3.6.4 HDLMの再インストール
HDLMを再インストールする手順を,次に説明します。なお,インストール前には前提となる準備が必要です。インストール前の準備については「3.6.3 HDLMを再インストールまたはアップグレードインストールする前の準備」を参照してください。
ライセンスの有効期限が切れている状態でHDLMを再インストールする場合は,ライセンスキーファイルが必要です。
Linuxに,root権限を持つユーザーでログインします。
HDLMデバイスが使用されていないことを確認します。
次に示すコマンドを実行して,sddlmfdrvのUsedが0になっていること,またはsddlmfdrvが表示されないことを確認してください。
# /sbin/lsmod Module Size Used by : : sddlmfdrv 254092 0
sddlmfdrvが表示され,かつUsedが0以外の場合は,次の両方の手順を実行してHDLMデバイスを使用しないようにしてください。
ライセンスキーの準備をします。
/var/tmpディレクトリーに,ライセンスキーファイル(*.plk)を「hdlm_license」という名称で格納します。
/var/tmp/hdlm_license
- 再インストール時のライセンスキーについて
すでに永久ライセンスキーが入力されている場合は,ライセンスキーファイルの作成は不要です。
一時ライセンスキー,または非常用ライセンスキーが入力されている場合は,一時ライセンスキー,または非常用ライセンスキーの期限満了日が表示されます。
一時ライセンスキー,または非常用ライセンスキーの期限が切れている場合,/etc/opt/DynamicLinkManagerディレクトリーにあるライセンスキーファイル(dlm.lic_key)を更新する必要があります。
インストールの実行時にライセンスキーファイルがない場合は,「KAPL09090-W ライセンスを更新せずに,処理を続行します。」というメッセージが表示されて処理が続行されます。
ライセンスキーファイルの作成方法については「3.6.2 HDLMの新規インストール」を参照してください。
ライセンスキーについては「6.6.2 パラメーター」を参照してください。
DVD-ROMをセットしてマウントします。
DVD-ROMが自動的にマウントされなかったときは,mountコマンドを実行して決められたマウントポイントにDVD-ROMをマウントします。
マウントポイントが,/media/cdromの場合のコマンドの実行例を次に示します。
# mount /dev/cdrom /media/cdrom
各ディストリビューションでの決められたマウントポイントを次の表に示します。
表3‒70 各ディストリビューションのマウントポイント ディストリビューション
マウントポイント
Red Hat Enterprise Linux 6
Red Hat Enterprise Linux 7
Red Hat Enterprise Linux 8
Red Hat Enterprise Linux 9
/media/cdrom
SUSE LINUX Enterprise Server
/media/cdrom
DVD-ROMが自動的にマウントされた場合は
/media/ メディアのボリュームID ※
- 注1
上記以外のマウントポイントにマウントした場合,HDLMをインストールできません。
- 注2
DVD-ROMの内容をコピーし,コピー先のディレクトリーからインストールする場合,上記に示すマウントポイントと同じ名称のディレクトリーに,DVD-ROMの内容をそのままコピーしてください。ファイルのパーミッションやディレクトリー構成が異なると,HDLMをインストールできません。
- 注※
ISO-9660ファイルシステムでフォーマットされたメディア(CD-ROMなど)のボリューム名のことです。メディアのボリュームIDは,volnameコマンドで確認してください。
メディアのボリュームIDが「VOL01234」の場合の実行例を次に示します。
# volname /dev/cdrom VOL01234
HDLMのバージョンを確認します。
HDLMのDVD-ROMに格納されているinstallux.shまたはHDLMインストールユーティリティー(installhdlm)を実行して,インストールするHDLMのバージョンを確認します。
DVD-ROMのマウントポイントが,/media/cdromの場合のコマンドの実行例を次に示します。
installux.shを実行する場合
# /media/cdrom/installux.sh -v
installhdlmユーティリティーを実行する場合
# /media/cdrom/HDLM_Linux/installhdlm -v
コマンドの実行結果を次に示します。「x.x.x-xx」の部分がHDLMのバージョンです。
KAPL09177-I HDLM version: x.x.x-xx
インストールを実行します。
HDLMのDVD-ROMに格納されているinstallux.shまたはinstallhdlmユーティリティーを指定して,インストールを実行します。
DVD-ROMのマウントポイントが,/media/cdromの場合のインストール実行例を次に示します。
installux.shを実行する場合
# /media/cdrom/installux.sh
installhdlmユーティリティーを実行する場合
# /media/cdrom/HDLM_Linux/installhdlm
再インストールを確認するKAPL09093-Iメッセージが表示されるので,HDLMのバージョンを確認して,問題なければ「y」を入力します。
HDLMがインストールされていることを確認します。
次に示すコマンドを実行して,インストールされたパッケージの詳細情報を表示します。
