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OpenTP1 Version 7 分散トランザクション処理機能 TP1/Server Base Enterprise Option 使用の手引


4.2.2 ステータスファイルの構成

ステータスファイルは,TP1/EEを再開始するためのきわめて重要なファイルです。ステータスファイルに何らかの障害が起こった場合でもTP1/EEを再開始できるように,二つのステータスファイルを組にして二重化します。組になった二つのステータスファイルを論理ファイルといい,個々のステータスファイルをそれぞれA系,B系と呼んで区別します。論理ファイルは,複数個指定できます。

二つのステータスファイルが同時に障害にならないように,各論理ファイル,A系のステータスファイルおよびB系のステータスファイルは,なるべくディスクを分けてください。

ユーザは,ステータスファイル関連定義のstsflnam定義コマンドの-lオプションで論理ファイルに任意の名称を指定します。この論理ファイル名を使用することで,A系,B系のステータスファイルを同時にオープン,クローズするなど,論理ファイル単位に運用できます。

ステータスファイルには,次の2種類があります。

ステータスファイルの構成を次の図に示します。

図4‒3 ステータスファイルの構成

[図データ]

〈この項の構成〉

(1) 制御用ステータスファイル

制御用ステータスファイルは,幾つかのグループに分けることができます。各グループのディスクを分けると,グループごとにアクセスできるため,性能の向上が図れます。制御用ステータスファイルは,ステータスファイル関連定義のstsflnam定義コマンドで,各グループに論理ファイルを最低3組,最大7組,指定でき,論理ファイルとステータスファイルの対応関係を定義します。各グループで,一つの論理ファイルを現用ファイル,そのほかの論理ファイルを予備ファイルとして障害に備えます。グループごとに,グループ数によって決められたシステム制御情報を取得します。

(2) シグナル用ステータスファイル

シグナル用ステータスファイルは,プロセスダウンの原因となったサービスを再開始時に閉塞するため,プロセスダウン時にシグナルハンドラからのアクセス用に設けた専用ファイルです。

シグナル用ステータスファイルは,論理ファイルを1組だけ指定でき,現用ファイルとして使用します。また,予備ファイルはなく,グループに分けることもできません。

(3) レコード長およびレコード数の設定

eestsinitコマンドでステータスファイルを作成,初期設定するとき,TP1/EEが必要とする容量を満たすようにレコード長とレコード数を設定してください。なお,レコード長は制御用ステータスファイルごと,シグナル用ステータスファイルごとに同じ値を,レコード数はグループごとに同じ値を設定してください。

レコード長またはレコード数を変更した場合は,正常開始から立ち上げる必要があります。レコード長またはレコード数を変更したステータスファイルを予備ファイルとした再開始はできません。開始/再開始時にチェックし,レコード長またはレコード数が不一致の場合,そのファイルを閉塞し,使用できないようにします。

制御用ステータスファイルでレコード長またはレコード数が不一致である場合,TP1/EEシステムを停止させるか開始/再開始させるかは,ステータスファイル関連定義のsts_initial_error_switchオペランドで指定します。

シグナル用ステータスファイルでレコード長またはレコード数が不一致である場合,A系,B系のうちどちらか片方の系が正常のときは,正常な系で開始/再開始処理を続行します。

(4) ステータスファイルの片系運転

オンライン中にステータスファイルに障害が発生して,予備ファイルがない場合でも,異常終了しないで正常な系だけで処理を続けられます。これをステータスファイルの片系運転といいます。

制御用ステータスファイルの場合,片系運転をするかどうかをステータスファイル関連定義のsts_single_operation_switchオペランドで指定します。シグナル用ステータスファイルの場合,正常な系だけで処理を続行します。

ただし,片系運転中にシステムが異常終了すると,再開始時に現用ファイルを決定できないため,再開始ができません。そのため,ステータスファイル関連定義のstsflgrp定義コマンドで前回オンライン時の現用ファイルを定義する必要があります。

また,片系運転中にステータスファイルで障害が発生した場合や,ファイル更新中にシステムが異常終了した場合は,再開始のための情報が失われるため,再開始ができません。制御用ステータスファイルの場合,片系運転に切り替わったことを知らせるメッセージログが出力されたときは,使用できる予備ファイルを早急に用意して,正常な両系運転に復帰させてください。シグナル用ステータスファイルの場合,両系運転に復帰できません。ファイルを再作成し,次回のオンラインに備えてください。

ステータスファイルの片系運転の詳細については,「11.5.1 ステータスファイルの障害」を参照してください。