Hitachi

Hitachi IT System Configuration Manager 解説


2.6.3 業務システム管理

〈この項の構成〉

(1) 業務システムのパラメータ変更

業務システムのパラメータを変更します。手順を次の表に示します。

表2‒24 業務システムのパラメータ変更手順

項番

手順

具体的な処理/コマンド例

1

マスターイメージ表示コマンドでパラメータを変更するマスターイメージのマスターイメージIDを見つけます。

csdmils

2

マスターイメージ表示コマンドでマスターイメージ定義ファイルを出力します。

csdmils

-i マスターイメージID

-o マスターイメージ定義ファイル出力ファイル名(パスを指定)

3

マスターイメージ定義ファイルを開き,マスターイメージのパラメータを変更します。

マスターイメージ定義ファイルの<Parameter type="fixed">要素にパラメータ名とパラメータ値を記述します。

4

マスターイメージ定義ファイルを開き,仮想マシンに転送するOS設定ファイル,またはミドルウェア定義ファイルを適切な場所に配置するためのパッチを追加します。

マスターイメージ定義ファイルの<Parameter type="patch">要素にパッチを記述します。

5

必要に応じて業務アプリケーションを停止します。※1

仮想マシンにログオン,またはリモートで,業務アプリケーションを停止してください。

6

パラメータ変更時に停止する必要があるミドルウェアかを確認し,停止する必要があれば対象ミドルウェアを手動で停止します。

仮想マシンにログオン,またはリモートで,ミドルウェアの停止コマンドを実行します。

7

マスターイメージ更新コマンドで,項番4で作成したマスターイメージを指定して,業務システムを更新します。※2※3

csdmiupdate

-i マスターイメージID

-f マスターイメージ定義ファイル

8

パラメータを変更したミドルウェアを再起動します。

仮想マシンにログオン,またはリモートで,ミドルウェアの開始コマンドを実行します。

9

項番5で停止した業務アプリケーションを開始してください。

仮想マシンにログオン,またはリモートで,業務アプリケーションを開始してください。

注※1 Cosminexusのパラメータを変更する場合,業務アプリケーションの停止に関して注意事項があります。

詳細については,「付録F 業務システムでCosminexusを使用する場合の注意事項」の「(3) 運用に関する注意事項」を参照してください。

注※2 Cosminexusの定義を直接仮想ホスト上で変更した場合の注意事項があります。

詳細については,「付録F 業務システムでCosminexusを使用する場合の注意事項」の「(3) 運用に関する注意事項」を参照してください。

注※3 Cosminexusのパラメータを変更する場合,更新失敗時の注意事項があります。

詳細については,「付録F 業務システムでCosminexusを使用する場合の注意事項」の「(1) Cosminexusの定義更新失敗時の注意事項」を参照してください。

(2) 業務システムの仮想ホストのパスワード変更

業務システムの仮想ホストのパスワードを変更します。手順を次の表に示します。

表2‒25 業務システムの仮想ホストのパスワード変更手順

項番

手順

具体的な処理/コマンド例

1

マスターイメージ表示コマンドで,パスワードを変更する仮想マシンのホストIDを確認します。

csdmils

-i マスターイメージID

-l

2

仮想マシンのパスワードを変更します。

仮想マシンにログインし,OSのパスワード変更コマンドを実行します。

3

仮想ホストパスワード設定コマンドを実行し,ISCMが管理する仮想ホストのパスワードを変更します。

csdmisetpassword

-i マスターイメージID

-p ホストID

-w 仮想ホストパスワード

-k パスワードアクセスキー

(3) OSのパッチ適用

OSのパッチ適用を行います。手順を次の表に示します。

表2‒26 OSのパッチ適用手順

項番

手順

具体的な処理/コマンド例

1

PaaS提供者から通知されたパッチ情報を参照し,業務システムに影響があるかを判断します。

#OSに適用するパッチの準備,および,PaaS利用者への通知はPaaS提供者が行います。

2

マスターイメージ表示コマンドでパッチを適用する業務システムのマスターイメージIDを見つけます。

csdmils

3

マスターイメージ表示コマンドでマスターイメージ定義ファイルを出力します。

csdmils

-i マスターイメージID

-oマスターイメージ定義ファイル出力ファイル名(パスを指定)

