画面・帳票サポートシステム XMAP3 実行ガイド


11.3.7 C/Sシステムの通信設定の簡略化

C/Sシステムの通信設定簡略化機能を使用すると,C/Sセットアップ,またはC/S構成の設定を行うサービス名ファイル(X3PHOST/XPWhosts)で,表示・印刷サービスが動作するクライアントのホスト名の指定を省略できます。これによって,どのクライアントからもXMAP3サーバに接続できるようになり,通信接続形態の自由度が向上します。

さらに,C/Sシステムの通信設定簡略化機能を適用すると,サーバ側のTCP/IP通信設定で,クライアントのホスト名,およびIPアドレスを設定する必要がなくなります。このため,サーバに接続するクライアントのホスト名,およびIPアドレスが変更されても,その変更の影響を受けることなくXMAP3サーバとクライアントを接続できます。

C/Sシステムの通信設定簡略化機能の概要を次の図に示します。

図11‒4 C/Sシステムの通信設定簡略化機能の概要

[図データ]

〈この項の構成〉

(1) 前提条件

C/Sシステムの通信設定簡略化機能を使用するにあたって,前提となる条件を次に示します。

  1. C/Sシステムの通信設定簡略化機能は,サーバおよびクライアントのXMAP3のバージョンが04-00以降の場合のC/S構成で利用できます。

  2. サーバ側で定義した一つの表示・印刷サービス名を利用するクライアントは必ず1台としてください。一つのサービス名を複数のクライアントで利用すると,1台のクライアントが強制終了したあとに,ほかのクライアントから接続できなくなる場合があります。

注※

マシンの強制的なシャットダウン,ネットワークの一時的な瞬断などが発生した場合が考えられます。

(2) 環境設定と利用方法

(a) 利用のための環境設定

Windows版XMAP3の場合

C/Sシステムの通信設定簡略化機能は,[C/Sセットアップ]ダイアログの[C/S構成]タブの「ホスト名を接続時に特定」のチェックをオンにすると利用できるようになります。

UNIX版XMAP3の場合

C/S システムの通信設定簡略化機能は,サービス名ファイル中の通信設定を簡略したい表示・印刷サービスのエントリのホスト名項目に「*」を設定することで利用できます。

(b) 利用方法

C/Sシステムの通信設定簡略化機能を利用する場合は,XMAP3サーバおよびXMAP3クライアントの起動時に,実行時オプションの「/attach」を指定します。指定方法は,「11.4.8 ホスト名を接続時に特定して起動する場合」を参照してください。

(3) C/Sシステムの通信設定簡略化を利用した設定例

C/Sシステムの通信設定簡略化機能を利用した通信設定の例を次の図に示します。

図11‒5 C/Sシステムの通信設定簡略化機能を利用した通信設定の例

[図データ]

この図の設定例について説明します。

  1. サーバマシン(ホスト名Srvhost,IPアドレス xx.xx.xx.xx)では,X3PHOSTでのクライアントホスト名の指定を省略します。また,SERVICESファイルにxpwポート番号(例:8000番)を指定します。HOSTSファイルには,クライアントマシン(ホスト名Client1やClient2)の設定は不要です。

  2. クライアントマシン(ホスト名Client1とClient2)では,SERVICESファイルにxpwポート番号(例:8000番)を指定します。HOSTSファイルには,サーバマシン(ホスト名Srvhost)と自クライアントマシン(ホスト名Client1またはClient2)を指定します。なお,DNS使用時はDNSでホスト名が管理されるため,各マシンでのHOSTSファイルの設定は不要です。

  3. クライアントマシンのXMAP3クライアントの起動引数には,そのクライアントマシンで起動するサービス名(xppDSP01,xppDSP02,またはxppPRT02)を指定します。

(4) DHCPを使用したサーバの一括有効化

C/Sシステムの通信設定簡略化機能をDHCP環境下で使用する場合,サーバの一括有効化を設定できます。サーバの一括有効化は,通信障害などで管理テーブルにサービス情報が残ったとき,一括で情報をクリアする機能です。

