Hitachi Multi Payment Network communications server for Biller

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4.4.1 通信サーバシステム定義の概要

通信サーバシステム定義は,通信サーバfor Billerの動作を制御するための定義です。通信サーバシステム定義は,テキスト形式の定義ファイルに記述します。

通信サーバシステム定義には,次の種類があります。通信サーバシステム定義の項目は,通信サーバfor Billerが指定する制限内であれば,すべての項目に任意の値を設定できます。

表4-24 通信サーバシステム定義の種類

定義の種類 タグ 説明 省略の有無
共通定義 [COMMON] 通信サーバシステムの共通定義をします。
文字コード変換機能定義 [HMPN/CODE] 通信サーバfor Billerで扱う文字コードセットに関する定義をします。
DB定義 [HMPN/DB] データベースに関する定義をします。
HA定義 [HMPN/HA] 通信サーバfor BillerをHA構成にする場合に定義します。
通信サーバfor Biller共通定義 [HMPN/BL] 通信サーバfor Billerに関する共通定義をします。
通信サーバfor Biller CUP定義 [HMPN/BL/CUP] 業務電文受信CUPに関する定義をします。
障害監視定義 [HMPN/BL/MON] 監視プロセスに関する定義をします。
障害監視対象外ユーザサーバ定義 [HMPN/BL/MON/USERSV] 監視プロセスとユーザサーバの関係の定義をします。
通信サーバfor Biller業務系SPP定義 [HMPN/BL/SRV/(収納機関コード)]※1 収納サービスに関する定義をします。この定義は必ず一つ以上定義してください。
収納業務プログラム共通定義 [HMPN/BL/SRV/(収納機関コード)/COM]※1 収納業務プログラムに関する定義をします。収納業務プログラムを通信サーバfor Billerと同じマシンで運用する場合は,省略できます。
照会収納業務プログラムデフォルト定義 [HMPN/BL/SRV/(収納機関コード)/REF]※1 通信サーバfor Billerの照会SPPが呼び出す収納業務プログラムのSPPに関する定義をします。納付区分ごとに呼び出すSPPを振り分ける場合は,照会収納業務プログラム定義納付区分タグ[HMPN/BL/SRV/(収納機関コード)/REF/(納付区分※2)]に同様の定義をします。※3
消込収納業務プログラムデフォルト定義 [HMPN/BL/SRV/(収納機関コード)/PAY]※1 通信サーバfor Billerの消込SPPが呼び出す収納業務プログラムのSPPに関する定義をします。納付区分ごとに呼び出すSPPを振り分ける場合は,消込収納業務プログラム定義納付区分タグ[HMPN/BL/SRV/(収納機関コード)/PAY/(納付区分※2)]に同様の定義をします。※3
取消収納業務プログラムデフォルト定義 [HMPN/BL/SRV/(収納機関コード)/CAN]※1 通信サーバfor Billerの取消SPPが呼び出す収納業務プログラムのSPPに関する定義をします。納付区分ごとに呼び出すSPPを振り分ける場合は,取消収納業務プログラム定義納付区分タグ[HMPN/BL/SRV/(収納機関コード)/CAN/(納付区分※2)]に同様の定義をします。※3
再送確認収納業務プログラムデフォルト定義 [HMPN/BL/SRV/(収納機関コード)/RESEND]※1 通信サーバfor Billerの再送確認SPPが呼び出す収納業務プログラムのSPPに関する定義をします。納付区分ごとに呼び出すSPPを振り分ける場合は,再送確認収納業務プログラム定義納付区分タグ[HMPN/BL/SRV/(収納機関コード)/RESEND/(納付区分※2)]に同様の定義をします。※3

(凡例)
○:省略できる
−:省略できない

注※1
各収納機関の収納機関コードごとに定義が必要です。

注※2
地方税・地公体料金の場合は,納付区分に,税目・料金番号(3桁)を定義してください。国庫金で収納機関コードが国税庁(00200000)の場合は,納付区分(1〜16桁)を定義してください。

注※3
納付区分ごとに振り分ける場合のタグと,振り分けない場合のタグを両方定義すると,振り分ける場合のタグに定義した内容が優先されます。

これらの定義の構成と特長については,「4.1.1 定義の構成と特長」を参照してください。

なお,通信サーバシステム定義では,次のような運用を決定する機能を定義できます。

<この項の構成>
(1) 納付区分ごとへの電文振り分け機能(地方税・地公体料金,国庫金の場合)
(2) 対象金融機関の仮想店舗機能
(3) システムの連動起動

(1) 納付区分ごとへの電文振り分け機能(地方税・地公体料金,国庫金の場合)

通信サーバfor Billerは,通信サーバシステム定義に定義された各収納機関の各SPPに電文を振り分けます。地方税・地公体料金の場合は,税目・料金番号の種類別に振られた納付区分の各SPPに電文を振り分けます。また,国庫金で収納機関コードが国税庁(00200000)の場合は,納付区分の各SPPに電文を振り分けます。この場合,通信サーバシステム定義の次の定義を指定します。

これらの定義で実現される納付区分ごとへの電文の振り分けの仕組みを次に示します。

図4-6 納付区分ごとへの電文振り分けの仕組み

[図データ]

