント利用に関する環境設定」を参照してください。なお,環境設定は,サーバ側で設定します。
このとき,クライアントのホスト名には,「6.2.1(1) ホスト名とIPアドレスの設定および確認」の作業で確認したホスト名を設定してください。
1台のサーバマシン上に複数のXMAP3サーバを起動する場合,サーバ起動ファイル(X3PSERV)を設定します。サーバ起動ファイルは,ファイルを開いてテキストエディタで直接指定してください。詳細については,「7.2.8 サーバ起動ファイル(X3PSERV)」を参照してください。また,業務に合わせてSERVICESファイルのサービス名ごとにサービス名ファイル(X3PHOST)を作成できます。詳細については,「6.2.8 1台のマシン上にXMAP3サーバを複数起動するC/S構成の設定例」を参照してください。
(7) 通信ソケットに遅延抑止オプションを設定
複数台の端末から一斉にXMAP3クライアントを起動した場合に初期画面の起動が遅延するなど,アクセスの状況によってはC/S間の通信が遅延することがあります。このように,送信済みデータが応答待ちの状態になっても,遅延させることなくデータを送信できるように設定できます。この設定では,C/S間で使用する通信ソケット(INETドメイン)に,TCP_NODELAYオプションを使用します。
XMAP3の通信での遅延を抑止するには,アプリケーションを起動する前に,環境変数XMAP3_TCP_NODELAYにONを設定します。環境変数XMAP3_TCP_NODELAYの設定値を次に示します。
- ON
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TCP_NODELAYオプションを有効にします。
- OFF
-
TCP_NODELAYオプションを無効とします(従来の通信)。デフォルトはOFFです。ON以外の値を指定,または環境変数XMAP3_TCP_NODELAYを指定しない場合は,OFFとみなします。
- ポイント
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XMAP3サーバでの設定,XMAP3クライアントでの設定はそれぞれ独立しているため,両方でも片方だけでも設定できます。ただし,XMAP3クライアントの設定では内部的な通信には有効にならないため,XMAP3サーバでの設定をお勧めします。
- 注意事項
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このオプションを使用すると,INETドメイン通信時の送信効率が低下し,ネットワークの負荷が大きくなることがあります。TCP_NODELAYオプションを使用する場合は,ネットワークの帯域などを考慮し,機能の必要性を十分に検討してください。
(8) ローカルコンフィグを利用したときの遅延抑止オプションを設定
XMAP3サーバで,サービス名ファイル(X3PHOST/XPWhosts)に記載したクライアントホスト名がサーバマシンのhostsファイルまたはDNSに設定されていないため名前解決できない場合に,XMAP3クライアント側で設定した表示・印刷環境ファイル(X3PCONF)を有効(ローカルコンフィグを有効)にしておくと,C/S構成の通信に時間が掛かることがあります。
- 参考
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XMAP3クライアントで設定した表示・印刷環境ファイル(X3PCONF)を有効(ローカルコンフィグを有効)になる設定を次に示します。
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表示・印刷セットアップ[アプリケーション1]タブの[C/Sの場合,アプリケーションサーバのセットアップだけが有効]チェックボックスをオフ
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表示・印刷環境ファイル(X3PCONF)のCOCLTCNFオプションにONを設定
ローカルコンフィグを利用する設定については,「10.2.5 C/S構成のクライアント側で,表示・印刷環境ファイルの有効/無効の設定(ローカルコンフィグ)」を参照してください。
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このとき,hostsファイルまたはDNSにホスト名を設定すると,名前解決による遅延を回避できます。しかし,hostsファイルまたはDNSを修正するとシステムに影響する場合は,XMAP3での設定で遅延を回避できます。ローカルコンフィグ時の遅延を抑止するには,環境変数XMAP3_CLTCNF_HOSTにOFFを設定します。
環境変数XMAP3_CLTCNF_HOSTの設定値を次に示します。なお,環境変数XMAP3_CLTCNF_HOSTの設定は,Windows版XMAP3またはAIX版XMAP3の場合に有効です。
- OFF
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エイリアスホスト名の判定を無効にし,遅延を抑止します。
この設定は,次の条件を満たす場合にだけ有効になります。
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ローカルコンフィグが有効である。
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サービス名ファイル(X3PHOST/XPWhosts)にhostsファイルに定義されていないホスト名が定義されている。
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サービス名ファイル(X3PHOST/XPWhosts)にエイリアス名を指定していない。