# rpm -qi HDLM Name : HDLM Version : x.x.x.x.xxx Release : xx :
「Version」に「x.x.x.x.xxx」が表示されていれば,正しいバージョンがインストールされています。x.x.x.x.xxxにはインストールされたバージョンが表示されます。
HDLMのドライバーオプションを設定する場合はHDLMドライバーオプション設定ユーティリティー(dlmsetopt)を実行します。
詳細については「7.8 dlmsetopt HDLMドライバーオプション設定ユーティリティー」を参照してください。
この手順を実行した場合は,手順12に進んでください。
ホストを再起動しないでインストールをする場合は,手順11以降を行います。再起動する場合は,手順12に進んでください。
HDLM起動ユーティリティー(dlmstart)を実行します。
詳細については「7.9 dlmstart HDLM起動ユーティリティー」を参照してください。
rootユーザーが使用するシェルの環境設定ファイルのPATH環境変数に,/opt/DynamicLinkManager/binを追加します。
rootユーザーの環境設定ファイルのPATH環境変数に,次の記述を追加します。これによって,HDLMコマンドやHDLMユーティリティーを簡潔に実行できます。
- BourneAgainシェル,またはKornシェルを使用している場合
PATH=$PATH:/opt/DynamicLinkManager/bin ; export PATH
- Cシェルを使用している場合
set path= ( $path /opt/DynamicLinkManager/bin )
PATH環境変数を設定しない場合は,絶対パスを指定してコマンドやユーティリティーを実行してください。
手順11を行っている場合は,手順14に進んでください。
ホストを再起動します。
次に示すコマンドを実行してホストを再起動してください。
# shutdown -r now
HDLMデバイスにパスが設定されて,HDLMマネージャーが起動します。
「3.6.3 HDLMを再インストールまたはアップグレードインストールする前の準備」の「(1) HDLM管理対象のデバイスへの操作」で/etc/fstabファイルを編集した場合は,先頭に「#」を付けてコメントアウトした行を元に戻します。
なお,デバイスに対して「LABEL=」または「UUID=」を付けるLinux の機能は,HDLMではサポートしていません。この機能は,使用しないでください。
/etc/fstabファイルの編集例を次に示します。
LUKSの使用に必要な設定をします。
ホストのOSでLUKSを使用する場合に設定します。また,LUKSの設定をしたSCSIデバイスをHDLMで管理する場合は,LUKSの設定をSCSIデバイスからHDLMデバイスに移行する必要があります。
LUKSの設定については,「3.8 LUKSの設定」を参照してください。
mdデバイスを使用する場合は,次のコマンドを実行して,mdデバイスを活性化します。
# mdadm -A -scan mdadm: /dev/md0 has been started with 2 drives
mdデバイスを使用する場合は,次のコマンドを実行して,mdデバイスが活性化されていることを確認します。
RAID1(ミラーリング)を使用している場合の実行例を次に示します。
# cat /proc/mdstat Personalities : [raid1] md0 : active raid1 sddlmaa1[0] sddlmab1[1] 5238528 blocks [2/2] [UU] unused devices: <none>
「md0 : active」と表示され,HDLMデバイスが表示されていることを確認してください。
ボリューム管理ソフトウェアの使用に必要な設定をします。
「3.6.3 HDLMを再インストールまたはアップグレードインストールする前の準備」の「(3) ボリュームグループの非活性化」を実行した場合は,次の手順を実行してボリュームグループを活性化してください。
- 手順13を実行していない場合
手順19に進んでください。
- 手順13を実行している場合
手順20に進んでください。
ボリューム管理ソフトウェアを使用しない場合は,手順22に進んでください。
その他のボリューム管理ソフトウェアの設定については,「3.10 LVM2の設定」を参照してください。
ボリュームグループを活性化します。
HDLMデバイス上の論理ボリュームが,vg01(ボリュームグループ)に属している場合の実行例を次に示します。
# vgchange -ay vg01 vgchange -- volume group "vg01" successfully activated
HDLMデバイス上の論理ボリュームをマウントします。
論理ボリュームが/dev/vg01/lvol1で,これを/mnt/lvol1にマウントする場合の実行例を次に示します。
# mount /dev/vg01/lvol1 /mnt/lvol1
仮想環境の使用に必要な設定をします。
Xenを使用する場合は,domainUでHDLMデバイスを使用するように設定します。KVMを使用する場合は,HDLMデバイスをハードウェア設定ファイルに登録します。
HDLMがサポートする仮想環境の動作環境は,「3.1.18 HDLMがサポートする仮想環境」を参照してください。仮想環境の設定については,「3.11 Xenの設定」または「3.12 KVMの設定」を参照してください。
クラスター構成での運用に必要な設定をします。
クラスター構成の場合,クラスターで指定されているSCSIデバイスの論理デバイスファイル名を,HDLMデバイスの論理デバイスファイル名に書き換えます。
クラスターソフトウェアの設定については,「3.13 CLUSTERPROの設定」,「3.14 Oracleの設定」,「3.15 RHCMの設定」,または「3.16 VCSの設定」を参照してください。