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OpenTP1 Version 7 分散トランザクション処理機能 TP1/Server Base Enterprise Option 使用の手引


付録G 用語解説

(英字)

CUP(Client User Program)

OpenTP1クライアント機能(TP1/Client)で使用する,クライアント専用のUAPのことです。TP1/EEがTP1/Clientと連携して動作する場合は,リモートAPI機能およびRPC通信を実現できます。

DBキュー機能

データベースを介してAP間またはシステム間で連携する,TP1/EEの機能です。DBキュー機能を使用すると,データベースをキューとして,TP1/EE内でのAP間や,TP1/EE同士またはTP1/EEとJ2EEとの間でのシステム間で,非同期型のメッセージ送受信ができます。ただし,Oracleをリソースマネジャとして使用する場合,TP1/EEとJ2EEとの間では,DBキューを使用したシステム間通信はできません。

DTPモデル

オープンシステムの標準化を目的とした団体であるX/Openが規定する,分散処理システムモデルのことです。DTPモデルは,トランザクション処理を管理,実行するトランザクションマネジャ,各種資源を管理するリソースマネジャ,および業務処理をするUAPから構成されます。

OpenTP1管理者

OpenTP1を管理する,UNIX OSの利用者のことです。OpenTP1管理者をどの利用者名称とするかは,スーパユーザが決めます。OpenTP1管理者は,OpenTP1を使う上で重要な権限を持つユーザです。システムの機密保護上,利用者名称にはパスワードを必ず設定して,限られた人だけがOpenTP1管理者の利用者名称を使えるようにしてください。

OpenTP1ファイルシステム/OpenTP1ファイル

TP1/Server Base専用のファイルシステムをOpenTP1ファイルシステム,OpenTP1ファイルシステムの個々のファイルをOpenTP1ファイルといいます。OpenTP1ファイルシステムとして使用する領域をキャラクタ型スペシャルファイルまたはブロック型スペシャルファイル上に作成して,TP1/Server Baseのコマンドで初期化します。その後,使用する目的別のコマンドでOpenTP1ファイルを初期化してから使用します。

OpenTP1ホームディレクトリ

OpenTP1で使う各種ファイル,またはディレクトリを格納しているディレクトリのことです。OpenTP1ホームディレクトリの名称の仮定値は,インストールディレクトリです。

OpenTP1では,OpenTP1ホームディレクトリをDCDIRという環境変数で管理しています。OpenTP1が組み込んであるマシンでは,任意のディレクトリから$DCDIRと指定して移動すると,OpenTP1ホームディレクトリに移れます。

RAC(Real Application Clusters)

共有ディスクにある一つのデータベースを複数ノードで共用して処理するクラスタシステムのことです。

RPC(Remote Procedure Call)

→リモートプロシジャコール欄を参照してください。

SPP(Service Providing Program)

OpenTP1のUAPのうち,ファイルへのアクセスなどサーバの役割をするプログラムのことです。SPPは,クライアントUAPから要求されたサービスを実行するサービス関数と,サービス関数をまとめるメイン関数から構成されます。

SUP(Service Using Program)

OpenTP1のUAPのうち,SPPに処理要求をするだけの,クライアント専用のプログラムのことです。ほかのUAPにサービスを提供するための関数は持ちません。

TASKTM

TP1/EEが出力するトランザクションごとの統計情報です。トランザクションの開始からコミットまたはロールバックの間に,各スレッドで処理する事象発生回数や時間が,TASKTM情報としてファイルに格納されます。TASKTM情報を編集,出力する場合は,TP1/EEのコマンドを実行します。

TCP/IP

米国国防総省高等研究計画局(DARPA)のプロジェクトであるARPANETが開発したプロトコルのことです。TCP/IPプロトコルは,主にLANで使われます。TP1/EEでは,クライアント/サーバ形態の通信の通信プロトコルにTCP/IPを使用します。

TP1EEファイルシステム/TP1EEファイル

TP1/EE専用のファイルシステムをTP1EEファイルシステム,TP1EEファイルシステムの個々のファイルをTP1EEファイルといいます。TP1EEファイルシステムとして使用する領域をキャラクタ型スペシャルファイルまたはブロック型スペシャルファイル上に作成して,TP1/EEのコマンドで初期化します。その後,使用する目的別のコマンドでTP1EEファイルを初期化してから使用します。

TP1キャッシュ機能

インメモリデータ処理技術を中心とした高速トランザクション処理機能の総称です。TP1キャッシュ機能を使用することで,トランザクション処理の高速化と,高信頼性,高可用性を同時に実現するオンライントランザクション処理システムを構築できます。