サービス名ファイル(X3PHOST/XPWhosts)にエイリアス名を指定している場合,XMAP3サーバとXMAP3クライアントが接続できなくなります。
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- ON
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エイリアスホスト名の判定を実行します(従来の通信)。デフォルトはONです。OFF以外の値を指定,または環境変数XMAP3_CLTCNF_HOSTを指定しない場合は,ONとみなします。
- 参考
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ローカルコンフィグ時の遅延が起こった場合,イベントログおよびロギング支援に次に示すメッセージが出力されます。なお,メッセージに出力される行数は,有効行(コメント行や空白行などを除く)の行数を示します。
サービス名ファイルのxx行目に定義されているホスト名(yyy)の情報が取得できません
(9) 通信障害を知らせるダイアログの表示
通信障害が発生したときに,表示していたすべての画面が消えることを防ぐため,UAPと表示サービス間で通信障害を検知したときにエラーダイアログを出力します。エラーダイアログを出力している間は処理中の画面が消去されないようにできます。
通信障害を知らせるダイアログを表示させるようにするには,環境変数XMAP3_DSP_DIALOGにONを設定します。なお,デフォルトはONであるため,環境変数を設定しない場合は,通信障害を知らせるダイアログは表示されます。
- ON
-
通信障害を知らせるダイアログを表示します。
- OFF
-
通信障害を知らせるダイアログを表示されません。
(10) KeepAlive機能
一定時間操作しなかったあとに画面を操作すると,通信エラーになって,表示していた画面が消えることがあります。これを防ぐため,操作していない間も一定間隔で通信するように,UAPで使用するソケットにKeepAliveオプションを指定できます。これは,一定間隔でKeepAliveパケットを送信し,応答がなければ障害と判断しコネクションを切断する機能です。KeepAliveオプションを指定すると,表示・印刷サービスとUAP間のコネクション障害をOSの設定※に従って検出できます。
注※ WindowsおよびUNIXの場合,デフォルトで2時間が設定されます。
また,OSの設定でKeepAliveパケットの送信間隔を変更すると,画面を操作していない間にTCPコネクションが切断されるのを回避できます。
- 注意事項
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OSの設定を変更すると,次に示す影響があります。
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システム全体に影響するため,ほかの製品のKeepAliveオプションにも影響する。
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KeepAliveパケットによって回線の使用量が増加し,ネットワークの負荷が高まる。
そのため,通信がない状態の切断を回避する目的で使用する場合には,これらの影響に対して問題がないか十分に判断してから使用してください。
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KeepAliveパケット送信間隔が,無通信状態の切断タイマより長い場合は,TCPコネクションが先に切断される。
そのため,KeepAliveパケット送信間隔は,切断タイマより短く設定してください。
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ライブラリのKeepAlive機能を使用するには,アプリケーションを起動する前に,サーバ側で環境変数名に「XMAP3_LIB_KEEPALIVE」,値に「ON」を設定します。また,表示サービスのKeepAlive機能を使用するには,表示サービスを起動する前に,クライアント側で環境変数名に「XMAP3_DSP_KEEPALIVE」,値に「ON」を設定します。
環境変数ごとの設定値を次に示します。
- サーバ側で設定する環境変数
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- XMAP3_LIB_KEEPALIVE
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ライブラリのKeepAlive機能の設定です。
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ON
KeepAlive機能を使用します。
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OFF
KeepAlive機能を使用しません。
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- クライアント側で設定する環境変数
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- XMAP3_DSP_KEEPALIVE
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表示サービスのKeepAlive機能の設定です。
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ON
KeepAlive機能を使用します。
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OFF
KeepAlive機能を使用しません。
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