画面・帳票サポートシステム XMAP3 開発・実行ガイド
7.4.1 FAXコネクションと連携したFAX出力
(1) XMAP3とFAXコネクションとの連携
FAXコネクションと連携して,ユーザが作成した帳票APから帳票データをFAXに出力できます。プリンタへの出力と同様の帳票処理を実現できます。
FAXコネクションは,FAXC/SPOOLやFAXCなどの複数のプログラムプロダクトで構成されています。XMAP3からのFAX出力では,FAXC/SPOOLを使用します。
FAXC/SPOOLとの連携は,XMAP3をスタンドアロンで運用する環境が前提となります。システム構成については,「5.6.2 FAXコネクションを使用したシステム構成」を参照してください。
FAXC/SPOOLについては,マニュアル「Windows NT FAXコネクション Version3.0 ユーザーズガイド」またはFAXC/SPOOLが提供する「使用の手引き.pdf」を参照してください。
(a) 前提プログラムプロダクト
次のプログラムプロダクトがインストールされていることが前提になります。
FAXC/SPOOL Version 3またはFAXC/SPOOL Version 4
- 注
- Windows 95,Windows 98,またはWindows Meで動作するFAXC/SPOOLは,FAXCクライアント機能だけを提供しています。したがって,これらのOSで使用する場合は,FAXコネクションサーバ(Windows NT,Windows 2000,Windows XP,またはWindows Server 2003のPC)とのFAXコネクションのC/Sシステム構成が前提となります。
- なお,FAXC/SPOOL Version 4の場合,Windows 95は適用OSに含まれません。
XMAP3とFAXC/SPOOLとの連携には,送信先のFAX番号や宛先名などを定義したFAX宛先ファイルの作成が必要です。帳票AP実行時には,XMAP3がFAX宛先ファイルを参照しFAX番号などを取得して,目的の宛先に帳票データを送信します。
FAX宛先ファイルの作成には,AP実行時に動的に定義情報を編集する方法と,AP実行前に固定の定義情報を準備しておく方法の2とおりがあります。
- AP実行時にFAX宛先ファイルの定義情報を編集する場合
AP内でFAX宛先ファイルにアクセスし,ファイル中に目的のFAX番号などを定義したあと,帳票データを出力します。AP実行中に宛先を変更できるため,例えば,同一帳票を複数の宛先に送る運用などに適しています。
- AP実行前に,固定の定義情報をFAX宛先ファイルに準備しておく場合
メモ帳などのテキストエディタを使用してFAX宛先ファイルの定義情報を準備しておきます。特定の宛先に帳票を送信する運用に適しています。
FAX宛先ファイルには,FAXC/SPOOLのキュー種別や送信先のFAX番号を定義します。次に,FAX宛先ファイルの作成規則について説明します。この規則は,APから定義情報を編集する場合,およびテキストエディタで編集する場合に共通です。
XMAP3の表示・印刷セットアップの[アプリケーション1]タブの項目「FAX宛先フォルダ」で設定されているフォルダに格納します。
FAX出力の印刷サービス名称と同じ名称とします。FAX宛先ファイルパスの例を次に示します。
- (例)
- FAX宛先ファイル格納フォルダ「XMAP3インストールフォルダ\USER\FAXNO」で,印刷サービス名称「#PRT1」の場合,FAX宛先ファイルのパスは「XMAP3インストールフォルダ\USER\FAXNO\#PRT1」となる。
- FAX宛先ファイルを構成するレコード
FAX宛先ファイルは,「キュー定義情報」1レコードと,「送信先定義情報」1レコードで構成されます。レコードの末尾には,必ず,改行コードを付加してください。
- キュー定義情報
キュー定義情報のレコードレイアウトを次に示します。各項目は,半角の「;」(セミコロン)で区切ります。指定を省略する場合でも,項目を区切るセミコロンは必要です。
なお,FAX宛先ファイルでは,キュー定義情報のレコードを省略することもできます。省略した場合,キュー種別に「W0」,キュー名称にプリンタスプールに登録されるドキュメント名(帳票属性またはAPから指定される印刷ドキュメント名)が仮定されて送信されます。このときに有効な文字数は半角で31文字までです。
- キュー種別
XMAP3から出力された帳票データを登録するFAXC/SPOOLのキュー種別を指定します。指定するキュー種別の値を,次の表に示します。
