付録I 用語解説
(英字)
- AP(Application Program)
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TP1/LiNKの業務処理を総称してアプリケーションといいます。アプリケーションとして作成するプログラムをアプリケーションプログラム(AP)またはユーザアプリケーションプログラム(UAP)といいます。アプリケーションプログラムをTP1/LiNKに登録して,サーバとして業務を実行するプロセスをユーザサーバといいます。
- CUP(Client User Program)
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OpenTP1クライアント機能のアプリケーションプログラムのことです。TP1/LiNKのサーバに,リモートプロシジャコールを使ってサービスを要求します。CUPの詳細については,マニュアル「OpenTP1 クライアント使用の手引 TP1/Client/W,TP1/Client/P編」,またはマニュアル「OpenTP1 クライアント使用の手引 TP1/Client/J編」を参照してください。
- DBMS(Database Management System)
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データベースを管理するためのソフトウェアのことです。DBMSは,複数の利用者が同時にデータを更新しても,矛盾が起こらないように管理しています。さらに,セキュリティ機能を備えたDBMSもあります。TP1/LiNKをDBMSと連携して使うことで,より効率の良いクライアント/サーバシステムを構築できます。
- DTP(Distributed Transaction Processing)モデル
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オープンシステムの標準化を目的とした団体であるX/Openが規定する,分散処理システムモデルのことです。DTPモデルは,トランザクション処理を管理,実行するトランザクションマネジャ(TM),各種資源を管理するリソースマネジャ(RM),および業務処理をするアプリケーション(AP)から構成されます。また,アプリケーション間の通信を管理するコミュニケーションリソースマネジャ(CRM)もDTPモデルに含まれます。
- MQI(Message Queue Interface)
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メッセージキューイング機能を使った通信をする場合に,アプリケーションで使う命令文(API)のことです。MQIは,WebSphere MQで標準化しています。
- MQシステム
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メッセージキューイング機能のキューマネジャがあるシステム(ノード)のことです。
- OpenTP1管理者
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TP1/LiNKを管理する,OSの利用者のことです。setup.exeを実行して,TP1/LiNKをセットアップする操作をしたシステム管理者がOpenTP1管理者となります(Administrators以上のユーザはすべてOpenTP1管理者と同じ権限になります)。
OpenTP1管理者は,TP1/LiNKを使う上で重要な権限を持つユーザです。システムの機密保護上,利用者名称にはパスワードを必ず設定して,限られたユーザだけがOpenTP1管理者の利用者名称を使えるようにしてください。
- OpenTP1ホームディレクトリ
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TP1/LiNKで使う各種フォルダやファイルを格納しているディレクトリのことです。TP1/LiNKを組み込むときには,OpenTP1ホームディレクトリのフォルダ名(ディレクトリ名)を指定します。
TP1/LiNKでは,OpenTP1ホームディレクトリをDCDIRという環境変数で管理しています。
- RAPサービス
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リモートAPI機能を使うときに必要な,TP1/LiNKのサービスのことです。RAPサービスはクライアントから来るAPIをいったん受け取って,TP1/LiNKのユーザサーバへのサービス要求を代行します。RAPサービスは,ユーザサーバ(SUP)と同じ操作で開始したり終了したりできます。
TP1/LiNKのシステムでは,OpenTP1のリモートAPI機能でのrapリスナーとrapサーバを総称してRAPサービスと表記します。
- RM(Resource Manager)
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分散処理システムで資源を管理するソフトウェア製品の総称です。TP1/LiNKでは,次に示すソフトウェア製品をリソースマネジャとして使えます。
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OpenTP1のリソースマネジャ
TP1/Messaging,TP1/Message Queue※
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市販アプリケーションソフトのリソースマネジャ
ORACLEなど各種DBMS,Microsoft SQL Server,HiRDB
OpenTP1のリソースマネジャを使う場合は,TP1/LiNKの環境設定でリソースマネジャ名を登録する必要があります。また,トランザクション処理のアプリケーションからリソースマネジャへアクセスするときは,トランザクション制御用オブジェクトファイルが必要です。
- 注※
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TP1/LiNKのVersion 7に対応するTP1/Message Queueは,現時点では未発行です。発行時期をご確認ください。
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- RPC(Remote Procedure Call)
