JP1/Automatic Job Management System 2 解説
ジョブネット,ジョブ,およびジョブネットコネクタが取得する状態を次の表に示します。
表6-1 ジョブネット,ジョブ,およびジョブネットコネクタの状態
状態名 状態の存在有無 状態の内容 ジョブネット ジョブ ジョブネットコネクタ ルート ネスト 未計画(no plan) ○ ○ ○ ○ 実行予定がない。 開始時刻待ち※1
(time-wait)○ ○ − − 実行開始時刻に到達するのを待っている状態。※2
ジョブネットコネクタと同期する設定をしている場合,ジョブネットコネクタの実行開始を待っている状態。先行終了待ち
(term-wait)− ○ ○ ○ 先行ジョブまたはジョブネットの終了を待っている状態。
先行ユニットがなくても次の条件に該当する場合は,先行終了待ちとなる。
- 上位ジョブネットが待ち状態のとき
- サービスが実行抑止状態のとき
- 上位ジョブネットの実行条件が成立していても該当ユニットの実行処理が開始されていない
保留中※1
(holding)○ ○ ○ − 保留中の状態。 実行待ち
(exec-wait)− − ○ − ジョブのサブミット処理が完了するのを待っている状態。
スケジュール制御がジョブをサブミットし,ジョブ実行制御にキューイングされるまでの状態。未実行終了※3
(unexec)− ○※4,※5 ○※4,※5 ○ 先行ユニットが異常終了したなどの理由でジョブまたはジョブネットが実行されなかったときの状態。 未実行終了-W
(unexec-W)− ○ ○ − 警告終了後,再実行したがジョブまたはジョブネットが実行されなかったときの状態。 計画未実行※1
(bypass)− ○ ○ ○ ネストジョブネットと上位ジョブネットのスケジュールが一致しなかったか,または実行中止したなどの理由で,ジョブまたはジョブネットが実行されなかったときの状態。 実行中※1
(running)○ ○ ○ ○ 実行中の状態。
ジョブネットコネクタの場合は,接続先のジョブネットの終了を待っている状態。キューイング※1
(queuing)− − ○ − 開始条件が成立し,ジョブが実行されるのを待っている状態。 異常検出実行中※1
(AB-cont)○ ○ − ○ 同じジョブネット内で同時に実行しているジョブまたはネストジョブネットが異常終了したときの状態。
ジョブネットコネクタの場合は,接続先のジョブネットで異常が発生していることを示す状態。警告検出実行中※1
(WA-cont)○ ○ − ○ 同じジョブネット内で同時に実行しているジョブまたはネストジョブネットが警告終了したときの状態。
ジョブネットコネクタの場合は,接続先のジョブネットが警告検出終了になった状態。正常終了※1
(normal)○ ○ ○ ○ すべてのジョブおよびジョブネットが正常に終了した状態。
ジョブネットコネクタの場合は,接続先のジョブネットが正常終了した状態。正常終了-偽
(normal-false)− − ○ − 判定結果,先行ユニットの終了結果が判定条件に合致しないで判定ジョブが正常終了した状態。 警告検出終了※1
(warning)○ ○ ○ ○ ジョブの場合は警告終了した状態。
ジョブネットの場合はジョブネットに警告終了したジョブが含まれている場合の状態。
ジョブネットコネクタの場合は,接続先のジョブネットが警告検出終了になった状態。異常検出終了※1
(abnormal)○ ○ ○ ○ ジョブの場合は異常終了した状態。
ジョブネットの場合はジョブネットに異常終了したジョブが含まれている場合の状態。
ジョブネットコネクタの場合は,定義不正によって接続先のジョブネットと接続できなかったときの状態。異常検出終了-WR
(abnormal-WR)○ ○ ○ − 警告終了後,再実行したが異常終了した場合の状態。 繰り越し未実行※3
(exec-deffer)○ ○ − − 実行予定日時にJP1/AJS2 - Managerサービスが起動されていない,ルートジョブネットが保留のまま基準時刻を過ぎたなどの理由でジョブネットが実行されなかった場合の状態※4,※6。
ジョブネットが「繰り越し未実行」状態になる条件は,次のとおり。
- ルートジョブネットが「開始時刻待ち」「保留中」「起動条件待ち」状態のままジョブネットの打ち切り時間を経過したとき※7
