JP1/Integrated Management - Manager システム構築・運用ガイド

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3.2.3 相関イベントの発行

JP1/IMは,関連性を持つJP1イベントが発行されたときに,新しいJP1イベントを発行できます。これを相関イベントといいます。JP1イベント同士の関連づけや発行する相関イベントについては,相関イベント発行定義としてユーザーが定義できます。

また,相関イベントの発行契機となった関連性を持つJP1イベントを,相関元イベントと呼びます。相関元イベントとするJP1イベントは,複数件にすることも,1件だけにすることもできます。

例えば,クラスタリングしているWebサーバをJP1/IMによって管理していたとします。Webサーバの実行系および待機系の2台のマシンで,連続して障害が発生した場合,Webサーバの提供しているサービスが停止します。このとき,実行系の障害発生を通知するJP1イベント,および待機系の障害発生を通知するJP1イベントを関連づけ,相関イベントとして発行すれば,障害対処が迅速になります。

次の図に相関イベント相関イベント発行定義および相関元イベントの関係について,上記のWebサーバの例を用いて示します。

図3-10 相関イベント,相関イベント発行定義および相関元イベントの関係

[図データ]

実行系および待機系のWebサーバから発行されたJP1イベントが,マネージャーホストに通知されます。相関イベント発行定義に従い,二つのJP1イベントが関連づけされ,相関イベントが発行されます。相関イベントの発行契機となったJP1イベントを相関元イベントといいます。

 

JP1/IM - Managerは,JP1/BaseのイベントDBに登録されたJP1イベントをイベント取得フィルターを通して取得します。そのあと,相関イベント発行定義に定義された発行条件に従って相関イベントを発行します。発行された相関イベントは,JP1/BaseのイベントDBに登録されます。これを相関イベントの発行処理といいます。

相関イベントの発行処理の概要を次の図に示します。

図3-11 相関イベントの発行処理の概要

[図データ]

次からは相関イベント発行の機能全般について説明します。

<この項の構成>
(1) 相関イベント発行の仕組み
(2) 相関イベントの発行定義
(3) 相関イベント発行サービスの状態遷移と稼働設定
(4) 相関イベント発行履歴ファイルの内容
(5) 相関イベントの発行処理の対象となるJP1イベント
(6) 相関イベント発行が成立する条件
(7) 相関イベント発行が成立しない条件
(8) 発行される相関イベント

(1) 相関イベント発行の仕組み

相関イベントの発行は,JP1/IM - Managerのプロセスの一つ「相関イベント発行サービス」によって行われます。相関イベント発行サービスの位置を図で表すと次のようになります。

図3-12 相関イベント発行サービスの位置

[図データ]

図からわかるように,JP1/IM - Managerの内部コンポーネントであるJP1/IM - Central Consoleの一プロセスとして動作します。

(a) 相関イベント発行サービスの起動時の処理

JP1/IM - Managerを起動すると,相関イベント発行サービスがプロセス管理によって起動されます。起動と同時に相関イベント発行定義を読み込み,相関イベントの発行処理の準備をします。

相関イベント発行サービスの起動時の処理を次の図に示します。

図3-13 相関イベント発行サービスの起動時の処理

[図データ]

図中の番号に従って説明します(図中の丸付き番号は,次に示す番号にそれぞれ対応しています)。

  1. 相関イベント発行サービスが,プロセス管理によって起動される。
    相関イベント発行サービスは,JP1/IM - Managerのほかのプロセスと同様にプロセス管理によって起動および停止されます。なお,相関イベント発行サービスはデフォルトでは起動しません。jcoimdefコマンドで起動するよう設定しておく必要があります。
  2. 相関イベント発行サービスが,内部で保持している相関イベント発行定義を読み込む。
    相関イベント発行サービスは,内部で保持している相関イベント発行定義に従って動作します。このため,相関イベント発行定義ファイルを編集しても,jcoegschangeコマンドを使用して反映するまでは相関イベント発行サービスの動作は変わりません。
    なお,相関イベント発行定義は,デフォルトでは定義されていません。相関イベントを発行するには,相関イベント発行定義ファイルを編集して,jcoegschangeコマンドで反映する必要があります。