4

マスターイメージ定義ファイルを開き,現在当たっているパッチを確認します。

マスターイメージ定義ファイルの<Parameter type="patch">要素の記述を確認します。

5

マスターイメージ定義ファイルにパッチ名と適用するパッチのパスを記述し,新たなマスターイメージ定義ファイルを作成します。

マスターイメージ定義ファイルの<Parameter type="patch">要素にパッチ名,パス,適用順序を記述します。

6

業務システムで稼働しているミドルを停止します。

各ミドルの停止運用を実施します。

7

マスターイメージ更新コマンドで,項番5で作成したマスターイメージ定義ファイルを指定して,マスターイメージを更新します。

csdmiupdate

-i マスターイメージID

-f マスターイメージ定義ファイル

(4) ミドルウェアのパッチ適用

ミドルウェアのパッチ適用を行います。手順を次の表に示します。

ミドルウェアのパッチ適用機能では,パッチ形式の修正版,およびインストーラ形式の修正版の適用が可能です。下記手順内で記載している「パッチ」という用語を次のとおり読み替えて実行してください。

(a) パッチ適用スクリプトの記述方法

表2‒28 パッチを実行するバッチファイル,シェルスクリプトの記述例

項番

仮想ホストのOS種別

ミドルウェアの種別

記述内容※1

説明

1

Linux

Cosminexus

#!/bin/sh

cd /tmp/csd_tmp/patch/

パッチ格納先に移動※2

tar -xf ./middleDir/<ミドルウェアのパッチファイル名(ファイル拡張子が.tar)>

パッチを展開

uncompress ./PACK_TAR.Z

tar -xf ./PACK_TAR

echo y > ./__answer

アップデート実行確認応答用ファイル__answerを作成し,yを応答するように設定

./UPDATE < ./__answer

アップデート実行確認応答用ファイルを使用して,アップデートを実行※3

exit $?

アップデートの戻り値を返却

2

Linux

HiRDB

#!/bin/sh

cd /tmp/csd_tmp/patch/updatePatch

パッチ格納先に移動※2

gunzip ./middleDir/<ミドルウェアのパッチファイル名(ファイル拡張子が.tar.gz)>

パッチを展開

tar -xf ./middleDir/<ミドルウェアのパッチファイル名(ファイル拡張子が.tar)>

cd ./midleDir/<ミドルウェアのパッチファイル名>

展開したミドルウェアのパッチフォルダに移動

echo y > ./__answer

アップデート実行確認応答用ファイル__answerを作成し,yを応答するように設定

./UPDATE < ./__answer

アップデート実行確認応答用ファイルを使用して,アップデートを実行※3

exit $?

アップデートの戻り値を返却

3

Windows※4

Cosminexus

@echo off

middleDir\<ミドルウェアのパッチファイル> -D”middleDir”

パッチファイルを展開

PACK_ARC.EXEを直接取得した場合は不要です。※5

middleDir\PACK_ARC.EXE -D”middleDir\work”

パッチファイルを展開※5

middleDir\work\DISK1\PACK_ARC.EXE -D"middleDir\work\DISK1"

middleDir\work\DISK1\setup.exe /s

アップデータをサイレントモードで実行※6

exit /B %errorlevel%

アップデートの戻り値を返却

4

Windows※4

HiRDB

@echo off

echo [hirdb_server]>%SystemDrive%\_hirdbinst.ini

echo setupid=---->>%SystemDrive%\_hirdbinst.ini

HiRDBセットアップ種別指定ファイルの設定※7

middleDir\<ミドルウェアのパッチファイル> -D”middleDir”

