JP1/Integrated Management - Manager システム構築・運用ガイド

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3.3.3 監視ツリーの自動生成

監視ツリーは,自動生成機能を使って,稼働中のシステムの各ホストから定義情報を自動的に収集し,自動的に生成できます。また,システム構成の変更があった場合も,差分の情報を収集して監視ツリーを更新できます。

自動生成機能は,監視システム構築の作業を大幅に簡易化します。監視ツリーによって大規模なシステムでも効率良くシステム監視ができますが,大規模なシステムを監視するには大量の定義情報が必要になります。このため,システム構築段階の作業,およびシステム変更に追従するための更新作業は,膨大な手間の掛かる作業です。監視ツリーの自動生成の機能は,手間の掛かる構築作業を支援します。

<この項の構成>
(1) 監視ツリーの自動生成
(2) 監視ツリーを自動生成するための条件
(3) 自動生成できる監視ツリーの構造
(4) 自動生成の生成種別

(1) 監視ツリーの自動生成

監視ツリーを自動生成すると,次のようにエージェントホストから定義情報を収集し,JP1/IM - Managerによって監視ツリーを自動的に生成します。

図3-40 監視ツリー自動生成概要

[図データ]

注意
監視ツリーを自動生成するには,監視対象の製品に自動生成の対応機能が必要です。

JP1/IM - Central Information Master連携による監視ツリーの自動生成
通常,定義情報の収集は,JP1/IMの構成管理下のホスト(マネージャーホスト,およびエージェントホスト)が対象となりますが,JP1/IM - Central Information Master連携の場合,JP1/IM - Central Information Masterだけが対象となります。
この場合,次のようにJP1/IM - Central Information Masterが収集・整理した情報をJP1/IM - Managerで収集し,JP1/IM - Central Information Masterのシステムツリーに沿う形で監視ツリーを自動的に生成します。

図3-41 監視ツリー自動生成概要(JP1/IM - Central Information Master連携時)

[図データ]

(2) 監視ツリーを自動生成するための条件

監視ツリーを自動生成できる製品はJP1製品(JP1/AJS2,JP1/Cm2/SSO,JP1/PFM,JP1/IM,JP1/ServerConductor)とCosminexus,HiRDBです。これらの製品以外を監視対象とする監視オブジェクトは,手動で設定する必要があります。

注※ JP1/IM - Central Information Masterと連携する場合だけ自動生成の対象となります。

監視ツリーを自動生成するには,次の条件があります。

自動生成に対応している製品とJP1/IMとの連携セットアップの方法については,「12.8 連携製品のセットアップ」,および各連携製品のマニュアルを参照してください。

