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OpenTP1 Version 7 分散アプリケーションサーバ TP1/LiNK 使用の手引


3.1 TP1/LiNKの実行環境の設定

TP1/LiNKの実行環境を設定する手順について説明します。

TP1/LiNKの実行環境を設定するときは,[スタート]−[プログラム]−[TP1_LiNK]−[システム環境]メニューを選択します。

[システム環境]メニューを選択すると,[システム環境設定]ウィンドウが表示されます。

図3‒1 [システム環境設定]ウィンドウ

[図データ]

[システム環境設定]ウィンドウをTP1/LiNKのセットアップ後に初めて開くと,初期値が設定されています。[システム環境設定]ウィンドウの初期値については,「2.3 セットアップしたときの初期値」を参照してください。

メニューバーのコマンド

[システム環境設定]ウィンドウのメニューについて説明します。

[ファイル(F)]メニュー

[ファイル(F)]メニューには,次に示すコマンドがあります。

[終了(X)]:[システム環境設定]ウィンドウを終了します。

[ヘルプ(H)]メニュー

バージョン情報を示すヘルプを開きます。[ヘルプ(H)]メニューについては,「6.5 ヘルプの使い方」を参照してください。

ボタンの使い方
[初期値設定(I)]ボタン

[システム環境設定]ウィンドウの,次に示す項目を初期値にします。

  • [ネームサービスのポート番号]欄

  • [ノード識別子]欄

  • [クライアント]欄

  • [RPCオプション]欄

  • [サーバ数]欄

  • [稼働統計情報の取得]欄

  • 「リアルタイム統計情報の取得」欄

  • [トランザクション機能]欄

  • [スケジュールサービスのポート番号]欄

  • [システムを構成するノード]欄

  • [サーチパス]欄

[上書き保存(V)]ボタン

[システム環境設定]ウィンドウに設定した各項目の値を保存します。項目をすべて設定し終えてから[上書き保存(V)]ボタンをクリックすると,各項目を設定できます。

[終了(C)]ボタン

[システム環境設定]ウィンドウを終了します。TP1/LiNKの環境設定を終了するときは,[終了(C)]ボタンをクリックします。

ウィンドウに設定する項目
[ネームサービスのポート番号]欄  〜<符号なし整数>((5001〜65535))《10000》

[番号(O)]には,このマシンのTP1/LiNKが使うTCP/IPのポート番号を指定します。TP1/LiNK以外のプログラムが特定のポート番号を使っている場合は,TP1/LiNKのポート番号と重ならないようにしてください。

[ノード識別子]欄  〜<4文字の識別子>《LiNK》

[識別子(D)]には,TP1/LiNKのマシンを識別する名称を入力します。TP1/LiNKのクライアント/サーバシステム内で固有となる名称を入力してください。

[システム環境設定]ウィンドウの[システムを構成するノード]欄で指定したドメイン以外のOpenTP1システムにトランザクショナルRPCを行う場合,自ドメイン,および他ドメイン内のすべてのOpenTP1システムのノード識別子(システム環境設定)を一意になるように指定する必要があります。また,すべてのOpenTP1システムのバージョンは03-02以降である必要があります。これらの条件を満たしていないと,トランザクションを正しく回復できなくなるおそれがあります。

[クライアント]欄
  • [ユーザ認証機能(E)]

    TP1/Client/WまたはTP1/Client/Pのユーザ認証機能を使うかどうかを指定します。チェックボックスをオンにすると,ユーザ認証機能を使います。オフにすると,TP1/Client/WまたはTP1/Client/Pからの認証要求は,どんなログイン名を指定しても認証されます。

  • [クライアントサービス環境(G)...]ボタン

    クライアント拡張サービスに関する情報を設定する[クライアントサービス環境設定]ダイアログボックスを開きます。クライアント拡張サービスに関する情報は,次の場合に設定します。

    ・CUPからトランザクショナルRPCを実行する場合

    ・CUPから常設コネクションを確立する場合

[RPCオプション]欄
  • [トレース取得(L)]

    RPCトレースを取得するときに,チェックボックスをオンにします。取得対象となるUAPは,[SPP詳細設定]ダイアログボックスまたは[SUP詳細設定]ダイアログボックスの[RPCトレースを取得するファイルの容量(J)]の値が省略されているUAPです。このチェックボックスをオフにすると,RPCトレースは取得されません。

    RPCトレースを取得した場合,処理スピードが遅くなることが原因となって,RPCがタイムアウトでエラーリターンすることがあります。この場合,[RPC詳細設定]ダイアログボックスのシステム共通の最大応答待ち時間に十分な値を指定してください。

  • [データ圧縮(R)]

