JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド1

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付録D.2 組み込みDBのセットアップ(実行系)

クラスタ構成時の実行系組み込みDBを使用する場合のインストール,環境構築,およびセットアップ方法について説明します。

<この項の構成>
(1) 組み込みDBインストール前の作業
(2) 組み込みDBのインストール
(3) 組み込みDB環境の構築
(4) 環境設定パラメーターの設定
(5) スケジューラーデータベースの組み込みDBへのセットアップ
(6) 複数スケジューラーデータベースの組み込みDBへのセットアップ
(7) 組み込みDBの再セットアップ
(8) 組み込みDBのアンインストール

(1) 組み込みDBインストール前の作業

付録C.2(1) 組み込みDBインストール前の作業」を参照し,組み込みDBインストール前に必要な項目について確認してください。

(2) 組み込みDBのインストール

組み込みDBのインストールは,「付録C.2(2) 組み込みDBのインストール」に記載した手順で実施する必要があります。ただし,クラスタ構成で,実行系の組み込みDBをインストールする場合は,次の注意事項を考慮してインストールしてください。

注意事項
  • 組み込みDBをインストールする際は,実行系のローカルディスクにインストールしてください。また,実行系・待機系とも,同じ名称となるようにドライブおよびフォルダを指定してください。
  • 物理ホストおよび複数の論理ホストを同一マシン内に共存し,異なる組み込みDBを使用する場合は,セットアップ識別子が重複しないように指定してください。

また,インストールの詳細についても「付録C.2(2) 組み込みDBのインストール」を参照してください。

(3) 組み込みDB環境の構築

組み込みDBの環境構築手順について次に示します。

  1. 各サービスを停止する。
    物理ホストおよびすべての論理ホストで,JP1/AJS3サービスおよびJP1/AJS3 Console Agentサービスを含め,スケジューラーデータベースにアクセスするサービスをすべて停止します。
  2. UNIXの場合,共有メモリー上の環境設定情報を削除する。
    ajsshmdelコマンドを実行して,共有メモリー上の環境設定情報を削除します。
     
    ajsshmdel >/dev/null 2>&1
     
  3. 組み込みDB環境構築コマンドを実行する。
    ajsembdbbuildコマンドを使用して,組み込みDBの環境を構築します。
    ajsembdbbuildコマンドを実行すると,次の処理が実行されます。
    • 組み込みDBの定義情報作成
    • 組み込みDBの領域作成
    • 組み込みDBシステムの起動
    ajsembdbbuildコマンドの-dオプションに指定するデータ領域およびシステムファイル領域は,共有ディスク上の領域を指定して,-ldオプションに指定する組み込みDB作業領域は,ローカルディスク上の領域を指定してください。

ajsembdbbuildコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス2 2. セットアップコマンド ajsembdbbuild」を参照してください。

大規模の組み込みDB環境を構築する場合のajsembdbbuildコマンドの指定例を示します。表C-3および表C-4の項番の組み合わせについても示します。

補足事項
システムファイルを二重化し,システムログを使用した運用をしない(表C-3表C-4の組み合わせが14-A,16-A,18-A,20-A,22-A,24-Aとなる)場合の環境は構築できません。

注意事項
  • 組み込みDB環境を構築するホストは,実行系の物理ホスト名および論理ホスト名ともにhostsファイルまたはDNSに登録してください。
  • 組み込みDB環境を構築するホストのホスト名をjp1hosts定義ファイルに登録しても,組み込みDBで使用するホスト名として有効になりません。
  • 組み込みDB環境を構築するホストのホスト名には,エイリアス名を使用しないでください。
  • 組み込みDBが稼働できるホストのホスト名は,最大32バイトです。したがって,組み込みDB環境を構築するホストは,実行系の物理ホスト名および論理ホスト名ともに1〜32バイトで設定してください。

(a) Windowsの場合

指定例では,次に示す設定値が設定されていると仮定します。ajsembdbbuildコマンド実行前にディレクトリを作成してください。

 