- スケジューリング方式にスケジュールスキップが設定されている場合に,前世代が終了する※8前に次の世代の開始時刻に到達したとき
- スケジューリング方式にスケジュールスキップが設定されている場合に,即時実行登録で実行中のジョブネットを新たに即時実行登録したとき
- スケジューリング方式に多重スケジューリングが設定され,多重起動が設定されていない場合に,実行中の世代が終了しないため次の世代がルートジョブネットの打ち切り時間を経過したとき
- 多重起動が設定されていない場合に,実行中の世代があるときに起動条件が成立したため,実行中の世代の終了を待っていてルートジョブネットの打ち切り時間を経過したとき※9
- スケジューラーサービスの設定で[ジョブネットのスキップ](OVERSCHEDULE)に[当日予定](plan)を設定し,ウォームスタートでスケジューラーサービスを起動した場合に,当日実行予定のスケジュールが存在するとき
- スケジューラーサービスの設定で[ジョブネットのスキップ](OVERSCHEDULE)に[予定時刻超過](skip)を設定し,または,ジョブネットの実行登録時に[デーモン起動時に予定時刻超過]で[次回から実行する]を選択し,ウォームスタートでスケジューラーサービスを起動した場合に,スケジューラーサービスの起動時より前に実行を予定していたスケジュールが存在するとき
順序不正
(invalid-seq)○ ○ − − 実行順序がループしていて実行できないジョブまたはジョブネットがあったなどの状態。 中断※1
(interrupt)○ ○ − − ジョブネット中に異常終了※10したユニットは存在しないが,まだ実行処理が行われていないユニット(未実行終了状態のユニット)が存在し,ジョブネットの実行が中断した状態。
次に示すような場合,ユニットは先行に異常終了※7がない状態で未実行終了となります。
なお,スケジューラーサービスをウォームスタートしたとき,実行中,異常検出実行中,または警告検出実行中だったルートジョブネットは,配下の状態に関係なく中断状態となります。
- JP1/AJS2 - View,またはコマンドからジョブネットに対して,中断操作を行った場合
- キューイング状態のジョブに対して強制終了を行い,ジョブが実行されなかった場合
- キューレスジョブが通信障害などで実行されなかった場合
- ジョブネット配下で異常終了※7していたジョブが,再実行や状態変更で異常終了※6ではなくなった場合
- ajsstopコマンドに「-j」オプションを指定して,スケジューラーサービスを停止した場合
強制終了※1
(kill)○ ○ ○ ○ 次のどれかの理由で,ジョブまたはジョブネットを強制終了した状態。
ジョブネットコネクタの場合は,実行中にルートジョブネットを強制終了したときの状態。
- 実行中に終了結果をファイルへ書き込めなかったなど,ジョブまたはジョブネットの終了状態を判別できないような障害が発生した
- 実行中にJP1/AJS2 - Managerサービスが停止した
- 実行中にシステムが停止した
- 実行中のジョブを強制終了した
- 実行中のジョブが指定時間を超えたため処理の打ち切りを実行した
強制終了-WR
(kill-WR)○ ○ ○ − 警告終了後,再実行したが強制終了した状態。 起動失敗※1
(fail)− − ○ − ジョブ起動時のプロセス生成や,プロセスの環境設定に失敗した状態。 起動失敗-WR
(fail-WR)− − ○ − 警告終了後,再実行しようとしたがジョブネットの開始に失敗した状態。 終了状態不明※1
(unknown)− − ○ ○ 次のどれかの事象が発生したため,終了状態が不明である状態。
ジョブネットコネクタの場合は,実行中にウォームスタートしたときの状態。
- ジョブの実行中に終了結果をファイルへ書き込めなかったなど,ジョブの終了状態を判別できないような障害が発生した
- ジョブの実行中にJP1/AJS2 - Managerサービスが停止し,システムが停止した
終了状態不明-WR
(unknown-WR)− − ○ − 警告終了後,再実行したが終了状態が不明である状態。 閉塞
(shutdown)○ ○ ○ ○ ジョブネットを計画実行登録したあと,スケジュール情報の参照するカレンダー,または排他スケジュールに指定されているユニットが存在しない場合の状態。 起動条件待ち