自動生成機能を使って作成される監視オブジェクトを次の表に示します。

表3-21 自動生成で作成される監視オブジェクト一覧

製品名 監視種別 説明
JP1/IM - Manager IM監視 JP1/IM - Managerの状態を監視します。
JP1/IM - Managerの障害に関するJP1イベントを条件に,状態が変化するよう定義されています。
JP1/AJS2 - Manager AJS2監視 JP1/AJS2 - Managerの状態およびジョブネットの実行状態を監視します。
JP1/AJS2 - Managerの障害に関するJP1イベントやジョブネットの状態変化に関するJP1イベントを条件に,状態が変化するよう定義されています。
ジョブネット監視(AJS2) ジョブの実行状態を監視する監視オブジェクトです。
ジョブの状態変化に関するJP1イベントを条件に,状態が変化するよう定義されています。
JP1/Cm2/SSO SSO監視 JP1/Cm2/SSOの状態を監視する監視オブジェクトです。
JP1/Cm2/SSOの障害に関するJP1イベントを条件に,状態が変化するよう定義されています。
カテゴリー監視(SSO) JP1/Cm2/SSOが管理するSNMPエージェントが収集するリソース情報の状態を監視する監視オブジェクトです。
JP1/Cm2/SSOが管理するSNMPエージェント分収集されます。
リソースの状態変化に関するJP1イベントを条件に,状態が変化するよう定義されています。
アプリケーション監視(SSO) JP1/Cm2/SSOが管理するAPMが監視するプロセスの状態を監視する監視オブジェクトです。
JP1/Cm2/SSOが管理するAPM分収集されます。
プロセスの状態変化に関するJP1イベントを条件に,状態が変化するよう定義されています。
JP1/PFM - Manager エージェント監視(PFM) JP1/PFM - Managerが管理するエージェントが監視するパフォーマンスデータの状態を監視する監視オブジェクトです。
JP1/PFM - Managerが管理するJP1/PFM - Agent分収集されます。
パフォーマンスデータの状態変化に関するJP1イベントを条件に状態が変化するよう定義されています。
Cosminexus 論理サーバ監視(Cosminexus) Cosminexusの論理サーバ(J2EEサーバ,Webサーバ,ネーミングサービス,CTMなど)の状態を監視する監視オブジェクトです。
Cosminexusの論理サーバの起動・停止や実行時の障害に関するJP1イベントを条件に,状態が変化するよう定義されています。
J2EEアプリケーション監視(Cosminexus) CosminexusのJ2EEアプリケーションの状態を監視する監視オブジェクトです。
CosminexusのJ2EEアプリケーションの起動・停止や障害に関するJP1イベントを条件に,状態が変化するよう定義されています。
Cosminexus + JP1/Cm2/SSO J2EEサーバリソース監視(SSO) CosminexusのJ2EEサーバのリソース状態を監視する汎用監視オブジェクトです。
J2EEサーバのリソース状態変化に関するJP1イベントを条件に,状態が変化するよう定義されています。
CTMリソース監視(SSO) CosminexusのCTMのリソース状態を監視する汎用監視オブジェクトです。
CTMのリソース状態変化に関するJP1イベントを条件に,状態が変化するよう定義されています。
SFOリソース監視(SSO) CosminexusのSFOのリソース状態を監視する汎用監視オブジェクトです。
SFOのリソース状態変化に関するJP1イベントを条件に,状態が変化するよう定義されています。
J2EEアプリケーションリソース監視(SSO) CosminexusのJ2EEアプリケーションのリソース状態を監視する汎用監視オブジェクトです。
J2EEアプリケーションのリソース状態変化に関するJP1イベントを条件に,状態が変化するよう定義されています。
注意
自動生成した監視ツリーは,監視方法に合わせてカスタマイズしてから運用を始めてください。

なお,自動生成によって作成される監視ツリーは,収集した情報を網羅した監視ツリーになっています。これは,まずシステムの構成情報をできるだけ監視ツリーに盛り込み,そこから監視運用に不要なものを削ってもらう,という手順で監視ツリーを生成するためです。

自動生成で作成される監視ノード種別ごとの詳しい定義内容については,次の説明を参照してください。

参照先:マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager リファレンス 6. システム監視オブジェクト一覧(統合スコープ用)

(3) 自動生成できる監視ツリーの構造

自動生成によって作成する監視ツリーは,[自動生成−構成選択]画面でユーザーが選択したテンプレートに合わせた構造になります。テンプレートは,統合スコープでシステムを管理するための定義をモデル化したものです。

次の三つを提供しています。

表3-22 監視ツリーのテンプレート

生成ツリーの名称 説明
業務指向ツリー 業務指向でシステムを監視するテンプレートです。
JP1/AJS2のジョブネット構成およびCosminexusの論理サーバ構成を基にした監視ツリーを生成します。一般に,ジョブネットはジョブ運用を体系化して定義します。また,論理サーバはWebシステムで使用するアプリケーションを体系化して定義します。このため,業務運用を反映した監視ツリーが生成されます。
なお,自動生成の対象となるJP1/AJS2のバージョンが8以降だった場合,JP1/AJS2からは,ジョブネット構成だけでなく,JP1/AJS2の各ユニットに設定されたJP1資源グループの情報も自動生成時に一緒に取得します
サーバ指向ツリー サーバ指向でシステムを監視するテンプレートです。
JP1/IMの階層構成を基にした監視ツリーを生成します。
一般に,JP1/IMでは各サーバの管理範囲を階層構成として定義するため,サーバ管理方法を反映した監視ツリーが生成されます。
システム構成ツリー JP1/IM - Central Information Masterで構成定義されているシステムを監視するテンプレートです。
JP1/IM - Central Information Masterのシステムツリーを基にした監視ツリーが生成されます。
なお,JP1/IM - Central Information Masterからは,システムツリーの構造だけでなく,論理システムに設定されたJP1資源グループの情報も自動生成時に一緒に取得します

注※ 取得したJP1資源グループの利用方法については「3.3.4(3)監視ツリーの監視範囲設定」を参照してください。


なお,自動生成によって生成される監視ツリーの構造および監視オブジェクトは,テンプレートの種類によって異なります。テンプレートの種類と生成される監視オブジェクトの関係を次の表に示します。

