3.6.6 HDLMのサイレントインストール
HDLMを新規インストール,再インストール,またはアップグレードインストールする場合,サイレントインストールできます。サイレントインストールとは,HDLMのインストール時に応答処理を省略できるインストール方法です。
HDLMをサイレントインストールする手順を,次に説明します。なお,インストール前には前提となる準備が必要です。新規インストール前の準備については「3.6.1 HDLMを新規インストールする前の準備」を参照してください。アップグレードインストールまたは再インストール前の準備については「3.6.3 HDLMを再インストールまたはアップグレードインストールする前の準備」を参照してください。
Linuxに,root権限を持つユーザーでログインします。
LVMを使用している環境の場合は,LVMキャッシュを無効にしてください。詳細は,「3.10.1 LVM2を使用する場合の注意事項」を参照してください。
HDLMデバイスが使用されていないことを確認します。
再インストールまたはアップグレードインストールの場合,次に示すコマンドを実行して,sddlmfdrvのUsedが0になっていること,またはsddlmfdrvが表示されないことを確認してください。
# /sbin/lsmod Module Size Used by : : sddlmfdrv 254092 0
sddlmfdrvが表示され,かつUsedが0以外の場合は,次の両方の手順を実行してHDLMデバイスを使用しないようにしてください。
次の場合はライセンスキーの準備をします。
HDLMを新規インストールする場合
ライセンスの期限が切れている状態でHDLMを再インストールまたはアップグレードインストールする場合
インストール情報設定ファイルでライセンスキーまたはライセンスキーファイルの格納パスを指定する場合は,任意の格納ディレクトリー名およびファイル名を使用できます。なお,指定したライセンスキーまたはライセンスキーファイルはインストール後に削除されません。
指定方法の詳細は,「7.12.3 インストール情報設定ファイルの編集方法」を参照してください。
DVD-ROMをセットしてマウントします。
DVD-ROMが自動的にマウントされなかったときは,mountコマンドを実行して決められたマウントポイントにDVD-ROMをマウントします。
マウントポイントが,/media/cdromの場合のコマンドの実行例を次に示します。
# mount /dev/cdrom /media/cdrom
各ディストリビューションでの決められたマウントポイントを次の表に示します。
表3‒72 各ディストリビューションのマウントポイント ディストリビューション
マウントポイント
Red Hat Enterprise Linux 6
Red Hat Enterprise Linux 7
Red Hat Enterprise Linux 8
Red Hat Enterprise Linux 9
/media/cdrom
SUSE LINUX Enterprise Server
/media/cdrom
DVD-ROMが自動的にマウントされた場合は
/media/ メディアのボリュームID ※
- 注1
上記以外のマウントポイントにマウントした場合,HDLMをインストールできません。
- 注2
DVD-ROMの内容をコピーし,コピー先のディレクトリーからインストールする場合,上記に示すマウントポイントと同じ名称のディレクトリーに,DVD-ROMの内容をそのままコピーしてください。ファイルのパーミッションやディレクトリー構成が異なると,HDLMをインストールできません。
- 注※
ISO-9660ファイルシステムでフォーマットされたメディア(CD-ROMなど)のボリューム名のことです。メディアのボリュームIDは,volnameコマンドで確認してください。
メディアのボリュームIDが「VOL01234」の場合の実行例を次に示します。
# volname /dev/cdrom VOL01234
HDLMのバージョンを確認します。
HDLMのDVD-ROMに格納されているinstallux.shまたはHDLMインストールユーティリティー(installhdlm)を実行して,インストールするHDLMのバージョンを確認します。
DVD-ROMのマウントポイントが,/media/cdromの場合のコマンドの実行例を次に示します。
installux.shを実行する場合
# /media/cdrom/installux.sh -v
installhdlmユーティリティーを実行する場合
# /media/cdrom/HDLM_Linux/installhdlm -v
コマンドの実行結果を次に示します。「x.x.x-xx」の部分がHDLMのバージョンです。
KAPL09177-I HDLM version: x.x.x-xx
インストール情報設定ファイルを作成します。
インストールしたい設定に従って,インストール情報設定ファイルを編集してください。インストール情報設定ファイルで設定しなかった各種設定については,必要に応じてHDLMをインストールしたあとに設定してください。
サンプルファイルを使用する場合は,DVD-ROMから任意のディレクトリーにコピーしてください。なお,サンプルファイルは任意のファイル名に変更できます。
DVD-ROMのマウントポイントが,/media/cdromの場合のインストール実行例を次に示します。
# cp -p /media/cdrom/HDLM_Linux/config/sample_installhdlm.conf /任意のディレクトリー/任意のファイル名
インストール情報設定ファイルの編集方法については,「7.12.3 インストール情報設定ファイルの編集方法」を参照してください。
- 注
また,ホストとストレージシステムとの接続にQLogic 8400シリーズ(FCoE)を使用している場合は,ホストの再起動を指定しないでください。
インストールを実行します。
HDLMのDVD-ROMに格納されているinstallux.shまたはinstallhdlmユーティリティーを指定して,インストールを実行します。
DVD-ROMのマウントポイントが,/media/cdromの場合のインストール実行例を次に示します。