 

参考
相関イベント発行定義を変更したい場合,jcoegschangeコマンドを使用します。
相関イベント発行サービスが起動している場合,使用している相関イベント発行定義を更新できます。停止している場合は,次回の起動時から使用する相関イベント発行定義を更新できます。
ただし,相関イベント発行サービスの起動処理中や停止処理中の場合は,相関イベント発行定義は更新できません。

(b) 相関イベント発行サービス起動後のJP1イベント取得処理

相関イベント発行サービスは,起動後にイベントDBからJP1イベントを取得します。

JP1イベントの取得方法には,coldスタートおよびwarmスタートの2種類があります。これらを総称して,起動オプションといいます。起動オプションについて,次の表で説明します。

表3-8 起動オプションの説明

起動オプション 説明
coldスタート 相関イベント発行サービスの起動後にイベントDBに登録されたJP1イベントから取得を開始します。
なお,デフォルトの設定はcoldスタートです。
warmスタート 相関イベント発行サービスの前回の停止時に取得を終えていたJP1イベントの次に,イベントDBに登録されたJP1イベントから取得を開始します。

coldスタートとwarmスタートのそれぞれの場合で,JP1イベントの取得開始の違いを次の図に示します。

図3-14 JP1イベントの取得開始の違い

[図データ]

相関イベント発行サービスの停止時にイベントZまで取得していた場合,warmスタートでは,イベントZの次に登録されたイベントAから取得を開始します。coldスタートでは,相関イベント発行サービスの起動後に登録されたイベントCから取得を開始します。

相関イベント発行サービスは,デフォルトではcoldスタートで起動します。通常はcoldスタートのままで使用できます。相関イベント発行サービスが停止していた間に発行されたJP1イベントも取得対象にしたい場合は,warmスタートに変更してください。

JP1/IM - Managerをクラスタシステムで運用する場合,warmスタートに変更することをお勧めします。coldスタートの場合は,JP1/IM - Managerのフェールオーバー中に発行されたJP1イベントは取得の対象になりません。

なお,相関イベント発行サービスが取得するJP1イベントは,イベント取得フィルターでフィルタリングされたJP1イベントです。イベント取得フィルターの詳細については,「3.2.2 JP1イベントのフィルタリング」を参照してください。

cold,warmそれぞれを指定した場合の相関イベントの発行処理を次の図に示します。

図3-15 相関イベント発行サービスの停止時および起動時の発行処理

[図データ]

相関イベント発行サービスの停止時の設定がcoldで,相関イベント発行サービスの起動時の設定がcoldの場合

相関イベント発行サービス停止時の動作
  • 発行処理の対象であるJP1イベントの情報をすべて破棄して,処理を終了します。
  • 相関イベント発行履歴ファイルに処理内容を出力します。

相関イベント発行サービス起動後の動作
  • 相関イベント発行サービス起動後に登録されたJP1イベントから取得を開始します。
  • 相関イベント発行定義を読み込み,定義に従って発行処理を開始します。

相関イベント発行サービスの停止時の設定がcoldで,相関イベント発行サービスの起動時の設定がwarmの場合

相関イベント発行サービス停止時の動作
  • 発行処理の対象であるJP1イベントの情報をすべて破棄して,処理を終了します。
  • 相関イベント発行履歴ファイルに処理内容を出力します。

相関イベント発行サービス起動後の動作
  • 前回の停止時に取得を終えていたJP1イベントの次のJP1イベントから取得を開始します。
  • 相関イベント発行定義を再読み込みし,定義に従って発行処理を開始します。

相関イベント発行サービスの停止時の設定がwarmで,相関イベント発行サービスの起動時の設定がcoldの場合

相関イベント発行サービス停止時の動作
  • 発行処理中のJP1イベントの情報,発行処理の内容,および相関イベント発行定義の内容を内部ログに出力して,処理状態を保持します。
  • 相関イベント発行履歴ファイルに処理内容を出力します。