パッチファイルを展開

PACK_ARC.EXEを直接取得した場合は不要です。※5

middleDir\PACK_ARC.EXE -D”middleDir\work”

パッチファイルを展開※5

middleDir\work\DISK1\PACK_ARC.EXE -D"middleDir\work\DISK1"

middleDir\work\DISK1\SETUP.EXE /s

アップデータをサイレントモードで実行※6

exit /B %errorlevel%

アップデートの戻り値を返却

注※1

次のようなフォルダ構成と仮定した記述例としています。

updatePatch

 ├ <パッチ実行用バッチファイル,シェルスクリプト>

 └ middleDir

   └ <ミドルウェアのパッチファイル>

注※2

deploy.remote.tmppathの指定値は「/tmp/」(デフォルト値)と仮定しています。

注※3

UPDATEコマンドは次に示す返却値で終了します。

表2‒29 UPDATEコマンド返却値

返却値

意味

-1

アップデートに失敗しました。

0

アップデートは適用済みです。

1

アップデートに成功しました。

2

アップデートの実行ができない状態です。

3

アップデート対象の製品が見つかりませんでした。

4

前提パッチが適用されていません。

注※4

バッチファイル実行時のカレントディレクトリを<deploy.remote.tmppath.win指定値>\cmd_tmp\patch\updatePathと仮定しています。

仮想ホストのOSがWindowsの場合,※5,※6のオプションを利用することで修正パッチの展開や実行ができます。

注※5

<ミドルウェアのパッチファイル> -D”<ディレクトリ名>”またはPACK_ARC.EXE -D”<ディレクトリ名>”

-D:ファイルを展開するディレクトリ

ディレクトリ名は””で囲み,-Dと”<ディレクトリ名>”の間に空白を入れないでください。

修正パッチの展開処理は次に示す返却値で終了します。

表2‒30 修正パッチ展開処理返却値

返却値

意味

-2

初期化に失敗しました。

0

ファイルの展開に成功しました。

1

ファイルが破壊されています。

2

オプションの指定が不正です。

3

ファイルの展開に失敗しました。

7

展開プログラムの起動に失敗しました。

注※6

SETUP.EXE /s またはsetup.exe /s

/s:サイレントモードで実行します。本オプションを設定した場合,アップデート確認ダイアログやエラーメッセージを表示しません。

アップデータの返却値は製品によって固有の値,要因がありますので,詳細は各製品のリリースノートなど付属ドキュメントを参照してください。次の表はHiRDBの返却値の例です。

表2‒31 アップデータ返却値

返却値

意味

0

アップデートに成功しました。または,すでに適用済みです。

1

アップデートに成功しました。再起動が必要です。

3

アップデート対象バージョンの製品が存在しません。

4

アップデート実行者に管理者権限がありません。

5

アップデートの前処理でエラーが発生しました。

6

アップデートの後処理でエラーが発生しました。

7

メモリ不足が発生しました。

8

ファイルのアクセスに失敗しました。

144

ファイルをほかのプロセスが使用中です。

145

前提製品がインストールされていません。

または,アップデート実行者の権限が不正です。

159

前提バージョンの製品がインストールされていません。

216

前提OSと異なるOSで実行されました。

注※7

Windows版HiRDBはインストール時に設定したセットアップ種別を指定したファイル_hirdbinst.iniSystemDrive直下に作成することで,アップデータ実行時にセットアップ種別を応答することができます。記述内容は次のとおりです。

[hirdb_server]

setupid=----

インストール時に設定したセットアップ種別によって「setupid=----」の「----」を次のとおりに変更してください。

  • 標準セットアップの場合:----

  • 識別子付きセットアップの場合:<識別子>

    (識別子がHRD1なら「setupid=HRD1」と設定する)

