JP1/Automatic Job Management System 2 解説

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3.5.3 起動条件の有効範囲

起動条件の有効範囲とは,起動条件として定義したイベントの発生を条件成立とみなす範囲のことです。

起動条件を設定したジョブネットは,実行登録の際に起動条件を使用するか,しないかを選択し,起動条件を使用する場合に有効範囲を設定します。これらの設定は,あらかじめジョブネットのスケジュールルール定義に設定しておき,その内容は計画実行登録または確定実行登録したときに有効になります。即時実行登録の場合は,実行登録時に設定します(計画実行登録,確定実行登録,即時実行登録については「4. 業務の実行」を参照)。

有効範囲の設定方法には,回数指定と時間指定(絶対時刻指定,相対時間指定)があります。回数指定と時間指定の両方を指定することもできます。

回数指定
起動条件の監視開始からのジョブネットの実行回数で指定する方法です。
条件成立によるジョブネットの実行回数の上限となります。ジョブネットのスケジュール定義に設定された時刻から,条件が成立してジョブネットが実行される回数がこの値に到達するまで起動条件の監視を続けます。

時間指定
  • 絶対時刻指定
    起動条件の監視終了時刻を絶対時刻で指定する方法です。
    起動条件の監視を開始した時刻から,指定した絶対時刻に到達するまで起動条件の監視を続けます。
  • 相対時間指定
    起動条件の監視開始予定時間からの相対時間で指定する方法です。
    ジョブネットのスケジュール定義に設定された時刻から,指定した時間(分)の間,起動条件の監視を続けます。

有効範囲を設定すると,その範囲外で起動条件に定義したイベントが発生しても条件成立とみなされないため,ジョブネットは実行されません。なお,計画実行登録または確定実行登録の場合は,スケジュールされている次回実行予定に到達すると,監視が終了していてもジョブネットのスケジュールルールに定義した有効範囲で新たに起動条件を監視し始めます。

有効範囲の設定例を次に示します。

図3-66 有効範囲の設定例(絶対時刻指定)

[図データ]

有効範囲を絶対時刻で指定した場合,起動条件の成立を監視するジョブネットの実行開始から指定した絶対時刻までの間だけ起動条件を監視し,この範囲内に成立した分だけジョブネットを実行します。

補足事項
有効範囲を絶対時刻で指定する際,上位のジョブグループに基準時刻が設定されている(基準時刻:00:00以外)場合は,時刻の扱われ方に注意が必要です。
基準時刻を設定している場合に有効範囲を絶対時刻で指定すると,指定した時刻は次のように扱われます。
[図データ]
日付は基準時刻の考え方でカウントされますが,時刻については上図のような並びで扱われます(この例では基準時刻:8:00としています)。例えば,8/2に実行するジョブネットの有効範囲を絶対時刻で26:00と指定すると,実際の日付(暦日による日付)で8/4の2:00がスケジュールされます。
こうした問題を避けるため24:00以降のスケジュール運用を行う場合には,基準時刻を設定しない運用(基準時刻:0:00)をお勧めします。

次に,時間(絶対時刻指定)と回数の両方を指定した場合の例を示します。

図3-67 有効範囲の設定例(回数指定と時間指定)

[図データ]

有効範囲として時間と回数の両方を設定した場合,時間と回数のどちらかが指定した値に到達した時点で起動条件の監視を終了します。例の場合,指定した絶対時刻にはまだ到達していなくても,ジョブネットの実行回数がすでに指定した値である「2回」に到達しているため,以降のイベント発生を無効とみなします。

有効範囲設定時の注意点
  • 処理サイクルを設定したジョブネットを実行登録するとジョブネットの周期的な実行予定がスケジュールされますが(これを世代という),有効範囲が回数・時間ともに「無制限」である場合,複数の世代が「起動条件待ち」状態(起動条件の成立を待っている状態)になることがあります。この場合,起動条件が1回成立すると,「起動条件待ち」状態になっていた複数の世代が同時に実行されることになります。
  • 有効範囲の時間を「無制限」と設定する場合,ジョブネット定義で打ち切り時間の設定を「無制限」にしてください。打ち切り時間が設定されている場合,有効範囲が「無制限」であっても設定された打ち切り時間に到達すると,ジョブネットの起動条件成立時に「繰り越し未実行」状態になることがあります(環境設定パラメーターの"CONDEXECDEFER"で「no」を設定している場合は「繰り越し未実行」状態にならずに実行中世代の終了を待ち続けます)。
  • 有効範囲を絶対時刻で指定する場合は,ジョブネットの実行開始時刻よりもあとの時間になるように設定してください。ジョブネットの実行開始時刻よりも前の時間を指定すると,ジョブネットの実行開始と同時に「監視打ち切り終了」状態になってしまいます。
  • 起動条件を使用したジョブネットでは,スケジューリング方式の設定(スケジュールスキップ,多重スケジュール)は有効になりません。ジョブネットのスケジュールで処理サイクルを指定する場合は,起動条件の有効範囲で時間を設定し,次回のスケジュールに重ならないようにしてください。

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