相関イベント発行サービス起動後の動作
  • 前回停止時に発行処理中のJP1イベントがあった場合,それらのJP1イベントの情報をすべて破棄します。
  • 相関イベント発行サービス起動後に登録されたJP1イベントから取得を開始します。
  • 相関イベント発行定義を読み込み,定義に従って発行処理を開始します。

相関イベント発行サービスの停止時の設定がwarmで,相関イベント発行サービスの起動時の設定がwarmの場合

相関イベント発行サービス停止時の動作
  • 発行処理中のJP1イベントの情報,発行処理の内容,および相関イベント発行定義の内容を内部ログに出力して,処理状態を保持します。
  • 相関イベント発行履歴ファイルに処理内容を出力します。

相関イベント発行サービス起動後の動作
  • 前回の停止時に取得を終えていたJP1イベントの次のJP1イベントから取得を開始します。
  • 相関イベント発行定義を再読み込みし,定義に従って発行処理を開始します。
  • 内部ログを参照し,前回停止時に発行処理中のJP1イベントがあった場合,その続きから発行処理を継続します。
    ただし,相関イベント発行サービスの停止から起動する間に相関イベント発行定義が変更されていた場合は,それらのJP1イベントの情報をすべて破棄します(coldスタートと同様に動作します)。

 

注意
相関イベント発行サービスが異常終了した場合,発行処理中のJP1イベントの情報を保持できないため,次回の起動時はcoldスタートと同様に動作します。停止時に発行処理中だったJP1イベントの情報は破棄され,相関イベント発行サービスの起動後に登録されたJP1イベントから取得が開始されます。
相関イベント発行サービスの異常終了とは,次のような場合です。
  • 相関イベント発行サービスのプロセスが強制終了(kill)された場合
  • jcogencoreコマンドを実行してプロセスを強制終了した場合
  • システムの電源が強制的に切られた場合

(c) JP1イベント取得後の相関イベント発行処理

JP1イベント取得後の相関イベントの発行処理について次の図に示します。

図3-16 JP1イベント取得後の相関イベントの発行処理

[図データ]

相関イベント発行条件にイベント条件を一つだけ定義した場合,イベント条件に一致するJP1イベントが発行された時点で,相関イベントを発行します。

相関イベント発行条件にイベント条件を複数定義した場合は,一つのイベント条件に一致するJP1イベントが発行されたあと,ほかのイベント条件に一致するJP1イベントが発行された時点で相関イベントを発行します。ほかのイベント条件に一致するJP1イベントがタイムアウト時間内に発行されなかった場合は,相関イベントは発行されません。

注※ JP1イベントの基本属性の一つ,到着時刻が起点となります。

ポイント
イベント条件を複数定義した場合には,順序性,組み合わせ,またはしきい値の三つのイベント相関タイプを選択できます。
  • 「順序性(sequence)」はJP1イベントの発生順序を考慮して発行処理を開始します。上記図の発行条件2でイベント相関タイプに「順序性(sequence)」を設定した場合,イベント条件1が成立するまでイベント条件2の処理は開始されません。
  • 「組み合わせ(combination)」は上記図の発行条件2に指定されているイベント相関タイプです。イベント条件1,イベント条件2の発生順序を考慮せず,発行処理を開始します。
  • 「しきい値(threshold)」は定義したイベント条件に合致するJP1イベントの発行数がしきい値に達したときに相関イベントを発行します。

相関イベントの発行処理の内容は,すべて相関イベント発行履歴ファイルに出力および保存されるため,必要に応じて参照できます。相関イベント発行履歴ファイルについては,「3.2.3 (4) 相関イベント発行履歴ファイルの内容」を参照してください。

(2) 相関イベントの発行定義

相関イベントを発行するためには,相関イベント発行定義を定義します。

相関イベント発行定義は,複数の相関イベント発行条件で構成されます。また,1件の相関イベント発行条件は,幾つかの項目によって構成されます。

相関イベント発行定義の構成を次の図に示します。

図3-17 相関イベント発行定義の構成

[図データ]

相関イベント発行定義は,相関イベント発行定義ファイルで定義します。次からの説明では,相関イベント発行条件に定義する各項目の意味と使い方について説明します。項目の指定方法や入力規則・制限などの詳細については,マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager リファレンス 相関イベント発行定義ファイル」(3. 定義ファイル)を参照してください。