(b) インストール形式の修正版適用スクリプトの記述方法

インストール形式の修正版を適用するには,ISCMが提供する「ミドルウェアインストールコマンド」をスクリプト上から実行します。「ミドルウェアインストールコマンド」では,内部的に日立PPインストーラを呼び出し,ミドルウェアのインストールを実行しています。

「ミドルウェアインストールコマンド」は,パッチ/インストール適用スクリプトファイルが送信されるタイミングで仮想ホストへ送信されます。「ミドルウェアインストールコマンド」のコマンド名称と,仮想ホスト上の送信先ディレクトリについては次を参照してください。

なお,「ミドルウェアインストールコマンド」の詳細については,マニュアル「Hitachi IT System Configuration Manager リファレンス」を確認してください。

コマンド名     :csdinstlin

送信先ディレクトリ :<deploy.remote.tmppath定義の設定値>/csd_tmp/patch/

注※ ミドルウェアインストールコマンドは,仮想ホストがLinuxの場合だけサポートとなります(仮想ホストがWindowsの場合は未サポートです)。

注意事項
  • 上記送信先ディレクトリにミドルウェアインストールコマンドと同名のファイル,またはディレクトリを置かないでください。置いた場合は,ミドルウェアインストールコマンドで上書きされるか,またはミドルウェアのインストールに失敗します。

  • 「ミドルウェアインストールコマンド」はすでにインストールされているミドルウェアに対して,上書きインストールするコマンドとなります。したがって,ミドルウェアがインストールされていない仮想ホストに対して,「ミドルウェアインストールコマンド」を使用した新規インストールを行わないでください。新規インストールを実行した場合,csdmideployコマンド,またはcsdmiupdateコマンドがエラーとなる場合があります。

スクリプトファイルの記述例を次に示します。

#!/bin/sh
 
# 形名:P-9W43-7K91のCosminexusをインストール
./csdinstlin -k P-9W43-7K91 -s Cosmi/X64LIN
RETURN_C=$?
 
# インストールコマンドのリターンコードは0の場合は正常終了,それ以外は異常終了
if [ $RETURN_C -eq 0 ]
then
 
  # 形名:P-CC9W62-1591のHiRDBをインストール
  ./csdinstlin -k P-CC9W62-1591 -s HiRDBINST/X64LIN
  RETURN_C=$?
fi
exit $RETURN_C

注 上記は,CosminexusとHiRDBをインストールする記述例となります。

(5) 仮想ホストの再配備

構築済み仮想ホストを削除し,配備条件を変えて再度配備する手順を次の表に示します。

表2‒32 仮想ホストの再配備手順

項番

手順

具体的な処理/コマンド例

1

マスターイメージ表示コマンドで削除する仮想ホストのホストIDを確認します。

csdmils

-i マスターイメージID

-l

2

業務システムの仮想ホスト削除コマンドで,対象となる仮想ホストを削除します。

csdmiundeploy

-i マスターイメージID

-p ホストID

3

対象となる仮想ホストのリソース予約を解除します。

csdmirelease

-i マスターイメージID

-p ホストID

4

配備先などの物理配置を変更する場合やIPアドレスなどの割り当てたリソースを変更する場合,(必要に応じて)マスターイメージのエクスポートコマンドで,物理配置制約ファイルやリソース定義ファイルをディレクトリに出力します。

csdmiexport

-i マスターイメージID

-d 出力先ディレクトリのパス

5

配備先などの物理配置を変更する場合,物理配置の制約を検討し,項番4でエクスポートした物理配置制約ファイルを編集します。

エクスポートしていない場合は新規に物理配置制約ファイルを作成します。

XMLエディタなどで物理配置制約ファイルを編集

6

配備先などの物理配置を変更する場合,マスターイメージの物理配置候補コマンドを実行し配置候補を算出します。

csdmipos

-i マスターイメージID

-f 物理配置制約ファイル

7

IPアドレスなどの割り当てたリソースを変更する場合,項番4でエクスポートしたリソース定義ファイルを編集します。

エクスポートしていない場合は新規にリソース定義ファイルを作成します。

8

リソース予約コマンドで仮想ホストのリソースを予約します。

項番7でリソース定義ファイルを編集または作成した場合にはそのファイルをコマンド引数に指定します。

csdmireserve

-i マスターイメージID

(-f リソース定義ファイル)