    TP1/LiNKからサービスを要求するとき,または要求されたサービスにTP1/LiNKから応答を送信するときに,通信に使うデータを圧縮するかどうかを指定します。チェックボックスをオンにすると,通信データを圧縮します。オフにすると,通信データを圧縮しません。

    データを圧縮してネットワークの負荷を軽減できても,ノード内の圧縮と復元の処理が原因で通信時間が長くなってしまうことがあります。通信データを圧縮するかどうかは,業務内容や通信形態に応じて判断してください。

    TP1/LiNKのRPCのユーザデータを圧縮して送信する機能を使用する場合,RPCでやり取りするクライアントおよびサーバのバージョンが共に03-06以降でないときは,サーバからの応答電文が圧縮効果のある電文であるのに,圧縮されないで返送されることがあります。これは,03-05以前のバージョンでは,サーバが応答電文を圧縮して返送するかどうかが要求電文の送信方法に従うためです。

  • [詳細設定(Q)...]ボタン

    RPCに関して詳細な設定をする[RPC詳細設定]ダイアログボックスを開きます。

  • [ユーザサービス環境(M)...]ボタン

    次に示すサービスグループに関する情報を設定する[ユーザサービス環境設定]ダイアログボックスを開きます。

    ・リモートAPIを使って呼び出すサービスグループ

    ・システムを構成するノードに設定していないシステムにあるサービスグループ

[サーバ数]欄
  • [SUP(U)]  〜<符号なし整数>((0〜1994))《0》

    このマシンで使うユーザサーバのプロセスのうち,SUPのプロセスの数を指定します。

    リモートAPI機能を使うときは,指定する値に1を加算してください。

  • [SPP(P)]  〜<符号なし整数>((0〜1994))《10》

    このマシンで使うユーザサーバのプロセスのうち,SPPおよびMHPのプロセスの数を指定します。

    マルチサーバのSPPおよびMHPを使用する場合は,起動するすべてのプロセス数(常駐プロセスと非常駐プロセスの数)を加算してください。

    リモートAPI機能を使用する場合は,RAPサービスのプロセス数を加算してください。

    クライアント拡張機能サービス機能を使用する場合は,すべてのクライアント拡張サービスのプロセス数(常駐プロセスと非常駐プロセスの数)を加算してください。

  • [閉塞状態を引き継ぐサーバ,サービス数(1)]  〜<符号なし整数>((0〜58240))《[SPP(P)]の指定値》

    システムを全面回復するときに,閉塞状態を引き継ぐことが必要なサーバ(SPPまたはMHP)およびそのサービスの合計数を指定します。

    ポイント

    次の条件を満たす場合は,一つのサーバとして数えます。

    • [SPP詳細設定]ダイアログボックスで[サービス単位の閉塞管理をする(S)]チェックボックスをオフに指定した場合

    • [SPP異常終了時,閉塞しない(A)]チェックボックスをオン,かつ[連続サービス異常終了限界経過時間(T)]に0を指定した場合

    [サービス単位の閉塞管理をする(S)]チェックボックスをオンに指定したサーバは,そのサーバが持つサービス数を数えて合計数を指定してください。

    閉塞状態のサーバ,またはサービスの数がこの指定値を超えた場合,超えた分のサーバ,またはサービスの閉塞状態は引き継がれません。0を指定した場合も引き継がれません。

    システムを全面回復する場合,前回のオンライン処理のときに指定した値が引き継がれます。ただし,前回または今回の指定値が0の場合は,指定値は引き継がれません。この指定値が小さい場合,ステータスファイル内で閉塞情報の書き換え処理が多く発生します。

    この指定値によっては,[RPC詳細設定]ダイアログボックスの[RPC送受信電文の最大長(M)]の指定値を変更する必要があります。次の計算式の算出値が2〜8の場合は,算出値以上の値を[RPC送受信電文の最大長(M)]に指定してください。

    ↑([閉塞状態を引き継ぐサーバ,サービス数(1)]の指定値/7280)↑

    (凡例) ↑↑:小数点以下を切り上げます。

[稼働統計情報の取得]欄  〜<[あり]|[なし]>《[なし]》
  • [統計ファイルサイズ(S)]  〜<符号なし整数>((1〜300))《1》(単位:メガバイト)

    稼働統計情報を取得するかどうかを,オプションボタンで指定します。[あり]をオンにしたときは,[統計ファイルサイズ(S)]に統計情報ファイルのファイルサイズをあわせて指定します。[なし]をオンにすると,[統計ファイルサイズ(S)]に指定した値は無視されます。