(a) 相関イベント発行条件名

相関イベント発行条件を識別するための名称です。

(b) 相関の対象範囲の絞り込み条件

1件の相関イベント発行条件で,発行処理の対象にする範囲を絞り込むための条件です。

相関の対象範囲の絞り込み条件には,相関イベントの発行処理の対象とするJP1イベントの属性値を指定します。例えば,発行元イベントサーバ名(B.SOURCESERVER)の属性値を指定することで,特定のエージェントホストから発行されたJP1イベントを発行処理の対象にできます。

(c) イベント条件

相関イベントの発行契機となるJP1イベント(相関元イベント)を決める条件です。

相関イベントの発行処理の対象または非対象とするJP1イベントの属性値を指定します。この項目は1件の発行条件に対して,複数指定できます。

複数指定した場合は,発行処理の対象外とするJP1イベント(NOT指定)を含めたイベント条件が最初に適用されます。

(d) タイムアウト時間

イベント条件に一致するJP1イベントの最大待ち時間です。

開始は,イベント条件に一致する一つ目のJP1イベントの基本属性である到着時刻が起点になります。指定したタイムアウト時間を過ぎても,相関イベントの発行条件が成立しなかった場合,相関イベントは不成立になり発行されません。

(e) イベント相関タイプ

イベント条件に一致するJP1イベントの相関の方法です。

イベント相関タイプには次の三つがあります。

(f) 同一属性値条件

イベント条件に一致するJP1イベントを,JP1イベントの属性値によってグルーピングし,グループ単位で相関イベントを発行するための条件です。この項目は1件の発行条件に対して,複数指定できます。

同一属性値条件は,JP1イベントの属性値,または属性値の一部で指定します。例えば,認証エラーのJP1イベントを関連づけて,相関イベントを発行しているとします。この場合,同一属性値条件に発行元イベントサーバ名(B.SOURCESERVER)を指定すれば,相関イベントを認証サーバごとに発行できます。

(g) 同時相関数

1件の相関イベント発行条件で同時に発行処理できるJP1イベントの組数です。

省略すると,デフォルトの10組が仮定されます。1件の発行条件に対して,該当するJP1イベントをすでに10組取得し,かつ,発行処理中のときに,該当するJP1イベントをさらに取得した場合,そのJP1イベントは発行処理の対象になりません。

この場合,警告メッセージ「KAJV2301-W 相関イベント発行条件(相関イベント発行条件名)はすでに最大数組のJP1イベントを相関しているためJP1イベント(イベントID=イベントID,イベントDB内通し番号=イベントDB内通し番号)を相関できませんでした」が統合トレースログに出力されます。

例えば,同一属性値条件を指定して,50台のサーバごとに相関イベントを発行している場合,すべてのサーバから同時にJP1イベントが発行されると,発生順に10組のJP1イベントは処理できますが,残りの40組が処理できません。このような場合,この項目に50組を指定します。

同時相関数がデフォルト(10組)の場合の発行処理を図にすると,次のようになります。

図3-18 同時相関数がデフォルト(10組)の場合の発行処理

[図データ]

注意
すべての相関イベント発行条件で同時に発行処理できるJP1イベントの組数は20,000組です。同時相関数を多くの発行条件に指定し,かつ,大きな値を指定する,といった運用は避けてください。

(h) 相関成立イベント

相関イベント発行条件が成立したときに発行するJP1イベント(相関イベント)です。相関イベントには,任意の属性名に対して任意の属性値を設定できます。変数を使って相関元イベントの任意の属性を,相関イベントの属性に引き継ぐこともできます。

発行される相関イベントの詳細については「(8) 発行される相関イベント」を参照してください。

(3) 相関イベント発行サービスの状態遷移と稼働設定

相関イベント発行サービスには,次の表に示す状態があります。

表3-9 相関イベント発行サービスの状態

項番 状態 説明
1 起動処理中 相関イベント発行サービスが起動している途中の状態。
2 相関稼働 相関イベント発行サービスが起動していて,相関イベントの発行処理が稼働している状態。
3 機能停止 相関イベント発行サービスは起動しているが,相関イベントの発行処理が停止している状態。
4 停止処理中 相関イベント発行サービスが停止している途中の状態。
5 停止 相関イベント発行サービスが停止している状態。

