画面・帳票サポートシステム XMAP3 開発・実行ガイド
5.6.3 統合システム運用管理JP1との連携
統合システム運用管理JP1を利用したクライアントサーバ型のバッチ業務を行う場合の構成です。サーバ側では,バッチ帳票印刷などのジョブの実行を,クライアント側ではサーバで実行するジョブの登録および実行監視を,それぞれの端末で操作できます。
なお,XMAP3の実行環境はスタンドアロン構成で,JP1はC/Sシステム構成で業務システムを構築します。
JP1を使用したシステム構築の例を次に示します。
次に,実行時の流れを説明します。
- ユーザが,クライアントPCからJP1/NBQS/Cを使用して,サーバPC上のAP(COBOL)のサブミット要求を出す。
- サーバPC上のJP1/NBQSが,1.の要求を受けて,AP(COBOL)を起動する。
- AP(COBOL)が,XMAP3へ印刷要求を行う。
- XMAP3が,JP1/NPSを経由し,プリンタマネージャへ印刷要求を出す。
- プリンタマネージャから,クライアントPC上のプリンタへ印刷が行われる。
- サーバPC上のJP1/NPSが,プリンタマネージャ中の4.の印刷を監視する。
- サーバPC上のJP1/NPSが,4.の印刷の終了を検知し,クライアントPC上のJP1/NPS/Cへ印刷完了を通知することで,ユーザは,サブミットしたジョブの印刷が完了したことを確認できる。
- <この項の構成>
- (1) 設定
- (2) APでの指定
- (3) ソフトウェア構成
- (4) 環境変数によるXMAP3の印刷先プリンタの切り替え
- (5) 統合システム運用管理JP1との連携時の注意事項
JP1を使用するC/Sシステム構成の場合は,WindowsでのC/Sシステムの設定(TCP/IP環境で使用するSERVICESファイルとHOSTSファイルの設定)をしておくだけで,サーバでのXMAP3のC/Sセットアップ機能を使った設定は必要ありません。クライアントでは,表示・印刷セットアップ機能を使用した帳票環境の設定が必要です。
設定には,次に示すファイルの設定が必要になります。また,設定するファイル間で名称を合わせるなどの注意も必要です。ここでは,システム構成に沿った設定例を示しますので,ファイル間の関係を確認してください。
(a) サーバ側の設定
- JP1の設定
JP1/NPS経由で印刷する場合は,表示・印刷セットアップ機能の印刷モードでGDIを指定してください。
- プリンタドライバの設定
Windowsのプリンタの設定で,通常使うプリンタ(標準プリンタ)に設定してください。また,プリンタのスプールデータ形式をEMFにしてください。
- 帳票環境の設定
- 表示・印刷セットアップ機能を起動して[プリンタ]タブを表示します。
- 「使用環境」に「スタンドアロン」を選択します。
- 「仮想端末名」に任意の仮想端末名を指定します。通常は「PRT001」を指定します。
- 「サービス名」に任意のサービス名を指定します。通常は「#PRT001」を指定します。
- 「プリンタ名(ドライバ名)」に,帳票を出力したいプリンタを指定します。このリストには,Windowsで設定されているプリンタだけが表示されます。指定したいプリンタが候補に現れない場合は,いったん設定を中止してWindows上でプリンタの設定を追加してください。
- 「印刷モード」で使用するプリンタに適した印刷モードを指定してください。使用するプリンタが240dpi以上の解像度を持つページプリンタであれば,通常は「GDI:ページプリンタ」を指定することをお勧めします。ただし,JP1/NPS経由で印刷する場合には,「GDI:ページプリンタ」または「GDI:シリアルインパクトプリンタ」のどちらかを必ず指定してください。
- その他のオプションについては,必要に応じて設定してください。
- [プリンタ]タブの[追加]ボタンをクリックし,上記の設定を確定します。
- [表示・印刷セットアップ]ダイアログの[OK]ボタンをクリックすると,表示・印刷セットアップ機能が終了し,設定内容がファイルに登録されます。
なお,[プリンタ]タブで[追加]ボタンをクリックしないで,[表示・印刷セットアップ]ダイアログの[OK]ボタンをクリックして終了すると,設定内容はファイルに登録されないので注意してください。また,実際のファイルの内容は,[表示・印刷セットアップ]ダイアログで[OK]ボタンをクリックして登録するまでは変更されません。設定を取りやめるときは[キャンセル]ボタンをクリックして終了してください。
(2) APでの指定
APでは設定した仮想端末名「PRT001」を使用して印刷指示を行います。
なお,仮想端末のサービス名は,「#PRT」としてください。
XMAP3の印刷環境で設定を行わない場合は,帳票を印刷するPCの標準プリンタ(通常使うプリンタ)へ出力されます。なお,この場合の印刷モードはGDIモードです。
XMAP3印刷環境で設定を行った場合は,設定された印刷モードでプリンタへ出力されます。
(3) ソフトウェア構成
JP1と連携する場合のソフトウェア構成を次に示します。
システム
構成 |
使用するソフトウェア |
XMAP3 |
コンパイラ※1 |
DB※2 |
JP1 |
スタンドアロン |
XMAP3/
REPORT3
(-RTS)または
XMAP3/
NET
(-RTS) |
日立COBOL
(-RTS),
VC++,VC++.NET,
またはVB |
HiRDB※3
または
ISAM※4 |
JP1/Network Printing System |
- 注
- -RTSは,Run Time Systemを示します。
- 注※1
- 使用するコンパイラが必要になります。
- 注※2
- DB連携しない業務では,DBに関するソフトウェアは不要です。
- 注※3
- HiRDBのほかに,SQL ServerやORACLEなども使用できます。
- 注※4
- ISAMは,日立COBOLに標準添付されています。
