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JP1 Version 12 JP1/Service Support 構築・運用ガイド


3.6.3 案件の引き戻し

案件の引き戻しとは,ステータスを遷移させた案件に対して,遷移させたステータスにアクセス権がなくても案件のステータスと担当者を遷移前の状態に戻す機能です。この機能を使用することで,案件の承認の申請などでステータスを遷移させたときに不備があった場合,遷移先の担当者にステータスの変更を依頼することなく,案件を再編集できます。

案件の引き戻し機能の使用例を,次の図に示します。

図3‒27 案件の引き戻し機能の使用例

[図データ]

なお,案件の引き戻し機能を使用するかどうかは,プロセスワークボードごとに設定します。案件の引き戻し機能の設定については,「3.2.1 プロセスワークボードによる案件の管理」を参照してください。

〈この項の構成〉

(1) 案件の引き戻しの実行条件

案件を引き戻すためには,実行ユーザー,対象システム,対象プロセスワークボード,および対象案件が,案件の引き戻し機能を実行できる状態にしておく必要があります。それぞれの実行条件を,次に示します。

実行ユーザーの条件

対象となる案件が現在のステータスに遷移する前に担当者に設定されていたユーザーまたはロールのメンバーです。なお,対象となるプロセスワークボードに対して案件ごとに参照権限を設定している場合は,案件ごとの参照権限所有者として登録されている案件だけを操作できます。案件ごとの参照権限の設定については,「3.11 案件に対するアクセス権の管理」を参照してください。

対象システムおよび対象プロセスワークボードの条件

次に示すすべての条件を満たす必要があります。

  • 対象システムおよび対象プロセスワークボードが運用中である。

  • 対象プロセスワークボードで,案件の引き戻し機能を使用できる設定になっている。

  • 遷移後のステータスから遷移前のステータスへの遷移が制限されていない。

対象案件の条件

次に示すすべての条件を満たす必要があります。

  • 対象案件が管理案件である。

  • 対象案件をほかのユーザーが編集中ではない。

  • 対象案件が削除待ち状態ではない。

  • 対象案件のステータスが現在のステータスに遷移してから,編集またはエスカレーションされていない。

  • 対象案件の編集回数が,上限に達していない。

  • 対象案件の引き戻し先のステータスで必要な項目が,すべて入力されている。

  • 対象案件の現在のステータスが,案件の引き戻しまたは差し戻し機能によって遷移されていない。編集によって遷移されている。

重要
  • 登録時のステータスの場合,引き戻しできません。

  • エスカレーション先の案件は,エスカレーション元の案件とは別の案件となります。このため,エスカレーション先の案件をエスカレーション元の案件に引き戻すことはできません。

  • 案件を引き戻したあとのステータスは,[進捗表示]画面のステータスの表示順と一致しない場合があります。[進捗表示]画面のステータスの表示順と一致させたい場合は,案件の編集でステータスを変更してください。また,常に引き戻したあとのステータスを[進捗表示]画面の表示順と一致させたい場合は,[進捗表示]画面の表示順と一致するようにステータスの遷移先を制限してください。ステータスの制限については,「3.15.4 ステータスの制限」を参照してください。

(2) 案件の引き戻しの実行

案件の引き戻しは,次に示す画面から実行できます。実行方法については,マニュアル「JP1/Service Support 操作ガイド」を参照してください。

(3) 案件の引き戻しによるメール通知

案件を引き戻した際,引き戻し前の案件の担当者にメールで通知できます。また,案件を引き戻すと担当者が変更されるため,案件の担当者変更もメールで通知できます。メールによる通知の詳細については,「3.12 メールによる通知」を参照してください。