Dynamic Link Manager ユーザーズガイド(Linux®用)

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3.6.7 HDLMのサイレントインストール

HDLMを新規インストール,再インストール,またはアップグレードインストールする場合,サイレントインストールできます。サイレントインストールとは,HDLMのインストール時に応答処理を省略できるインストール方法です。

HDLMをサイレントインストールする手順を,次に説明します。なお,インストール前には前提となる準備が必要です。新規インストール前の準備については「3.6.1 HDLMを新規インストールする前の準備」を参照してください。アップグレードインストールまたは再インストール前の準備については「3.6.4 HDLMを再インストールまたはアップグレードインストールする前の準備」を参照してください。

  1. Linuxに,root権限を持つユーザでログインします。
  2. 次の場合はライセンスキーの準備をします。
    • HDLMを新規インストールする場合
    • ライセンスの期限が切れている状態でHDLMを再インストールまたはアップグレードインストールする場合
    インストール情報設定ファイルでライセンスキーまたはライセンスキーファイルの格納パスを指定する場合は,任意の格納ディレクトリ名およびファイル名を使用できます。なお,指定したライセンスキーまたはライセンスキーファイルはインストール後に削除されません。
    指定方法の詳細は,「7.11.3 インストール情報設定ファイルの編集方法」を参照してください。
  3. DVD-ROMをセットしてマウントします。
    DVD-ROMが自動的にマウントされなかったときは,mountコマンドを実行して決められたマウントポイントにDVD-ROMをマウントします。
    マウントポイントが,/media/cdromの場合のコマンドの実行例を次に示します。
     
    # mount /dev/cdrom /media/cdrom
     
    各ディストリビューションでの決められたマウントポイントを次の表に示します。

    表3-80 各ディストリビューションのマウントポイント

    ディストリビューション マウントポイント
    Red Hat Enterprise Linux 5
    Red Hat Enterprise Linux 6
    Red Hat Enterprise Linux 7
    /media/cdrom
    SUSE LINUX Enterprise Server /media/cdrom
    DVD-ROMが自動的にマウントされた場合は
    /media/ メディアのボリュームID

    注1
    上記以外のマウントポイントにマウントした場合,HDLMをインストールできません。

    注2
    DVD-ROMの内容をコピーし,コピー先のディレクトリからインストールする場合,上記に示すマウントポイントと同じ名称のディレクトリに,DVD-ROMの内容をそのままコピーしてください。ファイルのパーミッションやディレクトリ構成が異なると,HDLMをインストールできません。

    注※
    ISO-9660ファイルシステムでフォーマットされたメディア(CD-ROMなど)のボリューム名のことです。メディアのボリュームIDは,volnameコマンドで確認してください。
    メディアのボリュームIDが「VOL01234」の場合の実行例を次に示します。
    # volname /dev/cdrom
    VOL01234
     
  4. HDLMのバージョンを確認します。
    HDLMのDVD-ROMに格納されているinstallux.shまたはHDLMインストールユティリティ(installhdlm)を実行して,インストールするHDLMのバージョンを確認します。
    DVD-ROMのマウントポイントが,/media/cdromの場合のコマンドの実行例を次に示します。
    • installux.shを実行する場合
      # /media/cdrom/installux.sh -v
      
    • installhdlmユティリティを実行する場合
      # /media/cdrom/HDLM_Linux/installhdlm -v
      
    コマンドの実行結果を次に示します。「x.x.x-xx」の部分がHDLMのバージョンです。
     
    KAPL09177-I HDLM version: x.x.x-xx
     
  5. インストール情報設定ファイルを作成します。
    インストールしたい設定に従って,インストール情報設定ファイルを編集してください。インストール情報設定ファイルで設定しなかった各種設定については,必要に応じてHDLMをインストールしたあとに設定してください。
    サンプルファイルを使用する場合は,DVD-ROMから任意のディレクトリにコピーしてください。なお,サンプルファイルは任意のファイル名に変更できます。
    DVD-ROMのマウントポイントが,/media/cdromの場合のインストール実行例を次に示します。
    # cp -p /media/cdrom/HDLM_Linux/config/sample_installhdlm.conf /任意のディレクトリ/任意のファイル名
    
    インストール情報設定ファイルの編集方法については,「7.11.3 インストール情報設定ファイルの編集方法」を参照してください。
  6. インストールを実行します。
    HDLMのDVD-ROMに格納されているinstallux.shまたはinstallhdlmユティリティを指定して,インストールを実行します。
    DVD-ROMのマウントポイントが,/media/cdromの場合のインストール実行例を次に示します。
    • installux.shを実行する場合
      # /media/cdrom/installux.sh -f / 任意のディレクトリ / インストール情報設定ファイル
      
    • installhdlmユティリティを実行する場合
      # /media/cdrom/HDLM_Linux/installhdlm -f / 任意のディレクトリ / インストール情報設定ファイル
      