9

業務システム構築コマンドで削除した仮想ホストを再構築します。

csdmideploy

-i マスターイメージID

(6) デプロイ先物理ホストの変更(VMware vMotion後の移動検知)

(a) 前提条件

vMotionでデプロイ先物理ホストの変更を実行する場合の前提条件を次に示します。

項番

前提条件

説明

1

移動する対象はISCMがデプロイした仮想ホストであること。

ISCMがデプロイした仮想ホスト以外をISCMで管理する物理ホストやリソースプールに移動してもISCMの管理下には追加されません。

2

仮想ホストを移動する先の物理ホストまたはリソースプールがISCMの物理構成情報に登録されていること。

ISCMが管理していない物理ホストまたはリソースプールに移動した場合,ISCMはその仮想ホストの情報を更新しません。

3

移動元物理ホストと,移動先物理ホストの構成が一致していること。

vMotion実行後のcsdrscupdateコマンドで仮想ホストの移動の検知が正確に行えません。詳細は,表2-34を参照してください。

4

移動先物理ホストで物理配置制約,リソース制約の制約条件を満たしていること。

vMotion実行後のcsdrscupdateコマンドで仮想ホストの移動の検知が正確に行えません。詳細は,表2-34を参照してください。

5

vMotion実行中は物理構成定義ファイルを変更しないこと。

物理構成定義ファイルを変更するとvMotion実行後のcsdrscupdateコマンドで仮想ホストの移動の検知が正確に行えません。

6

移動する仮想ホストにインストールしている各種製品について,vMotionの運用評価と性能検証を十分に行っていること。

製品上で動作するアプリケーションも含めて十分に確認を行ってください。

(b) vMotionでデプロイ先の物理ホストを変更する手順

PaaS提供者がvMotionでデプロイ先の物理ホストを変更します。

手順を表2-33に示します。

表2‒33 vMotionでデプロイ先の物理ホストを変更する手順

項番

手順

具体的な処理/コマンド

1

vMotion対応機能を使用するための定義にYが設定されていることを確認します。

csd.propertiesのresource.vmotion.use定義にYが設定されていることを確認します。設定されていない場合,Yを設定し,ISCMを再起動します。

2

物理構成情報の更新コマンドで物理構成情報を更新します。

csdrscupdate -vmotion forceコマンドを実行し,正常終了することを確認します。正常終了しなかった場合,エラー要因を取り除き再度csdrscupdate -vmotion forceコマンドを実行します。

3

vMotion対象の仮想ホストが所属するマスターイメージの物理配置制約を参照し,物理配置制約を満たす移動先が存在することを確認します。

注※ 移動先はISCM管理下の物理ホストまたはリソースプールだけをサポートします。

csdmiexport -i マスターイメージID -d フォルダ名

上記のコマンドで取得したマスターイメージのスナップショットの中にある物理配置制約ファイル(position.xml)を参照します。

4

vMotion対象の仮想ホストが使用するリソース量を確認します。

csdmils -i マスターイメージID -s

5

vMotion先の物理ホストのリソースの空き容量を参照し,vMotion対象の仮想ホストが移動しても問題ないことを確認します。

csdrscls -p物理ホストのIPアドレス -d

6

vMotion先の物理ホストにリソース予約されている仮想ホストの一覧を取得し,現在デプロイ中の仮想ホストがないかの確認,リソース予約しているPaaS利用者にデプロイ操作を行わないよう通知するなど,vMotionを実行しても問題がないことを確認します。

