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JP1 Version 11 JP1/Advanced Shell 


2.8.3 JP1/Advanced Shellをインストールしたあとのユーザー応答機能の設定【UNIX限定】

ユーザー応答機能を使用する場合の,JP1/Advanced Shellのインストール後の設定について説明します。

なお,JP1/Advanced Shellの設定後に,JP1/IM - Managerで応答待ちイベントに関する機能を有効にする必要があります。詳細については,「2.8.4 JP1/IM - Managerで環境情報を設定する」を参照してください。

〈この項の構成〉

(1) ユーザー応答機能管理デーモンの自動起動と自動停止

システムの起動時および終了時に,ユーザー応答機能管理デーモンを自動起動・自動停止させるための設定方法を次に示します。

(a) AIXの場合

  • システム起動時の自動起動機能の設定

    システム起動時にユーザー応答機能管理デーモンを自動起動させるには,mkitabコマンドで設定します。設定内容は次のシステム起動時から有効になります。

    mkitabコマンドの設定例を次に示します。

    mkitab "adshmd:2:wait:/opt/jp1as/sbin/adshmdctl start"

    ユーザー応答機能管理デーモンの起動は,連携するJP1シリーズ製品のサービスの起動よりあとになるよう設定してください。例えば,JP1/Base,JP1/IM - Manager,JP1/Advanced Shellの順に自動起動させるには,次のように指定してmkitabコマンドを実行します。

    mkitab -i hntr2mon "jp1base:2:wait:/etc/opt/jp1base/jbs_start"
    mkitab -i jp1base "jp1cons:2:wait:/etc/opt/jp1cons/jco_start"
    mkitab -i jp1cons "adshmd:2:wait:/opt/jp1as/sbin/adshmdctl start"

    設定後はlsitabコマンドを次のように実行して,設定内容を確認してください。

    lsitab -a

    コマンド実行後の出力例を次に示します。

    init:2:initdefault:
    brc::sysinit:/sbin/rc.boot 3 >/dev/console 2>&1 # Phase 3 of
    system boot
      :
    hntr2mon:2:once:/opt/hitachi/HNTRLib2/etc/D002start
    jp1base:2:wait:/etc/opt/jp1base/jbs_start
    jp1cons:2:wait:/etc/opt/jp1cons/jco_start
    adshmd:2:wait:/opt/jp1as/sbin/adshmdctl start
  • システム終了時の自動停止機能の設定

    システム終了時にユーザー応答機能管理デーモンを自動停止させるには,/etc/rc.shutdownを編集して,連携するJP1シリーズ製品のサービスより先に停止させるように次に示す記述を追加してください。

    test -x /opt/jp1as/sbin/adshmdctl && /opt/jp1as/sbin/adshmdctl stop
        :
    連携するJP1シリーズ製品のサービスの停止処理

(b) RHEL 6,Oracle Linux 6,CentOS 6の場合

JP1/Advanced Shellでは,ユーザー応答機能管理デーモンを自動起動・停止するためのスクリプトファイルjp1_as_mdを/opt/jp1as/sampleディレクトリに格納しています。このスクリプトファイルを利用して次の手順で設定します。

  • /etc/rc.d/init.dディレクトリへの追加

    /opt/jp1as/sampleディレクトリに格納されているjp1_as_mdを/etc/rc.d/init.dに追加します。jp1_as_mdを追加するには次のように指定します。

    cp /opt/jp1as/sample/jp1_as_md /etc/rc.d/init.d
    chmod u=rwx,go=rx /etc/rc.d/init.d/jp1_as_md
    chown root:root /etc/rc.d/init.d/jp1_as_md
  • 自動起動のためのシンボリックリンク作成

    /etc/rc.d/rcN.dディレクトリ(Nは起動時の実行レベル)に/etc/rc.d/init.d/jp1_as_mdへのシンボリックリンクを作成します。このとき,連携するJP1シリーズ製品のサービスが起動したあとに起動されるように,シンボリックリンクの名称を付ける必要があります。

    例えば,/etc/rc.d/rc3.dディレクトリ,/etc/rc.d/rc5.dディレクトリに提供されているJP1/Baseの自動起動スクリプトのシンボリックリンクの名称が「S99_JP1_10_BASE」,JP1/IM - Managerの自動起動スクリプトのシンボリックリンクの名称が「S99_JP1_20_CONS」の場合,文字列の大小関係で「S99_JP1_20_CONS」よりも大きくなるようにシンボリックリンクの名称を「S99_JP1_70_AS」とし,次のように指定することでJP1/Base,JP1/IM - Managerよりあとに起動されます。

    ln -s /etc/rc.d/init.d/jp1_as_md /etc/rc.d/rc3.d/S99_JP1_70_AS
    ln -s /etc/rc.d/init.d/jp1_as_md /etc/rc.d/rc5.d/S99_JP1_70_AS
    chown -h root:root /etc/rc.d/rc3.d/S99_JP1_70_AS
    chown -h root:root /etc/rc.d/rc5.d/S99_JP1_70_AS
  • 自動停止のためのシンボリックリンク作成