相関イベント発行サービスの状態は,jcoegsstatusコマンドで確認できます。

相関イベント発行サービスはJP1/IM - Managerをインストールしたあと,jcoimdef - egs ON を実行すると起動するようになります。一度,相関イベント発行サービスの起動設定をすれば,次からはJP1/IM - Managerを起動するときに,相関イベント発行サービスも自動で起動します。

また,相関イベント発行サービスが起動したあとは,jcoegsstopコマンドで機能停止状態に,jcoegsstartコマンドで相関稼働状態に切り替えることができます。

相関イベント発行サービスの状態遷移を次の図に示します。

図3-19 相関イベント発行サービスの状態遷移

[図データ]

システムのメンテナンスなどで不要なJP1イベントが大量に発生したときは,相関イベント発行サービスを機能停止状態に変更して,相関イベント発行処理を一時的に休止できます。相関イベント発行サービスはこのような縮退運転にも対応できます。

(4) 相関イベント発行履歴ファイルの内容

相関イベント発行サービスの動作状況や相関イベントの発行処理の内容は,相関イベント発行履歴ファイルに出力されます。相関イベント発行履歴ファイルを参照することで,定義した相関イベント発行条件どおりに相関イベントが発行されているかどうかを確認できます。例えば,特定の相関イベント発行条件に対して,不成立の履歴が多く出力されている場合,発行処理の対象としているJP1イベントの組み合わせが適切でない,またはタイムアウト時間が短いおそれがあります。定期的に条件を見直す際の参考として,相関イベント発行履歴ファイルを参照してください。相関イベント発行履歴ファイルの格納先を次に示します。

Windowsの場合
Consoleパス\operation\evgen\egs_discrim{1|2|3}.log

UNIXの場合
/var/opt/jp1cons/operation/evgen/egs_discrim{1|2|3}.log

相関イベント発行履歴ファイルのサイズ,面数は任意に変更できます。詳細はマニュアル「JP1/Integrated Management - Manager リファレンス 相関イベント発行環境定義ファイル」(3.定義ファイル)を参照してください。

(a) 相関イベント発行履歴ファイルの形式

相関イベント発行履歴ファイルの形式を次に示します。

 
{+ | -}通し番号 時刻 処理内容
 

通し番号は,相関イベント発行履歴の通し番号です。通し番号の範囲は,00000001〜99999999で,99999999を超えると00000001に戻ります。なお,相関イベント発行サービスを再起動した場合は,00000001から始まります。時刻は,YYYY/MM/DD hh:mm:ss.SSSの形式で出力されます(YYYY:年,MM:月,DD:日,hh:時間,mm:分,ss.SSS:秒)。

基本的に,一つの処理に対して1行のログが出力され,行頭には+が付きます。一つの処理に対して複数の行にログが出力される場合,処理の開始を示すログの行頭には+,継続するログの行頭には-が付きます。出力される処理内容については,次に説明します。

