3.3.4 インストール・アンインストール時の注意事項
- 〈この項の構成〉
(1) インストールについて
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「Install failed」などと表示され,Hitachi PP Installerを使ったインストールが失敗した場合,/etc/.hitachi/.hitachi.logにログが出力されます。なお,このログファイルは,次にHitachi PP Installerを起動すると上書きされるので,必要に応じてバックアップをとってください。
また,/tmp/HITACHI_JP1_INST_LOGディレクトリ下にインストール時のログが出力されます。
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インストール先のドライブは,ローカルディスクを使用してください。ネットワーク接続のディスク(NFS,NASなど)をマウントしインストールしないでください。
(2) 再インストールについて
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JP1/Baseを上書きインストールする場合は,JP1/BaseとJP1シリーズすべてのプログラム,およびJP1/Baseのイベントサービスを利用しているすべてのプログラムを必ず終了してください。
JP1/AJS - Managerを使用している場合は,JP1/AJS Monitorサービスを終了してください。
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JP1/Baseを上書きインストールすると統合トレース機能(HNTRLib2)が停止します。このため,JP1/Baseを起動しても統合トレースログで情報の採取ができません。JP1/Baseを上書きインストールした場合は,統合トレース機能(HNTRLib2)が起動しているかpsコマンドを使って確認してください(hntr2monプロセスが稼働していれば起動しています)。統合トレース機能(HNTRLib2)が起動していなければ,hntr2monコマンドを使って起動してください。hntr2monコマンドの詳細については,「15. コマンド」の「hntr2mon(UNIX限定)」を参照してください。
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JP1/Baseをアンインストールしてから,再インストールする場合には,JP1/BaseおよびJP1/Baseを前提とする製品をすべてアンインストールしたあとに,JP1/Base,JP1/Baseを前提とする製品の順に再インストールをしてください。
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JP1/IM - Managerの場合
JP1/Baseを再インストールしたあと,JP1/BaseおよびJP1/IM - Managerを再セットアップしてください。
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JP1/AJSの場合
JP1/Baseを再インストールしたあと,JP1/BaseおよびJP1/AJSを再セットアップしてください。
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JP1/AJS2 for Mainframeの場合
JP1/AJS2 for Mainframeもアンインストールしたあと,JP1/BaseおよびJP1/AJS2 for Mainframeを再インストールしてください。そのあと,JP1/BaseおよびJP1/AJS2 for Mainframeを再セットアップしてください。
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JP1/Power Monitorの場合
JP1/Baseを再インストールしたあと,JP1/BaseおよびJP1/Power Monitorを再セットアップしてください。ただし,JP1/AJSとの連携セットアップや論理ホストのセットアップを実行していない場合は,JP1/Power Monitorを再セットアップする必要はありません。
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JP1/Baseを前提とする製品をアンインストールしないでJP1/Baseを強制的にアンインストールしたあと,再インストールする場合は,退避されたJP1/Base以外の共通定義情報を復旧する必要があります。退避した共通定義情報の復旧手順については,「(8) JP1/Baseを前提とするJP1製品の共通定義情報の復旧手順」を参照してください。
(3) OS環境への設定
JP1/Baseのインストール時に,/etc/servicesファイルに「付録C ポート番号一覧」に示すポート番号が設定されます。これらの設定情報は,JP1/Baseのアンインストールで削除されます。
(4) アンインストールについて
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JP1/Baseのアンインストール後は,次に示すディレクトリが残っていないか確認し,残っている場合は削除してください。
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/etc/opt/jp1base
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/opt/jp1base
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/var/opt/jp1base
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JP1/AJS,JP1/Baseをインストールしたあと,JP1/AJSだけをアンインストールすると,その後イベントサービスが起動しなくなることがあります。この場合,イベントサーバ設定ファイル(conf)のinclude ajs-confパラメーターの行を削除するか,コメント扱い(行の先頭に#を付ける)にしてください。
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インストーラーのログとして次のファイルが作成されます。アンインストールが正常終了したあとに削除してください。
/tmp/HITACHI_JP1_INST_LOG/jp1base_inst{1|2|3|4|5}.log
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servicesファイルに設定したサービス名jesrdのポート番号は削除されません。不要であれば,削除してください。
