Hitachi

Hitachi Dynamic Link Manager ユーザーズガイド(Linux®用)


3.6.5 HDLMのアップグレードインストール

HDLMをアップグレードインストールする手順を,次に説明します。なお,インストール前には前提となる準備が必要です。インストール前の準備については「3.6.3 HDLMを再インストールまたはアップグレードインストールする前の準備」を参照してください。

05-40より前のバージョンのHDLMからアップグレードインストールする場合,またはライセンスの有効期限が切れている状態で05-40以降のバージョンのHDLMをインストールする場合は,ライセンスキーファイルが必要です

  1. Linuxに,root権限を持つユーザでログインします。

  2. LVMを使用している環境の場合は,LVMキャッシュを無効にしてください。詳細は,「3.10.1 LVM2を使用する場合の注意事項」を参照してください。

  3. HDLMデバイスが使用されていないことを確認します。

    次に示すコマンドを実行して,sddlmfdrvUsed0になっていること,またはsddlmfdrvが表示されないことを確認してください。

    # /sbin/lsmod
    Module                  Size  Used by
          :
          :
    sddlmfdrv              254092  0

    sddlmfdrvが表示され,かつUsed0以外の場合は,次の両方の手順を実行してHDLMデバイスを使用しないようにしてください。

  4. ライセンスキーの準備をします。

    次のどちらかの方法で,所定のディレクトリにライセンスキーファイルを格納してください。

    • /var/tmpディレクトリに,ライセンスキーファイル(*.plk)を「hdlm_license」という名称で格納する。

      /var/tmp/hdlm_license
    • 次に示すコマンドを実行して,/etc/opt/DynamicLinkManagerディレクトリにライセンスキーファイル(dlm.lic_key)を作成する。

      /etc/opt/DynamicLinkManagerディレクトリがない場合は,mkdirコマンドでディレクトリを作成してください。

      # mkdir /etc/opt/DynamicLinkManager
      # echo " ライセンスキー " > /etc/opt/DynamicLinkManager/dlm.lic_key
  5. DVD-ROMをセットしてマウントします。

    DVD-ROMが自動的にマウントされなかったときは,mountコマンドを実行して決められたマウントポイントにDVD-ROMをマウントします。

    マウントポイントが,/media/cdromの場合のコマンドの実行例を次に示します。

    # mount /dev/cdrom /media/cdrom

    各ディストリビューションでの決められたマウントポイントを次の表に示します。

    表3‒71 各ディストリビューションのマウントポイント

    ディストリビューション

    マウントポイント

    Red Hat Enterprise Linux 6

    Red Hat Enterprise Linux 7

    Red Hat Enterprise Linux 8

    Red Hat Enterprise Linux 9

    /media/cdrom

    SUSE LINUX Enterprise Server

    /media/cdrom

    DVD-ROMが自動的にマウントされた場合は

    /media/ メディアのボリュームID

    注1

    上記以外のマウントポイントにマウントした場合,HDLMをインストールできません。

    注2

    DVD-ROMの内容をコピーし,コピー先のディレクトリからインストールする場合,上記に示すマウントポイントと同じ名称のディレクトリに,DVD-ROMの内容をそのままコピーしてください。ファイルのパーミッションやディレクトリ構成が異なると,HDLMをインストールできません。

    注※

    ISO-9660ファイルシステムでフォーマットされたメディア(CD-ROMなど)のボリューム名のことです。メディアのボリュームIDは,volnameコマンドで確認してください。

    メディアのボリュームIDが「VOL01234」の場合の実行例を次に示します。

    # volname /dev/cdrom
    VOL01234
  6. HDLMのバージョンを確認します。

    HDLMのDVD-ROMに格納されているinstallux.shまたはHDLMインストールユティリティinstallhdlm)を実行して,インストールするHDLMのバージョンを確認します。

    DVD-ROMのマウントポイントが,/media/cdromの場合のコマンドの実行例を次に示します。

    • installux.shを実行する場合

      # /media/cdrom/installux.sh -v
    • installhdlmティリティを実行する場合

      # /media/cdrom/HDLM_Linux/installhdlm -v

    コマンドの実行結果を次に示します。「x.x.x-xx」の部分がHDLMのバージョンです。

    KAPL09177-I HDLM version: x.x.x-xx
  7. インストールを実行します。

    HDLMのDVD-ROMに格納されているinstallux.shまたはinstallhdlmティリティを指定して,インストールを実行します。

    DVD-ROMのマウントポイントが,/media/cdromの場合のインストール実行例を次に示します。

    • installux.shを実行する場合

      # /media/cdrom/installux.sh
    • installhdlmティリティを実行する場合

      # /media/cdrom/HDLM_Linux/installhdlm
  8. アップグレードインストールを確認するKAPL09093-Iメッセージが表示されるので,HDLMのバージョンを確認して,問題なければ「y」を入力します。

  9. HDLMがインストールされていることを確認します。

    次に示すコマンドを実行して,インストールされたパッケージの詳細情報を表示します。

    # rpm -qi HDLM
    Name        : HDLM
    Version     : x.x.x.x.xxx
    Release     : xx  
         :

    Version」に「x.x.x.x.xxx」が表示されていれば,正しいバージョンがインストールされています。x.x.x.x.xxxにはインストールされたバージョンが表示されます。

  10. ホストとストレージシステムとの接続にIP-SANを使用している場合は,/etc/opt/DynamicLinkManager/hdlm.confファイルに定義されている「iscsi_boot=n」の記述を,「iscsi_boot=y」に変更します。