(b) 相関イベント発行履歴ファイルに出力される処理内容

相関イベント発行履歴ファイルに出力される処理内容を次の表に示します。

表3-10 相関イベント発行履歴ファイルに出力される処理内容

項番 出力される内容 形式 備考
1 相関イベント発行サービスが相関稼働状態になった。 +Correlation event generation function : RUNNING
-VERSION=相関イベント発行定義ファイルのバージョン情報
-[発行条件名]
-TARGET=相関の対象範囲の絞り込み条件
-CON=イベント条件
-TIMEOUT=タイムアウト時間
-TYPE=イベント相関タイプ
-SAME_ATTRIBUTE=同一属性値条件
-CORRELATION_NUM=同時相関数
-SUCCESS_EVENT=相関成立イベント
   :
使用されている相関イベント発行定義ファイルの内容が出力されます。
2 相関イベント発行サービスが機能停止状態になった。 +Correlation event generation function : STANDBY
3 イベント条件に一致するJP1イベントが発行され,発行処理を開始した。 +Generation start 発行条件名(発行処理番号) JP1イベント情報
-SAME_ATTRIBUTE=同一属性名:同一属性値
   :
-SAME_ATTRIBUTE=同一属性名:同一属性値
発行処理番号は,一つの発行条件で複数のJP1イベントを同時に処理している場合に,それぞれの処理の開始,成立,不成立を識別するための番号です。
4 相関イベントの発行が成立した。 +Generation success 発行条件名(発行処理番号)
-JP1イベント情報1
-JP1イベント情報2
   :
-JP1イベント情報n
-SAME_ATTRIBUTE=同一属性名:同一属性値
   :
-SAME_ATTRIBUTE=同一属性名:同一属性値
5 相関イベントを発行した。 +Correlation event generation succeeded. 発行条件名(発行処理番号) イベントDB内通し番号
6 相関イベントの発行が不成立になった。 +Generation fail 発行条件名(発行処理番号) 不成立の理由
-JP1イベント情報1
-JP1イベント情報2
   :
-JP1イベント情報n
-SAME_ATTRIBUTE=同一属性名:同一属性値
   :
-SAME_ATTRIBUTE=同一属性名:同一属性値
不成立の理由の出力形式は次のとおりです。
  • タイムアウト
    timeout
  • 相関イベント発行定義更新
    definition_update
  • coldスタートによる相関イベント発行サービスの再起動
    cold_start
  • 相関イベント発行サービスの状態が機能停止
    standby
  • 内部エラー
    unknown
7 相関イベント発行定義が更新された。 +Correlation event generation definition update
-VERSION=相関イベント発行定義ファイルのバージョン情報
-[発行条件名]
-TARGET=相関の対象範囲の絞り込み条件
-CON=イベント条件
-TIMEOUT=タイムアウト時間
-TYPE=イベント相関タイプ
-SAME_ATTRIBUTE=同一属性値条件
-CORRELATION_NUM=同時相関数
-SUCCESS_EVENT=相関成立イベント
   :
使用されている相関イベント発行定義ファイルの内容が出力されます。
8 イベント条件に合致するJP1イベントが発行され,発行処理を開始したが,同一属性値条件に指定された属性がJP1イベントに含まれていなかった。 +A JP1 event that matches the correlation event generation condition occurred, and the correlation event generation processing started, but the event attribute defined in that attribute value condition does not exist in the JP1 event. (発行条件名(発行処理番号) イベントDB内通し番号 属性名) 発行処理の対象になったJP1イベントに存在しない属性が,左記の属性名の個所に出力されます。
9 発行処理中のJP1イベントの組数が上限値の20,000組に達している状態で,イベント条件に合致するJP1イベントを受信した。 +Generation fail 発行条件名(発行処理番号) exceeded the threshold (20000)
-JP1イベント情報

(凡例)
−:なし

なお,表内の「JP1イベント情報」の出力形式は次のとおりです。

イベントDB内通し番号,イベントID,発行元イベントサーバ名,到着時刻,重大度

また,相関イベント発行サービスの起動時,相関イベント発行履歴ファイルの切り替え時には,次の形式でヘッダー情報が出力されます。

--------------------------------------------------------------------
JP1/IM - Central Console/Correlation Event Generation Service

(c) 相関イベント発行履歴ファイルの出力例

相関イベント発行履歴ファイルの出力例を次に示します。

図3-20 相関イベント発行履歴ファイルの出力例

[図データ]

(5) 相関イベントの発行処理の対象となるJP1イベント

相関イベント発行サービスが発行処理の対象とするJP1イベントを次に示します。

対象とするJP1イベント
  • アプリケーションプログラムが発行するJP1イベント(システムイベント)
  • ユーザーが発行するJP1イベント(ユーザーイベント)

なお,次に示すJP1イベントは,相関イベントの発行処理の対象となりません。

対象としないJP1イベント
  • イベントDBに登録されないJP1イベント(JP1/IM - Managerが内部処理で使用している,JP1/IM - Viewにだけ表示されるJP1イベント)
  • 相関イベント

