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Hitachi Advanced Data Binder システム構築・運用ガイド


19.22.2 システム構成例(クラウドストレージ機能を使用する場合)

AWS環境でのコールドスタンバイ構成例(クラウドストレージ機能を使用する場合)を次の図に示します。

図19‒6 AWS環境でのコールドスタンバイ構成例(クラウドストレージ機能を使用する場合)

[図データ]

メモ

クラウドストレージ機能を使用しない場合は,複数のサーバ間のハードディスク(ブロックデバイス)を複製するソフトウェアのDRBDが必要になりますが,クラウドストレージ機能を使用する場合は,次の理由によってDRBDが不要になります。

  • DBエリア(作業表用DBエリアを除く)のデータがS3バケット内のS3オブジェクトに格納されていて,異なるアベイラビリティゾーンで起動しているインスタンスから同時にアクセスできるため

  • 系切り替え対象のファイルシステムを作成したEFSをHAモニタの共有ディスクとして扱えるため

〈この項の構成〉

(1) 前提OSおよび前提ソフトウェア

AWS環境でのコールドスタンバイ構成の場合,実行系と待機系には次のOSおよびソフトウェアが必要になります。

HADBでは,HAモニタのモニタモードの機能を使用し,実行系の障害を監視しています。実行系で障害が発生した場合,HAモニタの系切り替え機能を使用して,待機系に系切り替えをします。

実行系と待機系にインストールするHAモニタのバージョンは同じにしてください。

(2) サーバ構成

図19‒6 AWS環境でのコールドスタンバイ構成例(クラウドストレージ機能を使用する場合)」で示す構成例の場合,別々のアベイラビリティゾーンにインスタンスを1つずつ合計2つ用意し,各インスタンスにHADBサーバをインストールしています。各HADBサーバは,2つの系(hadb01およびhadb02)で構成され,実行系はhadb01,待機系はhadb02になります。

実行系と待機系のインスタンスの性能(CPU,メモリサイズなど)は同じである必要はありません。ただし,インスタンスの性能が異なる場合,系が切り替わったあとにSQL文の処理性能に差異が発生するおそれがあります。そのため,できる限り実行系と待機系のインスタンスの性能を同じにすることを推奨します。

メモ

以降の説明は,全インスタンスでインスタンスタイプr5b.2xlargeを使用していることを前提としています。

(3) ネットワーク構成

AWS環境でのコールドスタンバイ構成の場合,次に示すネットワークを使用します。

クライアント−サーバ間ネットワーク

HADBクライアントとHADBサーバ間の通信で使用するネットワークです。

HADBクライアントは,エイリアスIPアドレスを使用してHADBサーバに接続します。そのため,マニュアルHAモニタ パブリッククラウド編【AWS】リソースの引き継ぎを参照して,エイリアスIPアドレスを設定してください。

図19‒6 AWS環境でのコールドスタンバイ構成例(クラウドストレージ機能を使用する場合)」でのIPアドレス,およびポート番号の設定例を次の表に示します。

表19‒10 クライアント−サーバ間ネットワークのIPアドレスとポート番号の設定例

項番

設定対象

IPアドレス

ポート番号

1

クライアントマシン

10.196.108.111

設定不要

2

サーバマシンhadb01(実行系)

10.196.108.11

23650

3

サーバマシンhadb02(待機系)

10.196.108.12

23650

4

エイリアスIPアドレス

10.196.108.143

23650

監視パス

HAモニタの監視パスとして使用するネットワークです。

ネットワーク構築をする際,複線にする必要がある場合は,LinuxのBonding機能を使用してください。

Bonding機能の詳細については,OSのマニュアルを参照してください。HAモニタの監視パスの設定については,マニュアルHAモニタ パブリッククラウド編監視パスの設定を参照してください。

図19‒6 AWS環境でのコールドスタンバイ構成例(クラウドストレージ機能を使用する場合)」でのIPアドレス,およびポート番号の設定例を次の表に示します。

表19‒11 監視パスのIPアドレスとポート番号の設定例

項番

設定対象

IPアドレス

ポート番号

1

サーバマシンhadb01(実行系)のHAモニタの監視パス

172.16.0.11

7777

2

サーバマシンhadb02(待機系)のHAモニタの監視パス

172.16.0.12

7777

AWSエンドポイントへのネットワーク

AWS環境の場合,HAモニタは系(インスタンス)のリセットを,AWSのエンドポイントに障害が発生した系のインスタンスの強制停止を指示することで実現しています。そのため,AWSのエンドポイントへの接続が必要となります。詳細については,マニュアルHAモニタ パブリッククラウド編【AWS】AWSの設定を参照してください。