収納機関コードに加えて,納付区分ごとに電文を振り分けられることで,各収納機関で納付区分に合わせたサービスを提供できます。

各定義項目の詳細については,「4.4.4(11) 照会収納業務プログラムデフォルト定義」,「4.4.4(12) 消込収納業務プログラムデフォルト定義」,「4.4.4(13) 取消収納業務プログラムデフォルト定義」,および「4.4.4(14) 再送確認収納業務プログラムデフォルト定義」を参照してください。

(2) 対象金融機関の仮想店舗機能

通信サーバfor Billerでは,対象金融機関情報格納用テーブル,または国庫金対象金融機関情報格納用テーブルに格納できる金融機関情報について,店舗ごとに収納委託契約がある金融機関に対しては店舗ごとの情報登録,また,すべての店舗に収納委託契約がある金融機関に対しては金融機関ごとの情報登録ができます。

これらは,対象金融機関情報格納用テーブル,または国庫金対象金融機関情報格納用テーブルに格納される,金融機関の店舗コードによって実現できます。店舗ごとの情報登録では,対象金融機関情報格納用テーブル,または国庫金対象金融機関情報格納用テーブルに,金融機関の店舗コードを指定します。一方,金融機関ごとの情報登録では,通信サーバシステム定義で定義した仮想店舗コードを対象金融機関情報格納用テーブルに登録します。登録は金融機関情報の変更コマンド(hmpnbnkctl)で行います。

仮想店舗機能での対象金融機関チェックの流れを次に示します。なお,対象金融機関チェックの概要については,「1.6.3(1) 対象金融機関チェック」を参照してください。

図4-7 仮想店舗機能での対象金融機関チェックの流れ

[図データ]

  1. 収納委託金融機関の店舗が存在するかどうかをチェックする
    MPNセンタから電文を受信したあと,電文の金融機関情報のうち,次の情報を基に,対象の店舗が存在するかどうかをチェックします。
    • 地方税・地公体料金,一般料金の場合
      金融機関コード,店舗コード
    • 国庫金の場合
      歳入代理店金融機関コード,店舗コード
  2. 収納委託金融機関の仮想店舗で処理できるかどうかをチェックする
    対象の店舗からの電文ではなかった場合,通信サーバfor Billerに定義されている仮想店舗コードがDBに登録されている店舗コードと一致するかどうかをチェックします。一致した場合,仮想店舗で処理できると判断します。
  3. 収納委託金融機関の店舗で処理できるかどうかをチェックする
    電文の金融機関情報のうち,次の情報を基に,対象の店舗で処理できるかどうかをチェックします。
    • 地方税・地公体料金の場合
      金融機関コード,店舗コード,チャネル区分,および税目・料金番号
    • 一般料金の場合
      金融機関コード,店舗コード,およびチャネル区分
    • 国庫金の場合
      歳入代理店金融機関コード,店舗コード,チャネル区分,および納付区分
  4. 収納委託金融機関との契約が有効期限内かどうかをチェックする
    最後に,電文の金融機関情報が,有効期限内の情報かどうかをチェックし,MPNセンタに正常応答電文,またはエラー応答電文を送信します。

仮想店舗コードは,次の項目で定義します。

各定義項目の詳細については,「4.4.4(5) 通信サーバfor Biller共通定義」,および「4.4.4(9) 通信サーバfor Biller業務系SPP定義」を参照してください。

注意
MPNセンタからファイル転送で受信した伝送ファイルに対して,消込情報ファイルの変換コマンド(hmpnpayfile)を実行した場合は,伝送ファイル内の金融機関店舗コードがALL0かどうかを確認したあと,対象金融機関について同様の流れでチェックします。この場合,MPNセンタに応答電文を送信するのではなく,変換後の消込情報ファイルにリターン情報を設定します。消込情報ファイルの変換の場合の流れを次に示します。

図4-8 仮想店舗機能での対象金融機関チェックの流れ(消込情報ファイルの変換の場合)

[図データ]
消込情報ファイルの変換については,「8.4.4 消込情報ファイルの変換」を参照してください。

(3) システムの連動起動

収納機関サービスの起動および通信サーバfor Billerの開局は,通信サーバfor Billerの起動と連動して起動・開局できます。連動して起動・開局するためには,定義に自動起動(自動開局)を指定します。

連動起動するために必要な定義について,次に示します。

表4-25 通信サーバfor Billerの起動と連動起動するために必要な定義

連動するプロセス 連動起動するための定義 推奨値
OpenTP1の起動と
通信サーバfor Billerの起動
BL_AUTO_START="AUTO" HA構成の場合:どちらでもよい
クラスタ構成の場合:MANUAL
通信サーバfor Billerと
収納機関サービスの起動
AUTO_START="AUTO" AUTO
通信サーバfor Billerと
通信サーバfor Billerの開局
AUTO_OPEN="AUTO" MANUAL

自動起動(自動開局)の詳細については,「8.2.2 通信サーバfor Billerの起動」,「8.2.3 収納機関サービスの起動」および「8.2.4 通信サーバfor Billerの開局」を参照してください。

なお,各定義については,「4.4.4 通信サーバシステム定義の定義項目」を参照してください。