Cosminexus システム運用ガイド
Cosminexusで構築したシステムの処理性能は,クライアントからデータベースなどのEISまでの一連の処理,およびその処理結果がクライアントに返却されるまでのリクエストの一連の処理で,リダイレクタやWebコンテナなどから出力されるトレース情報を基に解析できます。トレース情報を出力するリダイレクタやWebコンテナなどを,機能レイヤといいます。リクエストの処理過程では,次に示す機能レイヤからトレース情報が出力されます。
各機能レイヤでは決まった処理のポイント(トレース取得ポイント)でトレース情報を出力します。各機能レイヤが出力するトレース情報は,パフォーマンストレーサ(Cosminexus Performance Tracer)のPRFデーモンによって,トレースファイル(PRFトレースファイル)に出力されます。PRFデーモンにはトレース取得レベル(標準または詳細)を設定できます。PRFデーモンに設定するトレース取得レベルをPRFトレース取得レベルといいます。PRFトレース取得レベルの設定方法については,「付録H.3 システムの処理性能解析」を参照してください。各機能レイヤのトレース取得ポイントおよびPRFトレース取得レベルの詳細については,「付録A トレース取得ポイントとPRFトレース取得レベル」を参照してください。
なお,RMI(通信処理)の機能レイヤについては,トレース情報の取得を抑止することができます。その場合,トレース取得レベルに「抑止」を設定します。設定方法については,マニュアル「Cosminexus リファレンス コマンド編」のcprfstartコマンド(PRFデーモンの開始)の説明,またはcprflevelコマンド(PRFトレース取得レベルの表示と変更)の説明を参照してください。
なお,各機能レイヤのトレース情報はバイナリ形式でPRFトレースファイルに出力されます。システムの処理性能を解析する際は,PRFトレースファイルをテキスト形式(CSV形式)に変換したファイル(性能解析トレースファイル)を使用します。性能解析トレースファイルの出力先および出力情報については,「3.2.2 性能解析トレースファイルの出力先と出力情報」を参照してください。
システムの処理性能を解析する作業について,次の表に示します。なお,これらの作業は,運用管理コマンド(mngsvrutil)を使用して実行します。
性能解析トレースファイルを収集する作業の概要について次の表に示します。
表3-1 性能解析トレースファイルの収集
作業内容 | 手段 | 作業概要 | 参照先 |
---|---|---|---|
性能解析トレースファイルの出力/収集 | 運用管理コマンド(mngsvrutil) | PRFトレースファイルをCSV形式に変換した性能解析トレースファイルを出力,収集します。 性能解析トレースファイルの対象範囲は次の中から選択できます。
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3.2.1 |
収集した性能解析トレースファイルを利用してシステムの処理性能を解析する作業の概要について次の表に示します。なお,出力された性能解析トレースファイルは,CSV形式のファイルを編集するアプリケーションプログラムなどを使用して解析します。
表3-2 性能解析トレースファイルを利用したシステムの処理性能の解析
作業内容 | 作業概要 | 参照先 |
---|---|---|
Webサーバのレスポンスタイムの解析 | Webサーバがクライアントからリクエストを受けてから返却するまでに掛かった時間を解析します。 | 3.3.1 |
アプリケーションサーバ内でのリクエストの処理状況の調査 | Webサーバがクライアントから受けたリクエストがアプリケーションサーバで処理されているかどうか調査します。 | 3.3.2 |
セッションのライフサイクルの調査 | PRFトレース取得レベルを「詳細」に設定している場合に出力されるトレース(セッショントレース)を利用して,セッションのライフサイクルを調査します。 | 3.3.3 |
タイムアウトしたトランザクションの特定 | J2EEアプリケーションまたはバッチアプリケーションのトランザクションがタイムアウトした場合に,メッセージまたは性能解析トレースファイルを使用してタイムアウトしたトランザクションを特定します。 | 3.3.4 |
タイムアウトしたリクエストの特定 | リダイレクタでのレスポンス受信時にタイムアウトが発生した場合に,性能解析トレースを利用してタイムアウトが発生したリクエストを特定します。 | 3.3.5 |
ルートアプリケーション情報を利用したログの調査 | J2EEアプリケーションまたはバッチアプリケーション内でCosminexusのAPIを使用して,性能解析情報のルートアプリケーション情報の文字列表現を任意のタイミングでログファイルに出力します。 | 3.3.6 |
トラブルが発生したコネクションの特定 | 性能解析トレースファイルに出力された情報から,トラブルが発生したコネクションを特定します。 | 3.3.7 |
性能解析トレースとスレッドダンプの対応づけ | J2EEアプリケーションまたはバッチアプリケーションでスローダウンやハングアップが発生したときに,性能解析トレースとスレッドダンプを対応づけることで,問題が発生した個所を調査できます。 | 3.3.8 |
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