csdrscls -v 物理ホストのIPアドレス

7

物理リソースの状態変更コマンドでvMotion元とvMotion先の物理ホストを物理配置候補,リソース予約,デプロイの対象外にします。

csdrscstatus -p 物理ホストのIPアドレス -b -s PRD

8

再度,vMotion対象の仮想ホストが使用するリソース量を確認します。

csdmils -i マスターイメージID -s

9

再度vMotion先の物理ホストにリソース予約されている仮想ホストの一覧を取得し,現在デプロイ中の仮想ホストがなくvMotionを実行しても問題がないことを確認します。

csdrscls -v 物理ホストのIPアドレス

10

VMware vCenter Server またはJP1/ITRMからvMotionを実施します。

VMware vCenter Server,JP1/ITRMのGUIまたはjirmvmmigrateコマンド(-waitオプション指定)を使用しvMotionを実施します。

11

vMotionの正常終了を確認します。

VMware vCenter Server,JP1/ITRMのタスク画面またはjirmvmmigrateコマンド(-waitオプション指定)の正常終了を確認します。

12

VMware vCenter ServerからvMotionを実施した場合,JP1/ITRMとVMware vCenter Serverの構成情報を同期させます。

次の対象リソースに対して,JP1/ITRMのGUIからリソースの再収集を実行,またはJP1/ITRMのjirminfocollectコマンドを実行します。

  • vMotion対象の仮想ホスト

  • vMotion前の物理ホスト

  • vMotion後の物理ホスト

  • VMware vCenter Server

13

物理構成情報の更新コマンドでリソース情報の同期を行います。

csdrscupdate -vmotion force

14

物理リソースの状態変更コマンドでvMotion元とvMotion先の物理ホストを物理配置候補,リソース予約,デプロイの対象にします。

csdrscstatus -p 物理ホストのIPアドレス -c -s PRD

注 物理リソースをロック中(項番7〜項番14の間)にvMotion元とvMotion先の物理ホストに対して対象外の操作(物理配置候補,またはリソース予約,デプロイの操作)を実行した場合,各々の操作がエラーとなります。

(c) 注意事項

vMotionでデプロイ先の物理ホストを変更する場合の注意事項を次に示します。

(i)この機能は,VMware DRSやVMware HAのような仮想ホストの自動的な移動に同期してISCMの物理構成情報やリソース残量を自動的に更新する機能ではありません。VMware DRSやVMware HAを使用する物理ホストは物理構成定義ファイルでリソースの残量管理を行わないよう設定することで,ISCMで管理するリソース残量が実態と合わない状態を回避することができます。

注※ リソースプールのCPUクロック数,メモリ容量に"0"を指定してください。

(ii)vMotionではISCM外の操作によって仮想ホストの配置が変わるため,実際のリソース残量もvMotionのタイミングで変化します。ISCMではメモリ,CPUクロックを残量管理していますが,ISCMの残量管理は実際の物理リソースと必ずしも一致しているとは限らないため,vMotionによってISCMが管理している許容量を超えることがあります。そうなった場合,表2-33項番13のcsdrscupdateコマンドが実行されたときにKFUD24728-Wメッセージを出力し,コマンドがエラーリターンします。

(iii)vMotion実行後,JP1/ITRMが管理している構成情報が未更新の場合,ISCMはvMotionによる移動を検知できません。そのため,vCenterからvMotionを実行した場合は,必ずJP1/ITRMの構成情報を更新してからcsdrscupdateコマンドを実行してください。

(iv)構成/制約不一致時のvMotion検知動作,およびユーザ対処

vMotionの前後で,ISCMが管理している物理ホストの構成が一致しなかった,または,移動先物理ホストで物理配置制約,リソース制約の制約条件を満たしていない場合のcsdrscupdateコマンドの動作,エラーとならなかった場合の後続処理への影響,およびユーザ対処を次に示します。

