Cosminexus 簡易構築・運用ガイド

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9.2.2 運用設計

運用設計では,システムの起動や停止などの日常運用操作,運用スケジュール,運用スケジュールの自動化,監視,稼働性能統計などを設計します。

ここでは,Smart Composer機能で構築したシステムで実現できる次に示す運用について説明しています。

これらの運用の操作手順,および設定の変更方法については,それぞれ次の個所を参照してください。

バッチアプリケーションを実行するシステムの運用について説明します。

<この項の構成>
(1) 日常運用
(2) システムの設定変更
(3) システムの構成変更
(4) システム環境の移行
(5) システムの削除

(1) 日常運用

Smart Composer機能で構築したシステムで実施できる,日常運用の操作を説明します。

(a) サービスユニットの一括起動と一括停止

サービスユニットの一括起動と一括停止ができます。一括起動および一括停止は,システム内のすべてのサービスユニットに対して実施したり,特定のサービスユニットに対して実施したりできます。

一括起動および一括停止の範囲を次の図に示します。

図9-1 一括起動および一括停止の範囲

[図データ]

特定のサービスユニットに対して起動または停止できるので,例えば,サービスユニット1だけを停止させるという操作が実現できます。

(2) システムの設定変更

Smart Composer機能でできる,システムの設定変更の操作を説明します。

(a) システムの設定の一括変更

システム全体の設定は,一括で変更できます。システム全体の設定の一括変更について次の図に示します。

図9-2 システム全体の設定の一括変更

[図データ]

システム全体の設定の一括変更の流れについて説明します。なお,1.〜3.の操作はすべてSmart Composer機能のコマンドを使用して実施します。それぞれの操作は,システム内のすべてのサービスユニットに対して一括で実施できます。

  1. システムを停止します。
  2. 変更後の設定をシステムに反映させます。
    システム内のすべての設定を一度に変更できます。
  3. システムを起動します。

(3) システムの構成変更

システムの構成変更について説明します。

(a) システムのスケールアウトおよびスケールイン

システムのスケールアウトおよびスケールインができます。スケールアウトとは,システム全体の処理性能を向上させることを目的として,サーバの台数を増やすことをいいます。また,スケールインとは,システムの規模を縮小する場合などに,サーバの台数を減らすことをいいます。

スケールアウトおよびスケールインは,サービスユニット単位またはWebシステム単位で実施できます。なお,スケールアウトおよびスケールインは,業務全体を停止することなく実施できます。

スケールアウトおよびスケールインについて次の図に示します。

図9-3 スケールアウトおよびスケールイン

[図データ]

この図では,サービスユニット3をシステムに追加(スケールアウト),およびシステムから削除(スケールイン)しています。サービスユニット3のスケールアウトおよびスケールインに際しては,稼働中のサービスユニット1およびサービスユニット2には影響はないため,業務全体を停止することなく,スケールアウトおよびスケールインができます。

(b) JP1/SC/DPMと連携したスケールアウト

Smart Composer機能でシステムをスケールアウトする際に,JP1/SC/DPMと連携できます。JP1/SC/DPMと連携すると,マシン(運用管理ドメイン)単位にスケールアウトしてサーバの台数を増やしたり,またはスケールインしてサーバの台数を減らしたりできます。JP1/SC/DPMでのスケールアウトおよびスケールインについては,「11.5 JP1/SC/DPMを利用したシステムのスケールアウトとスケールイン」を参照してください。

JP1/SC/DPMでは,システムのディスクイメージを複製し,複製したデータを基にして,OSやアプリケーションを一括でサーバにインストールできます(ディスク複製OSインストール機能)。Smart Composer機能でシステムをスケールアウトするときにJP1/SC/DPMと連携すると,構築済みのシステムの複製した情報を使用して,追加するアプリケーションサーバにOSやアプリケーションを一括インストールできます。

JP1/SC/DPMと連携してスケールアウトをするときの流れを次の図に示します。

図9-4 JP1/SC/DPMと連携したスケールアウト

[図データ]

JP1/SC/DPMと連携したスケールアウトの流れについて説明します。なお,ここでは,サービスユニット1が構築済みの場合に,JP1/SC/DPMを使用して,サービスユニット2をシステムに追加(スケールアウト)するときの例で説明します。

  1. Smart Composer機能で構築済みのサービスユニット1のディスクイメージを,JP1/SC/DPMを使用して複製します。
  2. 1.で複製したディスクイメージに従って,追加するサービスユニット2にOSやアプリケーションをインストールします。
  3. Smart Composer機能のコマンドを使用して,サービスユニット2をシステムに追加(スケールアウト)します。
 

(4) システム環境の移行

システム環境の移行について説明します。

(a) 構築済みのシステムの移行

構築済みのシステムの移行ができます。テスト環境で構築したシステムを本番環境に移行する場合などに利用できます。

構築済みのシステムの移行について次の図に示します。

図9-5 構築済みのシステムの移行

[図データ]

構築済みのシステムの移行の流れについて説明します。構築済みのシステムを移行するためには,移行先のシステムで,Management Serverが動作している必要があります。構築済みのシステムを移行する前に,移行先のシステムでインストールと初期設定を済ませておいてください。なお,1.〜2.の操作はSmart Composer機能のコマンドを使用して実施します。

  1. 移行元の環境で,システムの設定内容を簡易構築定義ファイルの形式で出力します。
  2. 移行先の環境で,出力した簡易構築定義ファイルを使用して,システムを構築します。移行先の環境では,移行元の環境のシステムと同じ設定内容のシステムが構築されます。

(5) システムの削除

不要になったシステムを削除できます。システムを削除するには,Smart Composer機能で提供するコマンドを使用します。システムの削除については,「11.8 システムの削除」を参照してください。