(condition-wait)○ ○※11 − − 起動条件の成立を待っている状態。
ただし,多重起動が設定されていない場合,実行中のジョブネットが存在する間は起動条件が成立しても起動条件待ちのままとなる。監視中
(monitoring)○ ○※11 − − 起動条件に定義した事象を監視している状態。 監視未起動終了
(unexec-monitor)○ ○※11 − − 起動条件が成立しないまま運用時間が終了した状態。 監視打ち切り終了※12
(monitor-close)○ ○※11 − − 監視中のジョブネットを中断または強制終了した状態。 監視中断※12
(monitor-intrpt)○ ○※11 ○※11 − 起動条件を定義したジョブネットが起動条件を監視しているときにスケジューラーサービスを制限停止(ジョブ制限,ジョブネット制限,スケジュール制限),またはジョブ強制終了停止した場合に,スケジューラーサービスを停止させるため監視を中断した状態。
この場合,次にホットスタートまたはウォームスタートでスケジューラーサービスを起動したときに,起動条件に指定されたイベントジョブの最新の定義に従って監視し直す。監視正常終了※12
(monitor-normal)○ ○※11 − − 指定された回数または監視時間の範囲内に起動条件が成立した状態。 終了遅延
(end-delay)○ ○ ○ − 終了遅延が発生している状態。 開始遅延
(start-delay)○ ○ − − 開始遅延が発生している状態。 ネスト終了遅延
(nest-end-delay)○ ○ − − 配下のユニットで終了遅延が発生している状態。 ネスト開始遅延
(nest-start-delay)○ ○ − − ネストジョブネットで開始遅延が発生している状態。
- (凡例)
- ルート:ルートジョブネット
- ネスト:ネストジョブネット
- ○:表示する。
- −:表示しない。
- 注※1
- ajsshowコマンドを実行して状態表示した場合,次の条件に該当するユニットは,再実行を表す「-R」が付けられて表示されます。
- 再実行の対象となったユニット
- 再実行の対象となったユニットを含むジョブネット
- 再実行の対象となったユニットを含むルートジョブネット配下のユニットのうち,再実行後に動作したユニット
- ただし,次の場合は「-R」は付与されません。
- 再実行操作時,すでに「実行中」状態だったネストジョブネット,およびそのネストジョブネット配下にあるユニット
- 再実行方法に「このユニットだけ」を指定して特定のユニットだけ再実行したときの後続ユニット
- ajsshowコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 コマンドリファレンス 1. コマンド ajsshow」を参照してください。
- 注※2
- 多重起動が設定されていないジョブネットに実行中の世代が存在する場合,実行開始時刻に到達した世代や再実行した世代が,実行中の世代の終了を待っているときも含みます。また,実行抑止機能によってジョブネットの実行開始を抑止しているときも含みます。
- 注※3
- 「未実行終了」と「繰り越し未実行」については,状態表示色によって実行予定ありの場合と実行予定なしの場合を区別して表示できます。ただし,状態名(状態を表す文字列)の表示やコマンドの出力では,実行予定ありの場合と実行予定なしの場合の区別はありません。
- ジョブネットの場合は,ジョブネットに実行予定(開始予定日時)が設定されていて実行されなかったときに実行予定ありになります。ジョブネットに実行予定がないときは,実行予定なしになります。
- ジョブの場合は,上位ジョブネットに実行予定(開始予定日時)があり,ジョブの実行を中止していないときに実行予定ありになります。それ以外の場合は,実行予定なしになります。
- 実行予定ありの場合と実行予定なしの場合を表示する色は,[環境設定]ダイアログボックスの[全般]タブでそれぞれに設定できます。詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 操作ガイド 13.3.27 [環境設定]ダイアログボックス」および「JP1/Automatic Job Management System 2 操作ガイド 13.3.28 [表示色の選択]ダイアログボックス」を参照してください。
