Hitachi

Hitachi IT Operations Director 構築ガイド


7.1 管理用サーバをリプレースする手順

管理用サーバのリプレースとは、Hitachi IT Operations Directorがインストールされているコンピュータとは別のコンピュータを、管理用サーバとして利用できるようにすることです。

以降の注意事項は、試用版から製品版へ移行する際に併せてリプレースを実施する場合も該当します。

注意事項

リプレース先のコンピュータにインストールするHitachi IT Operations Directorは、リプレース元と製品のバージョン情報が一致している必要があります。

注意事項

管理用サーバのリプレース時にHitachi IT Operations Directorのバージョンアップはできません。リプレース完了後にバージョンアップするか、バージョンアップ後にリプレースしてください。バージョンアップの手順については、「5.4 Hitachi IT Operations Directorをバージョンアップする手順」を参照してください。

注意事項

コンピュータがWindows 8.1、Windows 8およびWindows Server 2012の場合、フォルダの設定時に次のフォルダは指定しないでください。

  • システムドライブ:¥program files¥WindowsApps配下のフォルダ

  • 仮想プロビジョニングによって作成した記憶域のフォルダ

管理用サーバをリプレースする手順を次に示します。リプレース先のコンピュータにHitachi IT Operations Directorをインストールして、リプレース元のコンピュータからデータを移行することで、管理用サーバをリプレースします。

管理用サーバをリプレースするには:

  1. Hitachi IT Operations Directorのサービスを停止します。

    データベースのバックアップ後に、エージェントから通知された操作ログが新規に保管されないよう、あらかじめサービスを停止しておきます。

    Windowsの[スタート]メニューから[管理ツール]−[サービス]を選択してください。表示されるダイアログで、サービス名を右クリックして[停止]を選択すると、サービスを停止できます。停止するサービスを次に示します。

    • IT Operations Director Agent Control

    • IT Operations Director Service

    • IT Operations Director Web Container

  2. データベースのバックアップを取得します。

    リプレース元のコンピュータで、Windowsの[スタート]メニュー−[すべてのプログラム]−[Hitachi IT Operations]−[Director Tools]−[データベースマネージャ]からHitachi IT Operations Directorのデータベースマネージャを起動して、データベースのバックアップを実行してください。バックアップ先フォルダのドライブは、目安として20ギガバイト以上の空き容量を確保してください。

  3. 操作ログのバックアップデータを退避します。

    操作ログを保管する設定にしている場合は、セットアップで指定している「操作ログの保管先フォルダ」に格納されているバックアップデータを退避してください。

    操作ログを保管する設定にしているかどうかは、Windowsの[スタート]メニュー−[すべてのプログラム]−[Hitachi IT Operations]−[Director Tools]−[セットアップ]からHitachi IT Operations Directorのセットアップを起動して、[操作ログの設定]画面で[操作ログを保管する]がチェックされているかどうかで確認します。チェックされている場合は、操作ログを保管する設定になっています。

  4. リプレース先のコンピュータに、操作ログのバックアップデータを格納します。

    手順3.で操作ログのバックアップデータを退避した場合は、インストール前に、リプレース先のコンピュータで「操作ログの保管先フォルダ」に指定する予定のフォルダに格納しておきます。なお、このフォルダには、操作ログのバックアップデータ以外のデータは格納しないでください。

  5. リプレース元のコンピュータをネットワークから切断します。

  6. リプレース先のコンピュータに、Hitachi IT Operations Directorをインストールします。

  7. Hitachi IT Operations Directorをセットアップします。

    リプレース先のコンピュータで、Windowsの[スタート]メニュー−[すべてのプログラム]−[Hitachi IT Operations]−[Director Tools]−[セットアップ]からHitachi IT Operations Directorのセットアップを起動して、セットアップを実行してください。

    操作ログを保管する設定にしている場合は、[操作ログの自動保管の設定]画面で「操作ログの保管先フォルダ」に、手順4.でバックアップデータを格納したフォルダを指定してください。

  8. 手順2.でバックアップしたデータベースをリストアします。

    リプレース先のコンピュータで、Windowsの[スタート]メニュー−[すべてのプログラム]−[Hitachi IT Operations]−[Director Tools]−[データベースマネージャ]からHitachi IT Operations Directorのデータベースマネージャを起動して、データベースのリストアを実行してください。

  9. ライセンスを認証します。

    リプレース先のコンピュータにインストールしたHitachi IT Operations Directorのログイン画面で、[ライセンス]ボタンをクリックします。表示されるダイアログで[ライセンス認証]ボタンをクリックして、表示されるウィザードからライセンス認証します。ライセンス認証には、リプレース元のコンピュータで認証済みのライセンス認証キーのどれか1つを使用します。

  10. エージェントの接続先を変更します。

    リプレース先のコンピュータにインストールしたHitachi IT Operations Directorにログインし、エージェント設定の[エージェント基本動作]−[基本設定]−[管理用サーバ]にリプレース先のコンピュータのIPアドレスまたはホスト名を設定します。

    なお、この手順は、リプレースの前後で管理用サーバのIPアドレスまたはホスト名が変更になる場合だけ必要です。

  11. 正しく運用できることを確認します。

    リプレース先のコンピュータにインストールしたHitachi IT Operations Directorで、エージェントが管理用サーバに接続されたかどうかを確認します。機器画面の[機器一覧]画面で、[最終接続確認日時]が更新されていることを確認してください。