キュー定義情報のレコードでは,キュー種別を必ず指定してください。
項目 |
キュー種別の値 |
意味 |
1 |
#00 |
キュー種別「W0」 |
2 |
#01 |
キュー種別「W1」 |
3 |
#02 |
キュー種別「W2」 |
: |
: |
: |
31 |
#30 |
キュー種別「W30」 |
32 |
#31 |
キュー種別「W31」 |
- キュー名称
XMAP3から出力された帳票データを登録する場合のキュー名称を,文字列で指定します(半角の場合で31文字まで)。キュー名称の指定は,省略することもできます。省略した場合は,プリンタスプールに登録されるドキュメント名(帳票属性またはAPから指定される印刷ドキュメント名)が仮定されて送信されます。このときに有効な文字数は半角で31文字までです。
- コメント
必要に応じて任意のコメントを記述します。この記述内容は,送信時には使用されません。
なお,キュー名称を省略して,キュー種別とコメントを指定したい場合には,次のように定義してください。
- 送信先定義情報
送信先定義情報のレコードレイアウトを次に示します。各項目は,半角の「;」(セミコロン)で区切ります。指定を省略する場合でも,項目を区切るセミコロンは必要です。
送信先定義情報のレコードは必ずFAX宛先ファイルに定義してください。省略すると,AP実行時,そのFAX宛先ファイルが無効になるため注意してください。
- 送信先FAX番号
帳票データを送信する相手局のFAX番号を指定します。20桁まで指定できます。送信先定義情報のレコードでは,送信先FAX番号を必ず指定してください。
- 送信先宛名
帳票データを登録する場合の送信先宛名を,文字列で指定します(半角の場合で63文字まで)。送信先宛名の指定は,省略することもできます。省略した場合は,何も設定されずにFAXコネクションに送信されます。
- コメント
必要に応じて任意のコメントを記述します。この記述内容は,送信時には使用されません。
なお,送信先宛名を省略して,送信先FAX番号とコメントを指定したい場合には,次のように定義してください。
(d) FAX宛先ファイルの定義例
FAX宛先ファイルの定義例を次に示します。
(3) FAX宛先ファイルを編集する帳票AP
FAX宛先ファイルにアクセスして動的にFAX送信先を変更するAPについて説明します。
APからXMAP3への帳票の印刷指示の前に,FAX宛先ファイルに,キュー定義情報,送信先定義情報のレコードを定義すれば,帳票ごとにFAXの送信先を変更できます。この方法は,APの言語(COBOL,C,VB)に依存しません。
APの作成方法については,マニュアル「XMAP3 プログラミングガイド 帳票編」を参照してください。
(4) XMAP3での帳票環境のセットアップ
FAXC/SPOOLと連携したFAX出力のためのXMAP3でのセットアップを説明します。
(a) FAX宛先フォルダの設定
FAX宛先ファイルを格納するフォルダ(FAX宛先フォルダ)を,表示・印刷セットアップの[アプリケーション1]タブで設定します。
FAX宛先フォルダのパスとして「XMAP3インストールフォルダ\USER\FAXNO」が標準に設定されています。ほかのフォルダにFAX宛先ファイルを格納したい場合だけ,設定を変更してください。
詳細については,「8.2.4 FAX宛先ファイルの格納フォルダの指定」を参照してください。
表示・印刷セットアップの[プリンタ]タブで,次の設定をします。
- プリンタ名(ドライバ名)
デスクトップ上にプリンタとして登録されているFAXC/SPOOL用のFAXプリンタの名称を選択します。
Windows NT,Windows 2000,またはWindows XPの場合,FAXC/SPOOLをインストールした時点でFAXプリンタが自動的に作成されます。
Windows 95※,Windows 98,またはWindows Meの場合は自動作成されません。この場合は,FAXC/SPOOLをインストールしたあとに,FAXプリンタを作成する必要があります。
なお,Windows Server 2003の場合は,FAXC/SPOOLのマニュアルを参照してください。
- 注※
- FAXC/SPOOL Version 4の場合,Windows 95は適用OSに含まれません。
- 印刷モード
FAXC/SPOOLとの連携に専用の「日立FAXC/SPOOL出力:ページプリンタ」または「日立FAXC/SPOOL出力:シリアルインパクトプリンタ」から,印刷する帳票の定義対象に応じた印刷モードを指定します。
