JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド1

[目次][用語][索引][前へ][次へ]


付録C.2 組み込みDBのセットアップ

組み込みDBを使用する場合のインストール,環境構築およびセットアップ方法について説明します。

<この項の構成>
(1) 組み込みDBインストール前の作業
(2) 組み込みDBのインストール
(3) 組み込みDB環境の構築
(4) 環境設定パラメーターの設定
(5) スケジューラーデータベースの組み込みDBへのセットアップ
(6) 複数スケジューラーデータベースの組み込みDBへのセットアップ
(7) 組み込みDBの再セットアップ
(8) 組み込みDBのアンインストール

(1) 組み込みDBインストール前の作業

ここでは,組み込みDBインストール前の作業について説明します。

組み込みDBについての注意事項
組み込みDBに外部のクライアントソフトウェアから接続したりすることはできません。

(a) Windowsの場合

●ディスク容量の確認

インストールする前にディスクの空き容量が十分かどうかを確認してください。組み込みDBの場合は240メガバイト程度の容量が必要です。

●仮想メモリーの確認

仮想メモリーは同じドライブに連続した領域を作成するように,初期サイズと最大サイズを同じ値(固定値)にしてください。仮想メモリーを連続で使えない場合,組み込みDBがメモリー不足で異常終了することがあります。

仮想メモリーは次の手順で確認できます。

  1. [スタート]メニューから[コントロールパネル]を選択し,[システム]をクリックする。
    [システムのプロパティ]ダイアログボックスが表示されます。
  2. [詳細設定]タブをクリックする。
  3. [パフォーマンス]ボックスの[設定]をクリックする。
    [パフォーマンス オプション]ウィンドウが表示されます。
  4. [詳細設定]タブをクリックする。
  5. [仮想メモリ]ボックスの[変更]をクリックする。

必要な仮想メモリーを次に示します。また,実際に指定する値には,Windowsや他プログラムが使う容量を加えてください。仮想メモリーを変更した場合には,必ずWindowsを再起動してください。

ページングファイルサイズ=130メガバイト

注意事項
JP1/AJS3 - Viewの接続数や設定されているスケジューラーサービスの数によって値は増加することがあります。

●ファイルシステムの確認

組み込みDBをNTFSにインストールする場合,組み込みDB運用ディレクトリ下のファイルを圧縮しないでください。このディレクトリを圧縮すると,組み込みDBは正常に動作しません。

(b) UNIXの場合

●カーネルパラメーターの確認・変更

組み込みDBが使うメッセージキューおよびセマフォ所要量を見積もり,必要に応じてカーネルパラメーターを変更する必要があります。カーネルパラメーターの見積もりについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(システム構築編) 3.2.5 カーネルパラメーターを見積もる」を参照してください。

(2) 組み込みDBのインストール

JP1/AJS3 - Managerのスケジューラーデータベースとして,組み込みDBを使用する場合,次のコマンドを実行します。

 
ajsembdbinstl
 

ajsembdbinstlコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス2 2. セットアップコマンド ajsembdbinstl」を参照してください。

インストールについての注意事項
  • ajsembdbinstlコマンドは,Administrators権限があるユーザーが実行してください。Administrators権限がないユーザーがajsembdbinstlコマンドを実行すると,エラーメッセージが表示され,インストールが中止されます。
  • ネットワークドライブにはインストールしないでください。
  • 組み込みDBをインストールすると,インストールドライブの直下にtmpフォルダが作成されます。このフォルダは組み込みDBが使うため,削除しないでください。
  • Windows環境の組み込みDBで使う文字コードは,シフトJISコード(SJIS)です。

(3) 組み込みDB環境の構築

組み込みDBの環境構築手順について次に示します。

  1. 各サービスを停止する。
    物理ホストおよびすべての論理ホストで,JP1/AJS3サービスおよびJP1/AJS3 Console Agentサービスを含め,スケジューラーデータベースにアクセスするサービスはすべて停止してください。
  2. UNIXの場合,共有メモリー上の環境設定情報を削除する。
    ajsshmdelコマンドを実行して,共有メモリー上の環境設定情報を削除します。
     
    ajsshmdel >/dev/null 2>&1
     
  3. 組み込みDB環境構築コマンドを実行する。
    ajsembdbbuildコマンドを使用して,組み込みDBの環境を構築します。
    ajsembdbbuildコマンドを実行すると,次に示す処理が実行されます。
    • 組み込みDBの定義情報作成
    • 組み込みDBの領域作成
    • 組み込みDBシステムの起動

ajsembdbbuildコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス2 2. セットアップコマンド ajsembdbbuild」を参照してください。