表2‒34 構成/制約不一致時のvMotion検知動作,およびユーザ対処

項番

構成・制約定義ファイル

構成不一致の状態

構成不一致が発生した場合の動作

エラー,警告とはならない場合の影響

ユーザ対処

1

物理構成定義ファイル

物理ホストへの移動で,移動先の物理ホストが定義されていない。

KFUD24732-Wメッセージ(要因=Pyhsicalhost Not Exist)を出力。

仮想ホストの移動は反映しない。

物理構成定義ファイルで定義している物理ホストかリソースプールに仮想ホストを移動する。

または,物理構成定義ファイルに移動先の物理ホスト,リソースプールを追加する。

2

リソースプールへの移動で,移動先のリソースプールまたは物理ホストが定義されていない。

KFUD24732-Wメッセージ

(要因=Resource Pool Not Exist)を出力。

仮想ホストの移動は反映しない。

3

仮想ホストを配置しているデータストアが移動先の物理ホストに定義されていない。

エラー,または警告は発生しない。

仮想ホストの移動は反映する。

特になし。

同じデータストアを定義している物理ホストに仮想ホストを移動する。

または,物理構成定義ファイルで移動先の物理ホストにデータストアの定義を追加する。

4

仮想ホストが使用している仮想ネットワークデバイスが移動先の物理ホストに定義されていない。

移動先の物理ホストに必要な数,用途の仮想ネットワークデバイスが定義されていない場合,対象マスターイメージに対して次のコマンドは実行できない。

  • csdmireserveコマンド

KFUD24223-Eメッセージ(原因コード= Not Match VirtualNetworkDevice)を出力して失敗する。

仮想ネットワークデバイス構成が等しい物理ホストに仮想ホストを移動する。

または,対象物理ホストにリソース予約している仮想ホストをすべてリソース解放するか別の物理ホストに移動し,物理構成定義ファイルで移動先の物理ホストの仮想ネットワークデバイス定義を修正する。

5

仮想ホストが使用している仮想ネットワークデバイスと種別(MANAGEMENT,BUSINESS)が異なる。

6

仮想ホストが使用している仮想ネットワークデバイスと用途の指定が異なる。

7

リソース制約ファイル

移動先の物理ホストに仮想ホストが使用している仮想ネットワークデバイス名のリソース制約が定義されていない。

エラー,または警告は発生しない。

仮想ホストの移動は反映する。

仮想ホストが使用しているIPアドレスがリソース制約ファイルで許可されるまで,対象マスターイメージに対して次のコマンドは実行できない。

・csdmiupdateコマンド

KFUD23224-Eメッセージを出力して失敗する。

・csdmireserveコマンド

KFUD24223-Eメッセージ

(原因コード= Not Match IPAddressRange)を出力して失敗する。

リソース制約ファイルの移動先物理ホストの制約に仮想ホストが使用しているIPアドレスの許可を追加する。

8

移動先の物理ホスト,仮想ネットワークデバイス,ユーザ名,セクション名などの組み合わせで使用可能なIPアドレスが存在しない。

9

移動先の物理ホスト,仮想ネットワークデバイス,ユーザ名,セクション名などの組み合わせで使用可能なIPアドレスが現在仮想ホストで使用しているIPアドレスと異なる。

仮想ホストが使用しているIPアドレスがリソース制約ファイルで許可されるまで,対象マスターイメージに対して次のコマンドは実行できない。

・csdmiupdateコマンド

KFUD23224-Eメッセージを出力して失敗する。

10

物理配置制約ファイル

移動後の仮想ホストの配置がファイルで指定した配置制約を満たさない。

エラー,または警告は発生しない。

仮想ホストの移動は反映する。

特になし。

配置制約を満たす物理ホストに仮想ホストを移動する。

(現在の物理配置制約はcsdmiexportコマンドでエクスポートしたマスターイメージのusr\position.xmlで確認する。)

注※ csdmiundeployコマンド,csdmireleaseコマンドでマスターイメージのアンデプロイ,リソース解放を行った後,csdmiposコマンドを実行せずに同じ物理構成で再度実行する場合のcsdmireserveコマンド。