Groupmax Scheduler/Facilities Manager Version 7 システム管理者ガイド

[目次][用語][索引][前へ][次へ]

11.2.10 SFdatacpユーザのホームサーバの移動

このコマンドは,ファイルモードのマルチサーバ環境で,ユーザのホームサーバを移動するコマンドです。このコマンドを使用すると,管理データ上のホームサーバの変更とスケジュールデータの転送を自動で実行できます。

ホームサーバを移動するユーザは移動者一覧ファイルで指定できます。Assist連携を使用している場合は,Assist連携で作成された移動者一覧ファイルをそのまま利用してください。Assist連携を使用していない場合でも,移動者一覧ファイルを手動で作成することでこのコマンドを利用してホームサーバ移動を実現できます。

11.2.10(1)(c) 設定事項」と「11.2.10(1)(d) バックアップの取得」の内容をすべて設定した後,ユーザのホームサーバ移動をするために次のコマンドを実行してください。

<この項の構成>
(1) コマンドを実行する前の準備
(2) コマンドの書式
(3) 引数
(4) コマンドパス
(5) リターンコード
(6) 実行結果の確認
(7) エラー発生時の対処

(1) コマンドを実行する前の準備

(a) 前提条件
(b) 使用条件
(c) 設定事項
(d) バックアップの取得

このコマンドを実行する前に必ずシステム内のすべてのサーバで,次に示すデータのバックアップを取得してください。エラー発生時のリカバリに使用します。

<インストールディレクトリ>\etc
<スケジュール格納ディレクトリ>

(2) コマンドの書式

SFdatacp.exe  [/m filename] [/f logfile_name]

(3) 引数

(4) コマンドパス

<インストールディレクトリ>\bin\SFdatacp.exe
デフォルトはC:\Groupmax\apposv\bin\SFdatacp.exe

(5) リターンコード

0:正常終了

1:異常終了

(6) 実行結果の確認

SFdatacpコマンド実行後は,次のファイルの内容を参照して実行結果を確認してください。

(a) 詳細ログファイル

SFdatacpコマンドの詳細ログは次に示すファイルに出力されます。格納先は,実行するたびに変更しますので御注意ください。ログファイルに出力されたエラーメッセージの解説については,「13.15 「SFdatacp」のメッセージ」を参照してください。

(b) ホームサーバ移動結果ファイル

SFdatacpコマンドを使ったホームサーバ移動の処理結果をユーザ単位で確認できるファイルです。

ホームサーバ移動結果ファイルのフォーマット
移動ユーザID <スペース> 移動後のホスト名 <スペース> 移動前のホスト名 <スペース> 処理結果 <スペース> 詳細エラー<改行>

ホームサーバ移動結果ファイルの例
USER001      HOSTA        HOSTB  ○<改行>
USER002      HOSTB        HOSTA  ○<改行>
                                 :
                                 :
USER009      HOSTA        HOSTC  × 21<改行>
<詳細エラー一覧>
20:移動後サーバとの通信エラーが発生しました
21:移動前サーバとの通信エラーが発生しました
22:移動後サーバでバイトオーダ変換に失敗しました
23:移動前サーバのスケジュールデータの受信処理に失敗しました
24:移動前サーバでスケジュールデータバックアップに失敗しました
25:移動後サーバでスケジュールデータのコピーに失敗しました
30:ホームサーバの名前解決に失敗しました
31:ホームサーバの更新処理に失敗しました
255:その他のエラー

(7) エラー発生時の対処

11.2.10(6) 実行結果の確認」に従って詳細ログファイルに出力されているメッセージを確認し,エラーが発生している場合は,エラーの要因を除去した上で,次の手順に従って再実行してください。メッセージに応じて回復方法が異なる場合がありますので,「13.15 「SFdatacp」のメッセージ」を参照して正しく回復してください。