(6) 相関イベント発行が成立する条件

相関イベント発行の成立条件を次に示します。

発行条件にイベント条件を一つだけ定義した場合
定義した発行条件に一致するJP1イベントを取得したとき。

発行条件にイベント条件を複数定義した場合(組み合わせを指定)
発行条件に一致するJP1イベントを指定時間内にすべて取得したとき。

発行条件にイベント条件を複数定義した場合(順序性を指定)
発行条件に一致するJP1イベントを指定時間内に指定順序どおりに取得したとき。

発行条件にしきい値を定義した場合
発行条件に一致するJP1イベントを指定時間内にしきい値に定義した件数まで取得したとき。

なお,JP1イベントが複数の発行条件に一致する場合は,それぞれの発行条件でそのJP1イベントを処理の対象とします。

(7) 相関イベント発行が成立しない条件

相関イベント発行の不成立条件を次に示します。

発行条件にイベント条件を一つだけ定義した場合
相関不成立は,発行条件を複数定義した際にしか発生しない状態のため,不成立はありません。

発行条件にイベント条件を複数定義した場合(組み合わせを指定)
発行条件に一致するJP1イベントをすべて指定時間内に取得しなかったとき。

発行条件にイベント条件を複数定義した場合(順序性を指定)
発行条件に一致するJP1イベントを指定時間内に指定順序どおりに取得しなかったとき。

発行条件にしきい値を定義した場合
発行条件に一致するJP1イベントを指定時間内にしきい値に定義した件数まで取得しなかったとき。

また,次のような場合にも相関不成立となります。

(8) 発行される相関イベント

相関イベント発行条件が成立すると相関イベントが発行されます。発行された相関イベントは,JP1/BaseのイベントDBに登録されます。

相関イベントの属性名および属性値は任意に指定できます。変数を使って相関元イベントの任意の属性を,相関イベントの属性に引き継ぐこともできます。

発行される相関イベントの内容を次の表に示します。なお,メッセージ(B.MESSAGE)などユーザーが任意に設定できる属性については,説明していません。

表3-11 相関イベント発行サービスによって発行される相関イベントの内容

属性種別 項目 属性名 内容
基本属性 イベントID ID ユーザーが定義したイベントID
0〜1FFFおよび7FFFF8000〜7FFFFFFFのどれかが表示されます。
拡張属性 共通情報 プロダクト名 PRODUCT_NAME /HITACHI/JP1/IM/GENERATE_EVENT
オブジェクトタイプ OBJECT_TYPE SERVICE
オブジェクト名 OBJECT_NAME EGS
事象種別 OCCURRENCE SUCCESS
固有情報 関連イベントDB内通し番号 JP1_GENERATE_SOURCE_SEQNO イベントDB内通し番号イベントDB内通し番号イベントDB内通し番号・・・
(相関元イベントのイベントDB内通し番号を半角スペースで区切ったもの)
相関イベント発行条件名 JP1_GENERATE_NAME 成立した相関イベント発行条件名

注※ 固定値です。ユーザーによる定義はできません。


発行された相関イベントを確認するには,[イベントコンソール]画面に[種別]を表示させる必要があります。[ユーザー環境設定]画面で表示する項目に[種別]を追加してください。相関イベントは[種別]にアイコン(「[図データ]」)が表示されます。

相関イベントはJP1イベントと同様の操作,設定ができます。例えば,相関イベントの発行を契機に自動アクションを実行したり,イベント取得フィルターやユーザーフィルターなどでフィルタリングしたりできます。また,相関イベントの発行契機となった相関元イベントは,[関連イベント一覧(相関)]画面で一覧表示できます。

ただし,発行された相関イベントは,再度相関イベントの発行処理の対象とすることはできませんので,注意してください。

[ユーザー環境設定]画面については,マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager リファレンス 1.3.14 [ユーザー環境設定]画面」を参照してください。

[関連イベント一覧(相関)]画面については,マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager リファレンス 1.3.7 [関連イベント一覧(相関)]画面」を参照してください。

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