TPモニタ

トランザクション処理の監視,および制御をするソフトウェアのことです。オンラインシステムを構築するための基盤となる機能を提供しています。主な機能として,端末やほかのコンピュータとデータをやり取りするための通信機能,トランザクションを効率的に処理するためのスケジュール機能,トラブルが起こってもデータとトランザクションの消失や不整合を防ぐ回復機能があります。

UAP(User Application Program)

ユーザの業務をプログラムとして作成したものです。アプリケーションプログラムともいいます。

(ア行)

アドレス境界

アドレス境界とは,ナチュラルマスクに対応したネットワークアドレスの境界を意味します。アドレスクラスの境界ではありません。

アプリケーション

TP1/EEの業務処理の総称です。アプリケーションとして作成するプログラムをアプリケーションプログラム(またはユーザアプリケーションプログラム UAP)といいます。

応答メッセージ

→問い合わせ応答メッセージ欄を参照してください。

オートコネクトモード

常設コネクションの確立・解放をOpenTP1が管理する形態を,オートコネクトモードといいます。

オンラインバッチ機能

UAPを利用して大量データのバッチ処理を実現する,TP1/EEの機能です。オンラインバッチ機能を使用すると,大量データをロットという単位で処理することによってデータベースの負荷を分散できたり,データ型とイベント型という2種類の処理形態によって多様な業務に対応できたりします。

(カ行)

回線トレース

送受信メッセージや,リソースマネジャ使用時のXAインタフェースなどのデータ,状態に関する情報です。通常はイベント発生時の要求ごとに取得します。ただし,トランザクション実行中に要求された取得項目は,トランザクション終了時に一括して取得します。回線トレースを編集,出力する場合は,TP1/EEのコマンドを実行します。

キュー受信型サーバ

スケジュールキューを経由してメッセージを受信するサーバUAPのことです。

クライアント/サーバ

プログラムとプログラムで通信する場合の関係を示す用語です。業務処理を依頼する方をクライアント,要求を受けて業務を実行する方をサーバといいます。クライアント/サーバとは,プログラム間の相対的な関係を示します。

クライアントUAP/サーバUAP

複数のUAPプロセス間でクライアント/サーバ型の通信をするときに,業務処理を依頼するためにサービスを要求するUAPをクライアントUAP,要求を受けて業務を実行するUAPをサーバUAPといいます。TP1/EEを使用した通信で,クライアントUAPとなるのは,SUP,SPP,およびCUPです。サーバUAPとなるのはSPPです。

グローバルトランザクション

RPCを使用した複数のUAPにわたる処理をトランザクションとする場合,このトランザクションをグローバルトランザクションといいます。グローバルトランザクションは複数のUAPから構成されます。それぞれのUAPをトランザクションブランチといいます。

コネクション

メッセージ送受信の業務で,ほかのシステムとOpenTP1システムとの間に確立する論理的な通信路をコネクションといいます。

コミット

トランザクションの同期点を取得できたことをコミットといいます。コミットできた場合,該当するトランザクション処理が有効になります。

(サ行)

サービス

クライアント/サーバシステムでは,クライアントから要求された手続きを総称してサービスといいます。UAPのコーディング時には,C言語の場合は関数として,COBOL言語の場合はサブルーチンとして,サービスを作成します。作成したサービスのことを,C言語の場合はサービス関数,COBOL言語の場合はサービスプログラムといいます。

サービスグループ

OpenTP1のサーバUAPは,クライアントからの手続き要求を処理するサービスの集合です。このことから,サーバUAPのことをサービスグループといいます。TP1/EEのリモートプロシジャコールの関数ee_rpc_callでは,サービスを要求するときにサービスグループ名とサービス名を引数に設定します。

システムサービス

TP1/EEの個々の機能を指してシステムサービスといいます。

スーパユーザ(superuser)

UNIX OSの最高権限を持つユーザのことです。UNIXファイルシステムのすべてのファイルに対してアクセス権を持ちます。スーパユーザの利用者名称はrootで固定されています。

ステータスサービス

TP1/EEの機能の一つで,サービスの閉塞状態などのシステム制御情報を管理する機能です。

スレッドの回復

TP1/EEに障害が発生した場合に,システムの処理を続行したまま障害個所を回復し,障害で処理が中断したトランザクションの決着処理をすることをスレッドの回復といいます。

ソケット受信型サーバ

スケジュールキューを経由しないで直接メッセージを受信するサーバUAPのことです。

(タ行)

デッドロック

複数のUAPが複数の資源を確保しようとして,互いのUAPが資源を解放するのを待ち続けて処理が止まってしまう状態のことをデッドロックといいます。

問い合わせ応答メッセージ

メッセージ送受信の業務で,メッセージを送信して応答を返す形態で使用するメッセージのことです。

同期点

トランザクション処理の区切りを同期点といいます。トランザクション処理が正常終了したことを示す同期点処理をコミット,トランザクション処理がうまくいかなかったため無効にする同期点処理をロールバックといいます。