    また,ホストとストレージシステムとの接続にQLogic 8400シリーズ(FCoE)を使用している場合は,/etc/opt/DynamicLinkManager/hdlm.confファイルに定義されている「fcoe_boot=n」の記述を,「fcoe_boot=y」に変更します。

  11. HDLMのドライバオプションを設定する場合はHDLMドライバオプション設定ユティリティdlmsetopt)を実行します。

    詳細については「7.8 dlmsetopt HDLMドライバオプション設定ユティリティ」を参照してください。

    この手順を実行した場合は,手順14に進んでください。

  12. ホストを再起動しないでインストールをする場合は,手順13以降を行います。再起動する場合は,手順14に進んでください。

  13. HDLM起動ユティリティdlmstart)を実行します。

    詳細については「7.9 dlmstart HDLM起動ユティリティ」を参照してください。

  14. rootユーザが使用するシェルの環境設定ファイルのPATH環境変数に,/opt/DynamicLinkManager/binを追加します。

    rootユーザの環境設定ファイルのPATH環境変数に,次の記述を追加します。これによって,HDLMコマンドやHDLMユティリティを簡潔に実行できます。

    BourneAgainシェル,またはKornシェルを使用している場合
    PATH=$PATH:/opt/DynamicLinkManager/bin ; export PATH
    Cシェルを使用している場合
    set path= ( $path /opt/DynamicLinkManager/bin )

    PATH環境変数を設定しない場合は,絶対パスを指定してコマンドやユティリティを実行してください。

    手順13を行っている場合は,手順16に進んでください。

  15. ホストを再起動します。

    次に示すコマンドを実行してホストを再起動してください。

    # shutdown -r now

    HDLMデバイスにパスが設定されて,HDLMマネージャが起動します。

  16. 3.6.3 HDLMを再インストールまたはアップグレードインストールする前の準備」の(1) HDLM管理対象のデバイスへの操作」で/etc/fstabファイルを編集した場合は,先頭に「#」を付けてコメントアウトした行を元に戻します。

    なお,SCSIデバイスに対して「LABEL=」または「UUID=」を付けるLinuxの機能は,HDLMではサポートしていません。この機能は,使用しないでください。

    /etc/fstabファイルの編集例を次に示します。

    [図データ]

    図に示した網掛けの行を追加します。

  17. LUKSの使用に必要な設定をします。

    ホストのOSでLUKSを使用する場合に設定します。また,LUKSの設定をしたSCSIデバイスをHDLMで管理する場合は,LUKSの設定をSCSIデバイスからHDLMデバイスに移行する必要があります。

    LUKSの設定については,「3.8 LUKSの設定」を参照してください。

  18. mdデバイスを使用する場合は,次のコマンドを実行して,mdデバイスを活性化します。

    # mdadm -A -scan
    mdadm: /dev/md0 has been started with 2 drives.
  19. mdデバイスを使用する場合は,次のコマンドを実行して,mdデバイスが活性化されていることを確認します。

    RAID1(ミラーリング)を使用している場合の実行例を次に示します。

    # cat /proc/mdstat
    Personalities : [raid1]
    md0 : active raid1 sddlmaa1[0] sddlmab1[1]
          5238528 blocks [2/2] [UU]
     
    unused devices: <none>

    md0 : active」と表示され,HDLMデバイスが表示されていることを確認してください。

  20. ボリューム管理ソフトウェアの使用に必要な設定をします。

    3.6.3 HDLMを再インストールまたはアップグレードインストールする前の準備」の(3) ボリュームグループの非活性化」を実行した場合は,次の手順を実行してボリュームグループを活性化してください。

    手順15を実行していない場合

    手順21に進んでください。

    手順15を実行している場合

    手順22に進んでください。

    ボリューム管理ソフトウェアを使用しない場合は,手順24に進んでください。

    その他のボリューム管理ソフトウェアの設定については,「3.10 LVM2の設定」を参照してください。

  21. ボリュームグループを活性化します。

    HDLMデバイス上の論理ボリュームが,vg01(ボリュームグループ)に属している場合の実行例を次に示します。

    # vgchange -ay vg01
    vgchange -- volume group "vg01" successfully activated
  22. HDLMデバイス上の論理ボリュームをマウントします。

    論理ボリュームが/dev/vg01/lvol1で,これを/mnt/lvol1にマウントする場合の実行例を次に示します。

    # mount /dev/vg01/lvol1 /mnt/lvol1
  23. 仮想環境の使用に必要な設定をします。

    Xenを使用する場合は,domainUでHDLMデバイスを使用するように設定します。KVMを使用する場合は,HDLMデバイスをハードウェア設定ファイルに登録します。

    HDLMがサポートする仮想環境の動作環境は,「3.1.18 HDLMがサポートする仮想環境」を参照してください。仮想環境の設定については,「3.11 Xenの設定」または「3.12 KVMの設定」を参照してください。

  24. クラスタ構成での運用に必要な設定をします。

    クラスタ構成の場合,クラスタで指定されているSCSIデバイスの論理デバイスファイル名を,HDLMデバイスの論理デバイスファイル名に書き換えます。

    クラスタソフトウェアの設定については,3.13 CLUSTERPROの設定3.14 Oracleの設定」,「3.15 RHCMの設定」,または「3.16 VCSの設定」を参照してください。