(4) 環境変数によるXMAP3の印刷先プリンタの切り替え
クライアント側のJP1バッチジョブ運用管理での設定で環境変数を設定すると,サーバ側のXMAP3のサービス#PRTに関連づけられた印刷先のプリンタを,この環境変数で設定したプリンタに切り替えることができます。
この機能を利用するには,XMAP3のバージョン 03-02以降,およびJP1のバージョン05-10以降が前提となります。
- 設定する環境変数を,次に示します。
- XMAP3_PRINTER=プリンタ名
- 設定例を次に示します。
- サーバ側の設定
- XMAP3の帳票環境の設定で,#PRTのプリンタに「Canon LBP 730」を設定
- クライアント側の設定
- JP1の環境変数で「XMAP3_PRINTER=\\HOSTA\VP-1000」を設定
- XMAP3での印刷プリンタ
- \\HOSTA\VP-1000へ印刷される。
XMAP3と統合システム運用管理JP1とを連携して実行環境を運用する場合の注意事項について説明します。
- JP1と連携し,JP1の提供する各種印刷機能を使用するための前提条件
- JP1と連携する場合,XMAP3はスタンドアロン構成が前提となります。
- JP1/NPSと連携(JP1/NPSポートに接続されたプリンタ)する場合には,プリンタのスプールデータ形式は必ず「EMF」にして,かつ,使用する帳票環境のセットアップでの印刷モードには必ず「GDI」を指定してください。印刷モードに「PDLスルー」を指定し,プリンタのスプールデータ形式に「RAW」を指定した場合には,JP1/NPSの一部の機能が使えないといった制限があります。詳細は,マニュアル「JP1/Network Printing System」を参照してください。
- JP1/NBQSで起動されたジョブ(帳票印刷AP)から,XMAP3へ印刷要求があった場合に適用されます。ただし,印刷を運用するシステム構成としては,JP1/NPS,JP1/NPS/C,JP1/NBQS,およびJP1/NBQS/Cが前提となります。
- JP1への印刷完了通知機能を使用した場合,プリンタマネージャには,次の形式でドキュメント名が登録されます。
APから印刷ドキュメント名を指定していない場合
APから印刷ドキュメント名を指定している場合
JP1のバージョン05-10以降と連携している場合,「JP1の印刷ジョブ情報」と示した部分にJP1の印刷ジョブ情報が出力されます。
「FNAM-物理マップ名」は,表示・印刷セットアップ機能の[プリンタ]タブの「用紙の確認通知」で,「物理マップ名で確認する」を選択した場合に出力されます。
- XMAP3標準プリンタの印刷先の動的切り替え機能を使用するための前提条件
- JP1/NBQSで起動されるジョブ(印刷AP)へは,環境変数(XMAP3_PRINTER)にプリンタ名が設定されています。なお,プリンタ名は,サーバPC上のプリンタマネージャで登録されているプリンタアイコン名です(例:\\PC001\VP-1000,Canon LBP730など)。
- JP1/NBQSで起動されるジョブ(印刷AP)は,XMAP3の標準プリンタ(サービス名:#PRT)に関連づけられている仮想端末名に印刷要求を行います。
- JP1連携時の注意事項
XMAP3標準プリンタの印刷先の動的切り替え機能を次に示します。
- JP1/NBQSで起動するジョブ(帳票印刷AP)で印刷する仮想端末名が,標準プリンタへ対応したサービス名(#PRT)以外のサービス名に関連づけられている場合には,この機能は無効となります。XMAP3の表示・印刷セットアップ機能でのプリンタ設定に従った印刷先に帳票が出力されます。
- JP1/NBQSで起動するジョブ(帳票印刷AP)で設定されている環境変数(XMAP3_PRINTER)に指定されたプリンタ名が不正な場合は,XMAP3からジョブへエラーリターンします。エラーリターンの内容は,「コード20489 (5009)16,指定したサービスが存在しない」となります。
- XMAP3の印刷先を取り替える場合で,印刷先をネットワーク接続のプリンタに切り替えたい場合は,完全パス名(例:\\PC01\Printer)を環境変数(XMAP3_PRINTER)に指定してください。
- 環境変数(XMAP3_PRINTER)に設定された印刷サービスに適用される印刷モードは次のとおりです。
サービス名#PRTに対して,表示・印刷セットアップで何も設定値がない場合は,GDIモードで印刷されます。
サービス名#PRTに対して,表示・印刷セットアップで何かの設定値がある場合は,XMAP3の表示・印刷セットアップで指定した印刷モードで印刷されます。
- 表示・印刷セットアップで[印刷中]ダイアログの表示を指定した場合,ダイアログには環境変数(XMAP3_PRINTER)で設定されたプリンタが表示されます。
- そのほかの注意事項
- JP1連携で,APから複数枚の帳票を印刷する場合,アプリケーション単位に印刷完了を受け取る運用をするには,XMAP3の表示・印刷セットアップで,スプール書き出し単位に「アプリケーション毎」を設定してください。この設定をしないと,帳票単位で印刷完了が通知されます。
- JP1の環境下で動作するプログラムプロダクトは,画面表示ができません。そのため,表示・印刷セットアップで[印刷中]ダイアログを表示する指定をしても,XMAP3の[印刷中]ダイアログは画面表示されません。
- JP1の環境下では,帳票印刷APはWindowsサービスとして動作します。そのため,Windowsサービスの実行アカウントや,Windowsへのユーザのログオン状態などによって,外字の出力結果が異なります。Windowsサービスで動作するときの外字の出力については,「9.3.6 Windowsのサービスとして運用する場合のOS設定」を参照してください。
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