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次の製品がインストールされている場合,メッセージKAVA1870-Eを出力してアンインストールできません。
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JP1/AJS3 - Manager
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JP1/AJS3 - Agent
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JP1/AJS3 - Agent Minimal Edition
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JP1/AJS3 - WOA
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JP1/Power Monitor
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JP1/IM2 - Manager
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JP1/IM2 - View
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JP1/IM2 - EG
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(5) 上書きインストールについて
以前のバージョンの製品を使用している環境に上書きインストールする場合,次の点に注意してください。
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バージョン8で,コマンド実行履歴ファイル(ISAM)の保存形式が変更になりました。そのため,JP1/IMを使用している環境で,バージョン8以降のJP1/Baseを07-51以前のバージョンから上書きインストールした場合,JP1/IMの運用開始までの間に必ずjcocmdconvコマンドを実行してください。
このコマンドを実行すると,バージョン7以前のJP1/Baseに蓄積されたコマンド実行履歴ファイル(ISAM)を,バージョン8以降のコマンド実行履歴ファイル(ISAM)に移行できます。このコマンドを実行しなかった場合,バージョン7以前に蓄積されたコマンド実行履歴が参照できません。また,クラスタ運用時には,共有ディスクにアクセスできる状態で,実行系か待機系のどちらか一方から論理ホストに対し,jcocmdconvコマンドを1回だけ実行してください。
jcocmdconvコマンドの詳細については,「15. コマンド」の「jcocmdconv」を参照してください。
なお,コマンド実行履歴はマネージャーホスト(JP1/IMと同ホスト)のJP1/Baseだけに作成されます。
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09-00では,イベントサーバ設定ファイル(conf)のoptionsパラメーターにsave-repフラグが追加されました。このフラグを設定すると,イベントDBの重複防止テーブルをファイル上に保持します。設定しない場合は,重複防止テーブルをメモリー上に保持します。そのため,イベントサーバの再起動時に,重複防止テーブルが破棄されたあとで再構築され,他ホストから転送されたJP1イベントの受信に時間が掛かります。他ホストから転送されたJP1イベントを受信するイベントサーバでは,save-repフラグを設定することを推奨します。
なお,08-50以前のバージョンから上書きインストールした場合は,このフラグが設定されていないため,次の手順で重複防止テーブルをファイル上に構築してください。
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イベントサーバ設定ファイルのoptionsパラメーターにsave-repフラグを追加する。
イベントサーバ設定ファイルについては,「16. 定義ファイル」の「イベントサーバ設定ファイル」を参照してください。
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jevdbmkrepコマンドを実行する。
jevdbmkrepコマンドについては,「15. コマンド」の「jevdbmkrep」を参照してください。
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イベントサーバを起動する。
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09-10では,ログファイルトラップ起動定義ファイル(jevlog_start.conf)が追加されました。09-10以降のJP1/IMと連携している場合,IM構成管理を使用しているときは,このファイルを使用すると,IM構成管理からログファイルトラップの起動・停止を管理できます。
IM構成管理からログファイルトラップの起動・停止を管理する場合,jbs_startでログファイルトラップを起動するように定義しているときは,次の作業を実施して,ログファイルトラップを起動するための定義をログファイルトラップ起動定義ファイルに移行してください。
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jbs_startで設定していた,ログファイルトラップを起動するための定義を削除する。
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ログファイルトラップ起動定義ファイルに,起動・停止したいログファイルトラップを設定する。
ログファイルトラップ起動定義ファイルについては,「16. 定義ファイル」の「ログファイルトラップ起動定義ファイル」を参照してください。
なお,移行の際は,次の点に注意してください。
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jevlogstartコマンドオプションにログファイルトラップ動作定義ファイル名(-fオプション)を必ず指定してください。
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監視名またはログファイルトラップ動作定義ファイル名が,ほかのログファイルトラップと重複しないようにしてください。重複している場合は,別の名称に変更してください。