    [最終接続確認日時]はデフォルトでは表示されていないため、表示されていない場合は[機器一覧]画面の一覧の項目を右クリックして、[表示項目の選択]から表示されるダイアログで確認してください。[最終接続確認日時]が更新されない場合、利用者のコンピュータで、Windowsの[スタート]メニュー−[すべてのプログラム]−[Hitachi IT Operations Director Agent]−[管理者ツール]−[セットアップ]からエージェントのセットアップを起動して、接続先にリプレース先の管理用サーバが設定されているかどうかを確認してください。

  12. リプレース元のコンピュータで、Hitachi IT Operations Directorをアンインストールします。

管理用サーバのリプレースが完了します。

ポイント

リプレース元のコンピュータで取得したバックアップは、リプレース完了後に、必要に応じて削除してください。

ポイント

リプレース完了後にエージェントが管理用サーバに接続されたかどうかは、機器画面の[機器一覧]画面で、[最終接続確認日時]が更新されていることで確認できます。エージェントが接続されない場合、利用者のコンピュータで、エージェントのセットアップから接続先が正しく設定されているかどうか確認してください。

ライセンス認証に関する注意事項

注意事項

コンピュータにライセンス情報を引き継ぐ必要があります。ライセンス情報を引き継ぐには、リプレース元のコンピュータで認証済みのライセンス認証キーのどれか1つを使って、リプレース先のコンピュータでライセンス認証します。

注意事項

管理用サーバのリプレースは、不正利用防止のため2回までとしています。3回目以降のリプレースをしたい場合は、「ライセンス認証手順書」に従ってリプレース回数の初期化をメールで依頼してください。「ライセンス認証手順書」のURLを次に示します。

http://www.hitachi.co.jp/Prod/comp/soft1/itoperations/support/activation.pdf

注意事項

管理用サーバを仮想コンピュータで構築している場合、その仮想コンピュータを複製したときは、別のコンピュータで管理用サーバが構築されたと見なされます。このため、複製した仮想コンピュータを管理用サーバとして利用するときは、ライセンス認証が必要です。また、物理的なリプレース時と同様に、ライセンスを認証できる回数が1回減ります。

注意事項

Hitachi IT Operations DirectorをインストールしたコンピュータのUUIDまたはSIDが変更されると、リプレースされたと見なされ、ライセンス認証が必要になります。例えば、UUIDおよびSIDは次の契機で変更されます。

UUIDが変更される契機の例

  • マザーボードを交換した。

  • 仮想コンピュータを複製して使用した。

SIDが変更される契機の例

  • WindowsのOSを再インストールした。

  • sysprepコマンドでSIDを再割り当てした。

注※ 仮想コンピュータの複製に当たる操作の例を次に示します。

  • VMwareで、仮想マシンのクローン、またはテンプレートからデプロイを使用して複製した仮想マシンを使用する。

  • VMwareで、仮想マシンフォルダの内容を移動・コピーして、仮想マシンを起動する際にUUIDを変更する操作をする(ESX 3.xでは「作成」「常に作成」、ESX 4.xでは「コピーしました」を選択する)。

リプレース手順に関する注意事項

注意事項

リプレース先のコンピュータのIPアドレスが、リプレース元のコンピュータから変更になる場合、エージェントの接続先を変更するには、リプレース先の管理用サーバとエージェントの間で互いに直接参照できるネットワーク構成が必要です。直接参照できるネットワークとは、ホスト名およびIPアドレスで参照できる、相互にICMPなどで通信できるネットワークです。また、管理用サーバとエージェントが使用するTCPプロトコルのポートを通過できるようにしておく必要があります。

注意事項

管理用サーバがリプレース元のシステム構成を引き継ぐためには、管理対象の機器のIPアドレスがリプレースの前後で一致している必要があります。

例えば、管理用サーバのリプレース中に、設置場所の変更によって管理対象のコンピュータのIPアドレスが変更になる場合、そのコンピュータはリプレース先の管理用サーバには接続されません。このようなときは、リプレース先の管理用サーバでインストールセットを作成し、そのコンピュータにエージェントを導入し直してください。これによって、コンピュータが管理用サーバに接続されるようになります。

注意事項

リプレース元のコンピュータで取得したデータベースのバックアップは、管理用サーバのユーザーID/パスワードと同様に、管理者以外が参照できないように管理してください。このバックアップを不正に入手してリストアすれば、その管理用サーバから管理対象の機器の操作ができてしまうためです。

注意事項

リプレース元の管理用サーバで管理していた機器を、リプレース先の管理用サーバで引き続き管理する場合、リプレース元のコンピュータでバックアップしたデータベースを、リプレース先のコンピュータにリストアしてください。データベースのリストアを実施しないと、管理対象の機器にインストールされているエージェントがリプレース先の管理用サーバに接続されません。

なお、リプレース後の管理用サーバで新たに機器管理を始める場合は、データベースのバックアップとリストアは不要です。この場合、リプレース前と同じ機器を管理するには、リプレース完了後に次のように対処してください。

  • エージェント導入済みのコンピュータ:リプレース後の管理用サーバで作成したインストールセットを利用して、エージェントを再インストールしてください。

  • エージェントレスの機器:探索を実行して、機器を管理対象にしてください。

注意事項

Hitachi IT Operations Directorをアンインストールしないで、リプレース元の管理用サーバをネットワークに接続した場合、リプレース先の管理用サーバで正しくエージェントを管理できなくなります。

これは、リプレース元とリプレース先の管理用サーバが、それぞれエージェントに接続できてしまうためです。それぞれの管理用サーバから異なる指示があると、エージェントが管理者の意図しない状態になることがあります。また、エージェントがリプレース元の管理用サーバに接続して通知した情報は、リプレース先の管理用サーバには通知されないため、管理している情報に差異が発生してしまいます。

関連リンク