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アプリケーションのプロセス間で通信する機能のことです。TP1/LiNKのアプリケーションは,ほかのシステムとRPCで通信します。RPCでサービスを要求するときは,通信相手がネットワークのどのノードにあるかを意識する必要はありません。
- SPP(Service Providing Program)
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TP1/LiNKのアプリケーションのうち,ファイルへのアクセスなどサーバの役割をするプログラムのことです。
- SUP(Service Using Program)
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TP1/LiNKのアプリケーションのうち,SPPに処理を要求するだけの,クライアント専用のプログラムのことです。
- TM(Transaction Manager)
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トランザクション処理を管理および実行する機能のことです。
- TP(Transaction Processing)モニタ
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トランザクション処理の監視および制御をするソフトウェアのことです。オンラインシステムを構築するための基盤となる機能を提供しています。TPモニタには,ほかのシステムとデータをやり取りするための通信機能,トランザクションを効率的に処理するためのスケジュール機能,トラブルが起こってもデータとトランザクションの消失や不整合を防ぐ回復機能があります。
TP1/LiNKでは,TPモニタの機能をオプションで提供しています。TP1/LiNKをTPモニタとして使うときは,環境設定でトランザクション機能を使う指定をしてください。
- UAP(User Application Program)
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アプリケーションの業務をプログラムとして作成したものです。アプリケーションプログラムともいいます。UAPはTP1/LiNKのユーザサーバです。
- UAP共用ライブラリ
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UAP共用ライブラリとは,ダイナミックリンクライブラリ(DLL)と同義です。
一般に拡張子が「.dll」であるファイルを指します。
- WebSphere MQ
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米国IBM社が開発した,メッセージ蓄積型の通信を実現する製品群のことです。TP1/LiNKでは,TP1/Message Queue※を使うとメッセージ蓄積型の通信ができるようになります。
- 注※
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TP1/LiNKのVersion 7に対応するTP1/Message Queueは,現時点では未発行です。発行時期をご確認ください。
(カ行)
- 稼働統計情報
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稼働中のユーザサーバおよびTP1/LiNKのシステムサービスに関する各種情報を稼働統計情報といいます。稼働統計情報を編集出力すると,TP1/LiNKの稼働状況を知ることができます。この情報を参照して,TP1/LiNKのシステム構成を検討できます。
- 環境変数
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プログラムの処理で有効になる値を定義した変数のことです。TP1/LiNKで環境変数を定義するときは,該当するユーザサーバだけに有効になる環境変数(ローカルな環境変数)とTP1/LiNKのユーザサーバすべてで有効になる環境変数(グローバルな環境変数)を選べます。
- 監査ログ
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システム構築者,運用者,および使用者がTP1/LiNKのプログラムに対して実行した操作,およびその操作に伴うプログラムの動作の履歴が出力されるファイルのことです。監査ログには「いつ」,「だれが」,「何をしたか」などが記録されます。そのため,システムの使用状況,不正アクセスなどを監査する資料として使用できます。
- キューマネジャ
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メッセージキューイング機能を管理するソフトウェア製品のことです。メッセージキューイング機能を使って通信するシステムには,キューマネジャが必要になります。TP1/LiNKでメッセージキューイング機能を使う場合は,TP1/Message Queue※がキューマネジャの役割をします。
- 注※
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TP1/LiNKのVersion 7に対応するTP1/Message Queueは,現時点では未発行です。発行時期をご確認ください。
- クライアント/サーバ
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プログラムとプログラムの通信方法の一つです。業務処理を依頼する方をクライアント,要求を受けて業務を実行する方をサーバといいます。
クライアント/サーバとは,プログラム間の相対的な関係を示す用語です。サーバからさらにサーバへサービスを要求したときは,サービスを要求したサーバはクライアントになります。
(サ行)
- サービス
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クライアント/サーバシステムでは,クライアントから要求された手続きを総称してサービスといいます。アプリケーションのコーディング時には,C言語の場合は関数として,COBOL言語の場合はサブルーチンとして,サービスを作成します。
- サービス関数動的ローディング機能