    /etc/rc.d/rcN.dディレクトリ(Nは停止時の実行レベル)に/etc/rc.d/init.d/jp1_as_mdへのシンボリックリンクを作成します。このとき,連携するJP1シリーズ製品のサービスの停止よりも前に停止されるようにシンボリックリンクの名称を付ける必要があります。

    例えば,/etc/rc.d/rc0.dディレクトリ,/etc/rc.d/rc6.dディレクトリに提供されているJP1/Baseの自動停止スクリプトのシンボリックリンクの名称が「K01_JP1_90_BASE」,JP1/IM - Managerの自動起動スクリプトのシンボリックリンクの名称が「K01_JP1_80_CONS」の場合,文字列の大小関係で「K01_JP1_80_CONS」よりも小さくなるようにシンボリックリンクの名称を「K01_JP1_30_AS」とし,次のように指定することでJP1/Base,JP1/IM - Managerより先に停止されます。

    ln -s /etc/rc.d/init.d/jp1_as_md /etc/rc.d/rc0.d/K01_JP1_30_AS
    ln -s /etc/rc.d/init.d/jp1_as_md /etc/rc.d/rc6.d/K01_JP1_30_AS
    chown -h root:root /etc/rc.d/rc0.d/K01_JP1_30_AS
    chown -h root:root /etc/rc.d/rc6.d/K01_JP1_30_AS

    なお,シンボリックリンクの名称の「K01_JP1_30_AS」の「_JP1_30_AS」部分をほかの名称にする場合は,スクリプトファイルjp1_as_mdの次の記述の「_JP1_30_AS」を変更する必要があります。

    touch /var/lock/subsys/_JP1_30_AS
    rm -f /var/lock/subsys/_JP1_30_AS

(c) RHEL 7,SUSE Linux 12,Oracle Linux 7,CentOS 7の場合

JP1/Advanced Shellでは,ユーザー応答機能管理デーモンを自動起動・停止するためのUnitファイルjp1_as_md.serviceを/opt/jp1as/sampleディレクトリに格納しています。このUnitファイルを利用して次の手順で設定します。

  • /usr/lib/systemd/systemディレクトリへの追加

    /opt/jp1as/sampleディレクトリに格納されているjp1_as_md.serviceを/usr/lib/systemd/systemに追加します。jp1_as_md.serviceを追加するには次のように指定します。

    cp /opt/jp1as/sample/jp1_as_md.service /usr/lib/systemd/system
    chmod u=rw,go=r /usr/lib/systemd/system/jp1_as_md.service
    chown root:root /usr/lib/systemd/system/jp1_as_md.service
    
  • 自動起動・自動停止の設定

    ユーザー応答機能管理デーモンの自動起動・自動停止の設定は,systemctlコマンドを次のように指定して実行します。

    systemctl --system enable jp1_as_md.service

    なお,上記の設定によりユーザー応答機能管理デーモンの自動起動と自動終了が行われた場合,タイミングによっては次の動作が発生します。

    • 自動起動時

      OSが出力するユーザー応答機能管理デーモンの起動結果に,OSがユーザー応答機能管理デーモンのpidファイルへアクセスしたときの状態についての情報が出力される場合がありますが,対処は不要です。

    • 自動終了時

      システム停止時,OSが応答要求メッセージの応答待ち状態のジョブに終了シグナルを通知する場合があります。このとき,未応答の応答要求メッセージはジョブコントローラによってキャンセルされます。

(d) HP-UXの場合

JP1/Advanced Shellでは,ユーザー応答機能管理デーモンを自動起動・停止するためのスクリプトファイルjp1_as_mdを/opt/jp1as/sampleディレクトリに格納しています。このスクリプトファイルを利用して次の手順で設定します。

  • /sbin/init.dディレクトリへの追加

    /opt/jp1as/sampleディレクトリに格納されているjp1_as_mdを/sbin/init.dに追加します。jp1_as_mdは次のように指定して追加します。

    cp /opt/jp1as/sample/jp1_as_md /sbin/init.d
    chmod u=rx,go=r /sbin/init.d/jp1_as_md
    chown root:sys /sbin/init.d/jp1_as_md
  • 自動起動のためのシンボリックリンク作成

    /sbin/rc2.dディレクトリに/sbin/init.d/jp1_as_mdへのシンボリックリンクを作成します。このとき,連携するJP1シリーズ製品のサービスが起動したあとに起動されるように,シンボリックリンクの名称を付ける必要があります。