大規模の組み込みDB環境を構築する場合のajsembdbbuildコマンドの指定例を次に説明します。表C-3および表C-4の項番の組み合わせについても示します。

補足事項
システムファイルを二重化し,システムログを使用した運用をしない(表C-3表C-4の組み合わせが2-A,4-A,6-A,8-A,10-A,12-A)場合,環境を構築できません。

注意事項
  • 組み込みDB環境を構築するホストのホスト名を,hostsファイルまたはDNSに登録してください。
  • 組み込みDB環境を構築するホストのホスト名をjp1hosts定義ファイルに登録しても,組み込みDBで使用するホスト名として有効になりません。
  • 組み込みDB環境を構築するホストのホスト名には,エイリアス名を使用しないでください。
  • 組み込みDBが稼働できるホストのホスト名は,最大32バイトです。したがって,組み込みDB環境を構築するホストの物理ホスト名を1〜32バイトで設定してください。

(a) Windowsの場合

指定例では,次に示す設定値が設定されていると仮定します。ajsembdbbuildコマンド実行前にディレクトリを作成してください。

(b) UNIXの場合

指定例では,次に示す設定値が設定されていると仮定します。ajsembdbbuildコマンド実行前にディレクトリを作成してください。

また,指定例で使用するデータ領域作成ディレクトリおよびシステムファイル領域作成ディレクトリを次に示します。

領域種別 ファイル種別
通常ファイル RAWファイル
データ領域作成ディレクトリ /RDArea_JF3 /dev/rdb_JF3
システムファイル領域作成ディレクトリ1 /SYSArea1_JF3 /dev/rsys1_JF3
システムファイル領域作成ディレクトリ2 /SYSArea2_JF3 /dev/rsys2_JF3

(4) 環境設定パラメーターの設定

付録C.1(2)(c) 環境設定パラメーター」で検討した,スケジューラーサービスの環境設定パラメーターを設定します。

また,環境設定パラメーターで指定したディレクトリを作成します。

環境設定パラメーターの設定については,「4.2 環境設定パラメーターの設定」(Windowsの場合)または「14.2 環境設定パラメーターの設定」(UNIXの場合)を参照してください。

(5) スケジューラーデータベースの組み込みDBへのセットアップ

ajsembdbsetupコマンドを使用して,スケジューラーデータベースの内容を組み込みDBにセットアップします。

ajsembdbsetupコマンドを実行すると,次に示す処理が実行されます。

大規模の組み込みDB環境で実行するajsembdbsetupコマンドの指定例を次に説明します。指定例では,次に示す設定値が設定されていることとします。

 
ajsembdbsetup -F AJSROOT2 -ru l -id _JF3 -p 22223
 

補足事項
ajsembdbsetupコマンドを実行すると,次の表に示す環境設定パラメーターが設定されます。表に示す環境設定パラメーターについては設定値を変更しないでください。各環境設定パラメーターの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド2 2.2 スケジューラーサービス環境設定」を参照してください。

表C-7 ajsembdbsetupコマンド実行時に設定される環境設定パラメーター

環境設定パラメーター 定義内容 ajsembdbsetupコマンドで設定する内容
AJSDBTYPE データベース種別 EmbedDB
TABLENAMEPREFIX テーブル名プリフィックス 次のどちらかが設定される。
  • -tpオプション指定値
  • AJS1
TABLENAMEPOSTFIX テーブルID
RDBAUTHID RDB認可識別子 root
RDBUSER RDBアクセスユーザー名 ajs2
RDBPASSWORD RDBユーザーパスワード
RDBHOST RDB接続先ホスト名 次のどれかが設定される。
  • 物理ホスト名
  • -mhオプション指定値
  • 環境変数JP1_HOSTNAMEの設定値
RDBPORT RDB接続ポート番号 次のどちらかが設定される。
  • -pオプション指定値
  • 22220
RDBIPC RDBサーバとの通信方式 MEMORY
RDBSENDMEMSIZE RDBプロセス間メモリー通信使用時の送信用メモリーサイズ 次のどちらかが設定される。
  • -sオプション指定値
  • 100
RDBRECVMEMSIZE RDBプロセス間メモリー通信使用時の受信用メモリーサイズ 次のどちらかが設定される。
  • -rオプション指定値
  • 1600

