Hitachi Command Suite ユーザーズガイド
global-active deviceを使用すると,2台のストレージシステムの間でデータをボリューム単位に冗長化し,ストレージシステムの可用性を向上させることができます。それぞれのストレージシステムのリソースを同じ仮想ストレージマシンに登録し,それぞれのボリュームに同じ仮想情報(仮想LDEV ID)を付与することで,ホストからは1台のストレージシステムのボリュームとして扱えます。同時に,それぞれのボリュームがglobal-active deviceペアボリュームとして設定されるため,一方のボリュームに書き込まれたデータが自動的にもう一方のボリュームに同期されるようになります。
次のストレージシステムの場合に,global-active deviceを使用できます。
- VSP 5000シリーズ
- VSP G1000
- VSP G1500
- VSP F1500
- VSP Gx00
- VSP Fx00
正ストレージシステムおよび副ストレージシステムのVSP G1000のマイクロバージョンがどちらも80-02-01-XX/XX以降のとき,VSP Gx00モデルのマイクロバージョンがどちらも83-01-2X-XX/XX以降のとき,またはVSP Fx00モデルのマイクロバージョンが83-04-02-XX/XX以降のときは,すでに仮想LDEV IDが付与されたボリュームを使用してglobal-active deviceのコピーペアを作成することもできます。なお,VSP 5000シリーズ,VSP G1500およびVSP F1500の場合,マイクロバージョンの制限はありません。
global-active deviceペアボリュームのI/O性能を確保するためには,正ボリュームと副ボリュームのドライブ特性(ドライブタイプやスピードなど),RAIDレベル,階層構成などの設定を同一にすることをお勧めします。
重要
- 容量削減機能(dedupe and compression)が有効なボリュームを使用してコピーペアを作成する場合,コピーの性能やホストのI/O性能が低下するおそれがあります。詳細については,global-active deviceのマニュアルを参照してください。
global-active deviceを使用するには,Replication Managerのライセンスの登録が必要です。
global-active deviceペアボリュームの運用イメージを次の図に示します。
図8-1 global-active deviceペアボリュームの運用イメージ
図は,正ストレージシステムのデフォルトの仮想ストレージマシンでリソース管理されているボリュームを,global-active deviceペアボリュームの正ボリュームとして運用している例です。正ボリュームの物理LDEV IDと同じ情報が,副ボリュームの仮想LDEV IDとして設定されます。
global-active deviceペアボリュームを使用すると,次のような運用ができ,可用性の高いシステムを構築できます。
- 障害発生時のI/Oの継続
一方のストレージシステムに障害が発生したときも,もう一方のストレージシステムで,ホストからの業務を継続できます。- ホストのフェイルオーバーとフェイルバック時の継続運用
ホストがクラスタ構成の場合,ホストのクラスタソフトウェアを使用して,フェイルオーバーおよびフェイルバックができます。ストレージシステムでのglobal-active deviceのコピーペアの分割や再同期は不要です。- 仮想マシンを用いた業務サーバの負荷分散
ホストの仮想マシンの負荷が高いとき,仮想マシンだけをもう一方のストレージシステムにアクセスするホストへ移動して業務を継続できます。global-active deviceペアボリュームのそれぞれのボリュームには同一のデータが格納されているため,ストレージシステム間でのデータ移行は不要です。Device Managerでは各ストレージシステムやコンポーネントの初期設定をまとめた画面から,手順に従って必要な設定ができます。1台のDevice Managerで正ストレージシステムと副ストレージシステムの両方を管理している場合は,正ボリュームと副ボリュームを一度にホスト(ファイルサーバおよびNASモジュールを除く)に割り当てて,同時にコピーペアを作成できます。形成コピー(初期コピー),ゼロページ破棄(コピーペアがDPボリュームで構成されている場合)も実行されるため,すぐに運用を開始できます。
また,[レプリケーション]タブを使用して,global-active deviceのコピーペアにShadowImageやThin Imageのコピーペアを追加してカスケード構成にしたり,Universal Replicatorと組み合わせて3DCデルタリシンク構成にしたりすることで,さらに強固にデータを保護できます。global-active deviceのコピーペアの状態確認や,障害時のコピーペアの操作などもできます。
重要
- ホストのOSがHP-UX 11i v3でネイティブマルチパス機能を使用している場合は,事前に次のコマンドを実行してレガシーDSFに対するマルチパス機能を無効にしてください。
- scsimgr save_attr -a leg_mpath_enable=false
参考
- ホストとストレージシステム間のアクセス効率を向上したい場合は,ALUAを使用すると,長距離間パスのI/Oを抑止できます。詳細については,global-active deviceのマニュアルを参照してください。
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