JP1/Integrated Management - Manager システム構築・運用ガイド
JP1/IMの統合コンソールは,システムで発生した重要な事象,例えばネットワークトラブルやマシンダウンなどを,JP1イベントによって集中監視します。
図3-3 [イベントコンソール]画面によるJP1イベント監視
[イベントコンソール]画面には,JP1イベントが一覧で表示されます。JP1イベントはJP1/Baseによって管理され,JP1/IMのさまざまな機能によって,最適に参照できます。JP1/IMの機能については,以降で説明します。
- 参考
- JP1/IMでの参照時には,JP1イベントの属性の一つである重大度にアイコンを付加して,ビジュアルに識別できるようになっています。
- JP1イベントの重大度には「
緊急」「
警戒」「
致命的」「
エラー」「
警告」「
通知」「
情報」,および「
デバッグ」があります。
- <この項の構成>
- (1) 統合コンソールによる監視
- (2) JP1イベント監視の処理の流れ
- (3) JP1/IM - Manager内部のJP1イベント制御の仕組み
(1) 統合コンソールによる監視
統合コンソールでは,各エージェントホストで発生したJP1イベントを,管理が必要なものをフィルタリングした上で,マネージャーホストへ転送して集中的に管理しています。
図3-4 統合コンソールによるJP1イベント監視の概要
[イベントコンソール]画面では,JP1イベントを時系列に表示します。用途によって,次の3種類のページがあり,タブを選択することで表示を切り替えられます。なお,JP1/IM - ViewでJP1イベントを表示するまでの途中の処理で,フィルタリングの機能によってJP1イベントが選択されている場合があります。これについては,次の「3.2.2 JP1イベントのフィルタリング」で説明します。
また,JP1/IM - ViewでJP1イベントを表示するまでの途中の処理で,繰り返しイベントの集約表示機能によって,JP1イベントが集約表示されている場合があります。これについては,「3.2.4 繰り返しイベントの集約表示」で説明します。
- [イベント監視]ページ
- JP1イベントを,発生した順序で表示するページです。システムで発生している事象を,時系列に見るときに用います。
- 表示されるJP1イベントは,イベントサービス,イベントフロー制御サービス,イベントコンソールサービスの順に渡されたものです。
- なお,[イベント監視]ページには,表示フィルターという機能がついており,表示イベントをフィルタリングできます。
- また,[イベント監視]ページでは,繰り返しイベントの集約表示機能を使用して,短時間に大量に発生した同一内容のイベントを一つにまとめて表示できます。
- [重要イベント]ページ
- 重要イベントとして定義したJP1イベントだけを表示するページです。
- 重要イベントとは,障害などの管理が必要なJP1イベントのことです。デフォルトでは,重大度が「緊急(Emergency)」「警戒(Alert)」「致命的(Critical)」「エラー(Error)」のJP1イベントが重要イベントとして定義されています。
- 重要イベントが発生すると,JP1/IM - Viewのアラームランプが点滅し,ユーザーに重要イベントが発生したことを通知してくれます。
- なお,[重要イベント]ページでは,繰り返しイベントの集約表示機能を使用して,短時間に大量に発生した同一内容のイベントを一つにまとめて表示できます。
- [イベント検索]ページ
- JP1/IM - Viewから各ホストにイベント検索をしたときの結果を表示するページです。
- JP1/IMでは,マネージャーへ重要なイベントだけを転送するため,通常のイベントを含むJP1イベントを参照したいときは,イベント検索を使います。例えば,障害のJP1イベントの前後の時間に発生したイベントをすべて検索し,障害時の状況を確認するなどに使います。
- また,JP1/IM - Viewのバッファーから消えてしまった,古いイベントを表示したいときに使います。
- 概要については,「3.2.5 イベント検索」を参照してください。
また,上記3画面に表示されるJP1イベントに対してできる操作・設定を次に示します。
- JP1イベントの詳細表示
JP1イベントの詳細な属性情報を表示できます。また,選択したJP1イベントにあらかじめイベントガイド情報が登録されている場合,対処手順などの運用ノウハウを表示できます。
- 連携製品のモニター起動
JP1イベントに対応した連携製品の画面をモニター起動できます。
- 自動アクションの実行結果表示
JP1イベントに対して自動アクションが実行されていた場合,その自動アクションの実行結果を表示できます。
なお,[イベント検索]ページでは,自動アクションの実行結果は表示できません。
- JP1イベントの表示項目の変更
[イベントコンソール]画面にはJP1イベントの情報として,以下の情報を表示できます。
- デフォルトで表示される項目:
- 重大度,登録時刻,登録ホスト名,ユーザー名,イベントID,メッセージ,オブジェクトタイプ,アクション
これらの情報は,ユーザーの目的に沿って表示項目,表示順序を変更できます。
- デフォルトで表示されない項目:
- 開始時刻,終了時刻,プロダクト名,オブジェクト名,登録名タイプ,登録名,到着時刻,事象種別,イベントDB内通し番号,発行元プロセスID,発行元ユーザーID,発行元グループID,発行元ユーザー名,発行元グループ名,発行元イベントDB内通し番号,種別,アクション種別
補足
- JP1イベントの情報として表示されるものには,上記したもの以外にJP1イベントの「対処状況」も表示されます。これは,[イベントコンソール]画面の表示項目の左端に必ず表示されます。
- 上記表示項目にない情報,例えばJP1イベントの固有情報を[イベントコンソール]画面に表示したい場合,上記表示項目と表示したい固有情報をマッピング定義することで表示できます。
なお,この場合,表示情報の先頭に「#」が付くようになります。
- JP1イベントへの対処状況設定