(b) UNIXの場合

指定例では,次に示す設定値が設定されていると仮定します。ajsembdbbuildコマンド実行前にディレクトリを作成してください。

また,指定例で使用するデータ領域作成ディレクトリおよびシステムファイル領域作成ディレクトリを次に示します。

領域種別 ファイル種別
通常ファイル RAWファイル
データ領域作成ディレクトリ /share1/RDArea_JFA /dev/vgshare1/rdb_JFA
システムファイル領域作成ディレクトリ1 /share2/SYSArea_JFA /dev/vgshare2/rsys_JFA
システムファイル領域作成ディレクトリ2 /share3/SYSArea_JFA /dev/vgshare3/rsys_JFA

(4) 環境設定パラメーターの設定

付録C.1(2)(c) 環境設定パラメーター」で検討した,スケジューラーサービスの環境設定パラメーターを設定します。

また,環境設定パラメーターで指定したディレクトリを作成します。

jajs_setup_clusterコマンドに-Sオプションを指定して環境構築する場合,この作業は不要です。

環境設定パラメーターの設定については,「4.2 環境設定パラメーターの設定」(Windowsの場合)または「14.2 環境設定パラメーターの設定」(UNIXの場合)を参照してください。

(5) スケジューラーデータベースの組み込みDBへのセットアップ

ajsembdbsetupコマンドを使用して,スケジューラーデータベースの内容を組み込みDBにセットアップします。ただし,セットアップ作業を開始する前に,論理ホスト環境でスケジューラーサービスの設定が完了している必要があります。これらの設定が完了していることを確認してから,ajsembdbsetupコマンドを実行してください。

ajsembdbsetupコマンドを実行することで次の処理が実行されます。

大規模の組み込みDB環境で実行するajsembdbsetupコマンドの指定例を次に示します。なお,次の設定値を仮定します。

 
ajsembdbsetup -F AJSROOT4 -ru l -id _JFA -mh logical_host -p 22230
 

補足事項
ajsembdbsetupコマンドを実行することで次の環境設定パラメーターが設定されます。これらの環境設定パラメーターについては設定値を変更しないでください。また,それぞれの環境設定パラメーターの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド2 2.2 スケジューラーサービス環境設定」を参照してください。

表D-1 ajsembdbsetupコマンド実行時に設定される環境設定パラメーター

環境設定パラメーター 定義内容 ajsembdbsetupコマンドで
設定する内容
AJSDBTYPE データベース種別 EmbedDB
TABLENAMEPREFIX テーブル名プリフィックス 次のどちらかが設定される。
  • -tpオプション指定値
  • AJS1
TABLENAMEPOSTFIX テーブルID
RDBAUTHID RDB認可識別子 root
RDBUSER RDBアクセスユーザー名 ajs2
RDBPASSWORD RDBユーザーパスワード
RDBHOST RDB接続先ホスト名 次のどちらかが設定される。
  • -mhオプション指定値
  • 環境変数JP1_HOSTNAMEの設定値
RDBPORT RDB接続ポート番号 次のどちらかが設定される。
  • -pオプション指定値
  • 22220
RDBIPC RDBサーバとの通信方式 MEMORY
RDBSENDMEMSIZE RDBプロセス間メモリー通信使用時の送信用メモリーサイズ 次のどちらかが設定される。
  • -sオプション指定値
  • 100
RDBRECVMEMSIZE RDBプロセス間メモリー通信使用時の受信用メモリーサイズ 次のどちらかが設定される。
  • -rオプション指定値
  • 1600

注※
設定内容が数値の場合は,10進数で表記しています。

(6) 複数スケジューラーデータベースの組み込みDBへのセットアップ

ここでは,複数のスケジューラーデータベースを組み込みDBとしてセットアップする方法について説明します。

(a) スケジューラーサービスごとに異なる組み込みDB環境を構築する

複数のスケジューラーサービスが定義されていて,スケジューラーサービスごとに異なる組み込みDB環境を構築する場合,次に示す領域を別に準備してください。

上記に示す領域のうち,システムファイル領域,アンロードログファイル作成ディレクトリについては,必要に応じて準備してください。また,データ領域およびシステムファイル領域は,共有ディスク上の領域を指定してください。

