Cosminexus 簡易構築・運用ガイド

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4.2.1 Webフロントシステムの製品構成とプロセス構成

Smart Composer機能を使用して,Webフロントシステムを構築する場合に,必要な製品構成およびプロセス構成を次の図に示します。

図4-2 製品構成およびプロセス構成(Webフロントシステムの場合)

[図データ]

Webフロントシステムの場合は,一つのWebシステム内に,Webブラウザから送信されるリクエストを受け付けて,処理するアプリケーションサーバを構築します。Webブラウザから送信されるリクエストの振り分けには,負荷分散機を使用します。

システム内のサーバと,使用する製品について説明します。

<この項の構成>
(1) 負荷分散機
(2) アプリケーションサーバマシン
(3) データベースサーバマシン
(4) 運用管理サーバマシン

(1) 負荷分散機

負荷分散機では,一つの仮想IPアドレスで複数のサーバを管理するロードバランシング機能によって,トラフィックを効率的に分散し,処理性能を向上できます。負荷分散機は,Smart Composer機能から制御できます。Smart Composer機能で使用できる負荷分散機の種類を次に示します。

Smart Composer機能で構築したシステムは,負荷分散機のCookieスイッチング機能を使用して運用することもできます。Cookieスイッチング機能とは,Cookieを利用してセッションを維持する機能です。プロキシ経由などで要求元IPアドレスからクライアントが特定できない場合でも,同じクライアントからの一連のHTTPリクエストを同じサービスユニットに振り分けることができます。

参考
BIG-IP 1500およびBIG-IP 1000のCookieスイッチング機能のうち,Smart Composer機能で対応しているスイッチングモードはハッシュモードだけです。

また,Smart Composer機能で構築したシステムでは,異なるWebシステム間や,異なる運用管理ドメインの同じWebシステム間で同じ負荷分散機を共有したり,一つのWebシステム内で負荷分散機を冗長化構成で配置したりできます。

注意
インプロセスHTTPサーバ機能を使用する構成,およびfree-tierを利用したシステム構成では,負荷分散機を配置できません。
(a) 負荷分散機の制御方法

Cosminexusから負荷分散機を制御する方法には,次の3種類があります。

(b) Webシステム間での負荷分散機の共有

Smart Composer機能で構築するWebシステムでは,異なるWebシステム間で,同じ(1台の)負荷分散機を共有できます。異なるWebシステム間で1台の負荷分散機を共有する場合の設定は,使用する負荷分散機によって異なります。負荷分散機を共有する場合の設定については,「6.17.1(2) 異なるWebシステムのサービスユニットを1台のサーバマシンに配置する場合」を参照してください。

また,JP1/SC/DPMを利用して構築するホスト単位管理モデルの場合,異なる運用管理ドメイン(サーバマシン)の同じWebシステム間でも,同じ(1台の)負荷分散機を共有できます。JP1/SC/DPMを利用したシステム構成については,「4.4 JP1/SC/DPMを利用して構築する場合のシステム構成」を参照してください。

(c) 負荷分散機の冗長化

Smart Composer機能で構築するWebシステムでは,負荷分散機を2台構成で配置できます。冗長化構成で配置できる負荷分散機は,BIG-IP 1500,BIG-IP 1000,またはHA8000-ie/Loadflowbalです。負荷分散機を冗長化したシステム構成については,「4.3.4 負荷分散機を冗長化する構成」を参照してください。

また,Cosminexusから冗長化構成で配置する負荷分散機を制御する場合は,sshコマンドまたはTelnetを使用します。JP1/Cm2/NCは使用できません。負荷分散機を冗長化する場合の設定については,「6.14 負荷分散機を冗長化する場合に必要な設定」を参照してください。

参考
既存のWebシステムの負荷分散機を冗長化構成に変更したい場合は,既存のWebシステムを削除してから,負荷分散機を冗長化したWebシステムを再構築してください。

(2) アプリケーションサーバマシン

アプリケーションサーバを配置したマシンをアプリケーションサーバマシンといいます。アプリケーションサーバマシン上では,J2EEサーバなどが動作します。Smart Composer機能を使用するシステム構成では,アプリケーションサーバマシンはクラスタ構成になっており,それぞれをサービスユニットという単位で扱います。

アプリケーションサーバマシンにインストールする製品と,アプリケーションサーバマシン上で動作するプロセスを次の表に示します。

表4-2 アプリケーションサーバマシンにインストールする製品と動作するプロセス

インストールする製品 動作するプロセス
Application Server Webサーバ
PRFデーモン
J2EEサーバ
運用管理エージェント
JP1/SC/DPM クライアントサービス for DPM

注※
JP1/SC/DPMを使用して,OSやアプリケーションの一括インストールをする場合だけ必要になります。JP1/SC/DPMを使用した場合のシステム構成については,「4.4 JP1/SC/DPMを利用して構築する場合のシステム構成」を参照してください。

(3) データベースサーバマシン

データベースが構築されているマシンをデータベースサーバマシンといいます。

インストールする製品
  • HiRDB,Oracle,SQL Server,またはXDM/RD E2

(4) 運用管理サーバマシン

Management Serverを配置したマシンを,運用管理サーバマシンといいます。運用管理サーバとは,すべてのサービスユニットを運用管理するための機能を集約したサーバで,Management Serverで運用管理します。運用管理ドメイン(Management Serverが管理する論理サーバの集合)内の各ホストに配置されている運用管理エージェントに対して,管理操作を指示します。

運用管理サーバマシンにインストールする製品と,運用管理サーバマシン上で動作するプロセスを次の表に示します。

表4-3 運用管理サーバマシンにインストールする製品と動作するプロセス

インストールする製品 動作するプロセス
Application Server Management Server