JP1/Integrated Management - Manager システム構築・運用ガイド

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3.3.4 監視ツリーの編集

監視ツリーは,システム管理者の目的に合わせて,自由にカスタマイズできます。自動生成機能によって簡易に作成した監視ツリーを,監視方法に合わせて編集してから運用してください。

なお,監視ツリーの編集での具体的な操作手順については,次を参照してください。

参照先:「12. 統合スコープの設定

<この項の構成>
(1) 監視ツリーの編集
(2) マップ表示設定
(3) 監視ツリーの監視範囲設定
(4) 統合スコープの監視画面の設定

(1) 監視ツリーの編集

監視ツリーの編集は,[監視ツリー(編集中)]画面で行います。この画面では,監視ツリーを運用方法に合わせて,監視ノードの追加や削除,および移動ができます。

監視ノードを作成や編集するには,監視ノードに次の属性を設定します。なお,これらは,この章でこれまでに説明してきた内容です。

表3-24 [監視ツリー(編集中)]画面で定義できる監視ノードの属性

属性 説明
監視ノード名 監視ノードの名称。
監視ノード種別 「監視グループ」または「監視オブジェクト」。
監視オブジェクトの場合は幾つかの種類があり,「AJS2監視」「SSO監視」などのシステム監視オブジェクトと,「汎用オブジェクト」の汎用監視オブジェクトがあります。
アイコン 監視ノードを表すアイコン。
ビジュアルアイコン 監視ノードを表すアイコン。
ビジュアルアイコンは,マップ形式での表示中と[ビジュアル監視]画面にだけ表示されます。
監視状態 監視ノードの監視状態。
「監視」と「非監視」があります。
JP1資源グループ 各JP1ユーザーに対し,監視ツリーの表示制御,表示される監視ノードに対する細かなアクセス制御をする場合に設定する情報。
利用方法については「3.3.4(3)監視ツリーの監視範囲設定」を参照してください。
基本情報 監視ノードを識別するための基本的な情報。
監視グループの場合は,グループを特定する名称です。例えば,"経理業務日次処理"や"DBサーバグループ"のように,監視目的にあわせてグループ化した業務やサーバなどに対してのグループの名称を付けます。
監視オブジェクトの場合は,監視対象を特定するための情報です。例えば,ジョブネット名やホスト名などのように,システムの中で監視対象を特定するための情報の組み合わせを定義します。
システム監視オブジェクトの場合は,状態変更条件の個別条件に,監視オブジェクトの基本情報と同じ属性が定義されています。
状態変更条件
  • 監視オブジェクトの状態変更条件
    監視オブジェクトの状態を,どのようなJP1イベントを受信したときに変更するかを決める条件です。状態変更後の状態,状態を変更する契機となるJP1イベントの条件を定義します。
  • 監視グループの状態変更条件
    監視グループの状態を,下位の監視ノードがどのような状態になったときに変更するかを決める条件です。状態変更後の状態,状態を変更する契機となる子ノードの状態,比較条件を定義します。
イベント発行条件 監視ノードが,どの状態が変わったときにJP1イベントを発行するかを指定する条件です。発行されるJP1イベントは,イベントID=00003FB0 です。

監視ノードを作成するとき,監視グループは名称を指定するだけでも作成できます(監視グループの状態変更条件を定義する必要がない場合)。しかし,監視オブジェクトを作成する場合,監視対象について,何をどのように監視するのかを詳細に確認して設定する必要があります。

これを簡易に設定できるようにするため,JP1/IMでは「システム監視オブジェクト」を提供しています。

監視オブジェクトには,次の種類があります。

通常は,システム監視オブジェクトを使用して監視ノードを作成し,必要な部分についてカスタマイズすることをお勧めします。

(2) マップ表示設定

[監視ツリー]画面の詳細表示領域は,[ビジュアル監視]画面のようにマップ形式で表示できます。詳細表示領域をマップ形式で表示することによって,システム管理者はより直感的な監視ができます。

詳細表示領域をマップ形式で表示するには,あらかじめ背景図や監視ノードの配置など,設定が必要です。設定していなかった場合は,マップ表示に切り替えても背景なし,アイコンが並んだ状態で表示されます。設定は[監視ツリー(編集中)]画面で行います。

[ビジュアル監視]画面との違い
[ビジュアル監視]画面のように,拠点ごとの監視,重要業務の監視など,特定の監視ノードだけを局所的に監視する目的では使用できません。
例えば,[監視ツリー]画面の詳細表示領域に監視ノードが三つ表示されている場合,詳細表示,マップ表示,どちらに切り替えても監視ノードは三つ表示されます(どれか一つを非表示にする,といった運用はできません)。

(3) 監視ツリーの監視範囲設定

次に示す二つの設定を実施することで,監視ツリーの表示範囲をJP1ユーザーごとに変えられるようになります。

例えば,上記二つの設定を行うことで次の図に示すように,あるユーザー(jp1user1)は監視ツリーの一部だけ,あるユーザー(jp1admin)は監視ツリーすべてを監視する,といった運用ができるようになります。

図3-44 JP1資源グループを利用した監視ツリー表示範囲の変更(監視ツリーへのアクセス制御)

[図データ]