組み込みDB環境構築の際,使用するポート番号および組み込みDBセットアップ識別子が組み込みDB間で重複しないように指定する必要があります。そのため,ajsembdbbuildコマンドおよびajsembdbsetupコマンドの実行時にはポート番号を指定するオプション(-p)に,ajsembdbinstlコマンド,ajsembdbbuildコマンド,およびajsembdbsetupコマンドの実行時には組み込みDBセットアップ識別子を指定するオプション(-id)に,組み込みDBごとに異なる値を指定してください。

セットアップ例を次に示します。

なお,この例は,「付録D.2(3) 組み込みDB環境の構築」および「付録D.2(4) 環境設定パラメーターの設定」で示した環境がすでに構築されていることを前提に記載します。

●Windowsの場合

組み込みDBの環境内容
追加する組み込みDBの環境内容を次に示します。
  • データ領域作成ディレクトリ:q:\EmbDB\RDArea
  • システムファイル領域作成ディレクトリ1:r:\EmbDB\SYSArea1
  • システムファイル領域作成ディレクトリ2:s:\EmbDB\SYSArea2
  • アンロードログファイル作成ディレクトリ:t:\EmbDB\Unload_Log
  • 組み込みDB作業領域:u:\EmbDB\WorkArea
  • 組み込みDBインストール先フォルダ:c:\Program Files\Hitachi\JP1AJS2\embdb\_JFB
  • スケジューラーサービス名:AJSROOT5
  • 組み込みDBポート番号:22231
  • 組み込みDBセットアップ識別子:_JFB
  • 実行系物理ホスト名:physical_host
  • 論理ホスト名:logical_host

ajsembdbinstlコマンドの指定内容
 
ajsembdbinstl -mh logical_host 
-s "c:\Program Files\Hitachi\JP1AJS2\tools\AJS3DB" 
-i "c:\Program Files\Hitachi\JP1AJS2\embdb\_JFB" -id _JFB
 

ajsembdbbuildコマンドの指定内容
 
ajsembdbbuild -l 
-d "q:\EmbDB\RDArea,r:\EmbDB\SYSArea1,s:\EmbDB\SYSArea2" 
-ld u:\EmbDB\WorkArea -br -bl t:\EmbDB\Unload_Log 
-i "c:\Program Files\Hitachi\JP1AJS2\embdb\_JFB" 
-p 22231 -id _JFB -r -mh logical_host -eh physical_host
 

ajsembdbsetupコマンドの指定内容
 
ajsembdbsetup -F AJSROOT5 -ru l -id _JFB -p 22231 -mh logical_host

●UNIXの場合

組み込みDBの環境内容
追加する組み込みDBの環境内容を次に示します。
  • データ領域作成ディレクトリ:/share4/RDArea_JFB
  • システムファイル領域作成ディレクトリ1:/share5/SYSArea_JFB
  • システムファイル領域作成ディレクトリ2:/share6/SYSArea_JFB
  • アンロードログファイル作成ディレクトリ:/Unload_Log_JFB
  • 組み込みDB作業領域:/WorkArea_JFB
  • 組み込みDB運用ディレクトリ:/opt/jp1ajs2/embdb/_JFB
  • スケジューラーサービス名:AJSROOT5
  • 組み込みDBポート番号:22231
  • 組み込みDBセットアップ識別子:_JFB
  • 実行系物理ホスト名:physical_host
  • 論理ホスト名:logical_host

ajsembdbinstlコマンドの指定内容
 
ajsembdbinstl -mh logical_host -s /opt/jp1ajs2/tools/AJS3DB 
-i /opt/jp1ajs2/embdb/_JFB -id _JFB
 