JP1イベントに対してユーザーが対処状況を設定できます。対処の進み具合など,ユーザーの運用に合わせて「対処済」「処理中」「保留」および「未対処」の四つの対処状況を使い分けられます。ユーザーが設定した対処状況は,[イベント監視]ページ,[重要イベント]ページ,および[イベント検索]ページで確認でき,対処状況は,アイコンで表示されます。
なお,各ページで設定できる対処状況の種類および表示が異なります。各ページでの違いを次の表に示します。
表3-7 対処状況の設定に関連する各ページでの違い
ページ名 対処状況の種類 1回に設定できるイベント数 他ページへの設定反映契機※2 [イベント監視] 対処済・処理中・保留・未対処 複数 自動更新 [重要イベント] 対処済・処理中・保留・未対処・削除※1 複数 自動更新 [イベント検索] 対処済・処理中・保留・未対処 複数 再検索実行後 注※1 [重要イベント]ページで「削除」を設定すると,そのJP1イベントは[重要イベント]ページ上で非表示となります。イベントDBからは削除されていないため,[重要イベント]ページで削除したイベントはほかのページで表示されることがあり,対処状況を設定できます。
注※2 各ページで対処状況が設定されると,[イベント監視]ページまたは[重要イベント]ページでは,対処状況の反映時期は自動更新による画面更新時([ユーザー環境設定]画面−[表示内容の自動更新]で「する」にチェックしている場合),メニューの[表示]−[最新情報に更新]を選択したとき,または[最新情報に更新]ボタンを押したときとなります。[イベント検索]ページでは,最新情報を取得するために,再度検索を実行する必要があります。
- (備考)
対処状況は,[イベントコンソール]画面から呼び出せる[関連イベント一覧]画面でも設定できます。設定できる対処状況の種類および表示は,呼び出し元のページと同様の内容となります。
- [イベント監視]ページが呼び出し元だった場合は[イベント監視]ページと同様
- [重要イベント]ページが呼び出し元だった場合は[重要イベント]ページと同様
- [イベント検索]ページが呼び出し元だった場合は[イベント検索]ページと同様
また,対処操作の履歴を残すため,対処状況の変更にあわせてJP1イベントを発行することもできます。
- JP1イベントの背景色設定
[イベントコンソール]画面に表示されるJP1イベントに背景色を付けることができます(デフォルトは背景色なし)。背景色の設定をした場合,[イベントコンソール]画面の各ページに表示されるJP1イベントは,それぞれ次のようになります。
- [イベント監視]ページ:重大度に対応して背景に色が付く。
- [重要イベント]ページ:背景に色は付かない。
- [イベント検索]ページ:重大度に対応して背景に色が付く。
(2) JP1イベント監視の処理の流れ
エージェントホストで発行したJP1イベントを,ビューアーホストの画面に表示するまでの処理の流れを例に,イベント監視で使用するJP1/IM,JP1/Baseの機能連携について説明します。
図3-5 JP1イベント監視の処理の流れ
図中の番号に従って説明します(図中の丸付き番号は,次に示す番号にそれぞれ対応しています)。
- エージェントホスト上でJP1イベントが発生し,イベントサービスに登録されます。
- イベントサービスに登録されたJP1イベントは,構成管理の定義に従って上位ホストに転送され,マネージャー上のイベントサービスに登録されます。
- 登録されたJP1イベントの情報をイベントフロー制御サービスが取得します。
- イベントコンソールサービスは,イベントフロー制御サービスからJP1イベントの情報を取得します。
- ビューアーホストの画面から,イベントコンソールサービスが取得したJP1イベントを監視します。
イベントサービスについては,「3.6.1 JP1イベントの管理」を,構成管理については,「3.6.2 JP1/IMシステムの構成管理」を,イベントフロー制御サービスについては(3)を参照してください。
(3) JP1/IM - Manager内部のJP1イベント制御の仕組み
JP1/IM - Managerでは,同ホスト上のJP1/BaseのイベントDBからJP1イベントを取得し,その情報に基づいて各種処理が実行されます。
JP1/BaseのイベントDBからJP1イベントを取得するのは,次の図に示すように,JP1/IM - Manager内のイベントフロー制御サービス,相関イベント発行サービス,インシデント登録サービスの三つです。
図3-6 JP1/IM - Manager内部のJP1イベント制御の仕組み
これら三つのサービスが取得したJP1イベントは,設定した条件に合わせてフィルター(イベント取得フィルター)をかけられ,各種処理が実行されます。
- イベントフロー制御サービスのJP1イベント取得後の処理
- イベントコンソールサービス,自動アクションサービス,セントラルスコープサービスの三つのサービスにJP1イベントを送信します。これら三つのサービスは,送信されたJP1イベントを基に各種処理(JP1/IM - Viewへの表示制御や自動アクション)を実行します。
- なお,イベントフロー制御サービスのJP1イベントの取得処理・送信処理(イベントDBから取得するJP1イベントのイベント取得開始位置の変更,送信タイムアウト・リトライなど)は,jcoimdefコマンドで調整できます。詳細は,マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager リファレンス jcoimdef」(2. コマンド)を参照してください。
- 相関イベント発行サービスのJP1イベント取得後の処理
- 相関イベント発行定義に従い,相関イベントの発行処理を行います。詳細は「3.2.3 相関イベントの発行」を参照してください。
- インシデント登録サービスのJP1イベント取得後の処理
- インシデント登録定義に従い,インシデントの登録処理を行います。詳細は「4.1 JP1/IM - Incident Masterとの連携」を参照してください。
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