注※
設定内容が数値の場合は,10進数で表記しています。

(6) 複数スケジューラーデータベースの組み込みDBへのセットアップ

ここでは,複数のスケジューラーデータベースを組み込みDBとしてセットアップする方法について説明します。

(a) スケジューラーサービスごとに異なる組み込みDB環境を構築する

複数のスケジューラーサービスが定義されていて,スケジューラーサービスごとに異なる組み込みDB環境を構築する場合,次に示す領域を別に準備してください。

なお,次に示す領域のうちシステムファイル領域,組み込みDB作業領域,アンロードログファイル作成ディレクトリについては,必要に応じて準備してください。

組み込みDB環境構築の際,使用するポート番号および組み込みDBセットアップ識別子が組み込みDB間で重複しないように指定する必要があります。そのため,ajsembdbbuildコマンドおよびajsembdbsetupコマンド実行時にはポート番号を指定するオプション(-p)に,ajsembdbinstlコマンド,ajsembdbbuildコマンド,およびajsembdbsetupコマンドの実行時には組み込みDBセットアップ識別子を指定するオプション(-id)に,組み込みDBごとに異なる値を指定してください。

セットアップの実施例を次に示します。

なお,この実施例は,「付録C.2(3) 組み込みDB環境の構築」および「付録C.2(4) 環境設定パラメーターの設定」で示した環境がすでに構築されていることを前提に記載します。

●Windowsの場合

組み込みDBの環境内容
  • データ領域作成ディレクトリ:h:\EmbDB\RDArea
  • システムファイル領域作成ディレクトリ1:i:\EmbDB\SYSArea1
  • システムファイル領域作成ディレクトリ2:j:\EmbDB\SYSArea2
  • アンロードログファイル作成ディレクトリ:k:\EmbDB\Unload_Log
  • 組み込みDBインストール先フォルダ:c:\Program Files\Hitachi\JP1AJS2\embdb\_JF5
  • スケジューラーサービス名:AJSROOT2
  • 組み込みDBポート番号:22224
  • 組み込みDBセットアップ識別子:_JF5

ajsembdbinstlコマンドの指定内容
 
ajsembdbinstl -s "c:\Program Files\Hitachi\JP1AJS2\tools\AJS3DB" 
-i "c:\Program Files\Hitachi\JP1AJS2\embdb\_JF5" -id _JF5
 

ajsembdbbuildコマンドの指定内容
 
ajsembdbbuild -l 
-d "h:\EmbDB\RDArea,i:\EmbDB\SYSArea1,
j:\EmbDB\SYSArea2" -br -bl k:\EmbDB\Unload_Log 
-i "c:\Program Files\Hitachi\JP1AJS2\embdb\_JF5" -p 22224 -id _JF5
 

ajsembdbsetupコマンドの指定内容
 
ajsembdbsetup -F AJSROOT2 -ru l -id _JF5 -p 22224

●UNIXの場合

組み込みDBの環境内容
  • データ領域作成ディレクトリ:/RDArea_JF5
  • システムファイル領域作成ディレクトリ1:/SYSArea1_JF5
  • システムファイル領域作成ディレクトリ2:/SYSArea2_JF5
  • アンロードログファイル作成ディレクトリ:/Unload_Log_JF5
  • 組み込みDB運用ディレクトリ:/opt/jp1ajs2/embdb/_JF5
  • スケジューラーサービス名:AJSROOT2
  • 組み込みDBポート番号:22224
  • 組み込みDBセットアップ識別子:_JF5

ajsembdbinstlコマンドの指定内容
 
ajsembdbinstl -s /opt/jp1ajs2/tools/AJS3DB 
-i /opt/jp1ajs2/embdb/_JF5 -id _JF5
 

ajsembdbbuildコマンドの指定内容
 
ajsembdbbuild -l 
-d "/RDArea_JF5,/SYSArea1_JF5,/SYSArea2_JF5" 
-br -bl /Unload_Log_JF5 -i /opt/jp1ajs2/embdb/_JF5 -p 22224 
-id _JF5
 

ajsembdbsetupコマンドの指定内容
 
ajsembdbsetup -F AJSROOT2 -ru l -id _JF5 -p 22224
 

ajsembdbinstlコマンド,ajsembdbbuildコマンド,およびajsembdbsetupコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス2 2. セットアップコマンド」を参照してください。

(b) 一つの組み込みDB環境に複数のスケジューラーデータベースをセットアップする

一つの組み込みDB環境に複数のスケジューラーデータベースをセットアップする場合,組み込みDB内にはスケジューラーサービスごとに異なるテーブルを作成して管理する必要があります。そのため,ajsembdbsetupコマンド実行時のテーブル名プリフィックスを変更する必要があります。