このほか,印刷オプションなどを必要に応じて設定します。[プリンタ]タブでのセットアップの詳細については,「7.3 XMAP3の帳票印刷環境の設定」を参照してください。
表示・印刷セットアップの印刷モードで「日立FAXC/SPOOL出力:ページプリンタ」または「日立FAXC/SPOOL出力:シリアルインパクトプリンタ」を設定してFAX出力する場合の注意事項を説明します。
- 帳票APからFAX出力用の印刷サービスに印刷要求が発行されたとき,そのサービスが参照するFAX宛先ファイルが無効とみなされた場合は,ユーザ介入有りモードとしてFAXC/SPOOLに出力されます。このとき,スプーリングのタイミングで,XMAP3実行環境があるPCの画面に,FAXコネクションから送信先FAX番号を入力するウィンドウが表示されます。そのウィンドウに送信先のFAX番号を入力して,FAXへの送信を行ってください。
なお,次の場合にFAX宛先ファイルが無効とみなされます。
- FAX宛先ファイルが存在しない
- FAX宛先ファイル中に送信先定義情報が存在しない
- FAXへの送信では,帳票のイメージデータが送信されます。このとき,受信するFAX機器や送信回線の質によっては,描画結果が乱れる場合があります。あらかじめテストを行い,業務に支障がないことを十分に確認したうえで運用を開始してください。
- FAX出力時に指定できる帳票の用紙サイズと送信先FAX機器に通知される用紙サイズは次のようになります。帳票出力時には注意してください。
- シリアルインパクトプリンタ用の帳票の場合
Windows 95※,Windows 98,またはWindows Meの場合,FAXC/SPOOLから提供されているFAX用プリンタドライバのプロパティで設定した用紙サイズで印刷されます。ただし,FAXへ送信できる用紙サイズは,A4,B4,A3に限られます。
Windows NT,Windows 2000,Windows XP,またはWindows Server 2003の場合,FAX用プリンタドライバのプロパティで設定した用紙サイズは無効となり,常にA4サイズの用紙に印刷されます。
- 注※
- FAXC/SPOOL Version 4の場合,Windows 95は適用OSに含まれません。
- ページプリンタ用の帳票の場合
XMAP3の表示・印刷セットアップの[プリンタ]タブで用紙サイズを「OS設定優先」とした場合は,シリアルインパクトプリンタ用の帳票と同様に印刷されます。
表示・印刷セットアップの[プリンタ]タブで用紙サイズを「マップ定義優先」にした場合は,帳票定義時の用紙サイズで印刷できます。ただし,FAXへ送信できる用紙サイズは,A4,B4,A3に限られます。
また,表示・印刷セットアップの[プリンタ]タブでスプール書き出し単位を「アプリケーション毎」と設定した場合,APのDISABLE命令発行またはAP終了時までに印刷する帳票は,すべて1回目のSEND命令で出力された帳票の用紙サイズで印刷されます。
なお,次の例のような工夫をすることによって,「アプリケーション毎」を設定した場合でも,用紙サイズを混在して出力できます。
- (例)
- A5横サイズのFAX送信票とA4縦サイズの本文のFAX送信をする場合
- FAX送信票の用紙サイズを,本文と同じA4サイズとして帳票設計する。
- このときの帳票内容は,A4レイアウトの上半分の領域(A5サイズ分)にだけ定義する。
- FAXC/SPOOL環境設定中の「FAXCプリンタ」を起動し,[高度な設定]ダイアログ中の[FAX出力時に紙を節約する]ボタンをチェックする。なお,FAXコネクションがC/Sシステム構成の場合は,FAXコネクションクライアントPC上でこの設定をする。
- 帳票APからFAX送信票と本文の印刷を行う。
- XMAP3は,FAXC/SPOOLが提供しているFAX用のプリンタドライバに対し,FAX番号とマップ帳票データの出力を支援します。プリンタドライバスプールに登録したあとの処理(FAXへの送信性能や,回線障害時の再出力など)は,FAXコネクションおよびOSの設定に依存しますので,注意してください。
- XMAP3からFAXCキューに帳票データが登録されたあと,FAXライタからFAXへの帳票データの送信時(WE)に障害が発生した場合は,再送キュー(WR)に登録されます。再送されても不達になった場合は,このキューがホールドキュー(WH)に再登録されます。このときのリトライ回数と再送間隔は,FAXコネクションの「環境設定」ウィンドウの[FAXライタの設定]ダイアログで設定してください。詳細については,FAXコネクションのマニュアル,または FAXC/SPOOL提供の「使用の手引き.pdf」を参照してください。