    なお,手順5のインストール情報設定ファイルの編集で,ホストの再起動を指定している場合は,自動でホストが再起動されます。
  7. HDLMがインストールされていることを確認します。
    次に示すコマンドを実行して,インストールされたパッケージの詳細情報を表示します。
     
    # rpm -qi HDLM
    Name        : HDLM
    Version     : x.x.x.x.xxx
    Release     : xx  
         :
     
    Version」に「x.x.x.x.xxx」が表示されていれば,正しいバージョンがインストールされています。x.x.x.x.xxxにはインストールされたHDLMのバージョンが表示されます。
  8. HDLMのドライバオプションを設定する場合はHDLMドライバオプション設定ユティリティ(dlmsetopt)を実行します。
    詳細については「7.7 dlmsetopt HDLMドライバオプション設定ユティリティ」を参照してください。
  9. rootユーザが使用するシェルの環境設定ファイルのPATH環境変数に,/opt/DynamicLinkManager/binを追加します。
    rootユーザの環境設定ファイルのPATH環境変数に,次の記述を追加します。これによって,HDLMコマンドやHDLMユティリティを簡潔に実行できます。

    BourneAgainシェル,またはKornシェルを使用している場合
    PATH=$PATH:/opt/DynamicLinkManager/bin ; export PATH

    Cシェルを使用している場合
    set path= ( $path /opt/DynamicLinkManager/bin )
    PATH環境変数を設定しない場合は,絶対パスを指定してコマンドやユティリティを実行してください。
  10. 3.6.1 HDLMを新規インストールする前の準備」の「(1) HDLM管理対象予定のデバイスへの操作」で/etc/fstabファイルを編集した場合は,次に示す行を追加してSCSIデバイス指定からHDLMデバイス指定に変更します。
    なお,SCSIデバイスに対して「LABEL=」または「UUID=」を付けるLinuxの機能は,HDLMではサポートしていません。この機能は,使用しないでください。
    /etc/fstabファイルの編集例を次に示します。
    [図]
    図に示した網掛けの行を追加します。
  11. LUKSの使用に必要な設定をします。
    ホストのOSでLUKSを使用する場合に設定します。また,LUKSの設定をしたSCSIデバイスをHDLMで管理する場合は,LUKSの設定をSCSIデバイスからHDLMデバイスに移行する必要があります。
    LUKSの設定については,「3.8 LUKSの設定」を参照してください。
  12. mdデバイスの使用に必要な設定をします。
    mdデバイスを使用する場合は,マルチパス環境でmdデバイスを作成してください。
    mdデバイスの設定については,「3.9 mdデバイスの設定」を参照してください。
  13. ボリューム管理ソフトウェアの使用に必要な設定をします。
    3.6.4 HDLMを再インストールまたはアップグレードインストールする前の準備」の「(3) ボリュームグループの非活性化」を実行した場合は,次の手順を実行してボリュームグループを活性化してください。

    手順5のインストール情報設定ファイルの編集で,ホストの再起動を指定していない場合
    手順14に進んでください。

    手順5のインストール情報設定ファイルの編集で,ホストの再起動を指定している場合
    手順15に進んでください。
    ボリューム管理ソフトウェアを使用しない場合は,手順17に進んでください。
    その他のボリューム管理ソフトウェアの設定については,「3.10 LVM2の設定」を参照してください。
  14. ボリュームグループを活性化します。
    HDLMデバイス上の論理ボリュームが,vg01(ボリュームグループ)に属している場合の実行例を次に示します。
    # vgchange -ay vg01
    vgchange -- volume group "vg01" successfully activated
    
  15. HDLMデバイス上の論理ボリュームをマウントします。
    論理ボリュームが/dev/vg01/lvol1で,これを/mnt/lvol1にマウントする場合の実行例を次に示します。
    # mount /dev/vg01/lvol1 /mnt/lvol1
    
  16. 仮想環境の使用に必要な設定をします。
    Xenを使用する場合は,domainUでHDLMデバイスを使用するように設定します。KVMを使用する場合は,HDLMデバイスをハードウェア設定ファイルに登録します。
    HDLMがサポートする仮想環境の動作環境は,「3.1.18 HDLMがサポートする仮想環境」を参照してください。仮想環境の設定については,「3.11 Xenの設定」または「3.12 KVMの設定」を参照してください。
  17. クラスタ構成での運用に必要な設定をします。
    クラスタ構成の場合,クラスタで指定されているSCSIデバイスの論理デバイスファイル名を,HDLMデバイスの論理デバイスファイル名に書き換えます。
    クラスタソフトウェアの設定については,「3.13 CLUSTERPROの設定」,「3.14 Heartbeatの設定」,「3.15 Oracle RACの設定」,「3.16 RHCMの設定」,または「3.17 VCSの設定」を参照してください。

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