- 注※4
- 「繰り越し未実行」となったジョブネット配下のネストジョブネットやリモートジョブネットは,スケジュールの有無に関係なく,すべて「繰り越し未実行」となります。ジョブは「未実行終了」となります。
- 注※5
- 上位ジョブネットが「繰り越し未実行」となった場合も,「未実行終了」となります。
- 注※6
- 次回実行予定も「繰り越し未実行」となります。「繰り越し未実行」の世代が連続する場合は,「繰り越し未実行」となった世代のうち,開始時刻が現在時刻に最も近い世代だけが残ります。
- 注※7
- 打ち切り時間が1日のジョブネットを,基準時刻の直前に実行登録し,ジョブネットが実行開始する前に基準時刻に到達した場合も「繰り越し未実行」となります。
- 注※8
- 起動条件付きジョブネットの場合は,実行中の起動条件待ちの世代が該当し,監視中の世代は該当しません。
- 注※9
- 「実行中」状態の世代の終了を待っている世代が打ち切り時間を経過したときに「繰り越し未実行」状態にするかどうかについては,環境設定パラメーターの"CONDEXECDEFER"によって選択できます。環境設定パラメーターについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 14.1 スケジューラーサービス環境の設定」を参照してください。
- 注※10
- 実行されなかったことを示す「未実行終了」状態を除いた次の異常終了の状態を示します。
- 異常検出終了
- 中断
- 順序不正
- 強制終了
- 起動失敗
- 終了状態不明
- 繰り越し未実行
- 注※11
- 起動条件(.CONDITION)と,起動条件が定義されているジョブネットだけこの状態が表示されることがあります。「監視中断」状態については,起動条件に定義されているイベントジョブもこの状態が表示されることがあります。
- 注※12
- ルートジョブネット配下のユニットの状態は,「未実行終了」となります。
- 補足事項
- 「開始時刻待ち」「先行終了待ち」「実行待ち」「起動条件待ち」のような待ち状態のユニットのうち,保留属性の設定がある(ユニットの実行を保留する予定がある)ものについては保留予定を示す表示色(デフォルト:黄色)でアイコンを表示する機能があります。保留予定を表示する機能を利用する場合は,[環境設定]ダイアログボックスで設定します。詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 操作ガイド 13.3.27 [環境設定]ダイアログボックス」の[全般]タブの説明を参照してください。なお,この機能はお使いのJP1/AJS2 - ManagerおよびJP1/AJS2 - Viewのバージョンが06-71以前のものでは,使用できません。
- 保留が設定されている「先行終了待ち」状態のジョブネットの先行ユニットが終了した場合,後続ジョブネットは「先行終了待ち」状態から「開始時刻待ち」状態を経て「保留中」状態に遷移します。
- JP1/AJS2 - Viewのバージョンが08-50以降の場合,保留属性が設定された実行待ちのユニットを[デイリースケジュール]および[マンスリースケジュール]ウィンドウで,「保留中」状態のユニットに含めて表示させるようにフィルタを設定できます。保留属性が設定された実行待ちのユニットを「保留中」状態のユニットに含めて表示させたい場合は,[フィルタの設定]ダイアログボックスで[保留中に保留予定を含める]をチェックしてください。[フィルタの設定]ダイアログボックスについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 操作ガイド 13.6.13 [フィルタの設定]ダイアログボックス」を参照してください。
- 実行状況の表示では,ジョブネットやジョブの終了予定時刻が表示されます。終了予定時刻は,過去の平均実行時間(正常終了時の処理時間の平均値)を基に算出しています(詳細については「4.3.2(2) 実行シミュレーション」参照)。なお,ジョブネットやジョブの実行時間は,CPUの使用率などによって異なるため,開始予定時刻や終了予定時刻は目安として参照してください。
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