同じ組み込みDBに対して二つ目のスケジューラーデータベースをセットアップする際のajsembdbsetupコマンドの指定例を次に示します。

 
ajsembdbsetup -F AJSROOT3 -tp AJS3 -ru l -id _JF0
 

ajsembdbsetupコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス2 2. セットアップコマンド ajsembdbsetup」を参照してください。

注意事項
  • 一つの組み込みDB環境に複数のスケジューラーデータベースをセットアップした環境で,特定のスケジューラーデータベースだけを再構築することはできません。組み込みDB環境にセットアップしたすべてのスケジューラーデータベースの再構築が必要となります。特定のスケジューラーデータベースだけを再構築したい場合は,スケジューラーサービスごとに組み込みDBを用意してください。構築方法については,「(a) スケジューラーサービスごとに異なる組み込みDB環境を構築する」を参照してください。
  • 一つの組み込みDB環境に複数のスケジューラーデータベースをセットアップした環境で,ajsembdbbackupコマンドを使用してバックアップする場合,特定のスケジューラーデータベースだけを対象にすることはできません。ajsembdbbackupコマンドでのバックアップは,該当する組み込みDB環境にセットアップしたすべてのスケジューラーデータベースをバックアップ対象とし,そのバックアップを使用して回復すると,すべてのスケジューラーデータベースが回復されます。そのため,ajsembdbbackupコマンドおよびajsembdbrstrコマンドでバックアップ・リストアをする場合,該当する組み込みDBにアクセスするすべてのスケジューラーサービスを停止する必要があります。なお,ajsprintコマンドでユニット定義だけをバックアップする場合は,スケジューラーサービスを停止しないで,スケジューラーデータベースごとに取得できます。
    また,ajsembdbbackupコマンドで特定のスケジューラーデータベースだけをバックアップ対象としたい場合は,スケジューラーサービスごとに組み込みDBを用意してください。構築方法については,「(a) スケジューラーサービスごとに異なる組み込みDB環境を構築する」を参照してください。

(7) 組み込みDBの再セットアップ

組み込みDBを再セットアップする場合の,セットアップ手順を次に示します。

  1. ユニット定義および実行エージェント情報をバックアップする。
    バックアップの方法については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 運用ガイド 2.2.2 JP1/AJS3 - Managerの設定情報のバックアップ」を参照してください。
  2. 物理ホストおよびすべての論理ホストで,JP1/AJS3サービスおよびJP1/AJS3 Console Agentサービスを含め,スケジューラーデータベースにアクセスするサービスをすべて停止する。
  3. ajsembdbunset -eコマンドで,組み込みDB環境のデータを削除する。
  4. 組み込みDB運用ディレクトリを変更する場合は,組み込みDBのアンインストール後に,再度インストールする。
  5. ajsembdbbuildコマンドで,組み込みDBを構築する。
  6. ajsembdbsetupコマンドで,組み込みDBをセットアップする。
  7. ajsembdbstopコマンドで,組み込みDBを停止する。
  8. JP1/AJS3サービスを起動する。
  9. 手順1でバックアップした,ユニット定義および実行エージェント情報を回復する。
    マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 運用ガイド 2.3.3 JP1/AJS3 - Managerの設定情報のリカバリー」を参照してください。
  10. 運用に必要なジョブネットの実行登録を実施する。

 

上記の手順に記載したコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス1 2. コマンド」およびマニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス2 2. セットアップコマンド」を参照してください。

補足事項
  • 一つの組み込みDB環境で,複数のスケジューラーデータベースがセットアップされている場合にajsembdbunsetコマンドを実行すると,すべてのスケジューラーデータベースの情報が削除されます。この場合,この項に示した手順のうち,手順1,6,9,10については,組み込みDB環境にセットアップされているすべてのスケジューラーデータベースに対して実施してください。
  • 手順9の実行エージェント情報の回復時に,メッセージKNAC1111-Eを出力してエラーになった場合は,登録済みの実行エージェント情報を確認してください。手順1で取得した実行エージェント情報が登録されている場合,このエラーは無視してください。
  • ジョブネットを実行登録しているスケジューラーサービスの組み込みDBを再セットアップした場合は,再セットアップした組み込みDBに対応するスケジューラーサービスをコールドスタートで起動してください。

(8) 組み込みDBのアンインストール

組み込みDBのアンインストールについては,「6.1.1(3) 不要となったデータベース環境をアンインストールする」を参照してください。

[目次][前へ][次へ]


[他社商品名称に関する表示]

Copyright (C) 2009, 2014, Hitachi, Ltd.
Copyright (C) 2009, 2014, Hitachi Solutions, Ltd.