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UAP共用ライブラリ化したサービス関数を,動的にローディングする(読み込む)機能のことです。UAP共用ライブラリ化とは,UAPのソースファイルを翻訳(コンパイル)して作成したUAPオブジェクトファイルを結合(リンケージ)して,共用ライブラリとしてまとめることです。
サービス関数動的ローディング機能を使うと,サービス関数を追加または削除する場合に,スタブの変更,およびSPPの実行形式ファイルの再生成をしなくても,[SPP環境設定]ダイアログボックスの[UAP共用ライブラリ(DLL)名(F)]を変更するだけでサービス関数を追加または削除できます。SPP起動時にサービス関数をローディングするため,SPPの実行形式ファイル作成時には,スタブおよびサービス関数は不要です。
- サービスグループ
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TP1/LiNKのアプリケーション(SPP)は,クライアントからの手続き要求を処理するサービスの集合です。このことから,アプリケーションのことをサービスグループといいます。TP1/LiNKでは,サービスグループはアプリケーションの実行形式ファイルであり,ユーザサーバでもあります。TP1/LiNKのリモートプロシジャコールの関数dc_rpc_callでは,サービスを要求するときにサービスグループ名とサービス名を引数に設定します。
- システムサービス
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TP1/LiNKのアプリケーションをユーザサーバということに対して,TP1/LiNKの個々の機能を指してシステムサービスといいます。システムサービスには,TP1/LiNKの状態を管理するステータスサービスやトランザクション機能を管理するトランザクションサービスなどがあります。
- シナリオ
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シナリオテンプレートを業務に関連付けて運用手順として実行できるようにしたものです。JP1/AJS2 - Scenario Operationが,シナリオテンプレートをシナリオとしてJP1/AJSに登録し,JP1/AJS2が実行します。
- シナリオジョブ
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シナリオジョブテンプレートを業務に関連付けて運用手順として実行できるようにしたものです。JP1/AJS2 - Scenario Operationが使用します。シナリオ中に定義されたコマンド,シェルスクリプト,Windows実行ファイルなどを定義したオブジェクトです。
- シナリオジョブテンプレート
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JP1/AJS2 - Scenario Operationが使用するシナリオテンプレートの部品です。シナリオテンプレート中に定義されたコマンド,シェルスクリプト,Windows実行ファイルなどを定義しています。TP1/LiNKでは,シナリオテンプレートを利用する運用で使用します。
- シナリオテンプレート
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運用手順を,テンプレート(ひな形)として部品化したものです。JP1/AJS2 - Scenario Operationが使用します。TP1/LiNKでは,シナリオテンプレートを利用する運用で使用します。
- シナリオ変数
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JP1/AJS2 - Scenario Operationで,運用環境によって変化する情報を,シナリオに応じてあらかじめ設定しておく変数です。TP1/LiNKのフォルダ情報などを設定します。
- シナリオライブラリ
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JP1/AJS2 - Scenario Operationで,シナリオテンプレートを管理するフォルダです。
- スケジュール機能
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ユーザサーバを負荷の量に応じて起動させたり停止させたりする,TP1/LiNKの機能です。スケジュールとプロセスを管理することで,負荷を分散したり,使うプロセスを抑えたりでき,プロセスが増え過ぎて性能が下がるのを避けることができます。
- スタブ
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リモートプロシジャコールに必要な,アプリケーションにリンケージするライブラリのことです。サービスを提供するユーザサーバ(SPP)を実行形式プログラムにするときに,スタブをリンケージさせます。
スタブのソースファイルは,ユーザサーバの実行環境を設定するときに自動的に生成されます。
スタブについては,マニュアル「OpenTP1 プログラム作成の手引」を参照してください。
- ステータスサービス
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TP1/LiNKのシステムサービスの一つで,アプリケーションの実行状態など,システム内の各種情報を管理します。
(タ行)
- ディレクトリ【UNIXの用語】
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UNIX OSの木構造のファイル管理のうち,ファイルを持つテーブルの役割をするファイルです。最上位のディレクトリをルートディレクトリといい,各ディレクトリはルートディレクトリの下に作成します。ルートディレクトリはスラント(/)で表記します。
ディレクトリの下にはファイルを格納できます。ディレクトリの下にディレクトリを作成することもできます。
Windowsでは,ディレクトリのことをフォルダといいます。
- データベースマネジメントシステム
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→DBMS(Database Management System)を参照してください
- 同期点
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トランザクション処理の区切りのことです。トランザクション処理を有効にする同期点処理をコミットといい,トランザクション処理を無効にする同期点処理をロールバックといいます。アプリケーションプログラムの同期点処理については,マニュアル「OpenTP1 プログラム作成の手引」のトランザクション制御に関する説明を参照してください。