参考
監視範囲設定が有効になっている場合,[監視ツリー]画面に表示される監視ツリーの最上位は,必ず仮想ルートノードになります。
なお,監視範囲設定が無効になっていた場合,JP1資源グループの設定に関係なく,監視ツリー情報がすべて表示されます(仮想ルートノードは表示されません)。

また,一人のJP1ユーザーに対し,アクセスできるJP1資源グループを複数設定し,異なるJP1権限レベルを割り当てることによって,次の図に示すように,表示される監視ツリーのある部分については操作できるが,ある部分については参照だけ,といった運用もできるようになります。

図3-45 JP1資源グループ,JP1権限レベルの組み合わせを利用した監視ツリーの操作制御

[図データ]

(a) 監視範囲設定の有効・無効設定と監視ノードへのJP1資源グループの設定

監視範囲設定の有効・無効設定は,[監視ツリー(編集中)]画面の[オプション]−[監視範囲の設定]で設定します。チェックマークが付いた状態が「有効」,付いていない状態が「無効」となります。

監視範囲設定が有効になると,各監視ノードに対し,JP1資源グループが設定できるようになります。JP1資源グループの設定は,各監視ノードの[プロパティ]画面の[全般]ページで行えます。この項目は,監視範囲設定を有効にしたときにだけ,表示されます。

図3-46 監視範囲設定を有効にしたときの[プロパティ]画面

[図データ]

参考
一度設定したJP1資源グループの設定値は,監視範囲設定を無効にした状態にしても,内部情報として保持されます(監視範囲設定を有効に戻すと,以前設定した設定値が再表示されます)。

JP1資源グループの設定をするのは,表示を制御する範囲内の最上位にある監視ノードだけです(子ノードすべてに同じ設定をする必要はありません)。監視ノードに設定したJP1資源グループの影響は,その子ノードにまで影響が及びます。

例えば,監視ツリーの最上位の監視グループにJP1資源グループとして「JP1_Console」を設定した場合,その配下のすべての監視ノードがJP1資源グループ「JP1_Console」に属すことになります。また,最上位の監視グループ直下の監視グループにJP1資源グループ「sigenD」を設定した場合,その監視グループ,およびその配下の監視ノードはJP1資源グループ「JP1_Console」と「sigenD」二つに属すことになります。

図3-47 設定したJP1資源グループの影響範囲

[図データ]

「JP1_Console」へのアクセスを許可されているJP1ユーザーは,「JP1_Console」の範囲(監視ツリーすべて)を,「sigenD」へのアクセスを許可されているJP1ユーザーは,「sigenD」の範囲を表示できます。

監視ノードに設定されるJP1資源グループの初期値
監視範囲設定の有効・無効に関係なく,最上位の監視ノードにはJP1資源グループ「JP1_Console」が自動設定されます。設定値は変更できますが,空白にすることはできません(必ず何らかの値を入力する必要があります)。
また,以下条件で監視ツリーを自動生成した場合,連携製品側で設定したJP1資源グループの設定値が,初期値としてそのまま監視ノードにも取り込まれます。
  • バージョン8のJP1/AJS2に対し,「業務指向ツリー」で監視ツリーを自動生成する。
  • JP1/IM - Central Information Masterに対し,「システム構成ツリー」で監視ツリーを自動生成する。

 

注意
JP1/IM - Viewの監視範囲設定の有効・無効設定は,監視ツリー自動生成時の生成種別とサーバ(JP1/IM - Manager)側の設定によって,自動的に変更されることがあります。自動的に変更されるのは,次の二つの場合です。
  1. JP1/IM - Viewの設定が「無効」で,JP1/IM - Managerの設定が「有効」のときに,生成種別で「差分」または「追加」を選択した。
  2. JP1/IM - Viewの設定が「有効」で,JP1/IM - Managerの設定が「無効」のときに,生成種別で「差分」または「追加」を選択した。
1.の場合,自動生成後,JP1/IM - Viewの監視範囲設定は,「有効」に自動変更されます。
2.の場合,自動生成後,JP1/IM - Viewの監視範囲設定は,「無効」に自動変更されます。

JP1資源グループの設定を済ませ,サーバ(JP1/IM - Manager)に反映することで,JP1/IM - View,JP1/IM - Managerによる監視範囲設定が完了となります。

(b) JP1ユーザーに対するJP1資源グループの割り当て

監視ツリーの監視範囲設定をする場合,JP1/Base(認証サーバ)の設定も合わせて見直し,必要に応じてJP1ユーザーの設定を追加・修正する必要があります。

JP1/BaseによるJP1ユーザーの管理については,「3.6.4 JP1ユーザーの管理」を参照してください。

また,設定の詳細については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」のユーザー管理機能の設定の章を参照してください。

(4) 統合スコープの監視画面の設定

統合スコープの監視画面([監視ツリー]画面および[ビジュアル監視]画面)の設定は,ビューアー上で監視画面を編集する作業と,マネージャーに接続して監視画面の設定更新や既存の設定を取得する作業があります。

図3-48 統合スコープの監視画面の設定

[図データ]

統合スコープの監視画面の設定を始める前に,jp1adminユーザーのパスワード,またはJP1_Console_Admin権限を持つJP1ユーザーのユーザー名とパスワードを確認しておいてください。

注意
[監視ツリー(編集中)]画面で編集した[監視ツリー]画面をサーバに更新すると,監視ノードの状態および状態変更イベントは,すべて初期状態になります。

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