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JP1 Version 11 JP1/Advanced Shell 


2.9.5 非クラスタ環境で論理ホストを運用する場合の設定

クラスタ環境で運用しない論理ホストの構築および運用についての概要を説明します。クラスタ環境で運用しない論理ホストも,通常のクラスタシステムで運用する場合の論理ホストと同じ環境情報を設定して運用します。

〈この項の構成〉

(1) 非クラスタシステムで論理ホストを運用する場合の環境情報の設定

クラスタソフトと連携しないで,クラスタ環境で運用しない論理ホスト環境でJP1/Advanced Shellを運用する手順を次に示します。

(a) 論理ホスト環境の準備

論理ホスト環境を作成するために,論理ホスト用のディスク領域およびIPアドレスを用意してください。

  • 論理ホスト用のディスク領域

    物理ホストやほかの論理ホストのJP1シリーズ製品が使用しているものとは別に,論理ホストのJP1/Advanced Shellが使用するファイルの格納先ディレクトリを,ローカルディスク上に作成してください。

  • 論理ホスト用のIPアドレス

    論理ホストのJP1/Advanced Shellが使用するIPアドレスを,OSに割り当ててください。IPアドレスの割り当ては,実IPアドレスでもエイリアスIPアドレスでもかまいません。ただし,論理ホストから一意に特定できるIPアドレスにしてください。

    これらに対する前提条件は,クラスタシステムでの運用の場合と同じです。ただし,クラスタ環境での運用方法ではないため,「クラスタソフト」に関連する条件などは除きます。

なお,「2.9 クラスタ構成で運用する」で,共有ディスク・論理IPアドレスと説明している部分は,上記で割り当てた論理ホスト用のディスク領域・IPアドレスに読み替えてください。

  • 性能の見積もり

    性能を見積もる際は,以下のような観点でシステムとして動作可能か見積もってください。

    • システム内で複数のJP1シリーズ製品が起動できるリソースを割り当てられるかどうかを見積もってください。リソースが十分に割り当てられないと,正しく動作しなかったり,十分な性能が確保できなかったりします。

(b) 論理ホストの環境情報の設定

クラスタシステムの実行系サーバと同じ手順で,論理ホストの環境情報の設定を行ってください。クラスタシステムの環境情報の設定については,「2.9.2 クラスタ運用の環境情報の設定」を参照してください。なお,クラスタシステムでは系切り替えをする両側のサーバに対して設定する必要がありますが,クラスタ環境で運用しない論理ホストでは,動作するサーバだけ設定してください。

(2) 非クラスタ環境の論理ホスト用ユーザー応答機能管理デーモンの自動起動と自動停止【UNIX限定】

システムの起動時および終了時に,ユーザー応答機能管理デーモンを自動起動・自動停止させるための設定方法を次に示します。

(a) AIXの場合

  • システム起動時の自動起動機能

    システム起動時の自動起動機能を設定するには,mkitabコマンドを使用して次のコマンドを実行します。

    mkitab "論理ホスト用ユーザー応答機能管理デーモンのレコード:2:wait:/opt/jp1as/sbin/adshmdctl -h 論理ホスト名 start"

    論理ホスト用のユーザー応答機能管理デーモンの起動は,連携するJP1シリーズ製品の論理ホスト用サービスの起動よりあとになるよう設定してください。例えば,論理ホストのJP1/Base,論理ホストのJP1/IM - Managerの順に自動起動させるには,次のように指定してmkitabコマンドを実行します。

    mkitab -i 論理ホスト用JP1/Baseのレコード "論理ホスト用JP1/IM - Managerのレコード:2:wait:/etc/opt/jp1cons/jco_start.cluster 論理ホスト名"
    mkitab -i 論理ホスト用JP1/IM - Managerのレコード "論理ホスト用ユーザー応答機能管理デーモンのレコード:2:wait:/opt/jp1as/sbin/adshmdctl -h 論理ホスト名 start"
  • システム終了時の自動停止機能

    システム終了時の自動停止機能を設定するには,/etc/rc.shutdownを編集して,連携するJP1シリーズ製品の論理ホスト用サービスの停止より先に停止させるように次に示す記述を追加します。

    test -x /opt/jp1as/sbin/adshmdctl && /opt/jp1as/sbin/adshmdctl -h 論理ホスト名 stop
        :
    連携するJP1シリーズ製品の論理ホスト用サービスの停止処理
        :

