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JP1 Version 12 JP1/Service Support 構築・運用ガイド


3.6.4 案件の差し戻し

案件の差し戻しとは,ステータスの編集権限を持つ案件に対して,案件のステータスと担当者をステータスの遷移前の状態に戻す機能です。この機能を使用することで,案件の承認などの依頼を受けた際に調査内容などの不備に気づいた場合,案件の承認依頼を却下できます。

案件の差し戻し機能の使用例を,次の図に示します。

図3‒28 案件の差し戻し機能の使用例(通常の場合)

[図データ]

図3‒29 案件の差し戻し機能の使用例(引き戻しまたは差し戻された案件をさらに差し戻す場合)

[図データ]

図3-28に示すように,通常は案件を差し戻すと,差し戻す前のステータスと担当者に変更されます。引き戻しまたは差し戻された案件をさらに差し戻す場合は,図3-29に示すように,ステータスは「調査中」,担当者は「調査担当B」に変更されます。

また,案件を差し戻す際に,[案件編集]画面で案件の内容を編集できます。例えば,却下理由などの情報を「コメント」に追加できます。ただし,「ステータス」および「担当者」を編集しても,自動で設定されるため,案件に反映されません。

〈この項の構成〉

(1) 案件の差し戻しの実行条件

案件を差し戻すためには,実行ユーザー,対象システム,対象プロセスワークボード,および対象案件が,案件の差し戻し機能を実行できる状態にしておく必要があります。それぞれの実行条件を,次に示します。

実行ユーザーの条件

対象となる案件の編集権限を持つユーザーです。

なお,対象となるプロセスワークボードに対して案件ごとに参照権限を設定している場合は,案件ごとの参照権限所有者として登録されている案件だけを操作できます。案件ごとの参照権限の設定については,「3.11 案件に対するアクセス権の管理」を参照してください。

対象システムおよび対象プロセスワークボードの条件

次に示すすべての条件を満たす必要があります。

  • 対象システムおよび対象プロセスワークボードが運用中である。

  • 遷移後のステータスから遷移前のステータスへの遷移が制限されていない。

対象案件の条件

次に示すすべての条件を満たす必要があります。

  • 対象案件が管理案件である。

  • 対象案件が編集中ではない。

  • 対象案件が削除待ち状態ではない。

  • 対象案件の編集回数が,上限に達していない。

  • 対象案件の差し戻し先のステータスで必要な項目が,すべて入力されている。

差し戻し先担当者の条件

次に示すすべての条件を満たす必要があります。

  • 対象案件に対して,参照権限を持っている。

  • 差し戻し先の案件に対して,編集権限を持っている。

重要
  • エスカレーション先の案件は,エスカレーション元の案件とは別の案件となります。このため,エスカレーション先の案件をエスカレーション元の案件に差し戻すことはできません。

  • 設定したステータスの順序と異なるステータスに遷移した案件を差し戻した場合,差し戻す直前のステータスに遷移するため,案件を差し戻したあとのステータスは,[進捗表示]画面のステータスの表示順と一致しない場合があります。[進捗表示]画面のステータスの表示順と一致させたい場合は,案件の編集でステータスを変更してください。また,常に差し戻したあとのステータスを[進捗表示]画面の表示順と一致させたい場合は,[進捗表示]画面の表示順と一致するようにステータスの遷移先を制限してください。ステータスの制限については,「3.15.4 ステータスの制限」を参照してください。

(2) 案件の差し戻しの実行

案件の差し戻しは,次に示す画面から実行できます。実行方法については,マニュアル「JP1/Service Support 操作ガイド」を参照してください。

(3) 案件の差し戻しによるメール通知

案件を差し戻した際,差し戻し後の案件の担当者にメールで通知できます。メールによる通知の詳細については,「3.12 メールによる通知」を参照してください。