トランザクショナルRPC

RPCでは,サービス要求をしてから結果が返ってくるまでの処理をトランザクションとするかどうかをee_rpc_call関数の引数で指定できます。トランザクションとするRPCを,トランザクショナルRPCといいます。トランザクショナルRPCの場合は,複数のノードにわたって処理しているRPCでも,一つのトランザクションとして処理できます。トランザクショナルRPCは,TP1/EE同士,またはTP1/EEとTP1/Server Baseとの間で実行できます。

トランザクション

ファイルからデータを読み出して,変更したデータを書き込む処理(更新処理)では,データの一貫性を保持するため,途中で分けられません。このような処理の単位をトランザクションといいます。トランザクションの処理結果は,有効にするか無効にするかのどちらかに必ず決められます。

トランザクションブランチ

RPCを使用した複数のUAPにわたる処理をトランザクションとする処理(グローバルトランザクション)を構成するそれぞれのUAPをトランザクションブランチといいます。トランザクションを開始したトランザクションブランチを,ルートトランザクションブランチといいます。また,一つのトランザクションブランチから生成されたトランザクションブランチを子トランザクションブランチといい,子トランザクションブランチを生成したトランザクションブランチを親トランザクションブランチといいます。

トランザクションマネジャ(Transaction Manager)

トランザクション処理を管理,および実行する機能のことです。

(ナ行)

ノード

ネットワークでつながれた,TP1/EEやTP1/Server Baseが稼働する一つのコンピュータ(マシン)のことです。

(ハ行)

物理区画

論理ボリュームにディスクスペースを割り当てるための最小単位を物理区画といいます。

プロセス

ユーザサーバ,またはTP1/EEが,OSの作業領域を使用することで生成される作業領域の処理をプロセスといいます。

プロセスの回復

TP1/EEに障害が発生した場合に,プロセスダウンで処理が中断したすべてのトランザクションに対してTP1/EE再開始時に決着処理をすることをプロセスの回復といいます。プロセスの回復には,トランザクションの回復処理よりオンラインの開始処理を優先するディレード回復と,オンラインの開始処理よりトランザクションの回復処理を優先するアンディレード回復があります。

ホスト

ネットワークにつながれた,TP1/EEが稼働する一つの計算機(マシン)のことです。

(マ行)

マルチスレッド

一つのアプリケーションがスレッドと呼ばれる処理単位を複数生成し,並行して複数の処理を行うことをマルチスレッドといいます。TP1/EEは,TP1/Server Base機能の一部をマルチスレッドで実現します。

メッセージログ

TP1/EEシステムの稼働状況に関する情報です。稼働状況を管理したり,障害発生時の切り分けをしたりするために取得します。メッセージログファイルは,TP1/EEの起動時に,TP1/EEのサービスグループごとにUNIXファイルとしてTP1/EEが作成します。

(ヤ行)

ユーザサーバ

ユーザで作成したUAPによって,業務処理としてサービスを提供するサーバをユーザサーバといいます。

(ラ行)

リソースマネジャ(Resource Manager)

分散処理システムでの,資源を管理する機能の総称です。DBMSはリソースマネジャです。

リモートAPI機能

クライアント側のノードにあるUAPが呼び出したAPIを,TP1/EEのプロセスで代理実行する機能をリモートAPI機能といいます。リモートAPI機能を要求するクライアント側のノードにあるUAPをrapクライアントといいます。rapクライアントが呼び出したAPIをrapサーバで実行します。TP1/EEは,rapクライアントとしても,rapサーバとしても動作します。リモートAPI機能で代理実行できるAPIは,ee_rpc_call関数,およびdc_rpc_call関数です。dc_rpc_call関数は,TP1/EEがrapサーバとして動作する場合だけ使用できます。

リモートプロシジャコール(Remote Procedure Call)

UAPを実行するプロセス間で通信する機能を,リモートプロシジャコール(RPC)といいます。TP1/EEのUAPは,ほかのシステムのUAPとRPCで通信します。TP1/Server Baseのネームサービスで,サーバUAPがあるノードのネットワークアドレスとサービスグループ名を管理しているので,RPCを使用するときは,通信相手がクライアント/サーバシステムのどのノードのUAPかを意識する必要はありません。

ルートトランザクションブランチ

グローバルトランザクションに属するトランザクションブランチのうち,トランザクションを開始したUAPをルートトランザクションブランチといいます。

ロールバック

トランザクション処理を無効にする同期点処理をロールバックといいます。UAPから関数を呼び出す場合と,TP1/EEからUAPの処理を無効にする場合があります。