installux.shを実行する場合
# /media/cdrom/installux.sh -f / 任意のディレクトリー / インストール情報設定ファイル
installhdlmユーティリティーを実行する場合
# /media/cdrom/HDLM_Linux/installhdlm -f / 任意のディレクトリー / インストール情報設定ファイル
なお,手順7のインストール情報設定ファイルの編集で,ホストの再起動を指定している場合は,自動でホストが再起動されます。
HDLMがインストールされていることを確認します。
次に示すコマンドを実行して,インストールされたパッケージの詳細情報を表示します。
# rpm -qi HDLM Name : HDLM Version : x.x.x.x.xxx Release : xx :
「Version」に「x.x.x.x.xxx」が表示されていれば,正しいバージョンがインストールされています。x.x.x.x.xxxにはインストールされたHDLMのバージョンが表示されます。
ホストとストレージシステムとの接続にIP-SANを使用している場合は,/etc/opt/DynamicLinkManager/hdlm.confファイルに定義されている「iscsi_boot=n」の記述を,「iscsi_boot=y」に変更します。
また,ホストとストレージシステムとの接続にQLogic 8400シリーズ(FCoE)を使用している場合は,/etc/opt/DynamicLinkManager/hdlm.confファイルに定義されている「fcoe_boot=n」の記述を,「fcoe_boot=y」に変更します。
HDLMのドライバーオプションを設定する場合はHDLMドライバーオプション設定ユーティリティー(dlmsetopt)を実行します。
詳細については「7.8 dlmsetopt HDLMドライバーオプション設定ユーティリティー」を参照してください。
rootユーザーが使用するシェルの環境設定ファイルのPATH環境変数に,/opt/DynamicLinkManager/binを追加します。
rootユーザーの環境設定ファイルのPATH環境変数に,次の記述を追加します。これによって,HDLMコマンドやHDLMユーティリティーを簡潔に実行できます。
- BourneAgainシェル,またはKornシェルを使用している場合
-
PATH=$PATH:/opt/DynamicLinkManager/bin ; export PATH
- Cシェルを使用している場合
-
set path= ( $path /opt/DynamicLinkManager/bin )
PATH環境変数を設定しない場合は,絶対パスを指定してコマンドやユーティリティーを実行してください。
「3.6.1 HDLMを新規インストールする前の準備」の「(1) HDLM管理対象予定のデバイスへの操作」で/etc/fstabファイルを編集した場合は,次に示す行を追加してSCSIデバイス指定からHDLMデバイス指定に変更します。
なお,SCSIデバイスに対して「LABEL=」または「UUID=」を付けるLinuxの機能は,HDLMではサポートしていません。この機能は,使用しないでください。
/etc/fstabファイルの編集例を次に示します。
図に示した網掛けの行を追加します。
LUKSの使用に必要な設定をします。
ホストのOSでLUKSを使用する場合に設定します。また,LUKSの設定をしたSCSIデバイスをHDLMで管理する場合は,LUKSの設定をSCSIデバイスからHDLMデバイスに移行する必要があります。
LUKSの設定については,「3.8 LUKSの設定」を参照してください。
mdデバイスの使用に必要な設定をします。
mdデバイスを使用する場合は,マルチパス環境でmdデバイスを作成してください。
mdデバイスの設定については,「3.9 mdデバイスの設定」を参照してください。
ボリューム管理ソフトウェアの使用に必要な設定をします。
「3.6.3 HDLMを再インストールまたはアップグレードインストールする前の準備」の「(3) ボリュームグループの非活性化」を実行した場合は,次の手順を実行してボリュームグループを活性化してください。
- 手順7のインストール情報設定ファイルの編集で,ホストの再起動を指定していない場合
手順17に進んでください。
- 手順7のインストール情報設定ファイルの編集で,ホストの再起動を指定している場合
手順18に進んでください。
ボリューム管理ソフトウェアを使用しない場合は,手順20に進んでください。
その他のボリューム管理ソフトウェアの設定については,「3.10 LVM2の設定」を参照してください。
ボリュームグループを活性化します。
HDLMデバイス上の論理ボリュームが,vg01(ボリュームグループ)に属している場合の実行例を次に示します。
# vgchange -ay vg01 vgchange -- volume group "vg01" successfully activated
HDLMデバイス上の論理ボリュームをマウントします。
論理ボリュームが/dev/vg01/lvol1で,これを/mnt/lvol1にマウントする場合の実行例を次に示します。
# mount /dev/vg01/lvol1 /mnt/lvol1
仮想環境の使用に必要な設定をします。
Xenを使用する場合は,domainUでHDLMデバイスを使用するように設定します。KVMを使用する場合は,HDLMデバイスをハードウェア設定ファイルに登録します。
HDLMがサポートする仮想環境の動作環境は,「3.1.18 HDLMがサポートする仮想環境」を参照してください。仮想環境の設定については,「3.11 Xenの設定」または「3.12 KVMの設定」を参照してください。
クラスター構成での運用に必要な設定をします。
クラスター構成の場合,クラスターで指定されているSCSIデバイスの論理デバイスファイル名を,HDLMデバイスの論理デバイスファイル名に書き換えます。
クラスターソフトウェアの設定については,「3.13 CLUSTERPROの設定」,「3.14 Oracleの設定」,「3.15 RHCMの設定」,または「3.16 VCSの設定」を参照してください。