(b) RHEL 6,Oracle Linux 6,CentOS 6の場合

  • 自動起動および自動停止スクリプトの作成

    論理ホスト用の自動起動および自動停止スクリプトを/etc/rc.d/init.dディレクトリに作成します。作成例を次に示します。

    #!/bin/sh
     
    JP1_HOSTNAME=論理ホスト名
     
    case $1 in
    'start')
          if [ -x /opt/jp1as/sbin/adshmdctl ]
          then
                  /opt/jp1as/sbin/adshmdctl -h $JP1_HOSTNAME start
                  touch /var/lock/subsys/ロックファイル名
          fi
          ;;
    'stop')
          if [ -x /opt/jp1as/sbin/adshmdctl ]
          then
                  /opt/jp1as/sbin/adshmdctl -h $JP1_HOSTNAME stop
                  rm -f /var/lock/subsys/ロックファイル名
          fi
          ;;
    esac
     
    exit 0

    なお,ロックファイル名には自動停止のために作成するシンボリックリンクの名称の先頭から数字部分(KXX部分)を除いた名称を指定します。例えば,自動停止のためのシンボリックリンクの名称が「K01_JP1_AS_CLUSTER」の場合,「_JP1_AS_CLUSTER」を指定します。

  • 自動起動のためのシンボリックリンク作成

    作成した自動起動および自動停止スクリプトへのシンボリックリンクを/etc/rc.d/rc<N>.dディレクトリ(<N>は起動時の実行レベル)に作成します。このとき,連携するJP1シリーズ製品の論理ホスト用サービスが起動したあとに起動されるようにシンボリックリンクの名称を付ける必要があります。シンボリックリンクの作成手順については,「(1) ユーザー応答機能管理デーモンの自動起動と自動停止」を参照してください。

  • 自動停止のためのシンボリックリンク作成

    作成した自動起動および自動停止スクリプトへのシンボリックリンクを/etc/rc.d/rc<N>.dディレクトリ(<N>は停止時の実行レベル)に作成します。このとき,連携するJP1シリーズ製品の論理ホスト用サービスよりも先に停止されるようにシンボリックリンクの名称を付ける必要があります。シンボリックリンクの作成手順については,「(1) ユーザー応答機能管理デーモンの自動起動と自動停止」を参照してください。

なお,連携するJP1シリーズ製品の論理ホスト用サービスの自動起動および自動停止スクリプトの作成と,作成した自動起動および自動停止スクリプトへのシンボリックリンクの作成は,ユーザー自身が実行します。連携するJP1シリーズ製品の論理ホスト用サービスの自動起動および自動停止スクリプト名とシンボリックリンクの名称については,連携するJP1シリーズ製品のマニュアルを参照してください。

(c) RHEL 7,SUSE Linux 12,Oracle Linux 7,CentOS 7の場合

  • 論理ホスト用ユーザー応答機能管理デーモンのUnitファイルの作成

    論理ホスト用ユーザー応答機能管理デーモンのUnitファイルを/etc/systemd/systemディレクトリに作成します。作成するUnitファイルの名称は,「jp1_as_md_論理ホスト名.service」のように,拡張子を「.service」にします。

    作成するUnitファイルの記述例を次に示します。なお,「論理ホスト用JP1/BaseのUnitファイル名」については,JP1/Baseのドキュメントを参照してください。

    [Unit]
    # Service name
    Description=Advanced Shell - adshmd 論理ホスト名
    
    # Depecdencies
    Requires=論理ホスト用JP1/BaseのUnitファイル名
    After=論理ホスト用JP1/BaseのUnitファイル名
    ConditionFileIsExecutable=/opt/jp1as/sbin/adshmdctl
    
    [Service]
    # Service type
    Type=forking
    PIDFile=/opt/jp1as/system/adshmd_論理ホスト名.pid
    
    # Service operations
    ExecStart=/opt/jp1as/sbin/adshmdctl -h 論理ホスト名 start
    ExecStop=/opt/jp1as/sbin/adshmdctl -h 論理ホスト名 stop
    
    KillMode=none
    
    [Install]
    WantedBy=multi-user.target graphical.target
    

    /etc/systemd/systemディレクトリに作成したUnitファイルの所有者,属するグループ,パーミッションを次のように設定します。

    chmod u=rw,go=r /etc/systemd/system/論理ホスト用ユーザー応答機能管理デーモンのUnitファイル名

    chown root:root /etc/systemd/system/論理ホスト用ユーザー応答機能管理デーモンのUnitファイル名

  • 自動起動・自動停止の設定

    論理ホスト用ユーザー応答機能管理デーモンの自動起動・自動停止の設定は,systemctlコマンドを次のように指定して実行します。

    systemctl --system enable 論理ホスト用ユーザー応答機能管理デーモンのUnitファイル名

なお,上記の設定によってユーザー応答機能管理デーモンを自動起動,自動終了した場合に,タイミングによって発生する動作については,「(1) ユーザー応答機能管理デーモンの自動起動と自動停止」の「(c) RHEL 7,SUSE Linux 12,Oracle Linux 7,CentOS 7の場合」を参照してください。