表3-23 テンプレートの種類と生成される監視オブジェクトの関係

監視オブジェクト種別 テンプレート
業務指向ツリー サーバ指向ツリー システム構成ツリー
JP1/AJS2
マネージャ
グループ
Cosminexus運用管理
グループ
AJS2監視
ジョブネット監視(AJS2)
SSO監視
カテゴリー監視(SSO)
アプリケーション監視(SSO)
エージェント監視(PFM)
メトリック監視(PAM)
オブジェクト監視(PAM)
SCIM監視
セキュリティ監視(SCIM)
NETM/DM監視
配布ジョブ監視(NETM/DM)
NNM監視
ノード監視(NNM)
IM監視
論理サーバ監視(Cosminexus)
J2EEアプリケーション監視(Cosminexus)
J2EEサーバリソース監視(SSO)
CMTリソース監視(SSO)
SFOリソース監視(SSO)
J2EEアプリケーションリソース監視(SSO)
HiRDB監視
物理ホスト監視(System Manager)

(凡例)
○:生成される
−:生成されない

自動生成で作成される監視ツリーの構造については,次を参照してください。

参照先:マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager リファレンス 7. 監視ツリーモデル(統合スコープ用)

(4) 自動生成の生成種別

監視ツリーを自動生成する場合,「生成」「差分」「追加」から生成種別を選べます。

図3-42 自動生成の生成種別

[図データ]

(a) 監視ツリーの自動生成で[生成]を選択した場合の処理

監視ツリーを自動生成するときに[生成]を選択すると,[監視ツリー(編集中)]画面の表示情報をいったん削除した後,[自動生成−構成選択]画面の[生成ツリー]で選択したテンプレートに沿ったツリー構造の監視ツリーを新規生成します。

(b) 監視ツリーの自動生成で[差分]を選択した場合の処理

監視ツリーを自動生成するときに[差分]を選択すると,JP1/IM - Managerの監視オブジェクトDBが保持する監視オブジェクトの監視条件と,差分生成で収集・整理された定義情報(監視オブジェクト)の監視条件とが比較されます。比較の結果,監視条件に違いのあった監視オブジェクトと,その監視オブジェクトから最上位の監視グループまでに存在する監視グループが,[NEW_OBJECT]という監視グループの下に差分情報としてまとめて作成されます。

これにより,システム変更時でも,変更のあった差分の情報を収集して,監視ツリーを更新できます。

この差分として作成された監視ノードを,必要に応じて監視ツリーに配置して使用します。

監視ツリーの差分生成を図で示すと次のようになります。

図3-43 監視ツリーの差分生成

[図データ]

図中の「既存部分」の監視オブジェクトについて
「AA'」は,元は監視オブジェクト「AA」だったものを利用して作成したものです。「BB」「CC」「DD」は自動生成で生成された監視オブジェクトをそのまま利用しています。「EE」はユーザーが監視目的で追加した監視オブジェクトです。

図中の「差分生成で収集・整理された定義情報」について
差分生成によって,現システム上で稼働する製品から収集した定義情報を整理し,ツリー上に並べたものです。この情報は,JP1/IM - Managerが内部的に保持する情報です。また,この際のツリー構造は,選択したテンプレートによって決まります。

図中の「差分生成部分」について
「既存部分」の監視オブジェクトの監視条件と「差分生成で収集・整理された定義情報」の監視オブジェクトの監視条件を比較した結果,JP1/IM - Managerが「既存部分」にないと判定した監視オブジェクト「AA」「FF」とその上位に位置する監視グループ「A」「B」「E」が差分として生成されています。

 

参考
監視ツリーの自動生成で最初は「業務指向ツリー」を選択,差分生成で「サーバ指向ツリー」を選択,というように,テンプレートを変更して監視ツリーを生成することもできます。
差分生成で生成されるツリーの構造は,選択したテンプレートに準じますが,この場合も差分として生成されるのは,既存の監視ツリー上にない監視オブジェクトと,その監視オブジェクトから最上位の監視グループまでに存在する監視グループとなります。

(c) 監視ツリーの自動生成で[追加]を選択した場合の処理

監視ツリーを自動生成するときに[追加]を選択すると,JP1/IM - Managerの監視オブジェクトDBが保持する監視ツリーに,[自動生成−構成選択]画面の[生成ツリー]で選択したテンプレートに沿ったツリー構造の監視ツリーを追加生成します。

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