10.3.1 パフォーマンストレーサーのトレース取得ポイントについて
パフォーマンストレーサーのトレース取得ポイントや取得できる情報について説明します。
PRFトレースとは、Java EEサーバの決まった処理のポイントで出力されるトレース情報のことで、PRFトレース取得レベルを設定することで出力できるバイナリー形式のファイルです。
なお、PRFトレースでは、一連の処理をトレースできるようにするため、イベント単位の一連の処理に一貫したキーを設定して管理しています。イベント内のトレース情報が出力されるポイント(トレース取得ポイント)で出力されるトレースには、キー情報を付加します。キー情報を次の表に示します。
項番 |
PRFトレースのキー情報 |
説明 |
---|---|---|
1 |
ルートアプリケーション情報 |
複数のプロセス間にわたる処理シーケンスで、一意の値として保持しなければならない情報です。 Application Serverがシーケンスの起点であると識別できる個所で、ルートアプリケーション情報を付与します。例えば、アプリケーションクライアントから接続する場合、アプリケーションクライアント開始時に付与し、Webブラウザーなど他のクライアントから接続する場合、Webサーバでのリクエスト受付時に付与します。 |
2 |
クライアントアプリケーション情報 |
クライアント・サーバ間通信の処理のシーケンスで、一意の値として保持しなければならない情報です。 Application Serverがクライアント・サーバ間通信の起点であると識別できる個所で、クライアントアプリケーション情報を付与します。 例えば、Webサービス呼び出し時のHTTP通信、EJB呼び出し時のRMI/IIOP通信などの通信電文の送信処理直前で付与します。 |
Web Serverのログファイル(リクエストログ、アクセスログ)に、ルートアプリケーション情報が出力されるため、Web Serverのログファイルと性能解析トレースファイル※を突き合わせて調査できます。
- 注※
-
PRFトレースをテキスト(CSV)形式に編集したファイルです。
機能レイヤーごとのトレース取得ポイントを次の表に示します。
項番 |
機能レイヤー |
イベントID※ |
---|---|---|
1 |
Webコンテナー |
0xB100〜0xB101 0xB200〜0xB203 |
2 |
EJBコンテナー |
0xB300〜0xB307 0xBB00〜0xBB03 |
3 |
JNDI |
0xB400〜0xB401 |
4 |
JTA |
0xB500〜0xB507 |
5 |
JDBC |
0xB600〜0xB665 |
6 |
JSF |
0xB700〜0xB70D |
7 |
JMS |
0xB800〜0xB81F |
8 |
JAX-RS |
0xB900〜0xB905 |
9 |
JAX-WS |
0xBA00〜0xBA0B |
10 |
Concurrency Utilities |
0xBC00〜0xBC03 |
11 |
WebSocket |
0xBD00〜0xBD47 |
- 注※
-
各処理でのPRFトレースの出力ポイントと位置情報です。
- メモ
-
WebSocketのクライアントエンドポイントを利用したJava EE サーバのプロセス間通信
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クライアントエンドポイントに対するWebSocket通信の送受信や、クライアントエンドポイントからのWebSocket標準API呼び出しに対しては、PRFトレースが出力されません。
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クライアントエンドポイントからサーバエンドポイントに対してアプリケーション情報は引き継がれません。そのため、クライアントエンドポイントがApplication Server内のプロセス(Java EE サーバやアプリケーションクライアント)であっても、プロセス間でアプリケーション情報は紐づけられません。
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