[リアルタイム統計情報の取得]欄
  • [サービス設定(2)...]ボタン

    リアルタイム統計情報サービスの実行環境を設定する[リアルタイム統計情報サービス設定]ダイアログボックスを開きます。

  • [取得項目設定(3)...]ボタン

    リアルタイム取得項目定義ファイルを設定する[リアルタイム取得項目定義ファイル一覧]ダイアログボックスを開きます。

[トランザクション機能]欄  〜<[あり]|[なし]>《[なし]》
  • [トランザクションブランチ数(B)]  〜<符号なし整数>((1〜1024))《32》

    TP1/LiNKのシステムでトランザクション機能を使うかどうかを,オプションボタンで指定します。[あり]をオンにしたときは,[トランザクションブランチ数(B)]に,最大トランザクションブランチ数をあわせて指定します。[なし]をオンにすると,[トランザクションブランチ数(B)]に指定した値は無視されます。

    同一のマシン内で同時に起動するトランザクションブランチの数を指定します。この数は,次に示す数の合計です。

    ・トランザクション処理を実行するユーザサーバのプロセス数

    ・回復プロセス数

    ・回復処理を待っているトランザクションブランチ数

    トランザクションブランチを開始したプロセスが異常終了したとき,回復プロセスがほかのトランザクションブランチの決着処理の間,このトランザクションブランチは回復処理を待っている状態となります。この状態が長く続くと,起動できるトランザクションブランチ数が少なくなることがあります。このため,異常終了後にトランザクションブランチを発生できるプロセスの扱いや,異常が起こる頻度などを考慮した上で,トランザクションブランチの数を設定してください。指定値の目安の算出式を次に示します。

    (a+c)<b≦(a×2+c)

    a:トランザクション処理を実行するユーザサーバのプロセス数

    b:指定するトランザクションブランチ数

    指定数が多くなればなるほど,メモリ資源の効率が悪くなってしまうので注意してください。

    c:回復プロセス数(trn_recovery_process_countオペランド指定値)

    trn_recovery_process_countオペランドについては,「4.1.3(6) Oracle RACとの連携方法」を参照してください。

  • [APの状態引き継ぎ(A)]

    TP1/LiNKを再開始(リラン)するときに,ユーザサーバの状態を引き継ぐかどうかを指定します。

    トランザクション機能を使うときは,ユーザサーバの状態を引き継ぐことが前提となります。そのため[トランザクション機能]欄の[あり]をオンにすると,[APの状態引き継ぎ(A)]チェックボックスもオンになります。

  • [XAリソースサービス環境(Y)...]ボタン

    XAリソースサービス環境を指定する[XAリソースサービス環境設定]ダイアログボックスを開きます。[トランザクション機能]欄の[あり]を選択したときだけクリックできます。

[スケジュールサービスのポート番号]欄  〜<[指定する]|[指定しない]>《[指定しない]》
  • [番号(Z)]  〜<符号なし整数>((5001〜65535))《10010》

    スケジュールサービスのポート番号を指定するかどうかをオプションボタンで指定します。ここに任意のポート番号を指定すると通信時にサービス名を探す時間を減らせるため,その分だけ通信時間を高速にできます。

    [指定する]をオンにしたときは,[番号(Z)]にスケジュールサービスのポート番号をあわせて指定します。スケジュールサービスのポート番号には,[ネームサービスのポート番号]欄の[番号(O)]と同じ値は指定できません。[指定しない]をオンにすると,[番号(Z)]に指定した値は無視されます。

[システムを構成するノード]欄
  • [ノード名(N)]  〜<1〜61バイトの文字列>

    TP1/LiNKのクライアント/サーバシステムを構成する,すべてのノード名を指定します。ノード名とは,TCP/IPプロトコルのホスト名のことです。

    追加する場合は,欄内下の[ノード名(N)]にノード名を入力してから,[設定(J)]ボタンをクリックします。

    削除する場合は,リストボックスに表示されているノード名のうち,削除するノード名を選択してから[削除(K)]ボタンをクリックします。

    [ノード名(N)]には,各ノードのTP1/LiNKが使うネームサービスのポート番号を次の形式で指定することもできます。

    ノード名:ポート番号

    この形式で指定したときにポート番号を省略すると,[ネームサービスのポート番号]欄で指定した値が仮定されます。

    サービス情報優先度指定機能を使用する場合,サービス情報を優先して選択するノード(優先選択ノード)の指定のあとに,サービス情報優先度指定キーワードである":high"を次の形式で指定することもできます。サービス情報優先度指定機能については,マニュアル「OpenTP1 解説」を参照してください。