EFSアクセス用ネットワーク

系切り替え対象のファイルシステムとして使用するEFSにアクセスする際に使用するネットワークです。

EFSを使用した共有ディスク構成にする際のEFSの設定については,マニュアルHAモニタ パブリッククラウド編EFSの設定を参照してください。

図19‒6 AWS環境でのコールドスタンバイ構成例(クラウドストレージ機能を使用する場合)」でのIPアドレス,およびポート番号の設定例を次の表に示します。

表19‒12 EFSアクセス用ネットワークのIPアドレスとポート番号の設定例

項番

設定対象

IPアドレス

ポート番号

1

サーバマシンhadb01(実行系)

172.16.0.21

2049

2

サーバマシンhadb02(待機系)

172.16.0.22

2049

(4) ストレージ構成

AWS環境でのコールドスタンバイ構成の場合,次のファイルシステム,ディスク,およびS3バケットを準備してください。

図19‒6 AWS環境でのコールドスタンバイ構成例(クラウドストレージ機能を使用する場合)」の場合,次の表に示すファイルシステム,ディスク,およびS3バケットを準備してください。

表19‒13 ストレージ構成の例

項番

格納先

名称

対象インスタンス

用途

1

EBS(gp2)

LOC011

サーバマシンhadb01(実行系)

系ローカルのファイルシステム

2

LOC021

サーバマシンhadb02(待機系)

3

EBS(gp3)

CCH011

サーバマシンhadb01(実行系)

系ローカルのファイルシステム(キャッシュファイル用)

4

CCH021

サーバマシンhadb02(待機系)

5

WRK011

サーバマシンhadb01(実行系)

系ローカルのディスク(作業表用DBエリア用)

6

WRK021

サーバマシンhadb02(待機系)

7

Amazon S3

BKT001

サーバマシンhadb01(実行系)

サーバマシンhadb02(待機系)

S3バケット(作業表用DBエリアを除くDBエリア用)

8

EFS

FS001FS003

サーバマシンhadb01(実行系)

サーバマシンhadb02(待機系)

系切り替え対象のファイルシステム

9

共有ファイルシステム

(凡例)

-:該当しません。

EBS(gp2)の使い方

EBS(gp2)は,系ローカルのファイルシステムとして使用します。各インスタンスのOS用の領域(ルートボリューム)として使用するEBS(gp2)上のファイルシステム(/home下など)に,次のディレクトリを作成します。

  • サーバディレクトリ

  • 統一フォーマット用監査証跡の出力先ディレクトリ(監査証跡機能を使用する場合に必要)

EBS(gp3)の使い方

EBS(gp3)は,次のファイルシステムおよびディスクとして使用します。

  • 系ローカルのファイルシステム(キャッシュファイル用)

    キャッシュファイルの格納先とするファイルシステムをEBS(gp3)上にインスタンスごとに作成してください。

    ここでは,このファイルシステムのマウントポイントを/HADB/ADBCCHとします。

    重要

    このファイルシステムは,キャッシュファイルの格納先ディレクトリを配置する以外の用途には使用しないでください。

  • 系ローカルのディスク(作業表用DBエリア用)

    作業表用DBエリア(ADBWRK)を構成するディスクであるWRK011およびWRK021を,実行系および待機系のそれぞれに用意します。

Amazon S3の使い方

次のDBエリアのデータを格納するS3オブジェクトの格納先となるS3バケットを用意します。

  • データ用DBエリア

  • マスタディレクトリ用DBエリア

  • ディクショナリ用DBエリア

  • システム表用DBエリア

EFSの使い方

EFSには次のファイルシステムを配置します。

  • 系切り替え対象のファイルシステム

    次の3つの系切り替え対象のファイルシステムを,実行系および待機系から参照できるようにEFS上に作成してください。

    • DBディレクトリ用のファイルシステム

    • 作業用一時ファイルを格納するファイルシステム

    • 監査証跡ファイルを出力するファイルシステム(監査証跡機能を使用する場合に必要)

      注※

      作業用一時ファイルを格納するファイルシステムを系切り替え対象としない場合は,実行系と待機系のそれぞれの系ローカルのファイルシステム上に作業用一時ファイルの格納先を用意してください。

    系切り替え対象のファイルシステムを作成する際は,マニュアルHAモニタ パブリッククラウド編EFSの設定を参照してください。

  • 共有ファイルシステム

    全インスタンスでNFSとして使用できるEFSに,次のファイルシステムを配置します。

    • データインポートで使用する入力データファイルを格納するファイルシステム

    • ADB_CSVREAD関数で使用するCSVファイルを格納するファイルシステム(ADB_CSVREAD関数を使用した検索をする場合に必要)

    • 監査証跡の保存先ディレクトリを作成するファイルシステム(監査証跡機能を使用する場合に必要)

    実行系と待機系で,同じパスのディレクトリにマウントしてください。