JP1/Integrated Management - Rule Operation システム構築・運用ガイド

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2.5.1 ルール実行履歴のCSVファイルへの出力

ルール実行結果は,上限を超えると古いルール実行結果から順に削除されます。ルール実行履歴を保存したい場合は,jrmgethistoryコマンドを使用してCSVファイルに出力してください。出力したCSVファイルは,ルールの運用を見直すための分析資料として利用できます。例えば,CSVファイルを加工することで,特定のサーバで実行されたルールだけを抽出したり,特定のJP1イベントに対して実行されたルールだけを抽出したりできます。

JP1/IM - RLを運用しながら継続的にすべてのルール実行履歴を保存したい場合は,ルール実行結果が上限に達する前にCSVファイルに出力する運用方法を検討してください。CSVファイルへの出力方法には,次の種類があります。

自動で出力する
  1. 定期的に出力する
  2. 定量的に出力する

任意のタイミングで手動で出力する
  1. すべてのルール実行履歴を出力する
  2. 条件を指定して出力する
  3. 前回出力時からの差分を出力する

それぞれについて説明します。

<この項の構成>
(1) 定期的に出力する
(2) 定量的に出力する
(3) すべてのルール実行履歴を出力する
(4) 条件を指定して出力する
(5) 前回出力時からの差分を出力する

(1) 定期的に出力する

JP1/AJS2などを利用して,日や月単位でルール実行履歴を出力するコマンドをジョブとして実行することで,定期的にルール実行履歴をCSVファイルに出力できます。

ジョブを実行する間隔内でルール実行結果が上限を超えないよう運用設計してください。一定の間隔内で想定した数を超えてルールが実行された場合,ルール実行履歴をCSVファイルに出力する前に,実行結果の上限に達して履歴が削除されるおそれがあります。このようなケースを避けるためには,CSVファイルに出力する間隔を狭めるか,ルール実行結果数しきい値チェック機能を併用してください。

ルール実行結果数しきい値チェック機能を使用すると,ルール実行結果数を監視して,一定数を超えた場合に自動でCSVファイルに出力できます。ルール実行結果数のしきい値チェック機能を利用した履歴出力方法については,「2.5.1(2) 定量的に出力する」を参照してください。

1日単位でルール実行履歴をCSVファイルに出力する例を次の図に示します。図の例では,JP1/AJS2を使用して毎日3時00分にルール実行履歴を出力しています。また,ルール実行結果数のしきい値を3,000件に設定し,しきい値を超えた場合にルール実行履歴を出力するようにしています。

図2-13 定期的にルール実行履歴をCSVファイルに出力する例

[図データ]

定期的に出力する間隔内でルール実行結果数がしきい値の3,000件を超えると,JP1イベントが発行されます。このJP1イベントを契機にルールが起動し,ルール実行履歴がCSVファイルに出力されます。

このように,定期的にルール実行履歴を出力する運用と,しきい値超過時にルール実行履歴を出力する運用を併用することをお勧めします。

(a) 必要な設定

JP1/AJS2など定期的にジョブを実行する製品で,jrmgethistoryコマンドを実行するジョブを定義してください。指定するコマンドの形式を次に示します。

jrmgethistory [-h 論理ホスト名] -d 出力先フォルダ -a

jrmgethistoryコマンドの詳細については,「9. コマンド」の「jrmgethistory」を参照してください。

ルール実行結果数のしきい値チェック機能を使用してルール実行履歴を出力するために必要な設定については,「2.5.1(2)(a) 必要な設定」を参照してください。

(2) 定量的に出力する

ルール実行結果数を監視して,一定数を超えた場合に自動でCSVファイルに出力する運用方法について説明します。

あらかじめルール実行結果数のしきい値を設定しておくことで,ルール実行結果数がしきい値を超えた場合にJP1イベントを発行できます。このJP1イベントを契機にjrmgethistoryコマンドを実行することで,ルール実行履歴を漏れなく保存できます。jrmgethistoryコマンドでは,前回の出力時からの差分だけを出力できるため,出力されるCSVファイルに同じ実行結果が重複することはありません。

ルール実行結果数を監視し,しきい値を超えた場合にJP1イベントを発行する機能を,ルール実行結果数しきい値チェック機能と呼びます。しきい値を超えた場合に発行されるJP1イベントを,ルール実行結果数のしきい値超過イベントと呼びます。デフォルトでは,この機能は無効です。