(d) HP-UXの場合

  • 自動起動および自動停止スクリプトの作成

    論理ホスト用の自動起動および自動停止スクリプトを/sbin/init.dディレクトリに作成します。作成例を次に示します。

    #!/bin/sh
     
    ## Set Environment-variables
    PATH=/sbin:/bin:/usr/bin:/opt/jp1as/sbin
    export PATH
    JP1_HOSTNAME=論理ホスト名
     
    case $1 in
    start_msg)
          echo "Start Advanced Shell - adshmd $JP1_HOSTNAME"
          ;;
    stop_msg)
          echo "Stop Advanced Shell - adshmd $JP1_HOSTNAME"
          ;;
    'start')
          if [ -x /opt/jp1as/sbin/adshmdctl ]
          then
                  /opt/jp1as/sbin/adshmdctl -h $JP1_HOSTNAME start
          fi
          ;;
    'stop')
          if [ -x /opt/jp1as/sbin/adshmdctl ]
          then
                  /opt/jp1as/sbin/adshmdctl -h $JP1_HOSTNAME stop
          fi
          ;;
    esac
     
    exit 0
  • 自動起動のためのシンボリックリンク作成

    作成した自動起動および自動停止スクリプトへのシンボリックリンクを/sbin/rc2.dディレクトリに作成します。このとき,連携するJP1シリーズ製品の論理ホスト用サービスが起動したあとに起動されるようにシンボリックリンクの名称を付ける必要があります。シンボリックリンクの作成手順については,「(1) ユーザー応答機能管理デーモンの自動起動と自動停止」を参照してください。

  • 自動停止のためのシンボリックリンク作成

    作成した自動起動および自動停止スクリプトへのシンボリックリンクを/sbin/rc1.dディレクトリに作成します。このとき,連携するJP1シリーズ製品の論理ホスト用サービスよりも先に停止されるようにシンボリックリンクの名称を付ける必要があります。シンボリックリンクの作成手順については,「(1) ユーザー応答機能管理デーモンの自動起動と自動停止」を参照してください。

なお,連携するJP1シリーズ製品の論理ホスト用サービスの自動起動および自動停止スクリプトの作成と,作成した自動起動および自動停止スクリプトへのシンボリックリンクの作成は,ユーザー自身が実行します。連携するJP1シリーズ製品の論理ホスト用サービスの自動起動および自動停止スクリプト名とシンボリックリンクの名称については,連携するJP1シリーズ製品のマニュアルを参照してください。

(e) Solarisの場合

  • 自動起動および自動停止スクリプトの作成

    論理ホスト用の自動起動および自動停止スクリプトを/etc/init.dディレクトリに作成します。作成例を次に示します。

    #!/bin/sh
     
    JP1_HOSTNAME=論理ホスト名
     
    case $1 in
    'start')
          if [ -x /opt/jp1as/sbin/adshmdctl ]
          then
                  /opt/jp1as/sbin/adshmdctl -h $JP1_HOSTNAME start
          fi
          ;;
    'stop')
          if [ -x /opt/jp1as/sbin/adshmdctl ]
          then
                  /opt/jp1as/sbin/adshmdctl -h $JP1_HOSTNAME stop
          fi
          ;;
    esac
     
    exit 0
  • 自動起動のためのシンボリックリンク作成

    作成した自動起動および自動停止スクリプトへのシンボリックリンクを/etc/rc2.d/ディレクトリに作成します。このとき,連携するJP1シリーズ製品の論理ホスト用サービスが起動したあとに起動されるようにシンボリックリンクの名称を付ける必要があります。シンボリックリンクの作成手順については,「(1) ユーザー応答機能管理デーモンの自動起動と自動停止」を参照してください。

  • 自動停止のためのシンボリックリンク作成

    作成した自動起動および自動停止スクリプトへのシンボリックリンクを/etc/rc0.d/ディレクトリに作成します。このとき,連携するJP1シリーズ製品の論理ホスト用サービスよりも先に停止されるようにシンボリックリンクの名称を付ける必要があります。シンボリックリンクの作成手順については,「(1) ユーザー応答機能管理デーモンの自動起動と自動停止」を参照してください。

なお,連携するJP1シリーズ製品の論理ホスト用サービスの自動起動および自動停止スクリプトの作成と,作成した自動起動および自動停止スクリプトへのシンボリックリンクの作成は,ユーザー自身が実行します。連携するJP1シリーズ製品の論理ホスト用サービスの自動起動および自動停止スクリプト名とシンボリックリンクの名称については,連携するJP1シリーズ製品のマニュアルを参照してください。

(3) 論理ホストの指定方法

コマンドを論理ホストで実行させるためには,クラスタシステムで動作する論理ホストと同様に指定してください。クラスタシステムの論理ホストの指定方法については,「2.9.3 クラスタ運用の場合のコマンドの指定方法」を参照してください。