- ドメイン
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ネットワークを論理的に区切った単位のことです。
ドメイン内のTP1/LiNKシステムをサーバマネージャで開始できます。
- トランザクション
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ファイルからデータを読み出して,変更したデータを書き込む処理(更新処理)では,データの一貫性を保持するため,途中で分けられません。このような処理の単位をトランザクションといいます。トランザクションの処理結果は,有効にするか無効にするかのどちらかに必ず決められます。
- トランザクション機能
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TP1/LiNKのアプリケーションの処理を,トランザクションとする機能です。トランザクション機能を使うと,TP1/LiNKをTPモニタとして使えます。
- トランザクションサービス
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TP1/LiNKのシステムサービスの一つで,トランザクション処理で使う資源を管理します。一部のリソースマネジャ(例 HiRDB)とTP1/LiNKをXAインタフェースで接続するときは,リソースマネジャの環境を設定するときにトランザクションサービスの環境変数を設定する必要があります。
- トランザクションマネジャ
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→TM(Transaction Manager)を参照してください。
(ナ行)
(ハ行)
- プロセス
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ユーザサーバまたはTP1/LiNKが,OSの作業領域を使う処理をプロセスといいます。TP1/LiNKでは,ユーザサーバのプロセスが必要以上に増えたり減ったりしないように,システムで使うプロセスの総数を管理しています。
- 閉塞
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ユーザサーバが異常終了したときに,TP1/LiNKがスケジュールを中止することです。異常終了したユーザサーバを閉塞することで,クライアントからのサービス要求に意図的にエラーを返して,不要な再実行や応答待ちのタイムアウトを防ぐようにしています。
閉塞の対象になるユーザサーバはSPPです。SUPは閉塞の対象になりません。
TP1/LiNKの稼働中にコマンドを実行して,意図的にユーザサーバを閉塞することもできます。
異常終了した原因を対処したあとで再びスケジュールを開始するときは,閉塞を解除します。
(マ行)
- マルチサーバ
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ユーザサーバのプロセスを複数起動させて,複数のサービス要求を並行して処理する機能のことです。マルチサーバによって,アプリケーションの処理効率が上がります。
- メッセージキューイング機能
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米国IBM社が開発した,メッセージ蓄積型の通信手段のことです。アプリケーションが登録したメッセージをキューマネジャが送受信するため,システム間の通信手順や通信障害時の処理をユーザサーバで意識しなくて済みます。また,アプリケーションは任意のタイミングでメッセージを扱えるので,電子メールのような運用ができます。メッセージキューイング機能を使うには,TP1/LiNKのシステムにTP1/Message Queue※が必要です。アプリケーションからキューへアクセスするときには,WebSphere MQ標準のAPI(MQI Message Queue Interface)を使います。
- 注※
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TP1/LiNKのVersion 7に対応するTP1/Message Queueは,現時点では未発行です。発行時期をご確認ください
- メッセージ送受信
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アプリケーションがメッセージの送信(SEND)または受信(RECEIVE)を要求する通信のことです。メッセージ送受信は,主にメインフレームで使います。TP1/LiNKでメッセージ送受信の通信をするときには,TP1/Messagingが必要です。
(ヤ行)
(ラ行)
- リアルタイム統計情報
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システム全体,サーバおよびサービス単位で,リアルタイムに出力できる統計情報を,リアルタイム統計情報といいます。リアルタイム統計情報を出力することで,OpenTP1システムの稼働状況をリアルタイムに把握でき,システムの運用管理や障害復旧を迅速に行えます。
- リアルタイム統計情報サービス
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システムの稼働状況をリアルタイムに把握するためのリアルタイム統計情報を管理する機能のことです。
- リソースマネジャ
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→RM(Resource Manager)を参照してください。
- リモートAPI機能
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クライアントから実行したAPIをサーバで代行できるようにするTP1/LiNKの機能のことです。ファイアウォールを経由して通信するときに,リモートAPI機能を使います。
リモートAPI機能を使うときには,RAPサービスが必要です。
- リモートプロシジャコール
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→RPC(Remote Procedure Call)を参照してください。