定量的にルール実行履歴をCSVファイルに出力する例を次の図に示します。

図2-14 定量的にルール実行履歴をCSVファイルに出力する例

[図データ]

しきい値を3,000件に設定した場合,ルール実行結果数が3,000件を超えた場合にJP1イベントが発行されます。このJP1イベントを契機にルール実行履歴を出力するコマンドを実行するようにします。ルール実行履歴の出力コマンドを実行すると,ルール実行結果数のカウントは0になります。CSVファイルに出力したあとに再び3,000件を超えるとJP1イベントが発行されます。

この運用を自動で行うには,ルール実行結果数のしきい値超過イベントを契機にjrmgethistoryコマンドを実行するようルールに定義し,JP1/IM - Managerの自動アクションからルールを実行してください。

ルール実行結果数しきい値チェック機能と自動アクションおよびルールを組み合わせて,ルール実行履歴をCSVファイルに出力する流れを次の図に示します。

図2-15 ルール実行結果数しきい値チェック機能を利用してルール実行履歴を出力する流れ

[図データ]

図中の番号に沿って説明します。

  1. ルール実行結果数がしきい値を超過します。
  2. ルール実行結果数しきい値チェック機能は,JP1イベントを発行します。
    発行されたJP1イベントは,JP1/BaseによってJP1/IM - Managerホストに転送されます。
  3. JP1/IM - Managerは,自動アクション機能によって,JP1/IM - RLにルール起動要求を通知します。
  4. JP1/IM - Managerからルール起動要求を受けると,JP1/IM - RLはルール実行履歴をCSVファイルに出力するルールを実行します。

CSVファイルに出力したあとに不要なルール実行結果を削除したい場合は,セントラルコンソール・ビューアーの[イベントコンソール]画面に表示されたルール実行結果数のしきい値超過イベントから,ルールオペレーション・ビューアーをモニター起動して削除できます。

(a) 必要な設定

ルール実行結果数を監視して,一定数を超えた場合に自動でCSVファイルに出力するために必要な設定を次に示します。

JP1/IM - Manager
ルール実行結果数のしきい値超過イベント(イベントID:00005825)を起動条件として,JP1/IM - RLにルール起動要求を通知する自動アクションを設定します。ルール起動要求を通知する自動アクションの設定方法については,マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager システム構築・運用ガイド」を参照してください。

JP1/IM - RL

ルール実行結果数のしきい値の設定
ルール実行結果数のしきい値と,発行するJP1イベントの重大度を設定します。設定方法については,「3.4.3(5) ルール実行結果数のしきい値の設定」を参照してください。

ルールの定義
jrmgethistoryコマンドをルールとして定義します。ルール起動条件には,ルール実行結果数のしきい値超過イベント(イベントID:00005825)を定義します。
コマンド実行ルールエレメントに定義するコマンドの形式を次に示します。
jrmgethistory [-h 論理ホスト名] -d 出力先フォルダ -a
jrmgethistoryコマンドの詳細については,「9. コマンド」の「jrmgethistory」を参照してください。
ルールの定義方法については,「6. ルールの定義」を参照してください。

JP1/Base

JP1/IM - ManagerホストのJP1/Base
イベントID 00005825のJP1イベントをJP1/IM - Managerが取得できるよう,イベント取得フィルターを設定してください。イベント取得フィルターの詳細については,マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager システム構築・運用ガイド」を参照してください。

JP1/IM - RLホストのJP1/Base
イベントID 00005825のJP1イベントをJP1/IM - Managerホストに転送するよう,JP1イベントの転送設定をしてください。JP1イベントの転送設定については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。

(3) すべてのルール実行履歴を出力する

jrmgethistoryコマンドを実行した時点に存在するすべてのルール実行履歴をCSVファイルに出力できます。

(4) 条件を指定して出力する

出力対象のルール実行履歴を次に示す条件で絞り込むことができます。

(5) 前回出力時からの差分を出力する

jrmgethistoryコマンドに-aオプションを指定することで,前回jrmgethistoryコマンドを実行して履歴を出力した時点以降に蓄積された履歴だけを出力できます。

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