    例えば,/sbin/rc2.dディレクトリに提供されているJP1/Baseの自動起動スクリプトのシンボリックリンクの名称が「S900jp1_base」,JP1/IM - Managerの自動起動スクリプトのシンボリックリンクの名称が「S901jp1_cons」の場合,S901の901(数字)部分よりも大きい数字になるようにシンボリックリンクの名称を「S905jp1_as_md」とし,次のように指定することでJP1/Base,JP1/IM - Managerよりあとに起動されます。

    ln -s /sbin/init.d/jp1_as_md /sbin/rc2.d/S905jp1_as_md
    chown -h root:sys /sbin/rc2.d/S905jp1_as_md
  • 自動停止のためのシンボリックリンク作成

    /sbin/rc1.dディレクトリに/sbin/init.d/jp1_as_mdへのシンボリックリンクを作成します。このとき,連携するJP1シリーズ製品のサービスの停止よりも前に停止されるようにシンボリックリンクの名称を付ける必要があります。

    例えば,/sbin/rc1.dディレクトリに提供されているJP1/Baseの自動停止スクリプトのシンボリックリンクの名称が「K100jp1_base」,JP1/IM - Managerの自動起動スクリプトのシンボリックリンクの名称が「K099jp1_cons」の場合,K099の099(数字)部分よりも小さい数字になるようにシンボリックリンクの名称を「K095jp1_as_md」とし,次のように指定することでJP1/Base,JP1/IM - Managerより先に停止されます。

    ln -s /sbin/init.d/jp1_as_md /sbin/rc1.d/K095jp1_as_md
    chown -h root:sys /sbin/rc1.d/K095jp1_as_md

(e) Solarisの場合

JP1/Advanced Shellでは,ユーザー応答機能管理デーモンを自動起動・停止するためのスクリプトファイルjp1_as_mdを/opt/jp1as/sampleディレクトリに格納しています。このスクリプトファイルを利用して次の手順で設定します。

  • /etc/init.dディレクトリへの追加

    /opt/jp1as/sampleディレクトリに格納されているjp1_as_mdを/etc/init.dに追加します。jp1_as_mdは次のように指定して追加します。

    cp /opt/jp1as/sample/jp1_as_md /etc/init.d
    chmod u=rwx,go=r /etc/init.d/jp1_as_md
    chown root:sys /etc/init.d/jp1_as_md
  • 自動起動のためのシンボリックリンク作成

    /etc/rc2.dディレクトリに/etc/init.d/jp1_as_mdへのシンボリックリンクを作成します。このとき,連携するJP1シリーズ製品のサービスが起動したあとに起動されるように,シンボリックリンクの名称を付ける必要があります。

    例えば,/etc/rc2.dディレクトリに提供されているJP1/Baseの自動起動スクリプトのシンボリックリンクの名称が「S99_JP1_10_BASE」,JP1/IM - Managerの自動起動スクリプトのシンボリックリンクの名称が「S99_JP1_20_CONS」の場合,文字列の大小関係で「S99_JP1_20_CONS」よりも大きくなるようにシンボリックリンクの名称を「S99_JP1_70_AS」とし,次のように指定することでJP1/Base,JP1/IM - Managerよりあとに起動されます。

    ln -s /etc/init.d/jp1_as_md /etc/rc2.d/S99_JP1_70_AS
    chown -h root:sys /etc/rc2.d/S99_JP1_70_AS
  • 自動停止の設定

    /etc/rc0.dディレクトリに/etc/init.d/jp1_as_mdへのシンボリックリンクを作成します。このとき,連携するJP1シリーズ製品のサービスの停止よりも前に停止されるようにシンボリックリンクの名称を付ける必要があります。

    例えば,/etc/rc0.dディレクトリに提供されているJP1/Baseの自動停止スクリプトのシンボリックリンクの名称が「K01_JP1_90_BASE」,JP1/IM - Managerの自動起動スクリプトのシンボリックリンクの名称が「K01_JP1_80_CONS」の場合,文字列の大小関係で「K01_JP1_80_CONS」よりも小さくなるようにシンボリックリンクの名称を「K01_JP1_30_AS」とし,次のように指定することでJP1/Base,JP1/IM - Managerより先に停止されます。

    ln -s /etc/init.d/jp1_as_md /etc/rc0.d/K01_JP1_30_AS
    chown -h root:sys /etc/rc0.d/K01_JP1_30_AS

(2) JP1/Baseの設定

ユーザー応答機能を使用するためには,JP1/Advanced Shellが提供するユーザー応答機能用アダプタコマンド設定ファイルをJP1/Baseの対応するディレクトリにコピーしておく必要があります。次に示すユーザー応答機能用アダプタコマンド設定ファイルをJP1/Baseの対応するディレクトリにコピーしてください。

この設定は,JP1/Advanced Shellのインストール後に一度だけ実施してください。ただし,JP1/Baseを再インストールした場合は,この操作を再度実行してください。