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11-50以降では,大規模なシステム(エージェント1,024台以上)でJP1/IM - Managerのリモートコマンドや自動アクションを使用する運用の場合,従来のコマンド実行履歴ファイルのレコード数(初期設定で20,000レコード)では不足するおそれがあるため,レコード数を拡張することを推奨します。
なお,コマンド実行履歴ファイルの自動再編成機能を有効にしている場合,ファイルのサイズに応じてJP1/Baseの起動時間が増加するため,運用に支障がないことを確認してください。詳細については,「4.9 コマンド実行履歴ファイルの自動再編成機能について」を参照してください。
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JP1/Baseを上書きインストールする場合は,JP1/BaseとJP1シリーズすべてのプログラム,およびJP1/Baseのイベントサービスを利用しているすべてのプログラムを必ず終了してください。
JP1/AJS - Managerを使用している場合は,JP1/AJS Monitorサービスを終了してください。
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12-10以降では,物理ホストのイベントサーバをFQDN名で運用している場合に,JP1イベント取得関数を使用するときは,イベントサーバインデックスファイルにイベントサーバ名「*」(自ホスト名のイベントサーバ名)の定義を追加してください。定義をしない場合,JP1イベント取得に失敗します。
詳細については,「16. 定義ファイル」の「イベントサーバインデックスファイル」を参照してください。
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12-50以前のJP1/Baseに13-00以降のJP1/Baseを上書きインストールすると,JP1/SESイベントを使用する製品と連携するための機能で使用するファイルおよびディレクトリが残ったままになります。これらのファイルおよびディレクトリはJP1/Baseの動作に影響がありません。
(6) ディスク複製インストール時の注意事項(Linux限定)
JP1/Baseは,JP1/ServerConductor/Deployment ManagerおよびHitachi Compute Systems Manager Deployment Manager Plug-inのディスク複製インストール,または仮想化プラットフォームが提供するイメージファイル化による複製機能に対応した日立プログラムプロダクトです。
ディスク複製インストール時,JP1/Baseの各定義ファイルは基本的にインストールとセットアップ後のデフォルトの定義内容で複製することを推奨します。
ただし,定義内容を変更して複製先でも同一の設定をする場合は,次の点に注意してください。
(a) 複製前の注意事項
- イベントサービスの動作環境の設定
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イベントサーバインデックスファイル,イベントサーバ設定ファイルおよびAPI設定ファイルの各パラメーターにIPアドレスやホスト名,イベントサーバ名は設定しないでください。
- システム構成の定義情報削除
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複製先のホストをJP1/IMのシステム構成配下に定義する場合には,すでに設定されている構成定義情報をjbsrt_delコマンドで削除してください。
(b) 複製後の注意事項
- イベントデータベースの初期化
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ディスク複製インストール時に,内部的に生成されたホスト名でリブートされることで,イベントデータベースにJP1イベントが残ることがあります。運用を始める前にイベントデータベースを初期化してください。
ディスク複製インストールの操作・運用方法については,JP1/ServerConductor/Deployment ManagerおよびHitachi Compute Systems Manager Deployment Manager Plug-inのユーザーズガイドを参照してください。仮想化プラットフォームの複製機能については,仮想化ソフトウェアのマニュアルを参照してください。
(7) サイレントインストール機能について
JP1/Baseは,サイレントインストール機能によるインストール方法が利用できます。
- 実行コマンド
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AIXの場合:
提供媒体/AIX/setup -f -k 製品形名 提供媒体のパス
Linuxの場合:
提供媒体/X64LIN/setup -f -k 製品形名 提供媒体のパス
- サイレントインストール時の注意事項
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提供媒体をHDD上にコピーして実行する場合は,スペースを含まないディレクトリパス上に媒体の内容をすべてコピーしてください。また,コピーしたファイル群はコンペアなど(バイナリレベル)で一致することを確認してください。
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インストールが正常終了したかどうかは,実行結果の戻り値を参照してください。戻り値については,JP1のWebサイトに公開しているドキュメントの「サイレントインストール機能」を参照してください。
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(8) JP1/Baseを前提とするJP1製品の共通定義情報の復旧手順
JP1/Baseを前提とするJP1製品をアンインストールしないで,JP1/Baseを再インストールする場合に,共通定義情報を復旧する手順を次に示します。
なお,復旧手順の実施中は,JP1/BaseサービスやJP1製品のサービスを起動しないでください。
また,共通定義情報の復旧手順を誤った場合に備えて,次のコマンドを実行して全てのJP1製品の共通定義情報をバックアップしてください。
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物理ホストの場合
jbsgetcnf > バックアップファイル名
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論理ホストの場合
jbsgetcnf -h 論理ホスト名 > バックアップファイル名