    ノード名:ポート番号:high

    ポート番号を省略する場合は,キーワード":high"をノード名のあとに指定してください。":high"は必ず指定値の最後に指定してください。キーワードの区切り文字":"を省略した場合や,間違った位置にキーワードを指定した場合は,定義不正となります。定義不正となった場合,KFCA00606-E(ホスト未定義)またはKFCA00607-E(ポート番号不正)のメッセージが出力され,TP1/LiNKは起動に失敗します。

    複数のコンピュータでTP1/LiNKシステムを構成する場合,システムを構成するノードとして指定したノード名をIPアドレスとして解決できるように,WINSサーバを使用するか,またはhostsファイルにノード名とIPアドレスを登録してください。

    システムをマルチOpenTP1構成にしていない場合は,ノード名に,自ホストを示すホスト名(またはIPアドレス)や,ループバックアドレス(127で始まるIPアドレス)を指定しないでください。指定した場合,トランザクションの性能に悪影響を与えたり,TP1/LiNKがシステムダウンしたりするおそれがあります。

    システムをマルチOpenTP1構成にしている場合は,このオペランドのノード名に,自ホストを示すホスト名(またはIPアドレス)を指定できます。ただし,ポート番号は重複しないように指定してください。なお,ループバックアドレス(127で始まるIPアドレス)は指定しないでください。指定した場合,グローバル検索機能などに影響を与えます。

    ノード自動追加機能とサービス情報優先度指定機能を併用する場合,[ノード自動追加機能設定]ダイアログボックスの[ノードの動作モード(M)]にマネジャノードまたはエージェントノードを指定し,[マネジャノードのノード名(N)]に属性情報(優先度オプション)を指定します。

    [マネジャノードのノード名(N)]に指定した属性情報は,ノードリストに登録されているノードに与えられます。

    なお,[システムを構成するノード]欄に指定したノードが,マネジャノードから受け取ったノードリストに登録されていない場合,指定したノードはRPCの実行範囲にはなりません。

    指定できるノード数は,最大511です。

[ノード自動追加機能設定(4)...]ボタン

ノード自動追加機能を設定する[ノード自動追加機能設定]ダイアログボックスが表示されます。

[サーチパス]欄

TP1/LiNKシステム全体で有効になるサーチパスを指定します。

[システム環境設定]ウィンドウで指定するサーチパスは,TP1/LiNKシステム全体で有効になる値です。ユーザサーバ固有で有効になるサーチパスを指定するときは,[TP1/LiNKサーチパス]ダイアログボックスを使います。

なお,指定したサーチパス名はそれぞれ';'で区切って追加されます。指定できるサーチパス名の長さの合計は,';'を含めて255文字までです。

ユーザサーバの実行に必要な実行形式ファイルおよびDLLのサーチパスは,すべてここに指定する必要があります。

例えば,COBOL2002を使用してユーザサーバを作成した場合は,COBOL2002のDLLが存在するパス名を指定してください。指定例を次に示します。

C:\PROGRA~1\Hitachi\COBOL2~1\BIN

また,OpenTP1以外のリソースマネジャを接続した場合は,リソースマネジャのDLLが存在するパス名を指定してください。指定例を次に示します。

  1. Microsoft SQL Serverを接続した場合の指定例

    C:\PROGRA~1\MICROS~4\MSSQL\Binn

  2. HiRDBを接続した場合の指定例

    C:\win32app\hitachi\hirdb_s\CLIENT\UTL

  3. Oracleを接続した場合の指定例

    C:\orant\bin

  • [パス名(T)]  〜<1〜63文字の識別子>

    ユーザサーバのサーチパス名とユーザサーバから実行するコマンドのサーチパス名を,完全パス名で指定します。サーチパス名の初期値には,%DCDIR%\bin\および%DCDIR%\aplib\が仮定されます。なお,%DCDIR%\bin\は,リストボックスには表示されません。

    パス名を設定するときは,欄内下の[パス名(T)]にパス名を入力してから,[設定(W)]ボタンをクリックします。

    パス名を削除するときは,リストボックスに表示されているパス名のうち,削除するパス名を選択してから[削除(X)]ボタンをクリックします。

    [パス名(T)]に空白文字は使用できません。空白文字を含むパス名をOpenTP1システム定義に指定する場合は,8.3形式の短い名前のパス名に変換してから指定してください。

エラーメッセージ

[システム環境設定]ウィンドウの操作中にエラーが起こったときは,エラーメッセージが出力されます。表示内容を確認してから[OK]ボタンをクリックしてください。

注意事項

[システム環境設定]ウィンドウで設定を変更した場合は,変更後の設定を有効にするために,TP1/LiNKを必ず正常開始してください。TP1/LiNKをGUIで操作する場合,デフォルトでは計画停止Bで終了して,再開始(リラン)で開始するので注意してください。

〈この節の構成〉