ajsembdbbuildコマンドの指定内容
 
ajsembdbbuild -l 
-d "/share4/RDArea_JFB,/share5/SYSArea_JFB,
/share6/SYSArea_JFB" -ld /WorkArea_JFB -br 
-bl /Unload_Log_JFB -i /opt/jp1ajs2/embdb/_JFB -p 22231 
-id _JFB -r -mh logical_host -eh physical_host
 

ajsembdbsetupコマンドの指定内容
 
ajsembdbsetup -F AJSROOT5 -ru l -id _JFB -p 22231 
-mh logical_host
 

ajsembdbinstlコマンド,ajsembdbbuildコマンド,およびajsembdbsetupコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス2 2. セットアップコマンド」を参照してください。

(b) 一つの組み込みDB環境に複数のスケジューラーデータベースをセットアップする

一つの組み込みDB環境に複数のスケジューラーデータベースをセットアップする場合,組み込みDB内にはスケジューラーサービスごとに異なるテーブルを作成して管理する必要があります。そのため,ajsembdbsetupコマンド実行時のテーブル名プリフィックスを変更する必要があります。

同じ組み込みDBに対して二つ目のスケジューラーデータベースをセットアップする際のajsembdbsetupコマンドの指定例を次に示します。なお,次の設定値を仮定します。

 
ajsembdbsetup -F AJSROOT6 -tp AJS2 -ru l -id _JFA -mh logical_host -p 22230
 

ajsembdbsetupコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス2 2. セットアップコマンド ajsembdbsetup」を参照してください。

注意事項
  • 一つの組み込みDB環境に複数のスケジューラーデータベースをセットアップした環境で,特定のスケジューラーデータベースだけを再構築することはできません。組み込みDB環境にセットアップしたすべてのスケジューラーデータベースの再構築が必要となります。特定のスケジューラーデータベースだけを再構築したい場合は,スケジューラーサービスごとに組み込みDBを用意してください。構築方法については,「(a) スケジューラーサービスごとに異なる組み込みDB環境を構築する」を参照してください。
  • 一つの組み込みDB環境に複数のスケジューラーデータベースをセットアップした環境で,ajsembdbbackupコマンドを使用してバックアップする場合,特定のスケジューラーデータベースだけを対象にはできません。ajsembdbbackupコマンドでのバックアップは,該当する組み込みDB環境にセットアップしたすべてのスケジューラーデータベースをバックアップ対象とし,そのバックアップを使用して回復すると,すべてのスケジューラーデータベースを回復します。そのため,ajsembdbbackupコマンドおよびajsembdbrstrコマンドでバックアップ・リストアをする場合,該当する組み込みDBにアクセスするすべてのスケジューラーサービスを停止する必要があります。
    なお,ajsprintコマンドでユニット定義だけをバックアップする場合は,スケジューラーサービスを停止しないで,スケジューラーデータベースごとに取得できます。
    ajsembdbbackupコマンドで特定のスケジューラーデータベースだけをバックアップ対象としたい場合は,スケジューラーサービスごとに組み込みDBを用意してください。構築方法については,「(a) スケジューラーサービスごとに異なる組み込みDB環境を構築する」を参照してください。
  • 一つの組み込みDB環境に論理ホストのスケジューラーデータベース,および物理ホストのスケジューラーデータベースを混在してセットアップできません。

(7) 組み込みDBの再セットアップ

組み込みDBの再セットアップについては,「付録C.2(7) 組み込みDBの再セットアップ」を参照してください。

なお,Windowsの場合,組み込みDBの再セットアップ後に最初にJP1/AJS3のサービスを起動するときは,JP1/AJS3のサービスを起動する前に,「JP1/AJS3 Database _JFnが停止されていることを確認してください。詳細については,「8.2.4 クラスタソフトへの登録」を参照してください。

注※
「_JFn」は論理ホストのJP1/AJS3サービスが使用する組み込みDBセットアップ識別子です。

(8) 組み込みDBのアンインストール

組み込みDBのアンインストールについては,「6.1.1(3) 不要となったデータベース環境をアンインストールする」を参照してください。

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