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JP1/Baseをバックアップする。
バックアップの詳細については,「3.5.3 バックアップとリカバリー(UNIXの場合)」を参照してください。
JP1/IM - Manager がインストールされている場合は,コマンド実行履歴ファイル (ISAM)のバックアップを行ってください。コマンド実行履歴ファイル(ISAM)のバックアップについては,マニュアル「JP1/Integrated Management 3 - Manager 運用ガイド」(データベースのバックアップおよびリカバリー)を参照してください。
統合トレースログが削除される場合があるため,復旧手順実施前のログを採取してください。ログの採取方法については「18.4 資料の採取方法」を参照してください。
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共通定義情報退避ファイルの出力先を確認する。
共通定義情報退避ファイルの出力先(/tmp/)の空きディスク容量が十分(1+0.4×論理ホスト数[MB]以上)あること,エディタ等で共通定義情報退避ファイル出力先ディレクトリやファイルの排他を掛けていないこと,アクセス権限があることを確認してください。
空きディスク容量が無い場合,共通定義情報退避ファイルのファイルサイズが0byteになるなど,正しく出力されません。
排他が掛かっている場合やアクセス権限が無い場合,アンインストール時にメッセージKAVA1871-Eを出力してエラーになります。
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次の環境変数を設定する。
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# JP1_BASE_UNINST_FORCE=1
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# export JP1_BASE_UNINST_FORCE
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JP1/Baseをアンインストールする。
「3.3.3 アンインストール」を参照し,Hitachi PP Installerの指示に従ってJP1/Baseをアンインストールしてください。
JP1/Baseを前提とする製品がインストールされている場合でもアンインストールが実行されます。
アンインストール時にJP1/Baseを除いた共通定義情報が,共通定義情報退避ファイルとして出力されます。
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物理ホストの場合:/tmp/JP1_COMDEF/comdef_JP1_DEFAULT.conf
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論理ホストの場合:/tmp/JP1_COMDEF/comdef_論理ホスト名.conf
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環境変数JP1_BASE_UNINST_FORCEの設定を解除する。
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JP1/Baseを再度インストールする。
インストールの詳細については,「3.3.1 インストール」を参照してください。
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JP1/Baseを再度セットアップする。
クラスタ運用している場合は論理ホストを作成してください。
論理ホスト名(大文字・小文字),共有ディレクトリは変更できません。
アダプタコマンド設定ファイル(/opt/jp1base/plugin/conf/*.conf)を手順1のバックアップからリカバリーしてください。
JP1/IM - Managerがインストールされている場合は,コマンド実行履歴ファイル(ISAM)を手順1のバックアップからリカバリーしてください。
イベントDBを手順1のバックアップからリカバリーしてください。イベントDBのリカバリーについては,「3.5.3(4)(a) 転送設定ファイルで他ホストにJP1イベントを転送していない場合のリカバリー手順」を参照して行ってください。
JP1/Baseの環境構築を行ってください。
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JP1/Baseの環境をリカバリーする場合
JP1/Baseのその他定義ファイル,共通定義情報,jp1hosts2情報を手順1のバックアップからリカバリーしてください。
リカバリーの詳細については,「3.5.3(3) 設定情報のリカバリー」を参照してください。
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JP1/Baseの環境を構築しなおす場合
JP1/Baseを再度セットアップしてください。
セットアップの詳細については,「3.4 セットアップ」を参照してください。
また,必要に応じてその他の設定を行ってください。
他製品のセットアップでJP1/Baseの設定を行っている場合は,設定しなおしてください。
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手順4で出力された共通定義情報退避ファイルを使用して,jbssetcnfコマンドを実行する。
JP1/Baseを除いたJP1製品の共通定義を復旧します。物理ホストおよびすべての論理ホストに対してコマンドを実行します。
jbssetcnf 共通定義情報退避ファイル名
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手順4で出力された共通定義情報退避ファイルの出力先ディレクトリを削除する。
共通定義情報退避ファイルの出力先ディレクトリ(/tmp/JP1_COMDEF/)を削除してください。
(9) Linuxで運用する場合のbig timestampsの有効化について
Linuxのxfsファイルシステムは,big timestamps※を有効化することで,2038年以降も使用できます。デフォルトでは無効になっているため,2038年1月19日3時14分7秒(UTC)までに,使用するOSのマニュアルを参照して,big timestampsを有効化した上で運用してください。
- 注※
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inodeのタイムスタンプとクオータ有効期限のタイプスタンプのデータサイズを拡大する設定です。