- FAX番号をAP内で編集する帳票APを複数個起動し,そのAPの帳票出力先が同じ印刷サービスの場合,FAX宛先ファイルへのアクセス時にファイル競合が発生する場合があります。ファイル競合が発生すると,目的の送信先に帳票データが出力されません。このため,あらかじめ,競合を回避できるようにAPおよびその運用を検討し,システムを開発してください。次に回避策の例を示します。
- FAX宛先ファイルのFAX番号を帳票AP内で編集する運用をする場合は,そのAPが複数個同時に起動されないようにする。
- 各帳票APで,FAX宛先ファイルのアクセスに対して排他処理をする。
- XMAP3のドローでのテスト印刷やテスト支援からの帳票印刷で,FAXスプール出力用仮想端末に帳票印刷を行った場合,送信先情報の動的変更は行いません。このため,該当する印刷サービス用のFAX宛先ファイルが存在しないか,ファイル中の送信先定義情報が不正であった場合には,FAXコネクションの[送信情報]ダイアログが表示され(ユーザ介入待ち発生)FAXCキューへの帳票出力が行われますので,注意してください。
- 表示・印刷セットアップの[プリンタ]タブでスプール書き出し単位を「アプリケーション単位」と設定した場合,1回目のSEND命令発行後からAPのDISABLE命令発行まはたAP終了までの間で,動的にFAX送信先を変更することはできません。1回目のSEND命令発行前のFAX宛先ファイルの編集だけが有効となりますので注意してください。
- FAXC/SPOOLプリンタに対して帳票出力する場合,実際に有効となる圧縮形式と副走査線密度は,使用するOSおよび表示・印刷セットアップで指定した印刷モードによって,次のようになります。使用時には注意してください。
OS |
印刷モード |
「日立FAXC/SPOOL出力」モード(ページプリンタ,シリアルインパクトプリンタ)※1 |
「GDI」モード(ページプリンタ,シリアルインパクトプリンタ)または「日立FAXC/SPOOL出力」モードでFAX宛先ファイルが無効なとき※2 |
Windows NT,
Windows 2000,
Windows XP,
またはWindows Server 2003 |
表示・印刷セットアップ設定値 |
FAXCプリンタのプロパティ情報内「デバイスの設定」の設定値 |
Windows 95,
Windows 98,
またはWindows Me |
表示・印刷セットアップ設定値 |
デフォルト値固定(圧縮形式:MH,副走査線密度:ファイン) |
- 注※1
- FAXC送信ダイアログを表示しないバッチ印刷の場合。
- 注※2
- FAXC送信ダイアログを表示する対話印刷の場合。
- 同じ帳票でも,FAXコネクションで出力したFAXの印刷結果と,ページプリンタなどのプリンタで印刷した結果とでは,解像度の差によって,縦および横方向で大きさが異なります。あらかじめテストを行い,業務に支障がないことを十分に確認したうえで,運用を開始してください。
- 日立FAXC/SPOOLが,何らかのエラーを検知して,エラーダイアログを表示している状態で,アプリケーションからXMAP3を経由して,帳票を日立FAXC/SPOOLへスプール出力すると,アプリケーションが応答しなくなる場合があります。このような場合は,日立FAXC/SPOOLのエラーダイアログのメッセージに従って,エラーを処置してから,アプリケーションを再実行してください。
- 同時に,複数のアプリケーションから,XMAP3を経由して帳票を日立FAXC/SPOOLへスプール出力すると,日立FAXC/SPOOLでエラーになる場合があります。このような場合は,同時に複数のアプリケーションを実行しないでください。
- Windows 95上では,日立FAXC/SPOOLのバージョンによっては,日立FAXC/SPOOLの制限のため,次の描画物が印刷されませんのでご注意ください。
- バーコードの印刷
- OCR-B文字の印刷
- 表示・印刷セットアップの「高度な設定」で,「グラフィックデータのモノクロ化」として「XMAP3がモノクロ化する」を選択した場合の,グラフィックの印刷
All Rights Reserved. Copyright (C) 2001, 2006, Hitachi, Ltd.