表示・印刷環境ファイル(X3PCONF)に次のパラメタを設定します。

表11‒6 サーバの一括有効化の設定項目

パラメタ

表示・印刷環境ファイルでの記述形式

XMAP3サーバの動作

*.CODHCP

*.CODHCP=ON

XMAP3クライアントの起動オプションの指定に関係なく,/dhcpオプションが指定された動作になります。

*.CODHCP=OFF

XMAP3クライアントの起動オプションの指定に従って動作します。省略した場合,またはON/OFF以外の値を設定した場合は,OFFが設定されます。

注※ XMAP3クライアントの起動オプションの指定については,「11.4.8 ホスト名を接続時に特定して起動する場合」を参照してください。

(a) サーバの一括有効化(*.CODHCP)とDHCP環境下で使用するC/Sシステムの通信設定簡略化機能(/dhcpオプション)との組み合わせ

XMAP3サーバの一括有効化(*.CODHCP)と,XMAP3クライアントのDHCP環境下で使用するC/Sシステムの通信設定簡略化機能(/dhcp)を組み合わせた時の動作を次の表に示します。

表11‒7 サーバの一括有効化とDHCP環境下で使用するC/Sシステムの通信設定簡略化機能(/dhcp)を組み合わせた時の動作

Windows版XMAP3 Server Runtimeのサーバの一括有効化(*.CODHCP)の設定

XMAP3 Client RuntimeのDHCP環境下で使用するC/Sシステムの通信設定簡略化機能(/dhcp)の設定

あり

なし

*.CODHCP=ON

/dhcpオプション有効時の動作を行います。

/dhcpオプション有効時の動作を行います。

*.CODHCP=OFF

/dhcpオプション有効時の動作を行います。

サーバおよびクライアントの各機能は動作しません。

注※ 05-16以降に指定できるオプションです。05-15以前は,/dhcpオプションの指定なしの動作となります。

(b) 設定時の注意

  • *.CODHCP」は,表示・印刷サービスごとには設定できません。

  • *.CODHCP」は,XMAP3サーバが起動するPCの設定にだけ有効です。

  • 設定を変更した場合,次にXMAP3サーバを再起動した時点で変更が反映されます。

  • *.CODHCP」は,C/Sシステムの通信設定簡略化機能を利用時に設定してください。

  • *.CODHCP」を複数指定した場合,表示・印刷環境ファイルの最終行に近い行の設定が有効となります。

    例えば,1行目に「CODHCP=ON」,2行目に「CODHCP=HITACHI」を記載したとき,最終行に近い行が不正な値(HITACHI)を指定しているため,デフォルト値の「OFF」が設定されます。

  • XMAP3システム内では,ホスト名を一意になるように設定してください。

(5) XMAP3クライアントがNATを利用する環境にある場合

XMAP3クライアントがプライベートネットワークに配置され,かつクライアントのアドレスがNATで変換される環境で,C/Sシステムの通信設定の簡略化機能を使用したい場合は,表示・印刷環境ファイル(X3PCONF)に次のパラメタを設定します。

表11‒8 XMAP3クライアントがNATを利用する環境にある場合の設定項目

パラメタ

表示・印刷環境ファイルでの記述形式

XMAP3サーバの動作

*.CONAT

*.CONAT=ON

NATを利用する環境でクライアントが起動したC/Sシステムの通信設定の簡略化機能を使用する表示・印刷サービスを使用できます。

*.CONAT=OFF

NATを利用する環境でクライアントが起動したC/Sシステムの通信設定の簡略化機能を使用する表示・印刷サービスを使用できません。省略した場合,またはON/OFF以外の値を設定した場合は,OFFが設定されます。

注※ XMAP3クライアントの起動オプションに「/nat」オプションを指定した場合と同じ動作となります。XMAP3クライアントの起動オプションの指定については,「11.4.8 ホスト名を接続時に特定して起動する場合」を参照してください。

(a) 設定時の注意

  • *.CONAT」は,表示・印刷サービスごとには設定できません。

  • *.CONAT」は,C/Sシステムの通信設定の簡略化機能を設定したサービスにだけ有効です。

  • 設定を変更した場合,次にXMAP3サーバを起動した時点で変更が反映されます。

(6) 注意

C/Sシステムの通信設定を簡略化するときの注意を次に示します。