基本的には,次の方法で回復できます。

(a) すべて再実行する方法
  1. すべてのサーバで次のデータをバックアップからリカバリしてください。
    <インストールディレクトリ>\etc
    <スケジュール格納ディレクトリ>
  2. 親サーバの<インストールディレクトリ>\log\agent\[処理ID]\MVorg.tblを<インストールディレクトリ>\etc\MV.tblとしてコピーしてください。
    処理IDは,14桁の数字で,実行時間(「西暦年+月+日+時+分+秒」)を表しています。
  3. SFdatacp.exe [/f logfile_name]を実行してください。
(b) エラーとなったユーザだけ再実行する方法

この方法は,親サーバで次に示す1から3の条件にすべて該当する場合だけ実行できます。

条件
  1. ホームサーバ移動結果ファイル(<インストールディレクトリ>\log\agent\[処理ID]\MVresult.tbl)が作成されていること。
    処理IDは実行した年月日時分秒の14桁の名前です。
  2. 実行前に作成した移動者一覧ファイルが更新され,ホームサーバ移動結果ファイルで"×"が付いたユーザだけがエントリされている状態になっていること。
  3. エラーとなったユーザの移動前サーバの<スケジュール格納ディレクトリ>以下にスケジュールデータ(ユーザID名のディレクトリ)があること。
    スケジュールデータがない場合,取得しておいたバックアップからリカバリしてください。

手順
  1. 親サーバで<インストールディレクトリ>\log\agent\[処理ID]\MVresult.tblを参照してエラーが発生したユーザを確認してください。エラーが発生したユーザには,"×"が付いています。詳細は,「11.2.10(6)(b) ホームサーバ移動結果ファイル」を参照してください。MVresult.tblが存在しない場合は,「13.15 「SFdatacp」のメッセージ」を参照して対処してください。処理IDは実行した年月日時分秒の14桁の名前です。
  2. 使用した移動者一覧ファイルが更新されて,1でエラーが発生したユーザだけがエントリされていることを確認してください。
  3. エラーが発生したユーザの移動前のサーバにスケジュールデータが残っていることを確認してください。残っていない場合,取得したバックアップから戻してください。
  4. SFdatacpを再実行してください。

エラー発生時の注意事項
  • エラーが発生した場合は,ログや「13.14 「SFdatacp」のトラブルシューティング」を参照して,必ず解決するようにしてください。エラー状態のまま「Groupmax Scheduler Server」サービス又はGroupmax Facilities Manager」サービスを起動しないでください。エラー状態のまま上記サービスを起動した場合,その後のアプリケーションの動作は保証しません。
  • エラーメッセージの解説については,「13.15 「SFdatacp」のメッセージ」を参照してください。
(c) SFdatacp実行時に通信エラーが発生した場合

スケジュールデータのデータ量が多い環境でSFdatacpを実行した場合,ホームサーバ移動処理の処理中に,タイムアウトによって通信エラーが発生する場合があります。タイムアウトが発生した場合は,SFdatacpの実行ログ<インストールディレクトリ>\log\agent\<処理ID>\SFdatacp.logに次のメッセージが出力されています。

「ユーザ[<ユーザID>]のホームサーバ移動処理で移動元サーバ[<ホスト名>]との通信エラーが発生しました」

この場合,<インストールディレクトリ>\bin\AppoSV.iniファイルに次の記述を追加し,タイムアウト時間を長くしてください。AppoSV.iniの設定内容については,「3.2.6 AppoSV.iniファイルの設定値一覧」を参照してください。また,AppoSV.iniファイルを作成,及び変更した場合はScheduler Server Tool,及びFacilities Manager Toolを必ず再起動してください。

[Sockets]
TimeOutMan=タイムアウト時間(秒)<改行>
TimeOutRMMan=タイムアウト時間(秒)<改行>

記述例
[Sockets]
TimeOutMan=60
TimeOutRMMan=60

この例では,タイムアウト時間が60秒となります。

この記述がない場合,又はAppoSV.iniファイルがない場合は,デフォルトの設定に従うため,TimeOutMan=30,TimeOutRMMan=30として扱い,タイムアウト時間は30秒となります。